Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior   作:はんふんふ

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ククリナイフ

1998年4月25日

俺は今、インド洋にある島アンダマン島のオースティン基地に来ている。

ここに来た理由は、ネフレが開発した各武装の湿潤地での環境テストと飛行補助ユニットの演習である。

俺は、港に停泊している戦術機母艦インヴィンシブル級航空母艦4番艦アーク・スウィーツを見ながら1人ボーっとしていた。

「なんだ!ガールフレンドがいないから寂しいのか!?」

ザウルとリリアがそんな俺に話駆けてきた。

「タエがいないから呆けていた訳ではないです!」

「私は、寂しいけどなぁ~。」

タエはネフレ本社がある、太平洋合成タンパク生成所の上にある町、通称第一町に居る。

今兄貴の弟子であり俺の専属戦術電子整備兵の女の子に預けている。なんでも、一家丸ごと引き抜いたそうだが、その方法は怖くてとても聞けない。

「だから、違いますよ!そもそも前線にタエを連れてくるはずないでしょ!?」

「「ラブラブ~♪」」

頭の中の大切な線がブ千切れてしまいそうだが、すぐにタエが頭の中でその線を緩めてくれる。(ありがとう、タエお前がいるだけで俺は心を強く持てるよ。)

「なんだか、遠くをニヤけながら見てるよ~?」

「もう少し待ってやれ・・・、本当は寂しいんだ。」

「だから、違います!それより、乗る前から思ってましたけど、よく戦術機母艦なんて用意できましたね?」

「あぁ、あれは前からある船だ!」

「前から?」

「あれは、英国海軍から造船の技術を買った奴だ。本来作られるはずじゃなかった戦術機軽空母、それをネフレが完成させた訳だ。まぁ、おいそれとあんな技術の塊を売るはずないから裏で何かやったのだろうが・・・。そこは、俺達が知る必要の無い事だ!」

「へぇ~、あの船にそんな歴史が・・・。じゃなくて、前から使われていたのですか?」

「俺達の先任が使ってた船だ!」

「その先任達は、どこにいるのですか?」

「・・・死んだよ。」

「―――――ッ!」

良く考えれば解ることだ、俺が来た時にはこの部隊にリリアとザウルしかいなかった。

計画の規模を考えると衛士の数が足りない。

いくら、計画のためのテストパイロット部隊だとしても、後数人は居るはずだ。

「俺達が隊に入って三年位で俺達を残して皆死んでしまった。そして、それから少したってから和真を見つけた訳だ。」

「なるほど、だからハンガーに他の戦術機があったり武装が直ぐに出来上がった訳か、俺の前に俺と同じ戦い方をしていた人がいたから・・・。」

「まぁ、そういう事だ。・・・ハイっ過去の話は終わり!今から、基地司令部に挨拶に行くぞ!」

「「了解!」」

俺とリリアは敬礼をしてザウルに答える。

過去の話も時には大切だ、死んだ仲間を語り継ぐことは衛士にとって重要なことである。俺達みたいな、過去を捨てた者達には特に・・・、それでも今はその時ではない、俺達は今やれることに全力を出すだけだ。

 

