Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior 作:はんふんふ
俺は、築地先生が部屋を出て行くと疲労感からすぐに寝てしまった。
次に、俺が目を覚ますと外は暗くなっており時計を見るとすでに午後11時になっていることが分かる。
俺は、喉が渇き部屋の外に出ることにした。
部屋の外は廊下で回りを見ると、扉が四つあり俺がいた部屋は一番手前の階段から一番近い部屋だとわかった。
病院と言うより民家といった方がしっくりとくる感じだ。
俺は、階段を下りていくと降りてすぐ右側に扉がありそこから光が漏れているのに気が付く、俺は軽く扉をノックして中に入っていった。
部屋の中はテーブルとイスとキッチンがあることから、ここはリビングだとすぐにわかった。
とりあえず、テーブルに近づいていくと築地先生がキッチンからコップを片手に出てきた。
「おや、五六君じゃないか! 体調はもう大丈夫なのかい?」
「はい、御陰様でもうすっかり良くなりました。」
「そうか、それは良かった! それより、こんな夜遅くにどうしたんだい?」
「すいません、少し喉が乾いてしまって何か飲み物を貰えないかなと……」
「わかった! すぐに用意するよ、少しイスに座って待っていて貰えるかな?」
築地先生はそう言って、キッチンに戻って行った。
「にゃ~」
「うん?」
俺は、鳴き声が聞こえた方を向くそこには、一匹の猫がいた。
「よ~しよしよし! なんだお前かわいいなぁ~」
俺はそう言うのと同時に猫を抱き上げそのまま膝の上に乗せて撫でまわす。
猫を愛でていると、築地先生がキッチンから帰ってきていた。
「その子は、タエって名前なんだよ。僕の病院の看板猫さ」
築地先生は、コーヒーで良かったかな? と言ってテーブルを挟んで俺の正面のイスに座る。
「良い機会だしここで、君のこれまでの話を聞かせてもらえないかな? 僕と君の話には食い違いがあるからね。」
俺も、気になっていたので話すことにした。
「それじゃ、説明さしてもらいます。」
話した内容は、俺の日本での生活、一日の疲れから部屋で寝ていたはずなのに気が付いたら森の中にいたこと森の中を三日間歩き回ったこと、空腹と疲労で道にでた瞬間に気絶してしまったこと。
その話を聞いていた築地先生は、何かを確かめるように俺に聞いてきた。
「僕の知っている日本と違うね。その話が本当なら、うらやましいよ……。
そうだ、君の日本から何か持ちこめているかい?」
俺は、築地先生の言葉を不思議に思いながらもポケットに入っていたDSを築地先生に見せた。
「これは、何だい?」
「これは、ゲーム機です。娯楽製品ですね!」
俺は、築地先生に遊び方を説明していく。
「すごいね……。こんな遊び道具アメリカにもないよ。」
その後、何やら数分考えそして難しい顔をして俺に聞いてきた。
「君は、今僕達がいるここが危険な場所だってことはわかるかい?」
「治安が悪いからとかですか?」
「違うよ。じゃあ、質問を変えるね、君はBETAを知っているかい?」
「BETA?」
「そう、 人類に敵対的な地球外起源種 通称BETA 人類はこのBETAと戦争をしているんだ。」
「なんですか、そのSFな話は? えっと、ツッコミ待ちですか?俺が大阪人やからですか? でも、俺大阪人やけどボケとかツッコミできひんのですみませんが真面目にお願いします!」
俺は、今後帰るための情報が欲しかった焦りから、少し怒り気味に言葉を返した。
「違うよ! これは、本当のことでね。人類はこのBETAのせいで滅ぼされかけているんだ」
築地先生の表情が、態度が、この話が冗談では無いと、すべて真実だと語っている。
でも、俺はそんな話、信じたく無かった。
だから、(冗談だよ。)その言葉がほしかったからさらに怒気を荒げて築地先生に言葉をぶつける。
「そんな、そないアホな話があるか! 宇宙人が地球に来て人類と戦争しとるやと! そないな話、今時小学生でも信じやんぞ!」
「落ち着きなさい。……残念だが本当のことだ、人口も後数年で、10数億人にまでなってしまうと言われている」
でも、俺の期待は裏切られた。
「ははっ! これは、夢かなんかですか? そうか! これは新手のドッキリですか? 止めてくださいよ。本気にしちゃうでしょ?」
「だから、落ち着きなさいと言っている。一先ずコーヒーを飲んでそれから、これからのことを話合おう。」
「はい……」
俺は、築地先生が入れてくれたコーヒーを飲むが味なんて全然わからなかった……。
「リラックスできたかな? それじゃ! さっきの続きをはじめるよ。君の話では君はBETAを知らない、そして平和な日本で暮らしていた。そうだね? そこで、二つ質問するよ?」
「……はい」
「まず一つ目、君の日本の名前は日本帝国で良いかな?」
「日本帝国? いえ、日本これが俺のいた国の名前です。」
俺がそう言うと、築地先生はDSを見てまた何かを悩みだした。
「それじゃ、二つ目君は今年が何年か解るかい?」
