短くはありますが、どうぞ御笑覧あれ。
ラカンのオアシスから出発したカモだったが、グラニクスへの道の途中で立ち往生していた。
「邪魔だなぁ…これ」
目の前には3m程の岩。左右は崖であり、どうやら上のほうが崩れたようで道を塞いでしまっていた。
「回り道すると今日中に街に着けねぇな。……仕方ねぇ」
岩に近づき前足でトン、と軽く突く。すると岩はボンッ!、と爆発し小石程度の大きさに砕け散ってしまった。
最終試験でカモがほぼ無傷だったのは、この技のおかげである。
『爆砕点穴』
本来、土木作業で岩石・岩盤・地面などの破砕作業をするための技だが、カモは分身を出す際の煙に紛れて爆砕点穴(威力・小)で穴を掘って地面に隠れつつラカンの足元まで移動。
分身の目を通して隙を伺っていたのだ。
ちなみに、螺旋掌によるクレーターがあと数cm深かったらオコジョ風ミートソース的な事になっていた。
岩を片付け、その日の昼にはグラニクスへ到着。これからの活動に必要な物を揃えるため、カモは人混みの中へ紛れ込んで行く。
「まずは活動資金の調達からだな」
~~オコジョ行動中~~
刺青巨漢スキンヘッド・トサカ頭チンピラ・褐色眼鏡ノッポ・小太りマフラー・怒髪黒マント・角刈りグラサンの集団から愛の募金活動(本人の了解なし)を行い懐が潤ったカモは、幾つかの店を回り買った物を腹に付けた袋に詰め込んでいく。
『魔法の小袋』
ラカンから貰った合格祝いの品で、総収納重量2t・収納物に保存魔法が自動で掛かる保存機能・どこにでも付けられるマジックテープ機能・使用者の身体のサイズに合わせて袋の大きさを変えられる伸縮機能などなど、多数の機能が詰め込まれた割と高級な魔法具である。(類似品に『勇者の道具袋』や『狩猟者の道具箱』などもある)
「大体こんな所か…………ッ!!」
満足そうにしていたカモが急に辺りを忙しなく見回し始める。
「感じる、感じるぞ。……この感覚、近くに一人いる!!」
標的を定め走り出すカモ。徐々に速度を増し、常人には影も捉えられないほど加速して行く。やがて一人の女性を捕捉する。その女性を見た瞬間。
「 悪 魔 眼 鏡 っ 娘 キターーーー!!!」
額に一番・三番と書かれた分身を二匹出し、縦一列に並んで大興奮しながら突撃するカモ。
「秘技・無音脱がし術、ジェットストリームアタック!!!」
この秘技を学んだ時、無音脱がし術はカモの理想の技だったが体格の問題でどうしてもタイムラグが発生してしまう、という欠点が発覚した。一度は妥協すべきか悩み続けたカモだったが、唐突に閃いた「手が足りないなら増やせばいいじゃない」的結論でこの連係技を完成させた。
一番の分身が障害であるスカートを捲り上げ背中にメッセージカードを貼り、本体のカモが無音脱がし術でパンツを脱がし即小袋にしまい、三番の分身がスカートが降りる前に先ほど買ったオコジョでも使える超小型カメラで絶景を撮影し、被害者の女性に気付かれること無く猛スピードで離脱していく。
初の盗みが成功し調子に乗ったカモは、そのまま次の獲物に向かって去っていった。
被害者その1 司会娘の場合
大勢の人混みの中、露店を冷やかして回っている眼鏡をかけた褐色の肌の魔族の女性が一人。
彼女は普段、自由交易都市グラニクスの有力者であるドルネゴスが経営している拳闘場で、審判兼実況担当として働いている。
今日は久しぶりの休日である為、仕事着である露出度の高い水着の様な服ではなく、タ-トルネックのセーターにスカートという格好をし、散歩しながらウィンドウショッピングを楽しんでいた。
(今日の露店はアタリの店が多いわねぇ。……あっ!あのブレスレットいいなぁ。あっちの指輪とピアスのセットもいいなぁ。迷う、迷うわぁ)
あっちへフラフラ、こっちへフラフラと歩いて行く。その時、突然彼女のスカートが強風にでも煽られたかの様に捲れ上がる。
(えっ!?ちょ、まっ!?)
慌ててスカートを押さえながらも、疑問に思う彼女。
(今、風なんて吹いてなかったよね?…う~ん?何か気分も削がれちゃったし、今日はもう帰ろっかなぁ)
ウィンドウショッピングをやめ、スカートを直しながら自宅へ帰る彼女。
その一部始終を見ていた人物がいた。
露店の店主である。
彼は、獣人の中でもかなり目が良い種族であり、目の前で起こった事が全て鮮明に見えていた。
若く美人な女性のスカ-トが捲れれば思わず視線を向けてしまうのは男のサガ。店主も例外なく目を向ける。だが、店主は思わず自分の目を疑った。
引き締まったふともも、丸く形の良いお尻。ここまではいい。スカートが捲れれば普通に見える物だし、むしろ眼福モノだ。問題なのはここからだ。
無かったのだ。
こちらに背を向けスカートを直しながら去っていく女性。店主はその背中に何かが貼られているのに気付いた。
【 貴女のお宝 確かに頂きやした。 by怪盗K 】
そのメッセージカードを見て店主は驚愕した。
動き続ける相手に気取られる事なく、パンツを脱がせ持ち去るという絶技に。
女性は気にしていないのではなく、気付いていないのだという事に。
目を瞑れば先ほどの出来事が脳裏に焼き付いている。店主はかなりだらしない顔をしながら、
(イイモノ拝ませて貰いましたっ!ありがとうございますっ!!)
と怪盗Kなる人物に感謝と畏敬の念を送るのだった。
そして自宅へ帰った彼女は、自分がノーパン状態で街をうろついていた事に気付き、混乱と羞恥で部屋の中を転げ回り、その衝撃で剥がれ落ちたカ-ドを見た後、全力で床に叩きつけ怒りに燃えたのは当然の話である。
野良犬は思いました。
毎日投稿や一週間投稿してる作者さん達 マ ジ ス ゲ エ
文字数4000以上とか書く作者さん達 テ ラ ス ゲ エ
どうやって書いてんだろ?