異世界に転生した双子座 -Twin Dragon Saga-   作:神鳥ガルーダ

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覇龍と楯光

 私―――紫藤トウジは駒王町のキリスト教会に派遣されているプロテスタントの牧師である。

 この駒王町は悪魔の領土であり、現在はクレーリア・ベリアルという上級悪魔が管理している。

 悪魔の領地だからと言って、この町の住人すべてが悪魔崇拝者というわけではなく、敬虔な信徒もいるし、無宗教、仏教や神道などの異教を信仰する人々も数多く存在している。

 大部分の住民は、この町が悪魔によって管理されてるという事実を知らない。

 悪魔の領地に派遣されている事もあり、この教会に派遣されている牧師やシスター達はすべて悪魔祓いエスソシストで構成されている。

 現在の我々とクレーリアとは冷戦状態である。

 この町では、お互い表向きは不干渉という暗黙の了解の下、我々と悪魔とは共存している。

 当然ながら、私達はクレーリアを監視しており、向こうも此方を監視しているだろう。

 

 

 

 

 

 ある日の事、私は教会での奉仕が一段落つき、同僚である轟木とスミス、部下である八重垣正臣君とティータイムに入っていた。

 ティータイムといっても、英国人の様なモノではなく、私と轟木が飲んでいるのは緑茶で、スミスは紅茶、八重垣君はコーヒーであり、茶菓子もスコーンなどではなく、煎餅といった和菓子を摘まんでいた。

 八重垣君にはクレーリアの監視を任せており、お茶を飲みながら彼からの報告を聞いていたさなか、私の愛娘であるイリナちゃんが泣きながら駆け込んできた。

 

「どうしたんだいイリナちゃん?」

 

「…パパ、イッセー君が大変なの!」

 

 イリナちゃんに連れ出され、家の近所にある空き地に着くとそこには真っ赤な顔で空き地に置かれている土管に凭れ掛かっている兵藤一誠君の姿が見えた。

 私はイッセー君に近づきその額に手を当てた。

 

「これは、凄い熱だ!八重垣君、そこの公衆電話で救急車を呼んでくれ!スミスと轟木、すまないがしばらく教会の事を任せる!イリナちゃんはイッセー君のお母さんに知らせに行ってくれ!」

 

 皆に指示を出すと、私はイッセー君を日陰に連れて行き、ご近所さんから氷を貰い、イッセー君の額を冷やす。

 少しして、救急車が到着したと同時にイッセー君のお母さんが駆けつけて来て、私と共に救急車に同乗し、病院へ向かった。

 

 

 

 

 

 診断の結果は、原因不明。

 もともと子供は熱を出しやすいのだが、いくらなんでも此処までの高熱を出してそれでいて原因が解らないというのは可笑しい。

 原因不明の高熱……もしかしたら悪霊か何かに取り憑かれたのかと思ったが、悪魔祓いとして見ても、そんな兆候は感じられなかった。

 そうこうしている内に、イッセー君のお父さんが会社を早退して駆けつけてきた。

 

「紫藤さん!イッセーの容態は?」

 

「…病院でも原因は解らないそうです。今のイッセー君41度の高熱を出しています」

 

「…イッセー!」

 

 兵藤さんは蒼褪めた顔でイッセー君の病室に向かった。

 以前聴いた話では、兵藤さんは二度もお子さんが流産し、その8年後にようやくイッセー君を授かったとの事だ。

 今のイッセー君の状況が悪魔祓いの領域によるモノでないのなら、私に出来る事はない。

 兵藤さん夫妻に挨拶し、私は教会に戻る事にした。

 

 

 

 

 

 教会に戻った私は、留守を預かっていた轟木とスミスに礼をし、2人を帰すと礼拝堂に向かった。

 礼拝堂の中では、イエス様の前でイリナちゃんが必死にお願いしていた。

 

「主よ…どうかイッセー君を助けてください……」

 

