異世界に転生した双子座 -Twin Dragon Saga-   作:神鳥ガルーダ

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赤龍聖帝物語-Holy Welsh Dragon Story- の話と変わっていません。


時系列、原作1巻から3巻
堕天使来襲


「死んでくれないかな」

 

 兵藤一誠に告白してきた少女、天野夕麻は初デートの後、別れ際にそう言わ、背中に黒い翼を生やした。

 邪な心を抱き純白の翼を黒く染めた堕ちた天使―――『堕天使』。

 冷笑を浮かべながら、堕天使の手に光で出来た槍が出現し、兵藤一誠の腹部を貫いた。

 

「ゴメンね。あなたがわたし達にとって危険因子だったから、早めに始末させてもらったわ。恨むならその身に神器(セイクリット・ギア)を宿らせた神を恨んでちょうだいね」

 

 そう言い捨てると、その黒き翼を羽ばたかせ、その場から立ち去った。

 その場には、腹部を貫かれた兵藤一誠の姿……はおろか、血痕すら存在していなかった。

 

 

 

 

 

 私―――兵藤一誠は今、とあるビルの屋上から、黒い翼を羽ばたかせ飛び立った堕天使を見ていた。

 

「…ふむ…夕麻の目的は私の殺害だったか…」

 

 天野夕麻と名乗った女が堕天使である事は会った瞬間から気付いていた。

 しかし、私と付き合いたいという目的が解らなかった。

 堕天使が私と接触する理由。

 それは、私が神器所持者(セイクリッド・ギア・ホルダー)である事に気付いたか…それとも、私が預かっているとある少女との関係かのどちらかと思ったが…どうやら前者だったようだ。

 夕麻は私を殺したと思い込んでいるが、実は奴には『幻朧拳』を打ち込んでおいたのだ。

 伝説の魔拳である『幻朧魔皇拳』の派生技であり、一輝の『鳳凰幻魔拳』ほどではないが、強い幻覚作用がある技だ。

 今日一日、奴は幻朧拳の影響下にいたという訳だ。

 私は隣にいる紅髪の女性に声を掛けた。

 

「…と、言うわけです…リアス・グレモリー先輩」

 

 彼女の名前は、リアス・グレモリー。

 私が通う駒王学園の3年生で、全校生徒に知らぬ者がいないとされる「二大お姉さま」の1人。

 そしてその正体は冥界に生きる悪魔、『ソロモン七十二柱(ななじゅうふたはしら)』序列56位グレモリー公爵家の次期当主にして、悪魔の管理地としての駒王町の領主である。

 

「堕天使が私の領地に無許可で入り込んだ理由は、兵藤君…貴方を殺す事……兵藤君、貴方は一体?」

 

 今まで彼女の私に対する認識は、私の部活関連と自分の友達の知り合い程度でしかなかったが、今回の事で私が普通の一般人ではない事に気付いたな。

 まあ、私が彼女を召喚したんだしな…。

 私は手に持っているチラシに目をやった。

 

『あなたの願いを叶えます!』

 

 魔方陣と共にそう書かれたチラシ。

 これは、彼女の使い魔が人間に化けて配っていたものだ。

 人間との契約で対価を得る悪魔たちは悪魔を召喚しそうな人間にこの簡易魔方陣の書いたチラシを配っていたのだ。

 今回の件で、一応この町を管理する彼女に知らせようと、彼女を召喚したわけだ。

 

「そんな事よりも、管理者として休戦中とはいえ、敵対組織の者をテリトリーに入られた事を問題にするべきですよ」

 

「…堕天使が私の領地に侵入してきたのは問題だけど、流石に単独行動なら把握は難しいわね」

 

 確かに、防諜的には問題だが、この町は日本神話の神々と悪魔たちとの交渉で、ここは悪魔の領地となっているが、基本的に人間界であり、町の住人もほとんどが人間だ。

 それに悪魔以外の異形もたくさんいるので、1人や少人数程度なら、管理者に悟られず入り込むのは難しくない。

 私もある程度は監視しているが、流石に力を抑えている相手を特定するのは難しいな。

 

