Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior   作:はんふんふ

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誰がために

あれから、一月近く立っている。

俺達は、戦術機母艦ロイヤル・スウィーツに乗り琵琶湖に来ていた。

俺は落ち着きなく衛士強化装備を身に纏い、格納庫を歩き回る。

俺の足音は周りで動き回る整備員の足音と怒声に掻き消される。

俺は、邪魔になるのを頭では分かっていたが体が言う事を聞かない。

「くそっ、くそっ!!」

苛立ちだけが、募ってくる。

俺をこんな気分にさせる唯一の存在、それはBETAしかいない。

等々、奴らは日本に来やがった。

しかも、都合よく大型台風が通過している最中にだ。

これのおかげで、戦艦からの支援射撃を得られなかった戦線は瓦解寸前にまで持っていかれた。

半要塞化されていた九州は、次々とBETAの山を築いていったが数が想定以上だったのと、第一陣から光線級が来たことにより混乱状態となりながらも、何とか第一波は耐え忍んだ。

だが、間髪入れずに中国地方にBETAが上陸。

補給部隊とそれを護衛する部隊が壊滅した。

そして、九州戦線は前と後ろから挟み撃ちを食らう形となり九州は敵の手に落ちた。

そして、九州を蹂躙したBETAは、北上し中国地方を飲み込んだ。

四国は、国連軍、アメリカ軍の海軍が砲撃により何とか持ちこたえてくれていたが、弾薬が底をついた瞬間に四国は落ちた。

ここまで、本当に良いようにされている。

しかも、日本進行とほぼ同時期にマンダレーハイヴ、重慶ハイヴ、ブラゴエスチェンスクハイヴ、ウランバートルハイヴからも大規模侵攻が確認され、統一中華戦線、大東亜連合、樺太のネフレ、そして各国連軍は対応に追われている。

避難民は退去がすんでいると発表しているが本当の所は解らない。

だからこそ、俺は慌てている。

日本には、守りたい人達が場所が心があるからだ。

「和真、もうじき出撃する。ブリーフィングルームに来い。」

ザウルが呼びに来た。

ザウルも何か思うところがあるのだろう。

ついこの前皆が笑っていた場所が戦場に早変わりしたのだ、無理もない。

俺は、ザウルの後を追いかけブリーフィングルームに向かった。

ブリーフィングルームに到着すると、ディスプレイにレオの顔が写っていた。

レオは、この船には乗っていない。

第一町で各所に指示を出している。

「皆集まったね?」

俺達は背筋を伸ばす。

「君達トイ・ボックスの任務は豊岡市一帯に確認された光線級の排除だ。まず、ファンデーションを使い日本海側から進行しBETA群を側面から叩く。途中で君達はすでに向かっている帝都防衛第八師団第一戦術機甲連隊と共にレーザーヤークトを行ってくれ。これが成功した後に、ファンデーションを使った航空爆撃による面制圧を行う。・・・最後に、これが終わったらまた日本で遊ぶとしよう!私は満足に観光が出来なかったのでね!」

「「「了解!」」」

「・・・頼んだよ。」

そして、レオの顔がディスプレイから姿を消す。

「聞いての通りだ。訓練通りいけば楽勝だ!・・・それじゃ、行こうか!!」

 

ザウル達はブラーミャリサに乗っている。

ラプターとヴァローナは、今整備中で完全にばらされており間に合わなかった。

ブラーミャリサは俺より先に格納庫から出て行く。

「和真機後部エレベーターに移動を始めて下さい。」

俺は、体の奥底から力をねじり出す。

「俺が、守るんだ・・・、俺が守るんだ!!」

そして、俺のジュラーブリクE型はファンデーションに接続される。

「進路クリア!ファンデーションの操縦権を譲渡します!」

「アイハブコントロール!!」

「御気御付けて・・・。」

「はい!・・・行きます!!」

そして俺は、闇夜に全速で飛び出した。

 

