ジムスナイパーK9も作る暇がありません
でも艦これはプレイする
それでは7話、お楽しみください
ふと、喉の渇きをおぼえて目が覚める。
布団から身を起こせば、もう3年近く住んでいる2LDKの自室だった。身じろぎする気配を感じて横を見れば、あられもない格好でタオルケットに包まるミーアが横たわっていた。
――――またヤっちゃった……っ。
額に手を当てて嘆息する。彼女とこうして褥を共にするのもコレが初めてじゃない。もう4……5回目だったかな? 『失恋したミーアちゃんを慰めようの会』が開催されるたびにこうして押し倒されてはご乱行に及ぶ羽目になっている。
ことの始まりはここで生活を始めて数ヶ月経った頃。ちょうど日本では夏休みに入った頃だったか、IS学園に通っている彼女は専用機の調整などもあって研究所に泊り込んでいた。そんな中、付き合ってた彼氏に振られたとかで基礎訓練課程でぼろぼろになって休んでいたわたしのところに泣きついてきたのだ。なんぼ疲労困憊だったとはいえ、泣いてる女の子を無碍にするのはわたしの矜持が許さない。部屋に招き入れてお茶とお菓子でもてなして愚痴を聞いていたのだ。
そこに酒を持ち込んだバカがいた。
ノエルである。
少し話がそれるけど、転生して趣味嗜好が変わるというのはよくあることだろう。わたし自身、根っからのオタク系インドア派だったのがスポーツ少女へと転身を遂げているし、周囲の転生者たちも多かれ少なかれその傾向があるとのことだ。
そしてわたしの場合、もっとも趣向が変わったのがアルコールに関することだった。
前世においてはビールの350ml缶を1本飲み干しただけでべろべろに酔いつぶれ、翌日にはひどい二日酔いを引き起こしていたというのに。今生ではチートボデーの恩恵か、それともおかんから受け継いだ独逸の血がそうさせるのか、いくら呑んでも潰れるということが無かった。まさしく「ビール? 水だろ」という言葉を体現したのだ、自分自身で。
無論、酔いはする。心地よい酩酊感に包まれることはあったがそこ止まり。潰れることも、前後不覚になるほど泥酔することも無かったのだ。これはこのとき始めて自覚した。
そして、自分の酒癖についても自覚したのだ。ぶっちゃけ、酔ってるときは気が大きくなってなんにでもOK出しちゃうとか、マジヤヴァイ。 酔ったミーアが泣いてるのを「さあ、わたしの胸でお泣き」とかいって縋り付かせてあやしていたまではよかった。……そのまま発情したあいつに押し倒されても「……慰めてあげる」とかぬかしたあん時のわたしを殴り倒したい。
翌朝、朝チュン状態で正気に戻って放心していたわたしたちは互いにこの件については忘却しようと約束を交わし、こうなると見越していた元凶(ノエル)をげちょげちょになるまで殴り倒して録画機材を完膚なきまでに破壊したのだった。
後日、報復でヤツが作製した触手生物がみっしり詰まったプールに突き落とされてひどい目見たけど。気持ちよすぎて死にそうになるとか何処のエ□ゲだ。おかげでその後しばらくの間麺類を見るだけで濡れるようになって大変だったんだぞ。
ともあれ、この一件以来絶対外で酒を呑まないようにしようと心に決めたのだった。うっかり合コンなんかに参加しようモンなら、程よくへべれけになった所に土下座かまされてあれよあれよという間にホテルに連れ込まれて美味しく頂かれかねん。
そしてなにを血迷ったか、ミーアのやつはそれからも度々失恋しただのなにがしかの失敗をしただのと理由をつけてはうちにやってきてはノエルとレイコさんを巻き込んで酒盛りするようになってしまった。そして大体にゃんにゃんするハメになっていた。そのへんについて一度レイコさんに愚痴ったら「いや、お前が甘やかすからだロ?」と素で返された。げせぬ。
そんな風に過去の経緯を思い返していたら眠気も去って完全に目が覚めた。窓の外は日の出前の藍色、ちょっと早いけど朝ごはんの準備でもしとこう。どうせみんな二日酔いだろうから軽いヤツで良いよね。
その辺に放り投げられてたパンツを穿きなおしてリビングに。湿ってて気持ち悪いががまん、どうせ後でシャワー浴びるんだしそのときに着替えよう。リビングには空き瓶・空き缶に囲まれてレイコさんとノエルが寝てた。どうもヤってる最中に寝落ちしてしまったらしくノエルがタコのごとくレイコさんに絡み付いててうなされてた。ため息一つ吐いて常備してある結束バンドで手早くノエルを拘束する。なんかこういうのも上手くなってしまったなあ。
レイコさんがうなされなくなったのに満足して洗顔と歯磨き。ノエル? 背中越しに手足を海老反り姿勢で拘束したのが苦しいのかうめき声をあげ始めたけど知るか。放置だ放置。で、さっぱりしたのでキッチンでお湯を沸かす。やかんを火に掛けて、その間に昨夜の酒宴の後始末。今日はゴミの日じゃないからしばらく保管しとかないといけないなぁ。
そんなふーにがさがさやってたら他の3人も起き出してきた。
「……おはよぅ~……。あたま、いたぁい……」
「はいおはよう。そりゃあゆうべあんだけ痛飲してたら当たり前でしょ」
「あの、なんで私拘束されてるの?」
「……二日酔いにならないお前が、心底羨ましイ……」
