異世界に転生した双子座 -Twin Dragon Saga- 作:神鳥ガルーダ
私―――天国信家は大学を卒業した、現在我が家の別荘の一つで休暇を楽しんでいた。
来月4月から晴れて正式に社会人としての一歩を踏み出すのだ。
最も私は中学生の頃から家業に加わっていたから、ようやく社会人になった…などという感慨などないがな。
まだ10代前半で会社経営に携わる私を家族は天才と持て囃すが、前世の記憶を持っているという所謂『チート』というモノなので自慢にもならんのだがな。
これでも二百三十年の間、
組織を束ねる事には慣れているし、普通の寿命を超える長寿でもあったので、人生経験は尋常ではないのだ。
会社経営といえどもその経験を活かして応用すれば、何とでもなる。
それにアテナに比べれば大した事はない。
アテナこと城戸沙織様は、育ての親である城戸光政翁が亡くなり、弱冠9歳でアジア最大と言われるグラード財団の総帥の地位に就き、翁が残した優秀なスタッフに支えられていたとはいえ、それを維持し続けたと聞く。
しかも彼女は女神の権能に目覚めていない状態でだ。
グラード財団は、大東亜戦争後に城戸光政が一代で築き上げた財団だ。
人材は揃っていたものの、核である城戸光政を喪えば、その地位を奪わんと他の企業が攻撃を仕掛けてきたはずだ。
それを9歳の小娘が対応し、防いでみせたのだ。
グラード財団を奪いとれると思っていた輩どもは戦慄したに違いない。
さて、少し話がそれてしまったが、私がそんなに早く会社経営に携わったのは、少しでも早く、環境を整えたかったからだ。
サガが私同様、転生した事を知り、他の聖闘士たちも転生してきている可能性は否定できない。
その多くは、「サガの乱」で死んだ聖闘士たちの可能性が高い。
いかに
例えそれが、私個人の感傷によるエゴだとしても……。
無論、元凶の一人であるサガも協力させたが……確かに彼らは私たち同様、この世界に転生していた。
しかし、私たち黄金聖闘士たちの転生とは少し違っていた。
私もサガも、生まれた時から前世の記憶と小宇宙を持っていたが、彼らは忘れていて普通の一般人として過ごしていた。
しかし、私かサガら黄金聖闘士の転生者と出会った瞬間、もしくは生命の危機に瀕した時、彼らは記憶と小宇宙を取り戻すのだ。
拍子抜けするほど、あっさりと彼らと出会う事が出来た事に、何らかの作為を感じてしまうのは気のせいなのだろうか?
何か大いなる存在の掌の中で弄ばれているのではないか?
そんな疑問も湧くが、考えても結論が出ないのでその事は置いておく事にした。
まあ、その過程で聖闘士の転生者とは関係のない―――所謂「訳あり」の者もたくさん保護する事になった。
とくにサガなどは、二天龍という存在故か、多くのドラゴンたちと接触し、その傘下に収めていった。
特に六代龍王と呼ばれる【
やはり、アーレスと私を暗殺して成り代わったとはいえ、13年間それなりに聖域を維持した能力は、教皇の地位に相応しい能力といえよう。
もし、彼奴が魂の相克に苛まれていなければ、私はアイオロスではなく彼を次期教皇に指名しただろう。
そうならなかったのが実に惜しいな。
転生し私の麾下に収まった聖闘士たちは……。
非正規聖闘士
ギルティ
サントール座のバベル
ペルセウス座のアルゴル
ケルベロス座のダンテ
ヘラクレス座のアルゲティ
ケフェウス座のアルビオレ
そして…我が前世の弟、
【
【琴座】曰く、
「僕はサガの乱で死んだわけではなく、
との事だったので、【琴座】の意思を尊重する事にした。
あと私とサガ以外の黄金聖闘士も2名その存在を把握しているが、我らに敬意を払ってはいるものの今のところは自由にしている。
まあ、現在もサガとはそれなりの付き合いがあるようだが…。
あいつら…生まれ変わってから何があったんだ?