 イリナちゃんには、聖剣(エクスカリバー)の担い手としての素質はないが剣士としての素質はある。

 いずれは悪魔祓い専門の神学校に入れるかどうか迷っていたが、このままイッセー君と一緒に過させてあげるのが、イリナちゃんにとっては一番なのかもしれない。

 その為には、イッセー君には何としても助かってほしい。

 私もイリナちゃんの横に並び、主へ祈りを捧げるのだった。

 

 ★☆★

 

 兵藤一誠の精神世界の中において、イッセーの魂は数々の怨念たちによって苛さいなまれていた。

 

『ドライグ、どうだ?』

 

『駄目だ。歴代の赤龍帝に意識が濃くなり入る事が出来ん!』

 

『此方もだ…。歴代の白龍皇に阻まれ、兵藤一誠の下に行けん!』

 

『まさか、まだ【覇龍(ジャガーノートドライブ)】を発動させていないのに、歴代たちの残留思念が目覚めるとは…』

 

『これが、本来敵対する宿命である【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】と【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】を同時に宿した事の弊害か?』

 

『相棒は、この若さですでに殆ど2つの神器(セイクリッド・ギア)使いこなし、【禁手(バランスブレイカー)】に達している』

 

『ああ。しかもその気になればいつでも【覇龍】を発動する事も可能だった…年齢的に早すぎるから、まず耐え切れないがな』

 

『俺たちが和解しているとはいえ、今まで憎みあい争い続けた歴代の赤龍帝や白龍皇がそう簡単に蟠りを捨てる事は出来ない…か』

 

『その憎みあった宿敵同士がこれ程近くにいるのだ。【覇龍】が発動しなくても残留思念たちが目覚めたのはそれが理由だろうな』

 

『くそっ!過去のツケが、これ程相棒を苛む原因になるとは…』

 

★☆★

 

 私―――兵藤一誠は今、歴代の赤龍帝と白龍皇の残留思念たちの憎悪の感情を一心に受けていた。

 

『憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!』

 

『白龍皇を滅ぼせ!』

 

『赤龍帝を排除せよ!』

 

 歴代たちは、私が【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】と【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】を同時に宿している事が気に入らないのか、執拗に相手の排除を私に強要してきているのだ。

 このままでは、私はどちらかの残留思念に乗っ取られ、【覇龍(ジャガーノートドライブ)】を発動し、この駒王町を破壊し、自滅するまで暴れる事になってしまう。

 

 …心を乗っ取られる…だと!?

 今生においても、私は己の思いのままに生きられないというのか!!

 

 前世において、アイオロスが次期教皇に選ばれたあの時、私は悪への誘惑に負け、悪の人格を目覚めさせてしまった。

 そして、アーレス様を殺して成り済まし、隙を付いて教皇をも暗殺し、アテナさえも殺そうとし、アイオロスに逆賊の汚名を着せてしまった。

 あの、男として聖闘士の鑑の様な素晴らしい友を…。

 そして、聖闘士同士の血で血を洗う内戦を引き起こしてしまった。

 もし、私が悪への誘惑に負けさえしなければ、冥王(ハーデス)との聖戦において、教皇は問題なくアテナに【アテナの聖衣】を渡せただろう。

 しかし、私が教皇を暗殺した事が原因で、教皇は冥王に寝返った振りをしなければならなかった。

 結果的に教皇、シュラやカミュ、デスマスクとアフロディーテにも偽りとはいえ反逆者の十字架を背負わせてしまった。

 更にシュラとカミュには、アテナに禁じられた【A(アテナ)E(エクスクラメーション)】を使わせ、更なる慟哭へと誘いざなった。

 一時的とはいえ、アイオリアやミロに蔑視させた。

 特にミロはカミュにとって親友であり、愛弟子の後見を担ってくれていたというのに……。

 

 認めない!

