成り代わりリンクのGrandOrder   作:文月葉月

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 活動報告にて、読んで下さっている皆さん宛ての、今後執筆を続けていくための重要なお願いごとを記載しました。
 一人でも多くの方に目を通して頂くことを期待します、特にゼル伝のガチ勢や古参プレイヤーの方々には是非とも。


成り代わりリンクの封鎖終局四海(仮) 後

 居合わせた全ての者の目を眩ませる眩い光の中、辛うじて窺えた人影が、異様とも思える程に重力を感じさせない軽やかさでもって甲板へと降り立つ……と思われたその瞬間に、誰もが予想し得なかった第一射が放たれた。

 大気を裂く快音を立てながら、並の英雄ならば勝負が決まっていたであろう速さと威力を備えていた一撃に見事に反応して見せたのは、狂化しながらも流石は大英雄と言うべきか。

 剛腕で振るわれた斧剣によって弾き返され、それでもまだ勢いを殺しきれなかった矢が甲板に深々と突き刺さる。

 

 この時、ヘラクレスの心を蝕む狂気が、思いがけない形で彼の利となって働いた。

 正しい理性を備えた彼ならば、例え戦闘の只中であろうともほんの一瞬目を奪われ、感心と敬服の念を抱いていたであろう程の見事な腕前に、何の関心も覚えなければ何の反応も示さなかった。

 そのおかげで、第二第三と続いた同威力の矢の連撃に、間髪入れず対処を続けることが出来たのだから。

 

 

「流石は大英雄、最初の一発で決めるつもりだったんだけど…なっ!!」

 

 

 反撃を許すまいとする勢いで放たれる矢の雨を浴びながら、それでも機と見れば、それまで居た場所を粉砕させる威力の攻撃を放って来る。

 たった一撃当たりさえすれば、ヘラクレスとは比べようもない華奢な体は粉々になる。

 誰もが理解できる現実が、大空に向けて痩身が高々と飛び上がる度に遠ざかる。

 両翼を広げた大鷲を思わせる立派な弓を携え、鳥の羽をあしらった衣装を身に纏いながら。

 重力を全く感じさせない軽やかな動きでもって矢の雨を降らせるリンクは、正に獲物を狩る猛禽類の如くであった。

 

 

「『跳ぶ』を通り越して『飛ぶ』ような身のこなし…ありゃあ風の加護だな、相当なもんを持ってやがるぞ」

 

「しかもあれは、『力を授けてやろう』なんて類いのものではないわ。

 彼は何かしらの『空の民』達に、同胞として同じ空を飛ぶことを認められたのよ。

 独自の領域を持ち、そこに生きる者達は、まず間違いなくその世界に対して強い誇りを持っているものなのに。

 凄いわあの子、一体どこで何をしちゃったのかしら!」

 

「さすがにお前は知らんか…今度教えてやるよ。

 俺も結構、あいつの物語読んでたんだよな」

 

 

 オリオンとアルテミスのそんなやり取りを、立香は意識の隅で聞いていた。他に気を割く余裕などなかった。

 目の前で繰り広げられる凄まじい攻防。その最中に時折、かすかに過ぎる不思議な光景。

 風を纏いながらの長い滞空時間の中で、弓を引くリンクの傍で共に飛ぶ、鳥の姿を捉えることに夢中になっていたから。

 

 人と変わらぬ大きさで、翼は空を飛ぶだけでなく立派な弓をも携えて、気難しそうな顔立ちで。

 それでも、リンクを見る目には確かな信頼が宿っている。

 サーヴァントとマスターという繋がりを持つ立香だからこそ捉えることが出来た、風の加護の象徴として共に在る彼らの姿を、もしもマシュが目にすることが出来ていたなら。

 口にしていたことだろう、誇り高いリト族の戦士達の名を。

 

 

《な、な、な……何だこれはあああああっ!!!》

 

 

 死闘と呼ぶにはあまりにも華麗すぎる光景を前に、完全に目を奪われていた一同の意識が、通信の向こうから突如響いた素っ頓狂な叫び声によって戻ってきた。

 

 

「どうしたのさドクター、何かまずいことでもあった!?」

 

《ま、まずいって言うか…ねえレオナルド、測定器の故障っていう可能性は?》

 

《あり得ないよ、レイシフトを行うにあたって私を含めたスタッフ全員で徹底的に確認している。

 観念して認めるんだね、目の前のそれは紛れもない現実さ》

 

《一応足掻いてはみたけど、やっぱりかあ……立香君、マシュ、落ち着いて聞いてくれ!!

 『黄金の聖三角』が光を放った前後で、リンク君の霊基が大きく変化した!!

