異世界に転生した双子座 -Twin Dragon Saga-   作:神鳥ガルーダ

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連続投稿です。


聖女との出会い

 私―――リアス・グレモリーは先ごろ部室の扉から出て行った兵藤一誠君を見送っていた。

 

「…姫…」

 

「まさか、彼が赤龍帝だったなんてね」

 

 赤龍帝とは、かつて三大勢力に多大なる損害を与えた二天龍【赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)】ドライグと【白い龍(バニシング・ドラゴン)】アルビオンに対し、敵対していた三大勢力が一時共闘する事で漸く倒すことに成功し、その魂は神器(セイクリット・ギア)に封じられ、ドライグが封印された【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】の所有者の呼称である。

 【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】は神器(セイクリット・ギア)の中でも神をも殺す事が出来る神滅具(ロンギヌス)の一つに数えられ、私達悪魔からもその危険性は知れ渡っている。

 ベルゼブブ様とルシファー(おにい)様は、この駒王町に今代の赤龍帝がいる事を知っていたのに私に教えてくれなかった。

 その事に少しショックを受けた。

 無論、お二方が兵藤君と取引したからなのは分かっている。

 赤龍帝にして、あの【無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)】オーフィスを庇護している存在。

 彼に敵対する事はあのオーフィスを敵に回す事と同義。

 そんな事になれば、せっかく回復してきた勢力が再び衰退し、天界や【神の子を見守る者(グリゴリ)】に付け込まれてしまう。

 頭では理解できるが、感情では妹の私には教えて貰いたかったと思っている。

 でも、それは私の我儘だ。

 子供の頃ならいざ知らず、いま兄に昔のように「リーアたん」とか人前で呼ばれれば恥ずかしさのあまり兄に食ってかかるのに、こんな時だけ特別扱いしてもらおうとするなど度し難い。

 

 

「…赤龍帝がオーフィスと繋がっている事は周知されていません。最強の存在(オーフィス)という後ろ盾があればあらゆる勢力に対し有利になるのに、それを公言しないとは、彼は本当にオーフィスを利用する気はない…という事ですか部長?」

 

 蘭子の隣にいる【戦車(ルーク)】河井響の疑問も最もだ。

 ベルゼブブ様とルシファー様はご存知のようだから、完全に利用していないわけでは無いようだけど…。

 

「…抑止力としてのみ利用しているようね…あくまで赤龍帝としては…だけど」

 

「しかし下級とはいえ堕天使を手玉に取るというその実力、手合わせして試したいですね」

 

 私の【戦車】は不敵に微笑んでいる。

 

「無論、今の僕では勝てないでしょうが……何れは…」

 

 彼は素手で騎士である祐斗と互角に闘えるほどの実力者。

 何れ、祐斗と共に私の眷属の主力として活躍してくれる事を期待しているわ。

 

「それで今後の彼との付き合いはどうなされるつもりですか姫?」

 

「…ベルゼブブ様からの話だと、彼は完全な悪魔の味方ではないとの事。一応ベルゼブブ様とは同盟を組んでいて、私達と敵対する気はないけど、私達悪魔がこの駒王町の住人に正当な理由も無く危害を加えると敵に回るとの事よ」

 

 契約の不履行による制裁などは本人の責任だから干渉しないけど、詐欺同然の方法で相手に不利となる契約を組んだり、契約の対価を金銭ではなく生命を要求したりしたら、確実に敵に回すだろう。

 まあ、私はそんな事は絶対にしないので問題はないのだが…。

 赤龍帝はオーフィスだけではなく、六大龍王の【魔龍聖(ブレイズ・ミーティア・ドラゴン)】タンニーンを筆頭に、人間界に隠れ住んでいたドラゴンたちを纏め上げてドラゴン勢力を築いてると魔王様もおっしゃっていた。

 それが、魔王様たちが彼に対し配慮している理由の一つとの事だ。

 

「彼に対してはこちらも誠意をもって付き合っていくのがベストでしょうね」

 

