Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior   作:はんふんふ

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鴉と鶴と猛禽類

あれから、二週間たち俺達は新しい戦術機でのJIVESを使っての演習をしていた。

場所は、ケアンズ基地の周りに建物が無い荒野だ。

ジュラーブリクE型、これが殲撃10型の代わりに渡された戦術機。

トイ・ボックスの先代が使っていた戦術機だ。

その人は、2人でこの戦術機を使っていたのだろう席が二つある。俺は、前席で操縦しながら思いだす。

この戦術機は、ジュラーブリクを改良した戦術機でその性能はチェルミナートルを一部上回る。

跳躍ユニットと主機を大型化、OBLへの換装、アビオニクス強化、肩部装甲が変更されており、UFOの様な円盤状のカーボンブレードになっており、なめらかな飛行を可能としている。

殲撃10型の事を忘れられなかった俺のためなのだろう、このジュラーブリクE型にも、複眼の頭部モジュールを装着している。

そのせいで、名前がジュラーブリクE型だと言ったとしても皆殲撃11型と勘違いしてしまうだろう。

機体の色は藍色だ。

左を見ると、ザウルの戦術機ヴァローナが既存の戦術機では取れない動き、鳥のようで餌に飢えた獣のような動きをしている。

真っ黒なその姿はまさにカラス、でもあの戦術機をカラスと名付けたのはきっと、頭部のインパクトが強いからだと思う。

鳥の口ばしの様に、前に二等辺三角形のカーボンブレードが飛びだした姿はまさにカラスだ。

俺が今乗るジュラーブリクE型の発展型になるヴァローナは、肩部の円盤状の装甲に大型のスラスターが付いている。

背部にもスラスターが二機付いており、スピード特化と誰が見ても解る戦術機だ。武装は、胴部のガンマウントにそれぞれ突撃砲があり、両手にはフォルケイソード改、足にはラーストチカと同じ大型モーターブレード、上腕部にもモーターブレードが付いている。

正面から見たら、悪魔に見えるかもしれないな・・・。

斜め右後ろを見ると、リリアの真っ赤なラプター。

この戦術機は見た目特に大がかりな改造はしていない、各部間接や主機、跳躍ユニットを強化したくらいだ。

それでも目につくのが、その武装だろう。

120mm水平線砲・・・。

水平線にいるレーザー級を殺す事ができるそうだが、実際の所出来るのか解らない。

衛士の実力もあるだろうが、俺はリリア以外には使いこなす事が出来ないと考えている。

この狙撃銃には、試作となった銃が存在していて、ソイツは1200mmの弾丸を撃つそうだが、どんな化け物銃だよ!と突っ込んだのは割と最近だ。

原理は砲身内に並べられた薬室が順次点火していき、初速を早くするらしい。

見た目は戦術機でも持てるサイズになっているが、全長が戦術機と同じか少し小さいくらいだ。俺が持った所でうまく扱えずにデッド・ウェイトになるのは解りきっている。

ここ最近はリリアに狙撃の練習に付き合って貰っているが、リリアの腕は異常の一言で済まされるレベルなので、そのリリアでさえも扱いずらいあの銃は俺なんかには到底扱えない物だろう。

兄貴にその事を相談したら、砲弾にコンピューターを取り付けて二度砲弾側面の火薬パレットを爆破し制御して目標に命中させるため、狙う必要が最低限で良いようにしてくれたが、それだとせっかく世界共通で使っている120mm弾を使えないので、リリアに却下された。