 このパターンは…間違いない、今の彼は『アーチャー』だ!!》

 

 

 現実をそうと認めながらも未だ受け入れがたいロマニ、息を呑みながら改めて戦場へと向き直った立香やマシュ達の前で。

 リンクは、咆哮を上げながら向かってくるヘラクレスを、不安定な虚空からの三本同時射ちという離れ技で迎え撃ってみせた。

 

 必殺の一撃を保ったまま、範囲攻撃として放たれたそれらを避けるには身を返すだけでは足りず、ヘラクレスは突撃の勢いが殺がれるのを覚悟で斧剣を振りかぶる。

 そうして生まれた隙は、リンクが改めて間合いを取る為の猶予としては十分すぎるもので。

 

 近付いてしまえば、弓兵の強みは失われる。

 当たり前の、分かり切っている筈のことだというのに。

 その為の好機を攻撃にいちいち対処するせいで幾度となく逃しているヘラクレスに、イアソンの苛立ちがついに爆発した。

 

 

「ええい、まどろっこしい!!

 いい加減にしろヘラクレス、今の貴様に半端な攻撃は効かぬのだ、狂った頭に叩き込んでおけ!!

 如何様な強弓とて気にかけることはない、構わず突っこんでさっさと」

 

 

 その続きは言葉とはならなかった。

 怒号を発するために大きく開けられた口は、その形を保ったまま硬直する。

 イアソンの沸き上がった思考を一瞬で凍りつかせたもの、それは、ヘラクレスの両目を貫通させる勢いで深々と貫いた二本の矢。

 イアソンの声に気を取られたヘラクレスが、思わず動きを止めたほんの一瞬の隙を、リンクは見逃しはしなかった。

 

 

「まず一回」

 

 

 何の感慨も、興奮も無かった淡々とした呟きが、既に穴だらけの甲板に大英雄が力なく膝をつくという光景と共に、異様な迫力をもって一同の思考に刻み込まれる。

 真っ先に声と思考を取り戻したのは、目の前の現実を色々な意味で受け入れられないイアソンだった。

 

 

「馬鹿な……こんな馬鹿な、何故だ、あり得ない!!

 Bランク以下の攻撃はヘラクレスには無効の筈だ、あの棒切れに伝説級の逸話があるとでも言うのか!?」

 

《いくら何でもそんな馬鹿な、リンク君が使っていた矢は何の変哲もないありふれた奴の筈……わかったスキルだ、『武芸の極致』!!》

 

「し、しかしドクター…リンクさんのあのスキルは、確か、どんな武器も使えるようになるというものだった筈では」

 

《それは違うよマシュ、『どんな武器も使える』というのは、リンク君がサーヴァントになる前から身につけていた彼自身の技術だからね。

 あのスキルが持つ真の効果は、『どんな武器も通じるようになる』というもの。

 リンク君は、戦う相手が何かしらの神秘による護りを持っていた場合、それを無効化することが出来るんだ!!》

 

《本来だったら、『武器の選択肢が広がるもしくは狭められない』程度の細やかな効果に留まるものなんだろうけど。

 リンク君自身の達人技と合わさることで、ある意味凶悪とも言える代物と化しているね。

 純粋な技量のみで、彼みたいな出鱈目と戦うことを強いられるというのは、随分と厳しいものがある》

 

 

 感心と戦慄が半分ずつ混ざっていそうなダ・ヴィンチの言葉に、一同はとある恐ろしい事実に思い至り、殆ど反射で背筋を竦み上がらせてしまった。

 彼が持ち得ているスキルが、戦闘能力を向上させるような類いのものでは無いと言うならば。

 ほんの一瞬、実質殆ど無かったような隙を逃さず、あのヘラクレスの両目を同時に射抜いてみせたのは、彼自身の実力以外の何物でもない。

 リンクは今、確かに、何の小細工も無い、彼自身の純粋な力量のみで、大英雄ヘラクレスと真っ向勝負で渡り合っているのだ。

 

 攻撃が通じているからと安心して気を抜くリンクではない、一度殺して終わる相手ではないことは重々承知している。

 脳を貫かれたダメージが回復し、反撃される前にと放たれた矢が、ヘラクレスの心臓を真っ直ぐに狙う。

 しかし、その鏃は心臓を貫く前の分厚い胸板で留められ、先ほどまでと比べて明らかに威力が落ちていることに気付いたリンクの眉間に皺が寄った。

 

 

「確か、死因に耐性が出来るとも言ってたな…」

 

 

 全く効かなくなったという訳ではなさそうだが、矢による攻撃はもはや決定打とはなり得ないと考えた方がいいだろう。

 戦いを見守る者達も数秒遅れてそのことに気付き、ある者は口の端を上げ、ある者は逆に強張らせ。

 それら全てを置き去りにして、ほぼ復活を果たしたヘラクレスへと、リンクは自ら間合いを詰めて飛びかかった。

 

 

「リンクさん、何を!?」

 

 

