異世界に転生した双子座 -Twin Dragon Saga-   作:神鳥ガルーダ

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今回はちょっと短いです。


残酷な真実

 アーシアが編入してからしばらく過ぎた頃、私―――兵藤一誠と、アーシアは魔王アジュカ・ベルゼブブと対談していた。

 私の隣にいるアーシアは、顔面が蒼白になり、涙を流している。

 こうなる事は想定していたが、やはり直接見るとなると辛いな。

 だが、今のうちに知っておいた方がいいと判断した。

 

「…魔王ベルゼブブとしてではなく、ディオドラ・アスタロトの血縁のアジュカとして、アーシア・アルジェント、君に謝罪しよう」

 

 最後にそう締めくくり、アジュカはアーシアに頭を下げた。

 この対談の前に、私はアジュカから真相を聞かされていた。

 

 

 

 

 

 アーシアの追放は、偶然の産物ではなく謀略だった。

 アジュカは、元々はアスタロト公爵家の次期当主だったが、魔王ベルゼブブの地位に就いた為、その後釜として選ばれたのがディオドラ・アスタロトだ。

 この男は、教会の敬虔な聖女や修道女(シスター)を堕として犯すというのを趣味にしている男だという。

 彼奴が次に目を付けたのがアーシアで、彼女を追放させる為に一芝居打ったらしい。

 アーシア追放後、配下に監視していたらしいのだが、守護していた座天使(ソロネ)に撃退されていたらしい。

 

「と、なると座天使を殺害したのはそのディオドラの手の者か?」

 

「いや、ディオドラ本人はおろか、手の者程度でどうにかなる座天使ではない」

 

 身内にも関わらずアジュカのディオドラへの評価はたいした事ないようだな。

 

「では外部の強力な者を雇ったとしか思えんな」

 

「それが妥当だが、その正体は掴めない」

 

 その後、【神の子を見張る者(グリゴリ)】に保護されたアーシアをレイナーレに殺害させ、アーシアを自分の眷属にするのが彼奴の目的だったらしい。

 

「アザゼルたちの不在を狙ったとはいえ敵対組織である【神の子を見張る者】の人事に干渉できるとなると、彼奴の協力者の力は侮れないな」

 

 アジュカとしては内心複雑だな。

 どうやら身内を疑わなくてはならなくなった様だ。

 

「それでこの件をアーシア嬢に説明するのか?」

 

「…本人にとっては辛い事だろうから、永久に知らずに済むなら知らない方が良い。だが、ディオドラ本人の目的を考えれば、必ず知る事になるだろう。ならば早いうちに知っておいた方がいい」

 

 決定的な場面で真実をさらされるよりも、余裕のある今の内に知っておいた方がいいだろう。

 今なら私たちが支えてやれる。

 

「俺個人としては、身内ながらディオドラのやり口は気に食わんが、魔王としては彼奴を糾弾できん」

 

 悪魔からすれば、敵対勢力の教会の聖女を堕落させる事は、罪でも何でもなく、敵対勢力に謀略を仕掛けただけに過ぎない。

 明確に現政権に反旗を翻したわけでもないのに、罰する訳にもいかず、罰する理由にもならない。

 私も今の段階でディオドラに制裁を加えにいく訳にもいかない。

 私たちドラゴン勢力も、不必要に敵対者を増やすのは得策ではないからな。

 

 

 

 

 

 アーシアは真実を知って、静かに涙している。

 目の前で傷ついた相手を悪魔であっても癒した。

 そのせいで追放されたが、彼奴を癒した事は後悔していなかった。

 しかし、それは自分を貶める為の謀略だった。

 私はそっとアーシアの肩を抱いた。

 

「…イッセーさん」

 

「泣け。おもいっきり泣け。少しは楽になれる」

 

 アジュカが私とアーシアの周りに防音結界を張り、連れている従者と共に後ろを向いた。

 アーシアは私に縋り付き、大声で泣き叫んだ。

 

 ★☆★

 

 私の名は、ディハウザー・ベリアル。

 ベリアル家の当主にして、レーティングゲームでは万年一位の皇帝(エンペラー)として君臨している最上級悪魔であり、力は魔王級という評価を受けている。

 今、私は派閥のトップであるアジュカ・ベルゼブブ様に付き従い、従妹の恩人であり主とも言える兵藤一誠君との対談に付き従っている。

 元々、我がベリアル家は大王バアル家の派閥に属していたが、従妹のクレーリアに対する仕打ちを知り、アジュカ様の派閥に移籍している。

 悪魔社会においては、クレーリアは死んだ事になっており、年に一度会えるか会えないかだが、それでも彼女が愛する八重垣さんと生きている事が嬉しい。

 二人を助けてくれた兵藤一誠君には感謝してもしきれない。

 今、私の背後で兵藤君は、アーシア・アルジェントという元教会の聖女を慰めている。

 ディオドラ・アスタロトの件は私にとっても不快な出来事だ。

 クレーリアは八重垣さんと真剣に愛し合ったが、ディオドラはアーシア嬢を欲望の対象としてしかみていない。

 真剣に愛し合ったクレーリアが迫害され、欲望にはけ口にしたディオドラは特に問題なし。

 今更ながら、悪魔社会とは度し難いモノだ。

 我がベリアル家は人間界では七つの大罪の一つに数えられているが、実際は要領の悪い一族といえる。

 今でこそ、私のレーティングゲームでの活躍により裕福になっている。

 しかし昔は経済的に苦しかったが、領民たちに重税を課すことなく、自分たちの生活の質を落とすなど、悪魔としてはかなり良心的と言えるだろう。

 まあ、グレモリー家の様に情愛深く、領地経営も上手ければ言う事はないのだろうがな。

 やはり旧来からの老人共が幅を利かせる今の悪魔社会を何とかしなければならないな。

 クレーリア抹殺の真の原因である(キング)の駒の存在とその不正利用。

 かつてはライバルとして鎬を削ったロイガン・ベルフェゴールやビィディセ・アバドンもこれを使用していたと知り、彼らを認めていたが故に衝撃を受けている。

 今はまだ駄目だ。

 今、これを正せば悪魔社会はガタガタになり、悪魔は滅ぶ。

 そんな事になれば、私にとって大事な家族たちも犠牲になる。

 物思いにふけっている間に、アーシア嬢が泣き止んだ様だ。

 アジュカ様が防音結界を解除し、私たちは兵藤君たちに向き合った…その時だった。

 

「この魔力は⁉」

 

 隣の部屋から、炎の魔力が立ち込めたと思うと衝撃音が聞こえた。

 

「どうやら、誰かがに殴られ向こうの壁に叩きつけられたようだな」

 

「先ほどの魔力には覚えがあるな。フェニックス家の三男、ライザーの魔力だった」

 

 ライザー・フェニックス。

 フェニックス家の三男で、最近レーティングゲームでも注目されている若手だな。

 

「そういえば、今日はライザーが婚約者であるリアス嬢と会う為に、この駒王学園を赴くと報告があったな」

 

 どうやら何かトラブルがあった様だ。

 私たちは隣のリアス嬢が部長を務めるオカルト研究部の部室に向かった。

 

 




この時点で、アーシアにディオドラの策略をバラしました。
原作の様に、土壇場で知らさせてショックを受けるよりも、今の段階で知り、慰めた方が良いとの判断です。

次回、焼き鳥…もといライザーが登場します。
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