俺達は司令に挨拶をすませ、格納庫に来ていた。

「それにしても、あの司令官話しが長すぎだ!」

「ザウル仕方ないでしょ。でも、あの嫌味な感じは嫌だった・・・。」

「まぁ、俺達は基地を使わせて貰っている側やから仕方ないやろ?」

「そうだけどよ!」

俺達が愚痴を言い合っていると、格納庫の外に止まった一台の四駆の車から1人近づいて来た。

階級章を見ると少佐だ。

咄嗟にザウルが声を上げる。

「少佐に敬礼!」

俺とリリアは即座に敬礼をし相手の答礼を待ってから手を下した。

「久ぶりだな――――ザウル、リリア。今は、私的に来ているので楽にしてくれて構わない。」

「なら・・・。お前こそ元気そうじゃねぇか!ムライ少佐!こんな、カビ臭い場所に何か用か?」

「私は、改修機試験計画の責任者だぞ?ここには、良く来るさ。」

「確か、F-5Gだったか?」

「そう、タイガーシャークだよ。」

「順調なのか?」

「今の所順調だ。テストパイロットの衛士が優秀でね、随分助けられている。」

「へぇ・・・。お前が認めるくらいだ、さぞ腕だ立つ衛士なのだろうな!」

「あぁ、問題個所を的確に壊してくれるからな・・・。その変わり金が物凄く飛ぶが・・・。」

「ハハハハ、そいつはご愁傷様だ!で、話はなんだ?飲みの誘いなら喜んでついていくぜ!?」

「そいつは良い提案だが、今回は別件だ。私も忙しくてね、時間が取れない。」

「そいつは、残念だ。で、話しとは?」

「あぁ、それだが――――」

ザウルとムライ少佐が話し込んでいる時、突然警報が鳴り響く。

「はぁ、またか・・・。」

「またとは?」

「内の暴れん坊お姫様がご帰還なされた。一緒について来てくれないか?」

「了解だ、少佐!そいつがどんな奴か気になるしな!」

俺達は少佐と共に四駆の車に乗り込み滑走路に向かう。滑走路に着くと見事に横転したタイガーシャークが目に入った。

「あれは・・・すごい扱けっぷりですね。」

俺の口からつい出てきた本音にムライ少佐が振り向く。

「し、失礼しました。」

いらない事を言ってしまったと条件反射で敬礼する俺をムライ少佐は笑いながら大丈夫だと言ってくれた。

「君は・・・。」

「はっ!五六和真少尉であります。」

「ふむ、五六少尉・・・。確かにあれは見事な扱けっぷりだ、見たまえ主機間接から黒煙が出ているだろ?あれを修理するのにいくら掛かると思う?」

「すみません、解りません・・・。」

「そうだな、大体私と少尉が一生遊んで暮らせるくらいの金が飛ぶ事になるな。」

そう話すムライ少佐の顔は演技で作った悲壮感漂う顔だ。

だが、どこか誇らしげでもあった。

「この話しはタイガーシャークに乗る衛士には内緒だが・・・。」

えらく勿体ぶるなこの少佐、これが素なのか?

「彼女が問題点を的確に壊してくれるおかげで我々は不良品を前線に出さずに済んでいるのだよ少尉。」

なるほど・・・。

前線にもし問題がある戦術機を出してしまったら何人の衛士が死んでしまうか解らない。その問題点を的確に見つけ尚且つ戦術機に不備が生じても生きて帰ってくることのできる衛士、あのタイガーシャークに乗る衛士はよほど腕利きなのだろう。