 絶対に…もう二度と、あの様な思いを味わいたくなどない。

 教皇を暗殺し、アイオロスに逆賊の汚名を着せた後、私は己の罪に大きさに自害する事を考えた。

 しかし、教皇とその後継者が死んだこの時、私まで死ねば、聖域(サンクチュアリ)は混乱していまう。

 何より、悪の人格の私が自害を遮るのは目に見えていた。

 他の黄金聖闘士(ゴールド)たちもまだ幼く、私と争えば何人か犠牲になってしまったろう。

 故に私は、罪悪感を抱きながら教皇を演ずるしかなかった。

 いつか、アテナが自分を裁きに来るその日を信じて……。

 しかしその結果は、主力である白銀聖闘士(シルバー)と最高戦力の黄金聖闘士の半数を失うと取り返しの付かない結末に終わってしまった。

 すべて…私のせいだ…。

 

「あの様な地獄を今生でも味わってたまるか!!」

 

 私は小宇宙を燃焼し、爆発させた。

 

『ぬおっ!まだ抵抗するのか!!」

 

『憎しみ、悲しみ、恨み辛みが我ら赤龍帝の神器の真髄。お前もそれに身を委ね、白龍皇を滅ぼせ!!』

 

『否!赤龍帝の方こそを滅せよ!!』

 

「先達たちよ!ある意味、貴方たちと私は同類なのだろう。貴方たちは赤龍帝、白龍皇の力に溺れ、破滅した。そして私もまた、最強の黄金聖闘士としての力に溺れる悪の人格を生み出してしまった。如何に弟のカノンに植え付けられたとはいえ、間違いなくあれは私の中の悪…。だが…一度、力に溺れ破滅する事を経験しているのだ。貴方たちの様に何度も何度も同じ轍を踏むつもりはない!!」

 

 私は歴代たちの怨念を押し戻そうと、更なる小宇宙を燃やした。

 

 ★☆★

 

『むっ!?歴代たちの意識が薄らいでいる』

 

『どうやら、兵藤一誠が必死に抵抗している様だな』

 

『しかし、それでもまだ俺たちが介入できるほどではない』

 

『くそっ!あともう少しなのに…』

 

 ドライグとアルビオンが必死に歴代の残留思念の壁を乗り越えようとしたその時だった。

 

『私たち手を貸すわ…ドライグ』

 

『…………』

 

『僕も手を貸すよアルビオン』

 

『エルシャ!ベルザード!』

 

 それは、歴代赤龍帝の残留思念の中でも怨念に囚われていない例外、女性赤龍帝最強のエルシャと、男性赤龍帝最強ベルザート…そして、歴代白龍皇の中の一人であった。

 

『…お前も力を貸してくれるのか?』

 

『ええアルビオン、彼は面白い。彼ならばきっと新たなる二天龍の新しい可能性へ導いてくれる…僕らの呪いを打ち祓ってね』

 

 エルシャとベルザードとそして白龍皇の一人の力が加わり、ドライグとアルビオンは歴代の怨念の中に進入し始めた…その時!

 

『…な…何だこの光は?』

 

『この安らぎに満ちた光は一体?』

 

『歴代赤龍帝と白龍皇の怨念がどんどんと薄まっていくわ!』

 

『これならいけるよ!』

 

 ★☆★

 

 歴代赤龍帝と白龍皇の怨念を必死に祓っていた私―――兵藤一誠は、小宇宙を燃焼させている途中、自らの中にある暖かな光に気付いた。

 この光は……そうだ、これはあの時の光だ。

 

「これは、アテナの楯から発せられた光…。アテナ神殿で星矢によって浴びせられた光が…私の魂の中にまだ残っていたというのか!?」

 

 アテナの楯の光が、私の小宇宙に同調し始めている。

 私が自害したあの時、貴女は本当の私が正義である事を認めてくれた。

 冥王の尖兵を装っていた時も貴女は私たちの苦しみを解ってくれた。

 そして今、苦境に立たされている私に、その御力を御貸し頂けるとは…。

 