 マシュが思わず上げた絶叫が、全員の内心を代弁する。

 アーチャーの耐久力でバーサーカーの攻撃は到底耐えられない、今の今まで距離を保つように努めていたリンクがそれを把握していない筈が無いのに。

 天高く跳躍し、自身を目がけて真っ直ぐに向かってくるその身へと、ヘラクレスは斧剣を振り上げる。

 誰もが思わず、惨劇を予想してしまったその瞬間、太陽と重なったリンクの影が更なる光に塗り潰された。

 視覚が役に立たなくなった中、一同は、予想の範疇に全く無かったものを…超重量の『何か』と『何か』が真っ向から激突した、大気を重く鈍く震わせる轟音と衝撃を耳と全身で味わった。

 

 

「い、今のは一体…?」

 

「リンク!!」

 

 

 眩んだ瞳を、揺れる意識を何とか奮い立たせながら、船べりから乗り出さんばかりの勢いで戦場へと向き直る。

 そんな立香達が真っ先に目の当たりにすることとなったのは、下手をすれば三倍以上は体格差がありそうな者同士の、超重量武器による鍔迫り合い。

 小さい方がそれを制し、相対した巨体を甲板へとめり込ませた衝撃映像だった。

 

 

「ウォアアアアアアアアアッ!!!」

 

 

 反撃どころか、起き上がって体勢を整える猶予すらも許さない。

 戦闘の熱に両の目を完全に滾らせ、ヘラクレスにも負けない咆哮を喉から迸らせながら、リンクは、下手をすれば自身の体よりも大きく重そうな両手剣と共に虚空へと身を翻した。

 先ほど鍔迫り合いを制した際と同じように、超重量武器を振り上げ、重力任せに振り下ろしたその一撃に、自身の全体重と全膂力を加えて注ぎ込む。

 巨岩をも砕くようなその一撃は、後ろの甲板に衝撃を逃がしてしまうような無駄を一切許すことなく、ヘラクレスの肋骨とそれに守られた臓器を叩き潰した。

 

 魔物の頭蓋骨をそのまま加工したかのような兜と、毛皮を材料に守りよりも攻めと動きやすさを重視したと思われる装束を纏ったリンクの有り様は、矢を放っていた時の華麗さから一転、獣のような猛々しさを一同へと見せつけていた。

 刃よりも鈍器と称した方が相応しい両手剣の攻撃への耐性を得て、猛攻が一旦弱まった隙を逃さずに復活を果たしたヘラクレスは、大英雄の名と威厳を見せつけるかのように、不利な体勢と状況で三度目の粉砕を見事防いでみせた。

 斧剣を携えた剛腕の全力で弾き返されたリンクだったが、今度はそのまま吹っ飛ばされるようなことはせず、甲板の板張りにヒビを走らせながら踏み止まる。

 息を吸い、全身に力を滾らせたほんの一瞬の間を同じくして、両者は再び、轟音と衝撃をもって互いの武器を真っ向からぶつかり合わせた。

 

 

《霊基パターンがまた変わってる、今度は…何てこった、『バーサーカー』だ!!》

 

《とんでもない計測結果が出ているよ、マグマを溜めに溜め込んだ火山ってところさ!!》

 

 

 通信の向こうから聞こえる興奮しきった声も、もはや黙って見ているしかない一同の眼差しも。

 互い以外の余計なもの一切を排除し、大気を震わせ、轟音を響かせながら、二人の狂戦士はただひたすらに真正面から激突し合う。

 人の腕によって振るわれたものがぶつかる音だとは到底思えないそれが、幾度目かの拮抗が、突如響いた『嫌な』音によって傾いた。

 重く硬い何かが、圧力に耐えられずひび割れたような鈍い音…その源は、リンクが振るう大剣の方だった。

 

 刀身に走った、最初こそたった一本だったヒビは、もう一度二度と鍔迫り合いが続く度に数を増やし、更には大きくなっていく。

 ギリギリまで耐えた大剣は、止めの一撃でもって折れるのではなく粉々に砕け散り、対抗する術を失って全くの無防備となってしまった持ち主のみを後に残す。

 これ以上、もはや何もやらせぬと言わんばかりの雄叫びによってマシュ達の悲鳴を掻き消しながら、斧剣を振りかぶるヘラクレス。

 リンクはそれに、逃げるでも覚悟を決めるでもなく、腰を落とし、渾身の気合いを込めながら、自身の胸元で両の拳を打ち合わせた。

 

 硬質な何かが粉々に弾ける、甲高く鮮烈な音が辺りに響く。

 それは敵味方を問わず、一瞬前に誰もが思い描いた予想から程遠いもの。

 鉱石の結晶を思わせる赤い結界がリンクの身を瞬時に覆い、ヘラクレスの斧剣を受け止めると同時に弾き返したその瞬間。

 立香は確かに捉えていた、視覚ではなく感覚で。

 『岩の如く』という表現が決して例えでは無い、正しく岩のような巨人達が、一人はリンクが用いていたものと同じ大剣を片手で軽々と扱いながら、誇らしげな顔つきで彼と共に立つ姿を。

 

 

