年が明けてからはひたすら仕事と艦これの日々。たまにアニメチェックしたりV2ガンダムを青く塗ったりしてました。カムイかわいいよカムイ。
それではお待たせいたしました。楽しんでいただけたら幸いです。
さて、夏休みが終わって2学期が始まり、わたしの生活はすこしばかり様変わりした。
まずは学業。IS研究所内では日本語が公用語だが、ソロモン諸島自体は英語が公用語だ。ゆえに英会話を完璧にマスターするべくノエルさんから送られてくる課題をこなす日々が始まった。
とはいえもともと学校の授業で初歩的な、中学英語の予習みたいなことはやってたし、そもそもわたし自身前世からの繰り越し分があるので実はそこまで苦労はしていない。おかんの影響でドイツ語は習得してたこともあって、別言語の習得もそんなに敷居高くないのだ、心理的に。
そんな風に学業に比重を傾けると、当然ながらスポーツの方はおざなりになる。
よってバスケ部の練習には出てるけど、試合関係からはすっぱりと手を引いて出場しなくなった。
「ら、なんか「潰し屋雪菜が引退した!?」って噂になってるでござる。どゆことよ?」
「そりゃまあ、あんたこの近辺のバスケ関係者の間じゃそれなりに有名人だし。それが試合に出てこなくなったんだから話題になって当然じゃない?」
「いや、そこじゃなくて。『潰し屋』なんていう物騒なあだ名のほうに疑問が。いつの間に付いたのさこれ。『葛城小の豆タンク』とか『ちび戦車』とか言われてんのは知ってるけど」
「あー……」
「それは……」
なんか知ってんな? きりきり吐けやこら。
「去年の2学期の試合覚えてる?」
「ほら、あんたにしつこくダブルチームかけてきたアレ」
「あーあーあー、覚えてる覚えてる。ウザかったけどちょっと面白かったな」
当時はドリブルで相手ディフェンスを華麗に抜き去るのにハマってたんだよなぁ。
「で、あの試合でマークに付いた2人をさんざんに振り回してスタミナ切れに追い込んだでしょ」
「パスとかフェイントとか、なんかいろいろやってたよね」
「アレはアレでいろんなやり方試せて楽しかったな!」
どーも相手さん、わたしがドリブルで吶喊するしか能の無いワンマンフォワードだと思ってたくさい。んなことねーのに。
「それで最終的には相手チームみんなバテバテで、整列して挨拶するのもまともにできなくなるくらいへとへとになるまで追い込んだでしょ?」
「いつのまにかラン&ガンみたいなことになってたなー」
結局あれ以降、うちのチームの基本戦術はラン&ガンである。さすがに最初から最後までフル出場で走り回り続けられるのはわたしだけだけど、他のメンバーも小学生離れしたスタミナ持ってるんだよなー。て、ちょいたんま。
「あー、もしかして?」
「うん、あの試合が原因でバスケが嫌になっちゃった子がいたらしくて」
「やめちゃったと」
「そのとおりよ」
これは潰し屋言われるかなあ。
「で、わたしに気を使って秘密にしてた?」
「「うん」」
その気遣いはありがたく受け取っておこう、ということでこの話はしゅーりょー。さ、テキストの続きやるべ。
と、この場はこれで終わったのだけど。後日別のチームの友達から「お前ほんとにバスケやめるの!?」と連絡が入ってきた。この件、意外にあちこちで話題になってるみたいなのでうわさ話の鎮火と勉強三昧で溜まったストレスの発散もかねてちょっとしたバスケイベントを開催することに。
まあイベントといってもたいしたものじゃない。市民体育館を借りて知り合いのチームに招待状出してみんなでひたすらバスケしよーぜ! という、それだけのものだ。カテゴリ分けするなら交流会というやつだろうか? ちがうかもしれん。
顧問の篠塚先生(40代女性:学年主任兼務)を始めとして色んな人の手を借りてどうにかこうにか手筈を整え、開催決行。さいわい、当日は参加チームにも恵まれた。
慧心学園初等部女子バスケットボール部が参加表明してきたときにはたまげたけどな!