だが、俺は知っている兄貴が実はその砲弾を作り続けているのを・・・、いつかリリアにばれたら、「余計な事にお金を使って!」と怒られるのだろうな。

それと、弾倉は背部のウエポンラックに弾倉コンテナを背負っている。

このせいで機体重量が増しているが、元々の戦術機が優秀なのもあり、イーグル位の速度は出すことができる。

俺が、どこの誰かに説明している間に突撃級が目の前に来る。

俺は、その突撃級をフォルケイソード改で下から掬い上げ剣の柄を地面に埋め込み足で固定して、突撃級とフォルケイソード改で人の字の形にする。

「ふぅ~、危な。」

俺は、その陰に隠れ一息ついていると目の前の突撃級が弾け飛ぶ。

「おわッ!!」

俺は、すぐに剣を拾い上げ後ろに跳躍した。

すると、俺の両隣りに銃を構えるラプターと血まみれのヴァローナが来た。

「和真、今の判断は間違いだよ?あの場合は固定せずに持ち上げた段階で殺さなきゃ。」

リリアが俺に通信越しで注意する。

「ご、ごめん・・・。」

「いいじゃねぇか!あれだけ、接近されて損傷しないだけ和真もレベルが上がったって事だろ?」

すかさずザウルがフォローしてくれる。

俺が入隊した当初は、ザウルが俺の間違いを正してくれていたが、初陣から帰るとリリアがそのポジションにいた。

おかげで、ザウルは仕事を奪われたと最初の内は愚痴っていたらしい。

まぁ、今では子供を叱る母親からさりげなく子供を慰める父親のポジションにいるが。

「もぅ~ッ!ザウルは和真に甘いよ~!」

「そんな事は、無いと思うけどな~?」

そんな緩い雰囲気の会話をしているが、仕事はきっちりこなしている。

BETAの群れが割れ重光線級や光線級が姿を現すと、リリアがそうなる事が解っていたかのように、的確に撃ち殺していき。

その間に近づいて来る小型種や大型種、主に戦車級を俺が殺していき、突撃級や俺が捌ききれない大型種をザウルが斬り殺していく。

これが、今の俺達の一番効率が良い戦術だ。

フォーメイションは、Iや∴や―などを特に指示も無しに変更していきBETAの海を掻き分けて行く。

俺の中では、もう当たり前の事だが、出会った当初はここまで息のあったコンビネイションを取れるとは思っていなかった。

俺は自然と笑顔になる。

「どうしたんだ、和真?」

そんな俺の様子に気が付いたザウルが聞いて来る。

「俺達三人が揃ったら、最強かも知らんなと思ってな?」

俺の言葉を聞きザウルとリリアは一瞬呆けるが、直ぐに笑顔になる。

「かもしれないじゃなくて、最強だ!」

「もう、ザウル!そんな事を言ったら和真が調子に乗っちゃうでしょ!?和真良い?和真はもっと強くなれるのだから、これくらいで満足しないで頑張らなくちゃいけないんだよ?」

