異世界に転生した双子座 -Twin Dragon Saga-   作:神鳥ガルーダ

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いつもより早めの投稿です。
まだ前話を読んでない方はそちらからどうぞ。

今回はLCでの技が出ます。


哀れな堕天使たち

 私はアーシア・アルジェント。

 元、カトリック教会の信徒。

 今は…異端認定を受けた魔女。

 捨て子だった私は教会の施設で育ち、主の教えに従い清貧な生活を送っていました。

 変化が起こったのは、私に治癒の能力が目覚め、教会の偉い御方たちの目に留まった事です。

 私は多くの人たちを癒してきました。

 私なんかの力で、多くの人たちを救える。

 この能力を与えて下さった主に感謝を捧げ。充足した毎日を送っていました…一年前までは…。

 一日のお勤めを終え、庭で休んでいた私の前に、とても傷ついた方がいらっしゃいました。

 あまりの傷の酷さに私は、その方を癒しました。

 でも、それが問題だったのです。

 その方は、主の敵対者である悪魔さんだったのです。

 主の敵である悪魔を癒した私は、それまで聖女と呼んで慕って下さった方々が突如態度を変え、魔女と呼んで責めてきました。

 そして、教会から追放され、この一年間放浪してきました。

 ときおり、親切な人が助けて下さいましたが、辛い旅でした。

 でも、これはきっと主が私に課した試練、そう思い頑張ってきました。

 そしてある日、私と同じく教会から追放された方と出会いました。

 その方がおっしゃるには、私の様に追放された神父や修道女の方々が集まる場所があり、そこで教会に戻るための奉仕をする事が出来ると…。

 私は誘いを受けて、この日本にやってきました。

 そこで、イッセーさんに出会ったんです。

 教会まで案内して下さると言った方たちに襲われた私を助けてくれて、今はイッセーさんのお宅にご厄介になっています。

 イッセーさんは、私の初めてのお友達です。

 施設の皆は、お友達というより家族でしたし、教会に勤めていた頃の私の周りの方々は、私の世話をして下さるのですが、お友達にはなってくれませんでした。

 

「友とは何人いても良い。私も君の様な優しい人が友となってくれて、とても嬉しい」

 

 

 

 

 

 私が赴任する予定だった教会は、実は背教者たちの集まりて、私の思っていた様な場所ではないと教えてもらいました。

 

「奴らは、すでに聖書の神の教えを放棄し、自らの欲望の為に動いている。君が信仰を捨てないのならば、一緒にいるべきではない。知らず知らずの内に、奴らの悪事の片棒を担がされる。そうなっては教会に戻るなど夢のまた夢だ」

 

 上手い話には裏がある。

 信用を回復するには地道に行動しなければ駄目だ。

 近道があるなど考えるべきではない。

 そうイッセーさんに諭され、私も納得しました。

 主の試練が、そう簡単に終わるモノではないのですから…。

 イッセーさんは私に住む場所を提供してくださり、衣食住の面倒を見て下さるそうです。

 感謝の意を伝えたら、イッセーさんはため息を吐きました。

 何故でしょうか?

 

「だから、簡単に信じず少しは疑えと…」

 

 イッセーさんのお宅は下宿屋で、私はここで暮らしていく代わりに、イッセーさんのお母さんの仕事を手伝う事になりました。

 最初は分からない事だらけでしたが、イッセーさんのお母さんは優しく丁寧に教えてくれました。

 

「ここに住む以上は皆、私の子供と同じだから、アーシアちゃんも気兼ねしなくていいのよ」

 

「ありがとうございます…お…お母さん…」

 

 

 

 

 

 

 そして数日が過ぎ、話がとんとんと進みました。

 私が赴任する教会にいるはぐれ神父さんたちは、イッセーさんのお仲間さんたちに次々と捕まりました。

 彼らは、主を裏切った堕天使さんたちに従っていたそうですが、勝手な行動をとったレイナーレ様という教会の責任者に従った為、強制的に送還されたそうです。

 そして、私はお母さんにお使いを頼まれたイッセーさんの手伝いをしようと付いてきたんですが、目の前に黒い翼を生やした女性が舞い降りてきたのです。

 

 ★☆★

 

 私―――兵藤一誠は、元カノである天野夕麻こと堕天使レイナーレと対峙していた。

 

「…やってくれたわねイッセー君」

 

「フッ…その様子だと総督から何か言われたな」

 

 屈辱に顔をゆがませたレイナーレは私を睨みつけている。

 