「それもお酒の醍醐味でしょうに」
「無視された!?」
うるさいよノエル。
「コーヒーとうめぼし湯、どっちがいい」
「コーヒー。苦いノ」
「……うめぼし湯。すっぱぁいの……」
「私は「お前には聞いてない」ひどい!?」
お湯が沸いたのでキッチンへ。途中でノエルの体につま先引っ掛けて仰向けにひっくり返す。「肩が!? 腰が!?」と騒ぎ始めたけど知らん。コーヒーとうめぼし湯を淹れて持っていく。ミーアとレイコさんに手渡して、ノエル用のマグにもコーヒーを淹れてやってたので腹の上に置いてやる。
「熱っ! 熱いっ!?」
「こぼしたら火傷するから気をつけてね」
「だったらこんな所に置かないで!?」
「……ノエルうるさい……。頭に響くからやめてぇ……」
「扱いがひどい!? あ、でもちょっと気持ちよくなってきた……」
余裕があるな。もうちょっと放置してても大丈夫か。
そんな風に思いながら朝食の準備。とはいってもゆうべの酒盛りで冷蔵庫の中は空に近い。買出しに行かなきゃならない。今日が1日オフで助かった。まあ、だからゆうべ宴会やってたわけだけど。
とりあえず残ってた食パンをトースターに放り込み、フライパンに油を引いてほうれん草のおひたしが残ってたので卵でとじる。手抜きだけどさっと作れてそこそこ栄養価が高いんだ。文句は言わせん。
焼きあがったトーストに自家製マーマレードを添えて卵とじと一緒にリビングに持って行き、オレンジジュースを人数分淹れて、顔を赤らめて達しようとしていたノエルの腹の上からマグカップを取り上げて拘束を解いてやる。ちょうど良いタイミングだったみたいでまた「ひどいっ!?」って言われたけど知るか。床汚されても困るんだよ。汚したら掃除させるけど。
で、もさもさ朝飯食ってたらスタンバイ状態のPCから呼び出し音が。いつもはケータイに連絡入ってくるんだけど、今日はわたし達4人がここに集まってるからスカイプの方を使ったんだろう。とりあえず備え付けてるウェブカメラに適当な布を掛けてから回線を繋ぐ。
「おう、起きてるか雪菜。……って、映像来てないぞ?」
「おはようございます、アストナージさん。みんな起きてますよ。さすがに寝起きであられもない姿なんで映像はごかんべん」
実際、わたしはパンツいっちょの上に愛用のエプロン(ライムグリーンで胸元にハロが刺繍されてる)だし、ミーアもレイコさんもTシャツ着ただけとかワイシャツ羽織っただけとかいう格好だ。ノエルに至っては全裸だし。こんな情景アストナージさんに見せたら夫婦間に亀裂が入りかねん。せっかくの新婚さんにそれは不憫というものだ。
あ、この布ノエルのパンツだ。まあいいか。ちゃんとカメラ遮られてるみたいだし。
「ああそっか、そりゃすまん。すまんがちょいと緊急だ。テレビつけてくれ」
なんじゃらほい? と思うが緊急と言うからにはなんかあるんだろう、テレビテレビ~、とリモコン探してたらミーアがつけてくれた。
『緊急のニュースです。昨日、日本において男性のIS搭乗適性者が発見されました……』
……あー、こういうことか。
「原作、はじまっちゃうのねぇ……」
ぽつりと呟いたノエルの言葉が全てを表していた。面倒ごとになるんだろうなぁ、コレ。
そして1週間後、二人目も発見されたと報道された。
*
「それにしても、最近私に対してあたりがきつくないかしら?」
「そうカ?」
「というか、付き合いが長い人ほど私の扱いがぞんざいなような……」
「あの、今までの自分の所業を思い返してみてくださいね?」
「……初物おいじゅうございました!!」
・
・
・
「こめかみに膝ぶちこむだけでとりあえず矛を収めてくれる雪菜はかなり人間できてると思うんダ」
「あそこまで性欲に忠実じゃなければ普通に良い人なんだけどねノエルも」
*
「鹿児島から来ました、飛鳥慎です。よろしくおねがいします。趣味はモータースポーツの観戦、特技は剣道です。ISとか勉強してなかったんで、いろいろわからないんですけど機会があれば教えてください」
ぺこり、と一礼して着席。まばらに拍手が上がるけど、大半の女子は興味でらんらんと眼を輝かせたままこちらを注視している。正直生きた心地がしねー。
転生してからはや15年。鹿児島のじいちゃん家で剣術に明け暮れてたせいで、IS搭乗適性を特典として貰ってたことをすっかり忘れてた。だから、真由に連れられてISがらみのイベントに行かなければ適性が発覚せず、こんなふうにIS学園に放り込まれることも無かったんじゃないかと思う。
思うがまあ、過ぎたことはしかたがない。前向きに行こう。今は入学初日のロングホームルームの時間、TVアニメで言う第1話Aパートのシーンだ。
出席番号が本来の主人公、織斑一夏より前だったから先に自己紹介する羽目になって緊張したが、隣に座ってる銀髪の子が「趣味と特技は? あとなんか一言!」と書いたノートを見せて助け舟を出してくれたおかげで何とか無難にこなせた。
あんがとな、という意図で片手を立てて見せると向こうも気にすんな、と(いう意味だと思う)笑顔で手を振ってきた。
……かわいいなあ。こんなかわいい娘、原作に居たっけ?