「でも、今は貴方の方が気になるわ。堕天使を欺けるほどの力を持った相手がすぐ近くにいたなんて…」

 

「悪いが私には干渉する事はできない。その理由は帰れば解ります」

 

「ま…待ちなさい!!」

 

 私はリアス・グレモリーの静止を無視し、テレポーテーションでその場を去った。

 

 ★☆★

 

 私の名はリアス・グレモリー。

 この駒王町を領地とする上級悪魔にして、グレモリー公爵家の次期当主。

 悪魔稼業の一つに人間との契約し、人間の欲望を叶える仕事がある。

 お話の中の様に魂を対価にするのではなく、金銭と引き換えにしているので、人間たちも気楽に契約してくれるが、昔ならともかく今はわざわざ正規の手段を使って悪魔を召喚しようとする人間は少ない。

 そのため、簡易魔方陣を書いたチラシを配っているのだが、そのチラシを使って私が召喚された。

 普段ならば、私ではなく私の可愛い下僕たちが召喚されるのだけど、どうやら相手は私自身を指名してきたのだ。

 召喚された先にいたのは、私と面識のある相手だった。

 学園で一つ年下の後輩、兵藤一誠君だ。

 彼の事を学園で知らない者はいない。

 良い意味でも悪い意味でも有名な子だ。

 私にとっては、クラスで親友と言っていいほど親しい相手の知り合いで、彼が行っている部活動の方で多少付き合いがある程度の相手だ…今のところは…。

 兵藤君が示した方向に視線を向けると、そこには私たち悪魔にとって敵である堕天使が、何もない所に光の槍を投げつけ、飛び立っていった。

 兵藤君の話だと、堕天使は彼を殺す幻覚を見せられているらしい。

 まさか彼が堕天使を欺けるほどの幻覚を使える様な存在だったなんて……。

 よく顔を合わせるのに、まったく気付けなかったわ。

 彼をこのまま放置する事は出来ないので、彼に詰問したのだが、拒否されその場を立ち去ろうとしたので、静止したら魔方陣も展開せず、何かの道具も使用せずに目の前で姿を消してしまった。

 

「本当に彼は何者なの?どうやら明日、彼を呼び出して聞かなければならないわね。それにしても朱乃は彼の事を知っているのかしら?」

 

 でも、彼の言葉が気になる。

 干渉不要?

 帰れば解る?

 どういう意味なんだろう。

 

 ★☆★

 

 幼馴染のイリナが引っ越して行ってから幾年、様々な事件、出会いがあり、波乱万丈な少年時代を過したが、私―――兵藤一誠は無事、高校2年生となった。

 特に変化が著しいのは、我が兵藤家だろう。

 実は2年くらい前に、我が家は火事で全焼した。

 超常の世界からちょっかいを受けたわけではなく、隣家の火の不始末により、周辺の家が火事になっただけである。

 幸い、その時我が家は田舎の祖母の家に帰省していたので、怪我はなかったが…住む家が無くなった事ですっかりと困ってしまった。

 幸い、火災保険には入っていたので再建費用は問題なかったのだが、ここで教皇がある提案をしてきた。

 それは、父の定年後の仕事として、下宿屋を営んではどうか…と、いうモノだった。

 下宿屋の名は「双児宮」。

 その名の通り、双子座(ジェミニ)の聖闘士が守護する宮の名を付けた。

 双児宮は私達兵藤家の住む本館と、下宿屋としての別館が建てられた。

 龍闘士(ドラグナー)や聖闘士の転生者以外の保護した超常の存在などを住まわす為の施設として利用している。

 ほとんどは龍闘士たちは龍界に滞在しているので、今の所は人間界の学校に通う事を望んだ者だけだが。

 