★☆★
「…兄上」
別荘の自室で読書していたら、弟アーレスが転生した
「兄上に頼まれた通り、連中を連れてきたぞ」
「すまんなアーレス」
前世の弟とはいえ、現世では教職に就いている年上のアーレスに兄と呼ばれるのも奇妙だな。
アーレスを伴い応接室に向かうと、私が呼んだ11名が待っていた。
彼らは私の傘下に加わった転生者たちだ。
「さて、お前たちを呼んだのは他でもない。ここ最近だが、超常の世界が少しきな臭くなってきた」
サガから聞いたのだが、かつて悪魔たちが治める冥界の現政権に敗れた旧魔王派たちが、サガが保護している神々をも含めた中でも最強と謳われる【
サガと友誼を結んだ為、オーフィスは旧魔王派たちに協力する約束を反故にしたので、彼らは再び水面下に潜んでいたのだが、また活動を開始したらしい。
各勢力の不平分子たちと合流し新たなる組織を結成しているという情報だ。
どうやらオーフィスに代わる新しい後ろ盾を得た様だ。
「そこでというわけではないが、お前たちはアーレスと共にサガの下に出向し、有事に備えるのだ」
二天龍という立場故に、サガは間違いなくこの騒動に巻き込まれる。
何より魔王派の連中は自分たちからオーフィスの協力を失わせた赤龍帝に対し、深い恨みを持っている。
現在、赤龍帝と白龍皇は存在自体は各勢力に確認されているが、その正体は明らかにされていない。
まさか今代の二天龍が一人の人間に宿っているなど、赤龍帝の正体が
「この任務を持って、前世のお前たちが犯した過ちの償いとせよ!」
実は私には天国信家として転生してから得た能力は
転生者限定ではあるものの、対象者の魂に記憶された前世の人生を読み取る事ができる。
故に私が保護した聖闘士たちがどのような最期を迎えたか、知ることができるのだ。
アーレスに連れられた者たちは、一人を除き聖闘士として問題行動を起こした者たちだ。
【猟犬座】は、人の心が読める能力―――読心術を使える。
そしてアーレスに成り澄ましたサガに気付きながら、保身の為に言いなりになっていた。
無論、サガも読心術が使える【猟犬座】を警戒しており、隙を見て何らかの対処をしようと考えていたので、無闇に反抗して、無駄死にをするのは愚か者のする事だろう。
しかし、こいつは何か対抗策を練る事もなく、流されるままにサガに従っていた。
うまく立ち回れば、ある程度犠牲を抑える事がこの男にはできた筈なのだ。
【烏座】と【矢座】の二人は、ともにアテナに対し危害を加えようとした。
【烏座】は沙織様の拉致を命じられただけにも関わらず、あの御方を殺そうとした事、そもそもあの御方の小宇宙を感じていながら、本物のアテナである事に気付かない事自体問題だ。
共にいたという【
【矢座】は沙織様がアテナの名を語る不届き者であると信じ、本物であるとは思いもよらなかっただろうから、情状酌量の余地はあるが、それでもアテナを殺しかけたのは事実だ。
以上3名の罪はまだ軽い方だ。
質が悪いのが【巨犬座】【銀蝿座】【ヘラクレス座】の3名だ。
サガから見れば、アイオロスの弟であるが故に裏切る可能性のあるアイオリアの監視の為に送り込まれて、アイオリアの代わりにミスティやモーゼスたちの仇を討ちたかったというのは良い。
しかし、聖衣を纏った白銀聖闘士が本来格下であり、聖衣を纏っておらず、しかも怪我人である青銅聖闘士相手に3人で嬲殺そうとするなど、正義の行うべき聖闘士にあるまじき行為だ。
もっと質が悪いのが、シャカの弟子である【孔雀座】と【蓮座】だ。
サガの命を受け、カノン島で療養中の【
彼女が無事だったのは、実はシャカが救助したからだ。
流石にシャカも弟子の暴挙を看過しなかったのだ。
【鳳凰星座】討伐という任務の途中だから、その場では黙っていたが、帰還した後に二人に制裁を加えるつもりだったらしいからな。
確かにシャカは敵に対しては慈悲など余り掛けないが、無益な殺生は絶対にしない男だからな。
「それで教皇…私は何用で呼ばれたのですか?」
彼らに出発の準備をするよう命じ退室させた後、【ケフェウス座】が訊ねてきた。
【ケフェウス座】は聖域に不審を抱いていた故、中立の立場をとっていたが、サガはそんな彼に【
最も彼は白銀聖闘士ながら黄金聖闘士に匹敵する実力を持っており、ミロを苦戦させたらしいのだが、【
「お前には問題はないが、お前の弟子が問題だ」
ミロは【ケフェウス座】と共に数多くの弟子も一緒に誅殺したらしいが、その中で3名は生き残っていた。
そのうちの二人、レダとスピカとやらは、サガの怒りを鎮める為に、兄弟弟子の【アンドロメダ座】瞬を殺そうとした。
しかしその真意は瞬が自分たちを敗り聖衣を継承した事に対する逆恨みに過ぎなかった。
【ケフェウス座】の弟子たちも転生しているので、彼奴等の更生は師である彼に任せる。
「彼奴等は正規の聖闘士ではないので、師であるお前が責任を持って、性根を叩き直せ」
「…御意!」
本来ならば【孔雀座】と【蓮座】もシャカに任せるべきなのだが、まだシャカは見つかっていないからやむを得ない。
【ケフェウス座】も退室し、部屋には私と弟の二人のみとなった。
アーレスは白銀聖闘士で教皇シオンを補佐していたというのがアニメ公式設定なので、教皇補佐である祭壇座にしました。
原作とアニメ版との呼び名の違い。
白鯨座 ホエール→カイトス
ケンタウロス座→サントール座
サトリ法→読心術
銀蝿座のディオ→ディオス
ケフェウス座のダイダロス→アルビオレ
現在、存在していない星座
ケルベロス座
蜘蛛座
最初から存在していない星座
蓮座
シオンの真能力。
元ネタはLC冥王神話のシオンが聖衣の記憶を読み取れるという能力から。
アニメ54話、55話で登場したオリジナルキャラクター、エレーネをシャカが救ったというのは、この物語での設定です。
放映時はシャカは敵役だったので、非常な面が強調されていましたが、黄金魂においては敵だったバルドルに対し、慈悲深い行動をとっていたので、こういう設定にしました。
次回後編は、アーレスに関する話です。