「ならば、それに応えましょう。今の私は兵藤一誠!しかし、アテナの黄金聖闘士【双子座(ジェミニ)】のサガでもある。二度と私の心は邪悪なるモノに負けはしない!迸れ!我が小宇宙よ!!」

 

 究極にまで高めた私の小宇宙は、アテナの楯の光を増幅させそれを解放した。

 

『何だこの光は!?』

 

『我らの怨念が薄まっていく!?』

 

「さあ、先達たちよ!我が女神アテナの正義の光を浴び、怨念を晴らせ!そして見届けよ、この光と共に私が歩む希望と夢に溢れた輝ける未来を!!」

 

『未来?希望と夢?』

 

『破壊しか出来なかった我ら白龍皇と赤龍帝が希望と夢を持って進む道?』

 

 ああそうだ。

 星矢たちはどんな時でも希望を捨てなかった。

 夢を不可能ごととして諦めず、信じて貫いたからこそ、遥かに格上の実力を持つ悪の人格わたしの野望を打ち砕いた。

 

『相棒!』

 

『一誠!』

 

 ドライグとアルビオンが歴代たちの意識の壁を抜け、私の下に辿り着いた様だ。

 

『この光は相棒が放っているのか?』

 

『これによって彼らの力が弱まったお陰で私たちはお前の下に来る事が出来た』

 

『歴代たちの怨念が浄化されている…これが、兵藤一誠の前世の世界の戦女神アテナの力?』

 

『…アルビオンとドライグが神器に封じられて以降、晴れる事なかった白龍皇と赤龍帝の怨念を浄化するなんて……彼の前世の世界のアテナは間違いなく、この世界のどの神話の神々よりも偉大な力を持っている』

 

『……凄い…』

 

 ドライグとアルビオンのそばにいる三人も歴代の赤龍帝と白龍皇なのか?

 どうやら此方の味方のようだな。

 丁度いい。

 彼らにも手を貸してもらおう。

 

「ドライグ、アルビオン、そして先輩方、手を貸して貰いたい」

 

 如何にアテナの楯の光とはいえ、私の小宇宙だけでの増幅では、歴代たちの怨念を完全に浄化できない。

 

『なるほど、俺とエルシャ、ベルザードの倍加をお前に譲渡して、アルビオン達が、奴らの怨念を半減させるんだな』

 

「そうだ。今の彼らはこの光によって抑えられているが、彼らが全員で倍加と半減を使って来られれば流石に不味い」

 

『解った。いくぞ』

 

『OK!アルビオン』

 

『『Divide!』』

 

 アルビオン達の半減により、歴代たちの怨念が一瞬半分になる。

 

『『『Boost!』』』

『『『Transfer!!』』

 

 ドライグと先輩赤龍帝2人の倍加された力を譲渡してもらい、私は更なる小宇宙を燃やす。

 それに比例して、私が放つアテナの楯の光が歴代赤龍帝と白龍皇たちを完全に包み込んだ。

 

『き…消える…我らの怨念が…憎悪が…』

 

『我らは何故、あそこまで憎しみを止められなかったのだ』

 

『今なら解る。我らは力に溺れていたからこそ、怨念と憎悪に塗れていたのだと…』

 

『…礼を言うぞ。兵藤一誠』

 

『見届けさせて貰うぞ。先ほど君が言った希望と夢に光り輝く未来への道を…』

 

 そう言うと歴代たちはそれぞれの神器の深奥に戻っていった。

 何とか上手くいったか。

 本来のアテナの楯の光ならば、わざわざ倍加や半減などを使わずとも彼らの怨念を浄化できただろうが……私の中に残っていたあの僅かな光では、上手くいくがどうかは賭けだったのだが…。

 

『済まないな相棒。俺たちの過去が原因で…』

 

『私たちも彼らの怨念を甘く見ていた。もっと早くに対処すべきだった』

 