そんなふうに首を傾げてると主人公の番になった。童顔巨乳の山田先生に促されて起立し、自己紹介しようとしたけど周囲のクラスメイトからの無言のプレッシャーに気おされている。わかる、わかるぞ。がんばれ!
と、心の中で応援してると、隣の銀髪ちゃんが指先で机を叩いて主人公の注意を引く。あいつの目線が向いたら、さっきも活躍したノートを見せた。思わぬ助け舟の登場にホッとした顔で「織斑一夏です。特技は家事全般、趣味は……まあ、ゲームしたり漫画読んだり? とにかく右も左も分からないけどよろしくお願いします!」と原作とは違う自己紹介で乗り切った。
「クラスメイトに助けられたな。感謝しておけ」
「げぇっ! 関羽!?」
ずぱぁん、とすごい音がした。
「誰が三国志の武将か」
「むしろ呂布だよね?」
「あー……」
隣から聞こえてきた呟きに思わず同意の声が漏れた。あ、これやべぇ。
即座に繰り出された連撃に頭を抱えて痛みをこらえるオレと銀髪ちゃん。
「誰が反骨の相か」
「そ、ソッコで反骨とか出てくるあたり……実はけっこう三国志好き……?」
「付き合いで憶える機会があっただけだ馬鹿者」
さらにもう一撃。銀髪ちゃんは完全に沈黙した。
そうして、1組担任織斑千冬先生の訓示に女子一同(一部除く)が嬌声を上げたあと早速授業が始まった。前の席の主人公・織斑一夏はIS学園から貰った参考書を間違って捨てたとかで折檻の一撃を喰らってた。オレもまあ、参考書を捨てはしなかったが、それでもこの内容を消化するのに難儀している。そんで休み時間に金髪縦ロールですわ系のセシリア=オルコットにちょろっと絡まれながらどうにかこうにか授業を乗り切って放課後である。
「……つかれた……」
「疲れたなあ……。あ、オレ飛鳥慎。改めてよろしく」
「おう、織斑一夏だ。一夏でいいぜ」
「ああ、オレもシンって呼んでくれ」
すぐに移動する気にならなくてだらだらダベってたら山田先生登場。このひと本当に癒し系だなぁ。
ともあれ、一夏が寮に強制移住だとかで部屋番号を伝えに来たそうだ。オレ? オレは実家鹿児島だから最初から寮に入ることが決定してたよ。
そんなわけで連れ立って学生寮へ。後ろからぞろぞろ女子がついてくるけど努めてシカトだシカト。気にしてたら身が持たない。
寮は2人とも1025.だよなー。男子が2人いるんだから相部屋は当たり前だよな。共同生活にあたって、シャワーの時間やらなにやら軽く打ち合わせして、とりあえず腹減ったからメシに行こうぜ、と表に出たらちょうど左右の部屋からも人が出てきた。
「い、一夏っ!?」
「おお、箒。お前隣なのか、よろしくな」
「あら薔子、雪菜」
「あ、香奈ちゃん」
「やっほー、かなーん」
「かなーん言うなっ!」
おおっと、なんか一気に騒がしく。というか面識ある同士ばかりかよ。とりあえず、ご飯食べに行くんだったら一緒に行かないか、と1024の銀髪ちゃんの提案で6人でぞろぞろと移動する。
……銀髪ちゃんの同室の子、でけえなあ。いや、胸もだけど背丈も。オレも一夏も170cm超えてるのに、ソレよりも確実に目線一つ分は高いぞ。
ともあれ、食堂に着いて各々食事の準備をして空いてたテーブルに集合、自己紹介だ。
「じゃあまずは私からね。1026号室、3組の浜田香奈よ。よろしく」
「え、ええと。同じく1026号室、1組の篠ノ之箒だ」
「じゃ、俺な。1025号室の織斑一夏、1組だ」
「オレも1組、1025号室の飛鳥慎」
「あたしは1024号室、3組の馬場薔子です」
「最後にわたしか。1024号室、1組の雪菜=シュネーライン。よろしく。呼び捨てでいいよー」
……やっぱ容姿も選考基準に入ってるだろこの学校。3人とも原作での一夏ヒロインズに負けず劣らずだぞオイ。