 ★☆★

 

 私の朝は早い。

 AM4:30には起床し、本館1階に降りてくる。

 本館は2階に私達兵藤家が居住、1階は今は食堂になっている。

 本来は私が大学を卒業したあと、店を開く為の場所であり、オーブンなどの調理用機材が揃っている。

 私の趣味は珈琲や紅茶を嗜む事とパン作りであり、自分でいうのもなんだが珈琲を入れる事に関しては自信がある。

 父も母も教皇も、私の入れた珈琲をすっかりと気に入り、缶コーヒーが味気なくなった…と、苦笑しながら愚痴を零す。

 大学で経営について学んだ後、食品衛生責任者の資格を取り、ベーカリーを兼ねた喫茶店を開くのが私の夢である。

 今は食堂として、父母や別館の住人の為に朝食を提供する場所として使用している。

 

「おはようございますイッセー君」

 

「ああ。おはよう朱乃」

 

 準備を終え、朝食を食べていると朱乃が入ってきて、続いて白音も入ってきた。

 

「おはようございますイッセー先輩、朱乃さん」

 

「おはよう白音」

 

「おはようございます白音ちゃん」

 

「…黒歌はまだ寝てるのか?」

 

「姉様がこの時間に起きてくる事はまずありえませんから…」

 

 学校には通えない黒歌だが、白音と一緒がいいのかここに住んでいる。

 ちなみに龍闘士でも美猴の奴は龍界にも双子宮にも滞在せず、そこらをフラフラしているが…。

 私達はそのまま朝食の準備を続けた。

 朱乃と白音は毎朝、手伝いに来るが黒歌は一度も来ていない。

 最も、インスタントしか作れない黒歌は戦力にはまったくならないので別に構わないが…。

 我が家の食事は、基本的に朝は私が作り、私達の昼弁当は朱乃が作り、父の昼弁当と夕食は母が作る。

 今日の朝食の献立は、私の焼いた食パンとハムエッグ、そしてトマトとレタスのサラダだ。

 朝食が出来、3人で食べていると当然、話題は昨日の事になるだろう。

 特に堕天使の血を引く朱乃にしてみれば、堕天使が私を襲撃した事に気が気でないのだろう。

 

「やっぱり…父様もアザゼルも私の事なんて…」

 

 自分が下宿している家の人間を害する……それは彼らが自分を蔑ろにしていると考えたのだろう…だが…。

 

「いや、それはおそらく違うだろう」

 

「…どうしてですか先輩?」

 

「奴らは、たとえ朱乃に嫌われる事になっても、朱乃の身の安全を考えたのだろう」

 

 神器所持者は、その身に宿った神器を扱いきれず暴走させてしまう者も少なくない。

 恐らく聖書の神の死が原因で、なんらかの不具合が出ているのだろう。

 堕天使たちは私が神器を暴走させれば、近くにいる朱乃の身に危険が迫ると思い、排除しようとしたのだろう。

 私の家系は先祖に異能者などいないごく普通一般の家系だ。

 そんな私が神器を使いこなせているとは―――しかも【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】と【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】という神滅具(ロンギヌス)を二つ所持している―――とは思ってもいないだろう。

 私は裏の事情には今まで関わっては来なかったからな……兵藤一誠としては、だが…。

 しかし、私が神器所持者である事がバレたのならば、教皇もそうだという事もいずれバレるだろう。

 表向きは、教皇の実家である天国家が朱乃の保護責任者だし、私と違って日本の異能者と多少の繋がりがあるから、私のように襲撃されることはないと思うが、昨日、一応教皇に報告はしておいた。

 

「さて、そろそろ学園に行くぞ」

 

 父と母、黒歌の分の朝食にラップを掛けて私たちはAM5:30に家を出て学校に向かった。

 こんな早朝から私たちが登校する理由は、私達の所属する部活動の為であった。

 

 

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