後年、転生で色んな世界を渡り歩いてる人と知り合いになった時に聞いた話によると。この世界、基幹設定はインフィニット・ストラトスだけれど、矛盾を起こさない範囲で他の作品世界も混入してるのだとか。主に日常系萌え4コマ作品とかスポーツ物とか。割とよくある話らしい。
その人の実体験の中にはクロサギと闇金ウシジマくんとナニワ金融道が混ざってたはずなのに気がついたらガンスリンガーガールとコッペリオンとシュピーゲルシリーズが混ざった世界に変質していった例とかもあったらしい。なにそれこわい。
ま、このときはまさかの展開にびっくりしたけど、改めて考えてみればバスケしに来たんだから一緒にバスケやればいいだけの話じゃん? という結論に至って普通に迎え入れてたけどなー。
交流会そのものはおおむね成功だったといえる。午前中はてきとーに組み合わせ決めて試合して、お昼ご飯食べたらチームメンバーをシャッフルして試合してみた。すげえ勢いでぐだぐだになってちょお笑った。でもまあ、参加してた連中も普段一緒に居るチームメイト以外と組んでバスケすることに何かしら得るものがあったようでよかったよかった。
まあ、お昼のときにちょっとトラブったけどな。
お昼は各自用意してくるように伝えていたけど、念のためこっちでも用意してた。朝4時起きしてひたすら握って揚げたおにぎりとから揚げの山だけど。あと麦茶とスポーツドリンク、およびグレープフルーツとりんごとオレンジの果汁100%ジュース。それらをでん、と置いて好きに食え、と。男子もいたから全部片付くだろうと思ってた。
そしたら「うちの子はおにぎりはツナマヨしか食べないんです! 招待した側なのに用意してないなんてどういうつもりなんですか!」とか言い出したおばさんがひとり。しらんがな。肝心の娘さんの方は「やめてやめておかーさんやめて」と涙目になってました。そういや最近お母様方のモンペ率が上がってるとか篠塚先生愚痴ってたなぁ……。
まあそんなトラブルもあったけど、交流会はとりあえずは成功と言っていいだろう。そろそろ撤収すんべー、と思ってたら慧心の子から話しかけられた。
「あの、わたしと勝負、しませんか?」
主人公の子だったでござる。たしか……港、じゃないや湊さん。ちゃん付けでいいか。なんか1on1でやりたいそうなので最後の締めに勝負することに。とりあえず10本先取ルールで。
結果は10-8。わたしの負けである。床にへたり込んで酸素スプレー口に当て、ぜーぜー言ってた湊ちゃんとまたバスケしようと約束し、メルアドを交換した所でタイムアップ。体育館の使用時間が迫ってきたのでそこで交流会終了で解散。
実に有意義なイベントでした。
*
小学生最後の大イベントといえばこれ、修学旅行である。行き先は鎌倉に2泊3日。昔は京都・奈良だったらしいのだけど、何年か前の児童がやらかしたらしくてそれ以後鎌倉が定番になったそうな。まあそんなことはともかく旅行を満喫するとしよう。
1日目はほとんど移動だけで終了。お宿のお風呂で「ショーコの乳はわたしが育てた(キリッ」とか言ったらすごい勢いでショーコに視線が集中したあと、大浴場がざわめいてみょんな雰囲気に包まれた。
ふむ。やはりここはこの空気を作った私が率先して場を動かすべきだろう。胸の高さに構えた両手をわきわきと蠢かせて一言。
「……育てようか?」
ざぱっ
「のひゃぁぁぁぁぁっ!?」
冷水! 冷水はまずい!?
「なにあほなこと言ってんのよ」
おおう、香奈ちゃんマジクール……。
その冷たい視線にちょっとビビリはいったので素直におふざけをやめる。でもかなーんも結構あるほうだよね? うちら3人の中じゃわたしが一番背丈も乳サイズも小さいんだが? ああ、規格外と比べちゃって自分を過小評価しちゃってるんですねわかります。
そんなふうにほっこりした視線を向けてたら人を殺せそうな勢いでやぶ睨んできたのでそそくさと体を洗い流して湯に浸かる。
「ああそうだ」
洗い終えてとなりに浸かってきたかなーんに対して、コレだけは言っておかねばと思い口を開く。
「尻も素敵だよ?」
づどんっ
「ごげぱっ!?」
鼻にっ! 鼻にお湯がっ!?