「イッセー君を殺したと虚偽の報告をし、今回の行動によって私たちは【神の子を見張る者(グレゴリ)】から追放されたわ。アザゼル様やシェムハザ様の側近になるという私の夢は潰えたわ」

 

「それで恨みを晴らしに来たのというのか?」

 

「そもそも何で生きているのよ。私は確かに貴方を光の槍で貫いた筈なのに…」

 

 まあ、疑問に思うのは当然か。

 よかろう、冥途の土産に教えてやるか。

 

「あの日、お前と会った瞬間に私はお前に【幻朧拳】を打ち込んでおいたのだ。お前と初めて会った日、お前は私に交際を申し込んできていたが、その瞳には私に対する侮蔑が潜んでいた。そんな相手を信用して馬鹿正直にデートなどすると思うか?」

 

 【幻朧拳】によってレイナーレは、幻覚に翻弄されていたに過ぎなかった。

 

「つまり、お前は幻の私とデートしていたにすぎず、実際は一人で行動していただけだった。つまり傍から見れば、一人でデートごっこをしている痛い女にしか見えていなかった訳だ。周りの人間のお前に対する痛々しい視線は中々、愉快だったぞ」

 

 真相を聞き、レイナーレの顔が羞恥と屈辱で真っ赤に染まった。

 まあ、基本私は女性を大事にする方だか、私を騙して殺そうとした相手にまで配慮する必要はないからな。

 

「よくも私をコケにしてくれわね。許さないわ!」

 

「許さないならどうする?総督から私の事は聞かされただろう。下級堕天使程度に殺される私ではない。それに私はお前の処分を総督から許可されている。飛んで火にいる何とやらだ」

 

「確かに相手が赤龍帝なら、私では貴方に勝てないわ。でもあなた以外ならどうかしら?」

 

 私以外だと…。

 

「さすがに貴方の家族には手を出せないわ。バラキエル様の娘もいらっしゃるらしいし、でも、貴方と初めて会った時に一緒にいた貴方の友人たちならどうかしら」

 

 こいつ、まさか松田と元浜を…?

 

「すでに私の仲間があの二人を捕縛に向かっているわ。今頃捕えているでしょうね。あの二人の命が惜しくば、私に手を出さない事ね」

 

 ドヤ顔のレイナーレだが、愚かだな…。

 と、その時、私たちの周囲に何かが落ちてきた。

 

「なっ⁉ドーナシーク、ミッテルト、カラワーナ⁉」

 

 落ちてきたのは黒い翼を持った者たち……堕天使だ。

 一人は大男で、上半身と下半身が分かれている。

 残り二人の女堕天使は、一人は全身がズタズタに切り裂かれており、もう一人は左胸に血染めの薔薇が突き刺さっている。

 

「こんな雑魚共で俺たちを倒そうなんて、舐められたモンだぜ」

 

「まったくだ」

 

 そこに姿を現したのは、私の友人である坊主頭の松田源と眼鏡を掛けた元浜敦であった。

 この二人は、私と同じく黄金聖闘士(ゴールド)の転生者で、松田が【蟹座(キャンサー)】のデスマスク。

 元浜が【魚座(ピスケス)】のアフロディーテだ。

 私と親しい人間で一般人なのは、桐生くらいであとは皆、普通じゃない奴ばかりだ。

 桐生ならば人質足りえたが、松田(デス)元浜(アフロ)ではな。

 

 ★☆★

 

 時は少し遡る。

 駒王町では、聖闘士の転生者たちが行動していたが、その中でのんびりした二人組がいた。

 松田源(デスマスク)元浜敦(アフロディーテ)である。

 一応、彼らも祭檀吉(アーレス)の配下に組み込まれているのだが、聖闘士の最高位である黄金聖闘士は滅多な事では勅令が出されない。

 よほどの事がない限り、檀吉も松田と元浜には命令を下さないだろう。

 彼らは本屋で保健体育の参考書(エロ本)を買って、それを観賞していた。

 元浜は、どちらかと言えば未成熟の女性の方が好きなのだが、児童買春・ポルノ禁止法に引っ掛かるし、成熟した女性も嫌いではないので、一緒になって見ている。

 

「おいアフロ」

 

「ああ。お前も気づいたかデス」

 

「「お客さんだ」」

 

 言うと同時に、二人に襲い掛かる3人の黒翼の天使たち。

 

イッセー(サガ)の言っていた堕天使共か」

 

「男とキツそうな女はどうでもいいが、あのツインテールの女は中々だな」

 

「…相変わらずだなアフロ、そのロリ志向。俺は二人とも好みじゃねぇよ」

 

「…お前の好みはあのヘレナという娘が基準だからな」

 