「ウ゛ア゛ア゛アアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 再びの咆哮を上げながら、リンクは、渾身の一撃を余すことなくはね返されて体勢を崩したヘラクレスへと飛びかかる。

 振り上げたその手には、いつの間にか、両刃の大斧が握られていた。

 自身の体を軸に大きく振り回し、その遠心力によって生まれた膨大な力を完全に制御し、余すことなく叩きつける。

 一般の戦士が手にしたならば一生ものの名器であっただろうその斧は、振るう側からも、振るわれる側からしても、生憎と力不足の代物で。

 リンクの剛力とヘラクレスの耐久性に容赦なく板挟みにされた斧は、ほんの数回の使用であえなく粉々になってしまった。

 

 またしても武器が無くなった…しかし、『そんなこと』はリンクにとって、攻撃をやめる理由になどなりはしない。

 先ほどの斧と同じく、いつの間にか手にしていた大槌の振り上げで顎を砕き、続いての振り下ろしで脳天をかち割る。

 数度の使用でまたも限界を迎えてしまったそれを、今度は躊躇なく投げつけることでヘラクレスの反撃を阻んでみせた。

 

 今現在、ヘラクレスは何度死んだのか……もはや覚えていない、数える余裕があるくらいなら徹底して攻め倒すと言わんばかりの猛撃が続く。

 既知の攻撃に耐性を得るという能力を、素で十分強靭すぎる肉体を、本来ならば対抗策が尽きていた筈の状況を、ありとあらゆる武器を次から次へと使い潰すという力技で強引に押し通す。

 

 これで決められるかもしれない。

 そんな考えを立香達の脳裏に走らせたリンクの猛攻は、彼自身には何の非も無いことを原因に中断させられた。

 二人の戦場と化していた、どちらかが攻撃を放ち、どちらかがそれを防ぐたびに確実に崩壊を続けていた船の甲板が、ついに限界を迎えたのだ。

 船底からへし折れ、今の今まで辛うじて船の形を成していた木材が、もはやただの瓦礫と化して二人もろとも水底へと沈まんと崩壊していく。

 

 この状況で、体格の差が両者の明暗を大きく隔てた。

 巨体故に瓦礫に飲み込まれたヘラクレスと、躊躇なく武器を手放して上手く隙間を抜けることに成功したリンク。

 立香達の歓声は、分厚い板を突き破って伸ばされた巨大な手に足を掴まれたリンクが、そのまま崩壊に引きずり込まれた光景を前に中断させられた。

 

 

「リンク!?」

 

「リンクさん!!」

 

 

 船一艘が崩壊の後に沈没した影響は大きく、『黄金の鹿号』と『アルゴノーツ』の甲板にいた者達が思わず体勢を崩してしまう程の大波が襲う。

 それに耐えながら船べりに縋りついた立香とマシュは、未だ収まらない沈没の影響を、膨大な潮のうねりとそれに巻き込まれてひしめく船の残骸を、その只中に仲間が引きずり込まれた事実を前に蒼白にならざるを得ない光景を目の当たりにしてしまった。

 

 名を呼ばなきゃと思うのに声が出ない、『大丈夫』と信じている筈なのに『もしや』と考えてしまうのをやめられない。

 凍りついてしまった状況を動かしたのは、海面にひしめく残骸の中でも、特に巨大なものを吹き飛ばしながら浮上したヘラクレスだった。

 『アルゴノーツ』の甲板でイアソンが高笑いを上げたのがわかったが、生憎と今は構っていられる余裕は無い。

 

 

「リンクさん、リンクさんはどこですか!?」

 

《まさか、あの崩壊に巻き込まれて…》

 

「ドクター、縁起でもないこと言わないで!!」

 

 

 ヘラクレスはそんな『黄金の鹿号』船上の混乱に目をくれることなく、水から完全に脱するために瓦礫の中でも特に大きなものへと身を乗り上げ……かけたその胸元に、美しい白銀が煌いた。

 水中から放たれ、ヘラクレスの心臓を背中から貫き、太陽目がけて高々と掲げられた『ソレ』は、光り輝く三叉槍だった。

 繊細な細工が施され、陽光に輝く鱗のような優美さを備えると共に、ヘラクレスの強靭な肉体を一撃で貫いた事実をもって武器としての真価をも証明してみせたその槍は、既に半身を乗り上げさせていたヘラクレスを一瞬で海中へと引きずり戻した。

 

 薄暗い水中で尚も輝く槍が、持ち手の姿を瓦礫と波の隙間に薄っすらと浮かび上がらせる。

 まともに動くどころか上下の感覚さえ見失いそうな水中で、それでも何とか自身に迫る槍の穂先を認識したヘラクレスは、引きずり込まれてもなお手放さなかった斧剣を全力でもって振り回した。

 