 彼に対しては従属させるのではなく、対等な同盟者として接する。

 私は眷属たちに厳命した。

 

 ★☆★

 

 リアス・グレモリーとの対話から数日後。

 私―――兵藤一誠は今、駒王町の倉庫街にいた。

 この場所は前の持ち主が倒産したので放置されていたが、教皇に買い取っていただき、サイエスの発明品によって、ちょっとやそっとの悪魔や天使たちでも破壊が不可能なほど頑強に強化されている。

 ここは出向してきているアーレス様率いる聖闘士の転生者たち、そして龍闘士たちが人間界に集団で来訪した時の集合場所として利用している。

 私が今回この場に来た理由は…実にくだらん事だが、最近余所から不埒者共がこの辺り屯しているからだ。

 

「やはり人払いの結界は張るべきだったか…しかし、すべてが私達の倉庫ではないからな…今は使われていなくても、何れ利用するかも知れない以上、余り迷惑を掛けるわけにも…ん?」

 

 数多くのエンジン音が聞こえて来ている。

 おそらく例の連中だろう。

 どうやら他所から遠征してきている暴走族のようだ。

 私が身を隠すと、奴らが我が倉庫の前に停車する。

 

「…えっ?ここは教会ではありませんけど…」

 

 車から降りてきたのはとても暴走族には見えない少女……いや修道女(シスター)だった。

 そして、他の連中も車やバイクから降り、少女を取り囲む。

 

「へっへっへっ…ああ。ここは教会じゃねぇけどよ…代わりに天国に連れてってやるよ」

 

 そう言うと1人の男が修道女の服に手を伸ばし、乱暴に引き裂いた。

 少女の小振りな胸が露わになる。

 

「キャア!や…やめて下さい」

 

「へへへっ教会に行きたいって言ってたけどよ。本当は俺たちとイイ事したかったから、付いてきたんだろ」

 

 何を自分達に都合の良い事をほざいてやがる。

 あの様ないたいけな修道女が、あんなクズ共の欲望の吐け口になる等…。

 

「止めろクズ共!!」

 

「何だてめ…っぐぎゃあああ!!」

 

 私は修道女の服に手を掛けていた男の手首を掴み、そのまま投げ飛ばし、修道女を背に庇う。

 

「てめぇ!ここは俺らの縄張り(テリトリー)だぜ。誰の許可を取って入り込みやがった!!」

 

「それは此方の台詞だ!ここは私有地で私が管理している所だ。この修道女を置いて、さっさと去れ」

 

「ガキの分際で管理だと…ふざけやがって!おい殺っちまおうぜ!!」

 

 そう言ってクズ共の1人が殴り掛かって来たが、私は軽々と躱し、頬に平手で引っ叩くと、そのまま倒れこんだ。

 1人があっさりやられ、さらに逆上した連中は一斉に襲い掛かってきたが、こんな雑魚共にやられる私ではない。

 勿論、小宇宙も使っておらず、更には無駄に怪我をさせないよう徹底的に手加減している。

 

「や…野郎…」

 

「これでわかっただろう。貴様らでは束になっても私には勝てん。私も雑魚を相手に力を誇る趣味はない。早々に立ち去れ」

 

 何しろ私は修道女を背に庇いながら、この場所を一歩も動いていないのだ。

 どれだけ奴らの頭が悪くとも、これで実力差が解らないほど愚かではあるまい…と、思っていたら、最初に張り倒した馬鹿が、バイクに跨っていた。

 

「舐めやがって…俺たちの実力を見せてやるぜ!!」

 

 そう言うと奴はバイクのエンジンを吹かすと、ウィリー走行で私に向かって来た。

 

「くたばりやがれ―――ッ!!」

 

 バイクの速度など光速の動きを持つ私たち黄金聖闘士(ゴールド)から見ればスローモーションの様に見える故、躱すのは容易い。

 しかし、私は後ろに修道女を庇っている。

 彼女を連れて躱す事も出来るが、普通の少女に突っ込んでくるバイクを避ける速度での移動は目を回してしまうだろう…ならば…。

 