「なにを騒いでいるのあなたたちっ!」
「「「「「「騒いでいるのは雪菜ちゃんだけで~す」」」」」」
うらぎられたっ!?
その後、篠塚先生に正座で説教くらったのはいうまでもない。
おのれー。
*
2日目。
この日は午前中は学校が決めた観光名所を回り、午後から班ごとに分かれて自由行動だった。駆け足ながらふたつみっつ見学して回った後、鎌倉大仏さまの前で一旦解散、各自あちこち見て回るというところでショーコが不調を訴えた。
「……おなかいたい……」
見れば足を伝う赤い滴。ソッコで近場のトイレ借りておかんに持たされてる『女の子の必需品入れ』からアレコレ取り出して処置を済ませて先生の所へ。途中、香奈に残りの班員(男子3人)を連れて近くの土産物屋に連れてくように道順書いたメモを渡して指示。あの武器屋に行かせとけばおとなしくなるだろ。それでも騒ぐようだったら鉄拳制裁もやむなしと許可を出しておく。
で、担任の有田先生と保健の増川先生んところに行ってかくかくしかじか。このタイミングで初潮とか間が悪かったねー、とショーコを慰める。
「それにしてもよく対処できたわね、シュネーラインさん。えらいわ」
「まあ、わたし自身もう2年になりますし。慣れました」
最初んときにはマジパニックになりました。根気強く落ち着かせてくれたばあちゃんありがとう。
「えっ?」
「?」 「有田先生?」
「シュネーラインさんって……生理、来てたの?」
「……有田先生っ!!」
はい、増川先生の説教入りましたー。
いや、わたしの普段の言動が山猿だからってソレは無いんじゃないかな有田せんせー。そんなふーにいらんひとこと言っちゃうから一部から嫌われてるんだよあんた。この迂闊さがあるから卒業後の進路について話が出来ないんだよなぁ……。今現在、私が卒業後に渡航することを知ってる教師は校長先生と教頭先生、学年主任の篠塚先生と保健室の増川先生の4人だけなのである。
で、先生方に送ってもらってお宿に。増川先生に貰った痛み止めを飲ませてショーコを布団に寝かせ、わたしはその隣で持ってきた文庫本を開く。鏡の国のアリスの原語版である。これがけっこう英語の勉強に役立つのだ。もともと、ルイス=キャロルが子どもに語り聞かせた即興のお話がベースになってるから難しい単語や構文は無いし、韻を踏んだ言い回しなんかが読んでて楽しい。
そうしてもくもくと読み進めてるともぞもぞと布団がうごめいてショーコがこっちを向いた。寝入ってはいなかったらしい。
「ごめんね雪菜ちゃん」
「んー、なにが?」
「えっとその、せっかくの修学旅行なのにあたしこんなんなっちゃったし」
「まあ、間が悪いなあとは思ったどね。でも、おめでたいことなんだから気に病まなくていーよ。帰ったらお赤飯炊いたげる。楽しみにしてて」
「そのその、つき合わせちゃってるし」
「ショーコが一緒じゃないとわたしが楽しくないんだよ。言わせんなはずかしい」
しれっと言うとむしろショーコの方が照れたのかうつぶせになって頭から布団を被ってしまった。そのまましばらくもぞもぞしてたけどひょこ、っと顔を出してきた。
「あのね雪菜ちゃん」
「んー?」
文庫本のページを捲りながら応える。
「あたし、いやな子かも」
「どうしてまた」
「……あのね」
「うん」
「せっかくの修学旅行なのにね。こんな形になっちゃったけど、雪菜ちゃんを独り占めできて……うれしいなぁ、って思っちゃったの」
……やべ、キュンときたぞ。なにこの娘かわいい。考えてみれば香奈と同じクラスになってからはずっと3人でつるんでたなー、と思い返す。
とりあえず文庫本にしおりを挟んで置いて、ショーコの横に寝っ転がる。