 大英雄の膂力は水の抵抗をはね返し、逆に捕まえ、かき回されたそれは辺り一帯に巨大な渦潮を作り出す。

 未だ辺りに漂っていた船の残骸をも巻き込んでとんでもない威力を備えてしまったそれに、陸の者が呑み込まれてしまってはひとたまりもない。

 しかし…呑み込まれたのが陸ではなく水の者ならば、それも数々の困難を乗り越えてきた歴戦の勇士だったのならば。

 そんな『もしも』が現実となって、一同の目の前で繰り広げられた。

 

 薄暗い水中に光の軌跡を残しながら、渦潮を乗り越えるどころか突き抜けてみせたその者は、水面にひしめく船の残骸を避けて深く潜り…反転して急速浮上、煌く水面目がけて高々と突き出された穂先にヘラクレスを捉え、それでもまだ止まらなかった勢いのままにもろとも水上へと飛び上がる。

 最初から最後まで全てを見ていた一同の瞳に、優美な三叉槍に貫かれた状態で空中高く突き上げられたヘラクレスと、槍に見受けられるものと酷似した細工が施された青い鎧を纏った持ち手、リンクの姿が鮮明に焼き付けられた。

 

 

「ヤバい、心底たまげた……化け物野郎がサメにでも食らいつかれたのかと思ったよ」

 

《リンク君の霊基パターンまたも変化、いい加減慣れてきたな!!

 今度は『ランサー』だよ、見てわかると思うけど一応ね!!》

 

 

 あんなランサーありかよ!! …というヘクトールの声を意識の隅で聞きながら、マシュは『ゼルダの伝説』に記されている勇者の逸話の一部を思い出していた。

 ある時は使命に、ある時は死によって隔てられた、勇者と『水の民』の姫の恋物語。

 今は加護となって共に在る彼女達の眼差しは、その場面を未だ読んでいない立香でさえ、変わらぬ想いを察することが出来るほどに優しく愛しげなものだった。

 

 槍で深々と貫いたヘラクレスと共に、盛大な水飛沫を立てながら着水したリンクは、再び水中深くへと消えていった。

 槍の輝きすらも見受けられなくなり、激闘から一転して恐ろしさすら感じるほどの沈黙が辺りを支配した。

 ……と思ったのも束の間、ほんの数秒の後に、今までのものとはまた違う異様な音と衝撃が辺りに響き始める。

 その現象の最も大きな特徴は、『アルゴノーツ』とその船上にいる者達のみに起こっているということだった。

 

 

「きゃああっ!!」

 

「一体何なんだ、この音と衝撃は!!」

 

「ま、まさか、そんな冗談……じゃねえマジだ、『アルゴノーツ』の船底が直接攻撃されてやがる!!」

 

「ヘラクレス…おい、どうしたんだ!!

 私の声が聞こえないのか、さっさと戻ってこい、ヘラクレス!!」

 

 

 呼べば来ると心から信じるイアソンの声に、応えたいというヘラクレスの想いは、例え狂化されたとしても変わることはない。

 だとしても、海底に槍でもって磔にされ、引き抜こうとするも膨大な水圧に動きそのものを妨げられる現状では、呼び声に早急に応えるというのは難しいものがあった。

 

 ヘラクレスが戻ってきてしまえば、流石にこんなことが出来る余裕は無くなる。

 出来る限りの全力、全速力で、手持ちの槍数本と引き換えに『アルゴノーツ』の船体に結構なダメージを与えたリンクだったが、残念ながら穴を開けるまでには至らなかった。

 

 

(それでも、かなり力を削げた…十分だ)

 

 

 遥か下、真っ暗闇の水底に感じるヘラクレスの気が、少しずつ大きく強くなっているのを感じる。

 焦ることも、欲張ることもせず、リンクは人によってはもどかしく感じるほどの潔さでもって身を返した。

 

 ヒレを持ち合わせているかのような俊敏さで、瞬く間に『黄金の鹿号』へと泳ぎ着いたリンクは、深い水中から水面へと向けて全力で水を掻いた勢いでもって魚の如く水面から飛びあがった。

 『黄金の鹿号』の甲板よりも高く飛んだリンクは、一同が思わず開けたスペースへと降り立つために空中で身を翻し…その全身を、またしても、『黄金の聖三角』の力と光によって包み込む。

 軽快な音と共に甲板に降り立った時、既にその装いは一変していた。

 

 熱い砂の風が吹く砂漠の民を思わせる衣装は繊細な造りをしていて、髪をまとめ上げて露わにされた容貌の美しさを余さず引き立てている。

 加えて上半身の肌が大胆に露出されており、成熟しきっていない少年の体だからこその艶めかしさを感じてしまった一部の…結構多くの者達が、咄嗟に視線を逸らせる羽目になってしまった。

 自分がそんな類いの注目を浴びているとは欠片も考えていないリンクは、未だ戦場にいる気概を保ったまま、若干頬を赤くさせていたドレイクへと向き直った。

 

 

「ドレイク船長、アステリオスに頼んでおいた件は!?」

 

「あ…ああ、問題ない、いつでも行けるよ!」

 

 