「解ってくれたかね?」

「はっ!」

俺の返事を聞いたムライ少佐は俺の返事を聞いて数度頷き、口元に人差し指を持ってきて「でも、彼女には内緒だよ。」と言った。

滑走路に着くと、辺り一面に消火剤がばら撒かれておりタイガーシャークが泡風呂に浸かっているみたいで何だかシュールな光景だ。

「それでは、君達はここで待っていてくれ。」

ムライ少佐はそう言い残すと、車から降りて行きタイガーシャークから避難していた衛士に声を駆けに行った。

戦術機を見ていたザウルは、何かを考えているようで真剣な顔つきだ。

「リリア、ザウルは何を見ているん?」

「ザウルはね、あの衛士の実力を見てるんだよ。」

「戦術機を見るだけで解る物なん?」

「壊れた箇所を庇いながら着地させる、そんな芸当ができる人は凄い腕を持つ衛士なのだけれど、着地の仕方でまた段階分けが出来るからね、それを見てるのだと思うよ!」

「へぇ~。」

そんな話しをしていると、ムライ少佐とタイガーシャークの衛士であろう女の子と見るからに苦労人な男が車の前に来ていた。

俺達は、車から降りそれぞれ敬礼する。

苦労人顔な男がまず名乗る。

「パール・アメイ少尉であります。」

続いて、勝気そうな見るからに子供な女の子が名乗る。

「タリサ・マナンダル少尉であります。」

それに俺達は答礼を返し名乗る。

「ザウル・カザコフ大尉だ!よろしく!」

「リリア中尉です、よろしく!」

「五六和真少尉です、よろしくお願いします。」

俺達が簡単な自己紹介を終わらすとムライ少佐が咳払いをし、場の空気を鎮める。

「私達はこれから司令部に戻るのだが、この車は大勢を乗せる事が出来ない。そこでだ、マナンダル少尉、アメイ少尉歩いて帰りなさい。」

ムライ少佐の言葉に2人は見るからに嫌そうな顔をする。

アメイ少尉に至っては胃さえ押さえている。

苦労しているんだな・・・。

「ムライ少佐!」

「なんだね?カザコフ大尉。」

「それならば、元気の有り余っている。内の坊主をどちらかの変わりに歩かせることを提案します!」

「ほぅ・・・。それは良い案だ!そうしよう!アメイ少尉、車に乗りなさい。」

「はっ!ありがとうございます!」

アメイ少尉は手で申し訳ないとしてくる。

俺は、気にするなと返した。

すると、アメイ少尉はまるで天使でも見るかの様な目で俺を見てきた。

それに俺は、お体をお大事にと返した。

「なっ!なんでアタシじゃないのでありますか!?」

ジェスチャーで解りあい和んでいた俺達の横では、マナンダル少尉がムライ少佐に食って掛かっていた。

「あぁ~、どこの誰だろうなマナンダル少尉・・・。見たまえ我らのタイガーシャークが泡風呂に浸かっているぞ。これで何度目だろうな、タイガーシャークは今頃大層気分が良い事だろうな・・・。」