 自分たちに囲まれているのに、まったく動揺しない二人に堕天使たちは訝しむ。

 

「お前たち、今がどういう状況なのか分かっているのかね?」

 

「アタシ等に囲まれて、何を呑気な事を」

 

「人間風情が!」

 

 レイナーレの指示通り、二人を捕えようする三人だが、目にもとまらぬスビートで躱される。

 そして松田がドーナシークの腰を両足で挟み込む。

 

「…【アクベンス】!」

 

 そのまま上半身と下半身が切断された。

 

「ドーナシーク!」

 

「ありえないし…あのおっさんが一瞬で…」

 

「よそ見をしている暇などないぞ」

 

「な…何、この黒薔薇は?」

 

「…【ピラニアンローズ】!」

 

 元浜の放った黒薔薇がミッテルトの全身をズタズタに噛み砕いていく。

 

「ミッテルト!おのれ、覚えておけ‼」

 

 仲間二人があっさり敗れた事により、捨て台詞を吐き、空を飛んで逃走を図るカラワーナであったが、松田が先回りしていた。

 

「へっ…逃がすかよ」

 

「馬鹿な、人間にこんな跳躍力が⁉」

 

 カラワーナの所まで跳躍した松田に蹴り落とされたカラワーナの左胸に白薔薇が突き刺さった。

 白薔薇はカラワーナの血によって深紅に染まっていった。

 

 ★☆★

 

 私―――兵藤一誠の前には、仲間全員が無残に敗れ、動揺しているレイナーレがいた。

 

「まあ、こんな雑魚共に負ける俺たちじゃないってこった」

 

「お前たち超常の存在は、とかく我ら人間を甘く見るが、人間に敗れた異形など数多くいるだろう?」

 

 赤龍帝である私から逃げる為に人質に取ろうとした相手に返り討ちに遭った事でもはや逃げられないと悟っただろう。

 すると、レイナーレは天野夕麻の姿になり、私の前に膝をついて祈りだした。

 

「助けてイッセー君。貴方を殺そうとしたのは命令だったから、仕方なかったの。本当の意味で貴方の恋人になるわ。だから…」

 

 あまりの見苦しさに呆れ果てた。

 初めて会った時から、私を…人間を侮蔑していた奴が、今は哀れにも助命を懇願している。

 せめて最後まで己の矜持を示していたら、多少の敬意は払ったんだが。

 しかし、問題だな。

 私や松田、元浜は元より情けなど掛けるつもりはないが、アーシアが問題だ。

 【ANDROMEDA星座(アンドロメダ)】瞬以上の優しさを持つ彼女はきっとレイナーレの助命を請うて来る。

 戦士ではないアーシアの優しさは否定されるべきモノではないからな。

 

「あの…イッセーさん…助けてあげてくれませんか?」

 

 やはり…な。

 仕方がない。

 

「とっととこの場から去れ。今は見逃してやる。次は容赦しない」

 

「おいイッセー」

 

「お前らしくもない」

 

 私の発言に驚いた松田と元浜が止めようとしたが、テレパシーで事情を話し、納得させた。

 私はアーシアの頭を撫でると、レイナーレに背を向けて家に向かって歩を進め、アーシアたちもそれについてくる。

 

「甘いわね!赤龍帝‼」

 

 レイナーレが私の傍を歩くアーシアを連れ去ろうと向かって来る……瞬間に私の振り向かずに肘を放ち、レイナーレの鳩尾に決まる。

 

「…お前のような奴はこうして背を向ければお約束の行動を取るな」

 

 そう、私は最初から見逃す気はなかった。

 こうして隙を見せても、自分が私たちに勝てない事くらいは奴も理解していた。

 そこで人質を松田と元浜からアーシアに切り替えてくるだろうと踏んだのだが、見事に当たったな。

 

「イ…イッセー君、今のは…ちょっと…した出来心で…0」

 

「次は容赦しないと言った筈だ」

 

 苦悶の表情で言い訳するレイナーレを戯言を切り捨て、光速拳を放ち、レイナーレをトドメを刺した。

 

「…あの…イッセーさんすみません…私がこの方を助けてとお願いしたせいで…」

 

 自分が庇ったレイナーレの背信行為に、アーシアが申し訳なさそうな顔になった。

 

「アーシアが気にする必要はない。アーシアの優しさを利用したこの堕天使が全面的に悪いのだから…」

 

 涙ぐむアーシアの肩を抱きながら、私たちは帰路に付くのだった。

 

 

 




やっと松田(デスマスク)元浜(アフロディーテ)を登場させる事が出来ました。
原作1巻は次で終わります。
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