「な……何ィィィィ!!」

 

 私は向かってくるバイクに手刀を放ち、前輪を切り裂いた。

 【山羊座(カブリコーン)】のシュラの聖剣(エクスカリバー)ほどでは無いし、小宇宙を用いなくてもこの程度なら青銅聖闘士(ブロンズ)でも十分に可能な技だ。

 

「ぐぎゃっ!」

 

 前輪を失ったバイクはバランスを崩し、転倒する。

 

「フン、何が実力だ。この程度の事、二輪免許を持っている者なら誰でも出来るだろうが。バイクの力を自分の実力だとでも言うつもりか?勘違いも甚だしいわ!!」

 

 まあ、普通の人間なら意図的に人を轢き殺そうとするのには勇気が必要だろうが…コイツの場合はただ逆上して後先を考えていなかっただけだ。

 

「痛ぇ…痛ぇよ…」

 

 転倒したとき、頭から落ちたせいか、額から血を流して蹲っている。

 流石にさっきの状態では、怪我をさせずにはすまなかったな…まあ、別にそこまで無傷で制圧するつもりもなかったがな。

 

 

「…大丈夫ですか…?」

 

 すると後ろに庇っていた修道女が心配そうな顔で、男のそばに行き、手を額の傷にかざす。

 すると彼女の指に指輪(リング)が現れ、見る見る内に男の額の傷が癒えていった。

 

「これは?」

 

神器(セイクリット・ギア)の力だな…』

 

「…治癒の神器…もしや、【聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)】!?」

 

 【聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)】は回復系の神器(セイクリット・ギア)の中でも最高峰の能力を持ち、聖書の神が生み出したモノでありながら、人間だけでなく、神の敵対者である悪魔や堕天使を含むすべての生物の治癒が可能な代物だ。

 

「もう大丈夫ですよ」

 

 にっこりと微笑む彼女の笑顔はまさに聖女と言って良いだろう。

 自分に危害を加えようとした相手に、これほどの優しさを見せられるとは…彼女は我が女神(アテナ)に通ずるモノがある。

 だが、相手はそんな優しさが通用する相手ではなかった。

 

「ど…どっちも化け物だぁ!ヒ…ヒィ―――ッ!!」

 

 すっかりと怯えきった奴らは、そのまま逃げる様に車に乗り込み、走り去っていった。

 まあ、奴らなどどうでもいいが、この事を言い触らされても面倒だ。

 大抵の連中は信じんだろうが、中には興味本位に首を突っ込もうとする輩も出て行くからな。

 私は、一緒に来て辺りに潜んでいる黒歌に念話で指示を出す。

 

『黒歌。奴らを追って、今回の記憶を消せ。そして二度とこの町に来ない様に暗示も掛けておけ』

 

『解ったニャ、ご主人様』

 

 黒歌が奴らを追って行くのを確認した私は、修道女に視線を向けた。

 怯えられ拒絶された彼女は少し哀しそうな顔をしていたが、直ぐに笑顔になって、私に対し頭を下げる。

 

「助けてくれてありがとうございます。私はアーシア・アルジェントと言います」

 

 これが私とアーシアとの出会いだった。

 




 話が追いついたので、赤龍聖帝物語-Holy Welsh Dragon Story- の方は削除します。


グレモリー眷属交代キャラ設定②

河井響 かわいきょう

登場作品:リングにかけろ2

 リアス・グレモリーの戦車。
 天才的なピアニストの甥っ子でそのピアニストは中学時代、アマチュアボクシング界で名を馳せていた。
 響はそんな叔父に憧れを抱き、ボクサーを目指し独学で叔父のボクシングを身につける。
 しかし彼は生まれ付き心臓に持病を持っていて、ボクサーどころか16歳までしか生きられないと宣告されていた。
 その事に絶望していた響は、藁をも縋る思いでリアスを召喚し、交渉して眷属となった。
 無論悪魔であるが故に、彼の本来の夢であるボクサーにはなれないが、その代わりにレーティングゲームで活躍する事を新たな夢に掲げている。
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