「けっ!了解!歩いて帰投します。」

「よろしい、では行こうか!」

俺達を残して、車は基地へと帰って行く。

正直ザウルには言いたいことが山ほどあるが、アメイ少尉に免じて許してやろう。

そんな事より・・・。

「マナンダル少尉、騒いでても仕方ないでしょ、早く帰りましょう。」

「だぁー!ムカつくんだよ!あの似非役者がー!!」

うがぁーーー!と吠える。マナンダル少尉を放って置く訳にもいかず俺は、彼女の怒りが収まるまで待つことにした。

「はぁ~!スッキリした。」

「やっとですか・・・。じゃ、早く帰りましょう!」

「あ~、アタシら同じ階級だろ?そんな堅苦しくしないで構わねぇーよ。」

「はぁ~、解ったわ、マナンダル。」

「タリサで良い。マナンダルは呼びずらいだろ?」

「なら、俺も和真で構わんよ。」

「はいよ、和真。」

えらく大雑把な性格だが、このとっつきやすさが彼女の美点なのだろう。

「なら、早く帰ろうタリサ、ここはジメジメしていて居心地が悪い。」

「確かにそうだ!」

そう言いカラカラ笑うタリサは、見た目通り子供な印象だ。

俺達が話しながら歩いていると、突然タリサが大声を出し始めた。

「ああーーー!」

「何や、突然?。」

「それククリナイフだろ!?」

タリサの指差す俺の腰の辺りには確かにナイフが収められているが、パッと見では気付かないはずだ。

「よく解ったな?」

「解るさ!ホラッ!」

タリサは、左手に大事そうに持っていた物を俺の眼前に突き出す。

それは俺と同じククリナイフだった。

違う点は、俺以上に使い込まれているのが解る柄。

「へぇ~、俺以外にこの形のナイフ持ってる奴師匠以外で初めて見たわ!」

「お前も師匠から貰ったのか?アタシもだ!もしかして、グルカ出身か!?」

「違うよ、俺はオーストラリア人と日本人のハーフだ。ただ、師匠が持っていた物を俺が託されただけだ。」

俺の設定は、オーストラリア人の母と日本人の父を持つハーフ、そして生まれも育ちもオーストラリア、これがレオが作った設定だ。

「そうか・・・。」

俺の返答を聞いたタリサは同郷の者と会えたと思っていたのか、その夏の様にギラギラした元気さを一気に春先くらいの元気さにしてしまう。

それを見た俺は、何とかしようと話題を振る。

「でも、お互いククリナイフを託された者同士だ。故郷は違えどククリで繋がった仲間だろ?」

俺の振った問いにタリサは立ち止まり、顔を俯かせてしまう。

「タリサ?」

俺が、心配して近づくとタリサの体がプルプルしているのが解る。

ヤバイ、怒らせたか・・・。

俺が右往左往していると突然タリサが爆笑しだした。

「にゃあああははははーーーーーー!!何、なに?もしかして心配したの!?―――故郷は違えどククリで繋がった仲間だ!!・・・だってぇ~~~!にゃあはははは!!」

タリサは、腹に手を当て苦しそうに笑いながら顔をキリッとして俺のマネをし、また笑いだす。

「こ、コイツ・・・ッ!」

「どうしたぁ~?顔が赤いぞ~~!あっ、照れてる?照れてるの!?」

「照れてない!!」

「照れるな照れるな!にゃあはははは!」

「照れてない!!」

俺を一通りからかい終えるとタリサは立ち止まり自分のククリナイフを見つめる。

「そうさ・・・。生まれは関係ない、これを託された奴らは皆同じ志を持ってる。そうだろ?和真。」

そう言って振り返ったタリサは太陽を後ろにして、輝いて見えた。

その姿に一瞬ドキッとした俺は、再び顔を背ける。

「なんだ?まだ、怒ってるのか?男があの程度のからかいで怒るものじゃねぇぞ?」

「・・・怒ってない。」

俺は、顔をさっきとは別の意味で赤くしているのを悟らせないためにタリサに顔を向けずに歩きだす。

「そっか!」

タリサも深く追求せずに共に帰路に着いた。

 

タリサとは、基地の入り口で解れた。

これから、ムライ少佐に小言を言われに行くらしい、俺が一言ご愁傷様と言うと後で覚えてろよ~!と、どこぞの小悪党の様なセリフを残し走って行った。

そんな俺は、今格納庫に来ている。

なんでも、ザウルが話があるからとの事らしい。

「ザウル、今来たで!何か用事か?」

「あぁ!用事だ。今から和真には、コイツに乗って対人模擬戦闘をしてもらう。」

ザウルが指差す方向には一機の戦術機。

「コイツは・・・。」

「F-4Eファントムだ!機体調整はすませてある。すぐに出撃しろ!」

「了解!」

今回の模擬戦のルールをコックピットの中で思い出す。

「CP無しの後追い戦、先に俺が飛び一分後に相手が飛んで来る。この土地は隠れる所なんて無いからほぼドッグファイト状態だな。しかも、俺が先行かよ・・・。ついてねぇ~な。まっ、負けるつもりなんて更々無いけどな!」

その時画面にスタートの文字が浮かぶ。

「そんじゃ、やりますか!」

俺は、なるべく距離を離すため一気に加速した。

空から、陸地を見ると鬱蒼とした樹木が島の殆どを占拠している。それでも、地球に残された数少ない緑が生い茂る土地、正直この場所で模擬戦をするのは気が引ける。

俺が、そんな事を考えているとセンサーに光点が1つ生まれた。

「来たか!」

俺は、体の向きを180度変え左手の36mm弾を相手に向け放つ、それを相手のファントムは体を捻る事で難なく躱し全速力で突っ込んでくる。

「おもしれぇ!」

俺も跳躍ユニットを全力で噴かし突撃をかける。

お互いに36mm弾を打ち合いながら急接近していく。

相手が左手にナイフを持ち突撃してくるのを俺は、相手の下を潜ることで回避、背部兵装担架の銃を起き上がらせ上を行く相手に撃ちまくる。

相手はそれを宙返りをすることで回避した。

「マジかよ!」

だがその内の一発が相手の銃に当たり相手はそれを放り捨てる。

そして、そのまま急下降し俺をナイフで倒すつもりのようだ。

「今からナイフを出しても間に合わない、振り返って撃つだけの時間も無い・・・。なら!」

俺は、再び体を180度回転させそのまま相手に突っ込む。

相手はその事も織り込み済みのようで、気にもせずに突っ込んで来る。

相手のナイフが俺の胸部に当たる瞬間に体を捻り、相手の胴体に蹴りを食らわせる。

だが、その代償に俺の銃を切られてしまった。

その銃を捨てながら地面に向け全速後退する。

相手は蹴られた事に一瞬驚いたようだが、直ぐに持ち直し再び突っ込んで来る。

それに俺は、ナイフを投げつけ俺もまた突っ込む。

相手がナイフを弾く瞬間に俺は、機体を相手の左側に滑り込ませ跳躍ユニットを止め失速域機動を縦軸に宙返りし相手の背後を取り再び跳躍ユニットを噴射し右手のナイフを逆手に持ちながら、相手の背後に覆い被さる形で相手のコックピットブロックに刃を当てた。