リリアは直ぐに笑顔を取消、私怒ってます!!みたいな顔をするが、元々可愛い顔付のリリアは、そんな顔をしても全然怖くない。

俺は、その顔に笑いそうになりながら返事を返す。

「解ってるよ、俺はもっと強くなって2人を守れるくらいになるから、もう少し待っててな?・・・お姉ちゃん?」

俺のお姉ちゃん発言を聞き、リリアは一気に狼狽える。

「えっ・・・エッ!!い、今和真、私の事お姉ちゃんって!!も、もう一回言って!!」

そんなリリアを笑いながら要塞級をザウルと共に斬り殺す。

「嬉しいのは解るが、今は演習に集中しよう。なっ、和真?」

「了解!」

俺はザウルに乗っかりリリアをからかう。

「もぅ、二人とも!!」

リリアは頬を膨らませ抗議するが、俺達は笑ってごまかし演習を続けた。

演習を終えた俺達は、レオに呼ばれ格納庫に向かった。

「やぁ!待っていたよ。」

レオは、徹夜明けの壊れたテンションで俺達を迎え入れる。

「また会議なん?」

「あぁ、最近は特に忙しくてね。シャワーを浴びる暇すらないよ!ハ~ハハハハッ!!」

レオは、何とか眠気を吹き飛ばそうとしているのだろう、無意味に腰に手を当て大声で笑う。

「それで、俺達を呼んだ理由は?」

ザウルが痺れを切らし先を促す。

「あぁ、君達を呼んだ理由は和真君の新兵装が完成したからなんだ!!」

そんな話しを聞いていなかった俺は思わず聞き返す。

「新兵装?」

だがレオは、俺の質問を無視して歩き出した。

「ついて来てくれ!!」

俺達がレオの後を着いていくとシミュレーター室だった。

「ここに、新兵装に換装したジュラーブリクのデータを入れているから今からザウルと模擬戦をしてくれないか?」

「今から!?」

俺は、まだ試したこともない武装でザウルと戦わされると聞き思わず叫んでしまう。

「30分、時間を上げるからその間に和真君は兵装の特性を掴んでくれ。じゃ、結果は後で教えてくれると助かるよ。私は今から少し眠らさせてもらうからね。」

レオは言いたい事だけを言い残しシミュレーター室を出て行った。

「それじゃ、始めるか・・・。」

ザウルが溜息を零しながらそう言った。

 

30分後だいたい兵装は理解した。

今回変わったのは脚部だ。

脚部全体は一回り大きくなっており、下腿部からスカートの様に広がった装甲をしている。

なんでも、戦術機でホバー移動が出来るようにスラスターを着けているそうだ。

脚部が一回り大きくなっているのは、普段の装甲の上にホバー用の装甲を着けているからで、装甲と装甲の間に燃料タンクがあるらしい。

燃料がなくなるとパージが可能だ。

このホバー移動のおかげで本来主脚で走りながらの射撃では、射線軸が地面の凹凸で若干のブレが生じるが、これのおかげでブレルことなく射撃が可能となっている。

また、主脚で走ると足関節に少なくない負担をしいることになるがその負担も無くすことが出来るので、戦場での可動率が大幅に上がることになる。

これの装備に伴い下腿部前のカーボンブレードを大型モーターブレードに変更している。

今から、ザウルとの実戦だ!

戦術機のスペックでは、あちらの方が上だが今回は勝ちに行くわけでは無い。

俺が、どれだけ成長したかを見て貰うための戦いだ!

俺が意気込んでいると戦闘開始の合図が出された。

俺は早速脚部スラスターを使いホバー移動を始める。

速度メーターは400だ。主脚での走行ではこれだけの速度を出すことはまずできない。

俺は、市街地を滑るように移動しザウルを正面に来させるように移動する。

ヴァローナの瞬間加速は洒落ではすまない速度を出す。

並の衛士なら良くて吐血、悪くて死亡クラスの速度を出す。

だが、ほぼ近接兵装しかつんでいないヴァローナは確実に当てる事が出来、距離も離れている場所では良い的になる。

俺は、ザウルを誘導するように誘いをかけ移動していく。

そして、直線距離が10kmほどあり道幅が戦術機一体が通れるほどの道に誘い込むことに成功する。

俺は、即座に跳躍ユニットを前面に展開し急速後退し道の分岐点で待ち構える。

そして、ヴァローナが姿を現した瞬間に背部の突撃砲を合わせ合計四つの突撃砲の一斉射をする。

だが、ヴァローナは膝を曲げ体を後ろに倒し、地面スレスレをリンボーダンスのように進んできた。

「――――マジかよ!!」

俺はたまらずに銃口を下げるが、その瞬間にヴァローナは左肩スラスターを噴射しまるでバレルロールのように移動し銃弾を回避する。

俺はこの時点で作戦が失敗した事を悟り、急いで移動を開始しようとするがすでに遅く、ヴァローナはこちらに向かって来ていた。

俺は、逃げきれないことを理解し装弾数を無視してこちらに向かってくるヴァローナに再び発砲する。

ヴァローナは突然飛び上がり、曲線を描きながら向かってくる、しかも体を捻りながら・・・。

そして、オーバーヘッドキックの様に俺の頭部をその下腿部の大型モーターブレードで削り斬りに来る。

俺は、即座に右手の突撃砲を捨て上腕部のモーターブレードを展開し受け止めた。

俺は、居ても立っても居られずザウルに通信を繋ぎ抗議する。

「何を戦術機でムーンサルトしとんねん!!」

俺の抗議にザウルは笑いながら答える。

「キレイに決まっただろ?10点だな!!」

「いいや、0点や!!」

俺は、左の突撃砲でヴァローナを撃とうとするが、ヴァローナは体を回転させ左足の大型モーターブレードで突撃砲を切り裂く。

そして、その勢いで地面にへばりつくようにしゃがみ左足を軸にして回転し、右足の大型モーターブレードでジュラーブリクの両足を切断しようとする。

「まだまだーーッ!!」

俺は、脚部のスラスターを使い空中で足を屈める。

ヴァローナの足が通過する瞬間に左足の大型モーターブレードを展開ししゃがむヴァローナの頭部を蹴りつけようとするが、ヴァローナは俺の下を通り俺の後方で起き上がりフォルケイソード改のロケットを噴射し俺を叩き潰そうとする。