 リンクの説得を受けて『黄金の鹿号』へと戻ってきたアステリオスは、とある伝言を託されていた。

 曰く…『どんな風も捕まえ、どんな波も乗り越えられる準備を整えておいて欲しい』とのこと。

 意図が掴めきれないながらも、言う通りにしておいた方がいい案件だと判断したドレイクは、リンクとヘラクレスが激闘を繰り広げる最中に部下達を急がせておいたのだ。

 

 ドレイクの返事を確認したリンクは、頷き、若干混乱が落ち着きかけている『アルゴノーツ』の一同へと向けてパチンと指をひと鳴らしさせた。

 瞬間、大気を割る轟音と共に、枝分かれする稲妻が『アルゴノーツ』周辺に炸裂した。

 ヘラクレスの不在と併せて、完全にパニック状態に陥ってしまったイアソンの様子がここからでも窺える。

 

 ヘクトールとメディアが懸命に宥めようとしているらしいが、そう簡単に落ち着くようには思えない。

 この隙を逃さずに生かすため、リンクは、両手のひらに収まる大きさの何かを取り出した。

 深く美しい青を湛え、両手で構えることを想定し、指の位置に幾つもの穴が開いた『それ』が何なのか。

 知る者は多く、目を疑い、言葉を失った者は、それと同じ数だけ存在した。

 

 

「リンクさん…そ、それはまさか、時のオカリナ!!」

 

《伝説の聖なる楽器、『勇者リンク』が原初の音楽魔術の使い手としても認識されている理由だ!!

 成る程ね…今の君の霊基は『キャスター』、それを真の力でもって扱うための前提条件って訳か!!》

 

 

 ダ・ヴィンチの言葉に返せるほどの余裕を未だ持たないまま、リンクはオカリナにそっと口をつけ…既に指が覚えているメロディーを、其れそのものが力を持つ曲の一節を響かせた。

 くるりくるりと何かが回り、時に跳ね上がるかのような軽快な旋律。

 普通に考えるならば、小さな楽器をもって短い曲を奏でた、ただそれだけの筈のこと…しかし。

 そんな僅かな疑いすら抱く間もなく、旋律の力は瞬く間に現れた。

 晴れ渡っていた筈の空が瞬く間に暗雲に覆われ、降り注ぐ豪雨に叩きつける暴風、それに伴い海までもが大型帆船を上下左右に揺さぶる高波で荒れ始めた。

 

 

「うっそだろ、今の今まで完全にピーカンだった!!

 嵐どころか雨や風の気配だって無かったんだ、あり得ないよこんなの!!」

 

「あり得なくてもこれが現実なんです、落ち着いて下さい船長!!」

 

 

 海の知識と経験を深く得ていたが故に、人一倍混乱してしまったドレイクだったが、立香の言葉を受けて流石の適応力と立ち直りの速さを見せた。

 予め荒海を越える準備を整え、ドレイクの一喝で冷静さといつもの調子を取り戻した船員一同は、船体を傷つけられた上に船長が混乱状態にある影響で動けずにいる『アルゴノーツ』を尻目に、嵐の海の向こうへと瞬く間に消えていく。

 イアソンが正気を、空と海が元の穏やかさを取り戻した頃には、既にその船影は水平線のどこにも見受けられなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう………………あー強かった、流石は大英雄」

 

「軽い、軽すぎますよリンクさん!!」

 

《あのとんでもない戦いをそれで済ますのかい君は!?》

 

「これでも疲れてるんだよ……」

 

 

 『黄金の鹿号』の船べりに腰かけ、体力回復の一環として串焼き肉を頬張りながら、マシュとロマニのツッコミに苦笑いを浮かべつつも律儀に返す。

 そんなリンクへと、抗議、もしくは詰問のような勢いで詰め寄る者がいた。

 

 

「ちょっとリンク、あなたどうして逃げたりしたのよ!

 あの調子だったら…あなただったら、ヘラクレスを最後まで倒しきれたんじゃないの!?」

 

「それはあたしも聞きたいねえ…いや、戦ってたのはあんただ、あんたが撤退すべきと思ったんならそれに否やを言うつもりはない。

 ただ、エウリュアレの言う通り、『行けたんじゃないか』って思う気持ちが大きいのさ」

 

「俺としても、倒せるなら倒しておきたかったんだけど。

 ……現状でそれは無理だ、あれ以上戦っていたらどんどん状況は悪くなっていた。

 撤退は、最善の選択とタイミングだったと思ってる」

 

「現状…と言うと?」

 

「準備不足」

 

 

 そう言うとリンクは、腰に下げていたシーカーストーンを手に取り、壁面に指を当てて起動させた。

 首を傾げるドレイクやエウリュアレ達をよそに、それがリンクの宝具のひとつであることを知っていて、別の場面で動かしているところを見たことがある立香とマシュは、先ほどの戦いでリンクが見せた武器の持ち替えのタネがそれであることにも気づいていた。