「いや、何れ向き合わなければならない問題だった。それが早まっただけだ」

 

 それにしても、実に危なかった。

 前世で力に溺れる愚かさを身をもって経験していなければ、私は間違いなく彼らの怨念に飲み込まれ、彼らを同じ轍を踏んだだろう。

 

『見事だったわ、現赤龍帝にして現白龍皇の坊や』

 

 先輩赤龍帝の一人が話しかけてきた。

 

『相棒。彼女は名前エルシャ。歴代でも屈指の強さを持っていた赤龍帝だ。女性赤龍帝の中では一番強い。そして、もう一人がベルザード。エルシャ同様歴代屈指で、男性赤龍帝最強だ。この2人のみ、他の歴代赤龍帝と違い、残留思念が怨念に染まらなかった』

 

 成る程。

 確かに、この2人は先ほどの歴代たちと別格だと感じられる。

 

『私とベルザードは赤龍帝と白龍皇を同時に継いだ貴方を興味深く見ていたわ。相反する二つの力を使いこなし、強大な力を持っても決して驕る事なく、あの【無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)】オーフィスと友情を築いた貴方ならば、私達二天龍の運命を変えられると…ね』

 

 少し買い被っているな。

 私は力に溺れた者の末路を身を持って経験しているから、堕ちなかっただけなのだが…。

 

『貴方という存在はそれほどイレギュラーなのよ。だから、私達はもう逝く事にするわ』

 

 逝く?

 ま……まさか!?

 

「貴女がたは、私の歩む未来を見届けないのですか?」

 

『ええ。私たちは他の歴代赤龍帝と違って、怨念に縛れてはいない。私達はとうに死んでいるのよ。貴方の様に生まれ変わったわけではなく、未練がましく残留思念という形で…。怨念に塗れた【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】とそれに宿ったドライグのことが気がかりだったから…。それに貴方には私たちの助けなんて要らないでしょう。さっきも私達の助力は微々たるモノ、貴方にはドライグとアルビオンがいれば十分でしょう』

 

 エルシャ殿の言葉にベルザード殿と白龍皇も頷いた。

 確かに、時間は掛かるがアテナの楯の光で、歴代の怨念は弱まっていたのでドライグとアルビオンの力のみで彼らを浄化するのは可能だった。

 しかし、エルシャ殿たちの協力で短時間で済んだのは確かなのだ。

 

『魂とも呼べない記憶の断片のみの私達は不自然な存在…。だから消えるわ。他の歴代たちに見本を見せないとね。彼らも貴方の希望を確信すれば、きっと私達と同じ選択をするだろうから…ね』

 

『……さらば…だ、ドライグ…兵藤…一誠…』

 

『赤龍帝の未来は貴方に託すわ!坊やの事を頼んだわよドライグ』

 

 そう言うとエルシャ殿とベルザード殿は光の粒となって消え去った。

 

『ああ。相棒と他の歴代の事は任せろ』

 

 2人が消え去った後、白龍皇が私の肩を叩いた。

 

『僕はもう少し君を見せてもらうよ。他の白龍皇たちを纏めなければならないし…ね』

 

 そう言い残し、【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】の深奥へ戻っていった。

 

『さあ一誠。目を覚ませ。外ではお前の両親が心配している』

 

 そうだな。

 今回の事で、父さんと母さんに辛い思いをさせてしまった。

 早く、目覚めて安心させなければ…。

 

 ★☆★

 

 熱が下がり目を覚ましたイッセーを徹夜で看病していた母親は号泣しながら抱きしめた。

 神社に御百度参りをしていた父親も知らせを聞いて駆けつけ、やはり号泣しながら妻とイッセーを抱きしめた。

 教会でお祈りしていたイリナは、イッセーが助かったのを知ると安心したのか、父親に持たれかかって眠り始めた。

 結局、原因は解らず仕舞いだったが、よくある子供の発熱が思いの他、重篤になったという事で纏められる事となった。

 

 

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