その時模擬戦終了の文字が浮かび続いて、引き分けの文字が浮かぶ。

「はぁ?引き分け?」

良く見ると、相手の左手のナイフが俺のコックピットに当たっている。

人間なら曲がるはずの無い角度だが、戦術機は違うこれくらいの事は出来る。

「最後に当てられたか・・・。まだまだ、精進しなあかんな。」

俺は負けた事も悔しかったが、それよりも相手の衛士がどんな奴なのか、それが気になっていた。

滑走路に降りた俺は直ぐに相手を確かめる。

良く見ると背が低い事が解る、そして子供っぽい雰囲気・・・。

「もしかして、タリサか!」

俺の声を聞いたタリサも直ぐに叫ぶ。

「あぁ~~!あのファントムに乗ってたのやっぱり和真か!」

ズカズカとタリサは俺に近づき、俺を問い詰める。

「なんなんだよ!最後のあの機動は、ビックリするじゃねぇか!」

「それはこっちのセリフだ!銃弾を宙返りで躱す奴がいるか!お前は軽業師か!?」

「ソイツはこっちのセリフだ!」

俺達がキャイキャイ言い合いをしていると、見慣れた車が止まり中からムライ少佐が出てくる。俺達は即座に敬礼をし出迎えた。

「すばらしい、戦闘だったよ。二人とも、でも私の言いたい事は解るね?」

「「・・・ハイ」」

俺達の戦闘に機体が耐え切れず所々壊れてしまったらしい、それからはタリサと共にムライ少佐の御小言をたくさん頂いた。

その日の晩、仲良くなった俺達はPXで誕生日パーティーをしていた。

パーティーと言っても酒と摘みを用意しただけだが。

「それじゃ、過ぎちまってるけど誕生日おめでとう!タリサ!」

「お、おう!和真もちと早いが誕生日おめでとう。」

タリサは、頬をポリポリ掻きながら恥ずかしそうに言った。

「「乾杯!」」

それからは、俺の模擬戦での最後の機動での話しで盛り上がった。

「それじゃあ、まだ技名とか決まってないのか?」

「そうだな、別に決めようとは思ってなかったけど。」

「なぁなぁ!アタシもあの技使って良いか?」

「良いも悪いも無いよ、使えるなら使うに越したことはないしな!それに、まだ完成していないしな。」

「完成していないのか!?」

「あぁ、イメージと中々合わなくてな。そうだ、タリサ何か良い意見とかないか?」

「そうだなぁ~!」

そこからは、あ~でもない、こ~でもないと話し合いは続いた。

「結局決まらないな~。先に技名を決めてくれるか?」

俺が提案するとタリサがキョトンとした顔になる。

「和真が考案した技なのにアタシが決めて良いのか?」

「あぁ、俺が考えタリサが意見を出して完成に近づけた。なら、俺達二人の技だろ?」

「そ、そうか!なら・・・ククリナイフなんてどうだ?」

「ククリナイフ・・・。何故その名前にしたのか聞いても良いか?」

「このナイフがアタシ達を繋ぐ切掛けだろ?」

「確かに、ならそれにしよう!それじゃ、ククリナイフに乾杯!」

「キザだねぇ~。無理にカッコつけちゃって!」

「なっ!」

「にゃははは!!まぁまぁ、飲め飲め!」

「イヤ、俺はこれ以上飲むのは無理・・・。」

「どうした!?アタシの酒が飲めないと言うのかぁ~!」

「や、やめ・・・。」

そこからは、大変だった。

タリサが暴走PXに来た人を捕まえては酒を無理やり飲ませ潰して回った。

一番の被害者はアメイ少尉、もう再起不能状態にまで追い込まれていた。そんな、アメイ少尉に気を失いそうになりながらも、俺は敬礼をし、そして果てた。

目を覚ました俺は、地獄絵図のPXを後にし、1人外に出てククリナイフを手に持ち構え日課の格闘戦を繰り返す。

汗を掻き、酔いも覚めてきた俺は最後の締めくくりをしようとすると足音が聞こえてきた。

「いつもやっているのかい?」

「タリサか・・・。あれだけ飲んで良くピンピンしているな。」

「あの程度、飲んだ内にも入らねぇよ!そんな事より、一戦どうだ?」

タリサはそう言うとククリナイフを手に持つ。

「一戦だけやぞ?それと、ルールは寸止めと後は相手が降参言うたら終わりな?」

「了~解!」

その日の晩は夜遅くまで、金属のぶつかり合う音が響いていた。

 

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