 

 

「俺の戦法は、ぶっちゃけて言えば『ド派手な消耗戦』なんだ。

 矢も、武器も、盛大に使い潰しておきながら無限じゃない。

 使った分は無くなるし、無くなった分は補充しなければ増えない。

 事前にどれだけ準備していたかが、非常に重要なんだけど。

 

 ここの特異点、殆どが海で、武器や道具を何かのついでに補充できる機会が無かった。

 上陸の機会が皆無って訳じゃなかったけれど、大抵が他の重要な目的があったり、団体行動優先だったりして、個人的に動ける時間はやっぱり無かったんだよな。

 

 それでも、そういう事態も考慮した上でレイシフト前に準備しておいたから、十分余裕があった筈なんだけど……対ヘラクレス戦で吹っ飛んだ。

 流石は大英雄、出し惜しみなんて余裕は無かったよ。

 矢は殆ど使い果たしたし…あの巨体に効果的に痛手を与えられそうな重量系の武器は、もうあと何本も残ってない」

 

「勝つための決定打を失いかけてたってことか……成る程ね。

 わかった、撤退の判断に間違いは無かったよ」

 

「でも……それじゃあどうするの、どうやってあのヘラクレスを倒すって言うのよ。

 あいつらは絶対に諦めない…今は落ち込んでるかもしれないけれど、すぐに気を取り直して追って来るわ」

 

「……ああ、俺もそう思う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「急いで奴らを追うだと?

 何を考えているんだ、それでも貴様は護国の英雄か!?

 ヘラクレスをあそこまで追い詰めた奴…あの伝説の勇者を相手に、無策で突っ込んでどうすると言うのだ!!

 今はヘラクレスの蘇生魔術を補充するのが最優先だ、メディアに全力で当たらせている!!」

 

「あそこまで追い詰めておきながら、撤退を選んだ理由って奴を落ち着いて考えてもらえませんかねえ!!

 倒しきれない、もしくはこのまま戦っても不利に転じる、そう判断するだけの何かがあったんだ!!

 急いで追撃すればその利点を生かせるかもしれねえ、逆にモタモタして猶予を与えたら対応されちまうかもしれねえ!!

 どちらが勝ちの目が大きいか、計算式は単純そのものだと思うぜ!!」

 

「………アルゴノーツの修理を終え次第、追撃を開始する。

 ただし!! ヘラクレスの回復を怠らせ、戦力をガタ落ちさせた責任はしっかり果たしてもらうぞ!!

 次の機会に勇者の相手をするのはお前だ、ヘラクレスの邪魔をさせないよう精々時間を稼ぐんだな!!」

 

「……へいへい、了解っと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「多分今頃、こんなやり取りをしてる頃じゃないかな。

 イアソンだけなら、ビビッて躊躇い続けてくれることもあるだろうけど…ヘクトールがいる。

 猶予が無いのは俺達の方だってことを正確に察して、イアソンを焚きつける筈だ。

 これから急いで適当な小島に上陸したとしても、そこが資源に溢れた豊かな島だっていう可能性は、ヘラクレスを今度こそ倒しきれるほどの準備が整えられる確実性は低い」

 

「リ、リンクさん……それでは一体、どうすると言うのですか?」

 

「……イアソンの目的が気になるな」

 

「あのクソ野郎の目的だって?」

 

 

 そんなものに意味があるのか…とでも言いたげに表情を顰めたドレイクをよそに、リンクは口もとに指を添えながら考え始める。

 歴戦の戦士から一転、多くの兵士を生還させた戦術家としての、知恵と思考力を武器とする者としての彼がそこにいた。

 

 

「言動といい、考え方といい…確かにことごとく腹が立つような奴だったけれど、あいつの性根は恐らく善性のものだ」

 

「アレで!?」

 

「そう、アレで。

 『善』っていうのは要するに、『自分が正しいと思ったことを尊んで実行できる』性質のことを言うんだよ。

 もしあいつに、『自分の行動によって世界が滅びかねない』という認識があったら、あんなに自信満々にはなれない。

 むしろあれは逆…自分は正義を成す英雄だという矜持、世界を救うのだという使命感、それらがもたらす万能感と優越感に浸りきってひたすら調子に乗っている、という認識が正しそうだ」

 

《彼は、手にした聖杯を『何か』に使う気満々だった。

 聖杯を回収して特異点を修正できなければ、人理の修復は叶わない。

 ……うん、彼が自分の行いで世界が救われると考えているのなら、それは間違いなく思い込みの勘違いだね》

 

「何よそれ…一体何がどう影響すれば、そんな風に思い上がれるというの?」

 

「何の誘導も根拠も無しに、盲目的に思い込めるようなことじゃない。

 間違いなく『誰か』が裏で操作している…何らかの明確な目的をもって」

 

 

 瞬間的に、脳裏に過ぎった影は二人分。

 中でも、リンクの印象に強く残ったのは、杖を携えた華奢で可憐な魔術師の方だった。

 