俺は、背部兵装担架の突撃砲を使いそれを防ごうとするが、それごと叩き切られてしまった。

俺の画面は瞬時に切り替わり、シミュレーターが終わった事を知らせる。

「ハァ~、もう少しいけると思ってんけどな・・・。」

俺はシミュレーターから降りながら愚痴を零す。

「和真は、もうちょっと射撃の精度を上げないといけないね!」

そんな俺にリリアが今後どこを重点的に鍛えて行くかを話していく。

「だが、結構良い線行ってたと思うぞ!!」

ザウルが話しに加わってくる。

俺は、二人にアドバイスを貰うことにした。

「どうすれば、リリアみたいに射撃がうまくなったり、ザウルの様に近接戦が強くなったりするんや?」

俺の問いにまずリリアが答えてくれた。

「射撃も近接戦もだけど、戦いにおいて経験が一番大切かな?後、心がけていることは、当てようとして撃つのじゃなくて、すでに当たってると思って撃ってることかな。」

「俺も、リリアと同じだな!経験を積んでいると言うことはそれだけ、場数を踏んでいると言うことだ!相手がBETAであれ人であれ、だいたいは似たような行動をとる。そこで、うまく立ち回るために経験は一番重要なことだ!だが、中にはその経験を上回る奴が出てくる。そういったBETAや人に勝ために、絶対的な自信を持つことが重要になってくる訳だ!そして、その自信をつけるために日々訓練をする。訓練をすることで、自信はつくし経験値も上がるまさに一石二鳥だな!!」

「う~ん、よう解らんな。」

「まぁ、いずれ解る時が来るさ!それじゃ、結果を報告に行くか!」

俺達がシミュレーター室を出ようとすると、レオと兄貴が入ってきた。

「やぁやぁ、終わったようだね!結果は・・・、ザウルの勝ちのようだね!」

レオは俺の顔を見て分かったらしい、続いて兄貴が話しかけてくる。

「和真、ホバーはどうだった?」

「俺の意見としては、不要かな。」

「意見を聞かせてくれ。」

「まず、地表を高速で移動出来るのは確かに良い事だけど、使える場所が限られてくる。ホバーを使うなら、BETAに平らに均された大陸では有効だと思うけど、市街地とか障害物が多い場所では移動できる場所が限られて、むしろ邪魔になってしまう。だから、BETAが大量にいるハイヴ内でももちろん使えない。ホバーを装備するなら、増槽を装備した方が良いと思うんや。でも、今は必要ないだけで何れ大陸内部のハイヴを落とす時は、周りのBETAを殲滅するために有効な移動手段やと思うで?」

「そうか、分かった!良い意見をありがとうよ和坊!!」

兄貴はそう言うと急いでどこかに向かった。

おそらく何か良い案が浮かんだのだろう。

「それじゃ、私達は食事に行くとしようか。」

レオが俺達に食事を提案し俺達はその案に乗ることにした。

 




ヴァローナ(鴉)ジュラーブリク(鶴)ラプター(猛禽類)です。

ヴァローナは、胸部をYF-23のようにしたビェールクトでその他の違いは本文の通りです。
ジュラーブリクE型ですが、Su-35を想像していたのですが、まだ愛称が無い事からこの名前にしました。何か、良い名前がありましたら教えて頂けたらと思います。

只今アニメ、トータル・イクリプスの帝都燃ゆにどう主人公達を絡ませるかを考え執筆しています。投稿速度が遅くなるかもしれませんが、わざわざこの話しを読んで下さっている人がいる限り頑張ろうと思います。これからも、お付き合い頂けたら幸いです。
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