「へっ?今年は、2012年ですけど……」
そう俺が言うと、また築地先生はなにかを考え出した。
そして、何かを決心したようだ。
「今年は、1996年だよ。」
その答えに俺は、愕然とした。
知らん場所に飛ばされただけやと思っていたけど、タイムスリップしとるやと……。
俺は、頭の中の思考がグチャグチャになっていた。
「僕の考えを言ってもいいかな?」
「……どうぞ」
「君は並行世界から来たのだと思う。君はBETAを知らない、日本帝国人ではなく日本人、アメリカにも無い娯楽品を持っている。そしてこれが一番の決め手かな。」
そう言うと築地先生は俺の胸あたりを指差した。
「君の、シャツにプリントされている絵だよ。この世界でそんな物来ていたら殺されてしまうよ?」
俺は、築地先生に言われて自分のシャツを見た。
そこには英語で(I LOVE UFO)の文字とかわいらしい円盤型のUFOがプリントされていた。
確かに、戦争している相手が大好きだ! なんて言う奴がいたら殺されてしまうかもしれないと俺も納得した。
「じゃあ、もし仮に俺が並行世界から来たとするなら俺はこれから先どうすればいいんや……」
俺は、帰る家が無いことに絶望し目に涙をためた。
「うん、そのことで1つ提案があるのだが、君ここで暮らさないか?」
築地先生から、予想外の提案を聞いて俺は驚いた。
「でも、良いんですか? 俺みたいな訳の分からん奴を置いといて……」
「別に構わないよ! 僕もこう見えて結構忙しくてね! 助手が欲しかったんだ。」
そう言われて俺は嬉しさから、声を出して泣いてしまった。
そんな俺を築地先生は困ったなと、泣き止むまで待っていてくれた。
「すみません、もう大丈夫です。」
「そうかい? それにしても、和真は良く泣くね。」
築地先生は笑いながらからかう。
「泣き虫ですいません……」
「別に構わないよ。泣けるというのは良いことだからね! それより和真、君は何歳だい?」
「16歳です。」
「そうか、やっぱり助手の方が良いね。」
「えと、どう言うことですか?」
「さっき僕は、この世界がBETAと戦争をしていると言ったね?」
「はい。」
「その戦争で人口が減ったことも言ったよね?」
「……はい。」
「つまり、兵士がいないから徴兵の年齢を下げてまで兵士を増やしているんだ。」
「何歳から徴兵されるんですか?」
「16歳からだよ……。」
俺は戦慄した、子供が戦場に出ていると聞いてそこまで人類は追い込まれているのかと。
「それに、女性も徴兵の対象にされているんだ。」
「な、なんで女性まで!」
「さっきも言った通り兵士の数が足りないんだ。男は最前戦で戦って死んでいく男だけじゃ戦っていけない、だから女性も徴兵されだしたんだ。」
「だ、だったら築地先生はなんで大丈夫なんですか?」
「僕は、医者だからね。ただでさえ皆戦場に行っているのに医者まで戦場に行くと残された人達を助ける人がいなくなる。それに、僕は生まれつき体が悪くてね……徴兵を免れたんだよ。」
「じゃあ、俺は徴兵されるんですか?」
俺は、自分が戦場に無理やり立たされると思い恐る恐る聞いてみた。
「だからこそ、医者の助手として働かせるわけだ! そうすれば、最悪徴兵されても言い訳はできる。」
「どういうことですか?」
「和真は、16歳だろ? 本当なら戦場にいるはずだ、なのにここにいる。もし軍に見つかったりしたら敵前逃亡したと勘違いされて最悪銃殺刑だよ?」
こともなげにそんなことを言ってくる。
もしそうなら、敵前逃亡の兵士を匿っていたとして先生も危険になるのではないかと思い俺は、聞いてみた。
「な、なんで築地先生はそこまでしてくれはるんですか?」
そう俺が聞くと、築地先生は何バカなことを言っていると呆れた顔をした。
「僕は医者だよ! 折角助けた命を簡単に捨てさせるはずないだろう?」
その言葉を聞いて、俺はまた泣いてしまった。
「和真は本当に泣き虫だね。」
築地先生は優しく笑っていた。
「なんども、すみません。改めてこれから、よろしくお願いします。」
俺は、笑顔でそう言ってからイスから立ち上がって頭を下げた。
「はい。こちらこそ」
そう言った築地先生も笑顔だった。
「でも、なんで俺が並行世界の人間だって思ったんですか?」
「うん? あぁ、私の古い知り合いにねそういった研究をしている子がいるんだよ! まぁ、その子に影響を受けてしまったのかな……。」
「そう、ですか……。」
俺達はその後も、色々話しあった。
連続投稿させて貰いました。
二話も読んでいただきありがとうございます。
今後も続けていくのでよろしくお願いします。
補足説明
築地先生は、和真が精神的に参っている可能性があると予想を立てて話を合わせた。
今の世界情勢では、そう言った人物は薬漬けにされ戦場に送られるか、最悪処分されるのを知っているからである。
そのため、目の届く範囲で精神病かどうかを確認するために提案した。
実際に助手が欲しかったのも理由の1つだが、彼が異常なまでに優しい人間であり和真を見捨てる事ができなかったのが最大の理由である。