 

「戦闘準備を怠る気は無い、そこは当然。

 だけど、それ一本に固執せず、別の角度からあいつらの『裏』を探ってみる意味は十分にあると思う」

 

「……それでもし何も無かったら、あなたは一体どうするつもりなの?」

 

「エウリュアレはまだ不安か…分かった、払拭させておこう。

 その場合は、もう一度俺が相手をするさ。

 今度は広くてしっかりした足場、陸の上で。

 あの状況では使えなかった手、先のことを考えて敢えて温存した手を全て使う」

 

「まだ奥の手があったと言うの!?」

 

「ああ、まだまだ出し切ってはいない。

 思っていることを正直に言うとな……いくら大英雄とは言え、たまに勘が働く以外はほぼ力任せに突っ込んでくるだけのバーサーカーを相手に、負ける気は一切無いんだ」

 

 

 自信と確信をもってキッパリと言い切ったリンクに、一同は頼もしさに先んじて、寒気を錯覚させるほどの畏怖を覚えたのを自覚した。

 

 

(まあ…こちらではなく向こうが、俺とヘラクレスの一騎打ちをまた許してくれる確証は無いんだけど。

 ……これに関しては言わないでおこう、士気を下げてまで周知させておくことじゃない)

 

 

 そもそも…忘れている者も多そうだけれど、ヘラクレスはこの特異点において最終目標ではない。

 その前に立ちはだかる、最低限乗り越えなければいけない難関のひとつに過ぎないのだ。

 イアソンの裏で糸を引く黒幕、その隠された真の意図は必ずある。

 自分が相手をする以外の、ヘラクレスへの対処法も必ず。

 

 水平線の彼方を見据えながら、確信を抱くリンクだったが。

 後々見つかることとなるその『対処法』が、自分達のマスターにとんでもない無茶ぶりを要求するものだったことまでは、流石に予想しきれなかった。




 あらゆる状況・環境に対応できる勇者リンクの万能っぷりと、服を着替えることで何かしらに特化するゲームシステムを元ネタに、トライフォースを膨大な魔力リソースと考えることで確立させたクラス『ブレイヴ』の独自能力。
 それが、『自らの意思によるクラス変換』です。
 スカサハやBBもやっていましたが、アレは『着替えるために霊基を弄った結果クラスも変化した』なので狙った訳ではなく、明確に狙った上で気軽にポンポンとは流石に行きません。

 多少弱体化させた上で、『ブレイヴ』のクラスに押し込められた一部の特化要素のみを独自に選び取り、相応しいクラスに当て嵌めて解放させることでその真価を発揮させる。
 『勇者』のマテリアルで書いた宝具やスキルは『リンク』というサーヴァントの土台です、上乗せさせる形での変化なのであっちの能力はどの時でも使えます。
 普通ならば個人で聖杯でも持っていなければ到底出来ません、魔力の消耗が激しすぎますから。
 トライフォースを所有しているリンクだからこそ実現できた、あらゆる意味で彼のみが生かすことが出来る特殊能力なのです。


 『リト』でアーチャー、『蛮族』でバーサーカー、『ゾーラ』でランサー、『熱砂』でキャスター。
 更に『忍び』でアサシン、『クライム』でライダー、『英傑』でセイバーとなります。
 加えて、勇者であることを隠すために着ていたフード付きの普段着は『ハイリア』のシリーズです。

 着替えたからってあんな能力はつかない、ゾーラの鎧であんな泳ぎ方は出来ない…と思われる方は当然いると思われますが。
 服はあくまでクラスチェンジを見た目で分かりやすくするためと、クラスごとに発揮される能力を象徴するためのものです。
 今の彼はサーヴァント、逸話や解釈によって新たな姿や能力が付与されることがありえます。
 特に彼の場合は、世界各国で愛読されているので影響も大きいです。
 その辺りを考慮し、『ゼルダの伝説』から能力や仕様をただ持って来るだけではなく、サーヴァントとなったことで起こるであろう変化や新たな付与を想定して設定を作っています。
 なので、シリーズ全般を通したゾーラ族関係の能力と逸話の象徴として、ゾーラの鎧にはミカウの仮面をかぶった時に得られるような泳ぎの能力も付け加えました。
 他の服も、同じような仕様と能力を想定しています。

 セイバーではマスターソードの真名解放とハイリアの盾が解禁。
 オカリナを筆頭とした音楽関係の能力や、各種アイテムの使用はキャスターにて。
 移動や乗り物関係はライダーです、ウルフリンクへの変身はこちらを想定しています。
 あと変わり種で考えているのが…『顔を変える』ことを『違う自分になる』ことと解釈し、アルターエゴで各種仮面の使用を解禁、ですかね。
 リンク君自身、サーヴァントと化した自分の能力を少しずつ仕様確認しながら戦っているので、出てくるタイミングに関しては長い目で見たいただければと思います。

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