そのまま、こっち向いたショーコのほっぺたを両の手のひらでむにむにとこねまわす。
「かわいいこと言ってくれるじゃんかもー」
「やぁん、や~め~て~よ~」
そのまましばらくジャレてたら、わたしの方もなんか眠くなってきた。
くぁ、と思わずあくびを漏らすとショーコもちょっと眠そうだ。
「みんなが帰ってくるまで時間あるし。寝ちゃおうか?」
「そうしよっか」
んじゃ、おやすみなさい。
「……ねちゃった?」
ちゅっ
*
さて、ちょっとしたトラブルもあったものの無事修学旅行も終わり、日々勉学に(ストレス解消の)スポーツに励む日々。クラスの男子の間ではなんか一時期木刀がブームになってたけどまあ、男子ってそんなもんだよね。修学旅行んときに行かせた某土産物屋さんのせいじゃないと思いたい。
エクスカリバーかっけぇ……とか呟いてたのは聞こえなかった。聞こえなかったかんな。
で、クリスマスにショーコと香奈に手編みの毛糸のパンツ(3人分おそろい)を贈って引っ叩かれたり、年始に3人で着物着て写真撮ったり。バレンタインに手作り友チョコをプレゼントして香奈に完勝したりしながら日々は過ぎ去り、ついに小学校を卒業した。
卒業式の日に有田先生を始めとしたほかの教師児童に私の進路を話したら本気で驚かれた。どうして話してくれなかったのと有田先生に詰め寄られたけど「だって先生口軽いじゃん」と返答したらマジで傷ついた顔してたけど……いままでの言動を省みような?
そうそう、ショーコと香奈は聖マリアンヌ女学園に進学が決まった。一般入試で合格してみせたのだ。なんだかんだ言って一緒に勉強してたのでがりがり学力が上がってったんだよなー。
そうしてわたしは一路南へ。
AE社所有のIS研究所へと旅立っていった。
それからの3年間は特に語るほどのものでもない。
ひたすら基礎訓練を繰り返し地獄を見た1年目。
今日からは応用だと言われて3色覆面やララァ師匠にしごかれてより深い地獄を見た2年目。
ようやっと一人前と認められて様々な実験や実践にかりだされては精神的にキツイ思いをしながら別ベクトルの地獄を見た3年目。
しんどいけれど楽しくもあった日々は瞬く間に過ぎ去り、15歳の冬。
いよいよ原作が始まろうとしていた。
人物事典
●湊ちゃん
ゲストキャラクター。実はクロス世界ですよということを示す記号として登場。
実は慧心学園初等部女子バスケットボール部側にも別口の転生者が居たのだが、互いに相手側の原作を詳しく知らないため特に絡むことが無かったという裏設定が。
ちなみにスラムダンクとハーレムビートともクロスしており、この時期に原作が終了、および進行している。
●篠塚先生
40代半ばの既婚女性。バスケ部顧問で学年主任。
厳しくて怖がられつつも慕われている。最近保護者からの妙なクレームが多くて頭が痛い。
元ネタはルペ=シノ
●増川先生
30代前半未婚女性。保健室の先生。
美人だが仕事にしか興味が無い。最近独身男性教師からのアプローチがウザい。
元ネタはセイラ=マス
●有田先生
20代後半未婚女性。雪菜たちの担任。
美人で気さくでおっぱいおおきい。
だが粗忽と言うか迂闊と言うか、いらん一言が多い人なので敵も味方も多くていまいち信頼しきれないタイプの先生。
元ネタはフレイ=アルスター
*
バスケ交流会のシーンでひたすら書いては消し、書いては消してました。途中で「これISだよ」と気づかなければモット時間が掛かっていたかもしれません。
ともあれ、UA5000・お気に入り160件越えたのは読んでくださっている皆様のおかげです。ありがとうございます。
次からはIS学園編。AE社IS研究所での修行編はキンクリします。書いてたらきりが無いので。