3組の浜田はきりっ、とした美人さんだ。末広がりのボブカットにすらりとしたスタイル。巨乳というほどではないが普通にある胸。篠ノ之箒と同系統だけど、こっちは生徒会長とかクラス委員長とかやらせたら似合うタイプか。
同じく3組の馬場は長身爆乳、山田先生にも引けを取らない胸にオレらより高い身長。それでいながら下がり眉で雰囲気的にはのんびりした大型犬、といった感じだろうか。
そして同じクラスのシュネーライン。こいつは文句無しの美少女だ。短く揃えた銀髪からはアホ毛が跳ねてて、大きなたれ目気味の瞳は光の角度によっては金色にも見える薄めのヘイゼルカラー。身長は篠ノ之に僅かに届かないくらいで、女子としては平均くらい? だけど横に居る馬場がでかいから相対的に小さく見える。胸ははっきり言って貧乳。でも服の上からでもふくらみがあるのは確認できる。
そういえばコイツは制服改造組だ。リボンタイじゃなくてネクタイ締めてるし、穿いてるのもスカートじゃなくてキュロットだ。総合的な印象は明るく元気なスポーツ少女、といったところか。
「おう、よろしくな雪菜」
「……一夏、お前すげぇなあ」
「わたし、名字呼び捨てにされるもんだと思ってたんだけど……。というか、男子には女子の名前呼び捨てってハードル高いもんだと思ってたんだけどさぁ……最近の男子ってこうなの?」
こっち見んなシュネーライン。そんなことねぇから。そして一夏は気づけ、篠ノ之が凄い目つきで睨んでることに。ああほら、浜田と馬場が苦笑してるじゃねーか。
それからはまあ、わいわいとおしゃべりしながら晩飯食ってた。香奈と雪菜(オレも全員から名前呼んでいいと許可貰った)が割と話し上手で、上手く箒にも話を振って会話に参加させてた。
彼女たち3人は小学校からの幼馴染だそうで、境遇が近い箒もわりと話に乗れてた。よかったな、原作みたいなぼっち気味なモッピーにはならなさそうだ。
で、メシ食い終わったら解散して部屋へ戻る。女子4人は大浴場に行くそうだ。オレらは交代で備え付けのシャワーだよ。羨ましいなちくしょう。
とにかく、シャワー浴びてさっぱりしたらベッドに転がって参考書を読みながら一夏とまたダベる。意外に話すことがあるもんだ。とはいえ、オレも一夏も今日一日で結構な精神的疲労を憶えている。いくらも話さないうちに睡魔がやってきてそのままばたんきゅー、だ。
明日からの学園生活も平穏無事に過ぎて欲しいもんだが、そうも行かないんだろうなぁ……。
転生者名鑑
●アストナージ=メドッソ
『開発チート』『ラーニング』『超幸運』
0080及び0083世代のガノタ
元はメカオタ系アニメーターで出渕裕とカトキハジメの大ファン
レイバーを開発・普及させ、GMのデザインをジェガンにしたのはこの人の功績
何気にAE社でもトップクラスの重要人物。最近若くて美人でエロい嫁さん貰った。もげろ
●飛鳥慎
『IS搭乗適性』『スーパーコーディネイター』『ラッキースケベ』
ガンダムSEED DESTINY世代のガノタ
割と重度の厨二病患者だったが、転生して祖父にしごかれているうちに治った
彼の祖父はスーパーコーディネイターの身体能力と学習能力を持ってしても歯が立たないほどの示現流の達人だったのだ
解説
●ミーアちゃんなんで失恋してしまうん?
『超銀河シンデレラ』で恋愛運にマイナス補正
『アルト姫』で同性からの好感度にプラス補正
相乗して録でもないことになってます
●ノエルひどくね?
彼女の性格のモデルは『実行力のある音無小鳥』
良い人ではあるんだ、良い人では。
*
雪菜はちゃんと専用機持ってます。多分次回でその辺の話が出来るはず。
何か疑問などがありましたらどうぞ