俺達は最短経路で進むために山間部を突き抜けて行く。

時速は常に1000をキープしている。

周りの景色が流れるように通り過ぎて行く。

それを山々に当たることなく突き進んで行けるのは、ファンデーションを自立飛行にしているからだ。

これにより、人間では対処しきれない細かな動きをすることが出来、これのおかげで難なく進んで行くことができる。

「日本海に一端出るぞ!その後は、自立飛行を解除し一気にBETA側面に攻撃を仕掛ける。すでに、帝国軍は戦闘を始めている、急ぐぞ!!」

「了解!」

俺達は静神社の上を飛び越え、日本海に飛び出し沖合に出る。

そこで、速度を1300に変え大きく円を描くように方向を変える。

そして、円山川に水面ギリギリで侵入する。

「BETA群を確認!数は、2万です!」

「大判ぶるまいだな!!そして、ビンゴだ!」

前方を確認すると、少し開けた箇所に要塞級の群れがひしめき合い、その足元に大量のBETAが居る。

その中に光線級を見つけた。

「ミサイル全弾発射と同時にファンデーションをパージ!その後両側面から、ぶちかましている帝国軍と合流する!」

「了解!」

川を挟んだ両側の山からまるで、映画のワンシーンのように銃弾が吐き出されている。

それはもはや銃弾の雨、その雨は光線級を排除しようと要塞級の足元に降り注ぐ。

だが、その暴風雨は要塞級の屋根とその他のBETAによる傘で守られていた。

「食らいつくせ!!」

俺はミサイルを撃つために少し高度を上げ要塞級の足元に狙いを定めファンデーション底面に搭載されたミサイル計16発を全弾発射した。

「当たれーーーー!!」

俺の叫びと共に吐き出された俺とザウル達の計36発のミサイルは唯真っ直ぐ吸い込まれるように突き進む。

このミサイルはフェニックスのような高価なミサイルと違いただ真っ直ぐ進み当たれば爆発するだけのミサイルだ。

だが、BETAが高性能コンピューターが搭載されている飛翔物を優先的に破壊するなら、このミサイル達はこの状況下では対処までに時間がかかる筈だ。

その代わり・・・。

「初期照射くるぞ!パージしろ!!」

人間と高性能コンピューターが搭載されている戦術機がセットで居れば先にそちらが狙われる。

俺がファンデーションをパージしたと同時にアラートが鳴り響く。

そして、俺から離れたファンデーションは照射元に向かって真っすぐに最大加速で突き進む。

ブラーミャリサが進行方向左側の木々の中に姿を消し俺は、右側の木々の中に戦術機を強引にねじ込む。

それと同時に着弾の知らせとファンデーションが破壊された知らせが同時に画面に映し出された。

俺は、木々をその体で薙ぎ倒しながら、暴風雨の下へと急行した。

「和真無事か?」

ザウルから通信が入る。

「はい!各部以上無し、大丈夫です!」

「よし、今帝都防衛第八師団第一戦術機甲連隊からデータリンクでターゲットリンクをした。データが行ったろ?」

俺の画面には、赤一色の戦域地図の中に黄色の点が生まれて行く。

「そこに、光線級がいる。距離で言えばだいたい800m先位にいやがるな、だがそこには要塞級がおり周りにもBETAが大量だ。帝国側も連隊から大隊規模まで損耗している。向こうの隊長さんと協議した結果、二手に分かれることになった。

まず、ここから援護射撃をする部隊と、突撃する部隊だ。さっきのミサイルで道を切り開く切っ掛けは出来たらしいな。俺達は突撃部隊の方に回る、良いな!」

「了解!」

そして、一端通信は閉じられた。

それと同時に、目の前に帝国軍の中隊が姿を現す。

彼らの乗る戦術機は不知火と吹雪だった。

「こちら、国連太平洋方面第9軍、五六和真少尉です。」

俺が通信を繋げると、中隊の隊長と繋がる。

「こちら、帝都防衛第八師団第一戦術機甲連隊所属、草木 春(くさき はる)中尉です。日本のために来て頂き感謝します。・・・あら、あなたは。」

「えっと、俺の事をご存じなのですか?」

「あら、私の事忘れちゃったの?あんなにも、寄り添っていたのに・・・。」

俺はそこで気が付いた。

「あなたは、俺を助けてくれた。」

「そう、あの時は間に合って良かったわ。でも、こうやって戦場で再開するのは嫌だったわね・・・。」

「・・・はい。」

「でも例え2機でも来てくれて助かったわ、ありがとう!」

「お言葉ですが中尉、俺達は2機で中隊規模の戦果を出してみせますよ?」

「ふふ、頼もしいわね!」

「中尉、部隊の弾数はまだ行けますか?」

「少し、心もとないわね・・・。」

「だと思いました。これを使って下さい。」

そう言って俺は背を向ける。

この1か月で新たに変更された俺のジュラーブリクE型の装備、それは肩部を変更し突撃砲をそれぞれ2つ取り付けてある。

背部には、恐竜の背鰭のようにマガジンが取り付けてある。

俺は、そのマガジンを取るように進言する。

「随分変わった装備をしているのね?感謝するわ!各機、12から順次弾薬を補充させてもらえ!国連軍からのプレゼントよ!」

そして、俺の背部のマガジンをすべて渡した。

今回日本に来るに従い、突撃砲も日本式に変更されている。

「ありがとう、これで十分に援護が出来るわ!でも、良かったのすべて渡してしまって?」

「えぇ、もともとそのつもりでしたし、これで軽くなりましたから全力で戦えます!」

「ありがとう・・・。あなたの、背中は私達が全力で守るからね!」

「はい!お願いします!!」

俺がそう言うと同時にザウルから連絡が入る。

「和真!そろそろ行くぞ!!隊形はウェッジワンだ!俺達は隊の中間位置になった!」

「了解!」

そして、射撃部隊からの弾幕を合図に俺達は山から姿を現す。

着地をする頃には隊形は出来上がっていた。

「突撃!!」

隊長の声に押される形で1つの弾丸と化した俺達は、BETAの群れに突き進んだ。

 

後方から弾丸が飛んで来る。

その弾丸は俺達を通りこし前方のBETAに当たり赤い道を作り出していく。

近づくものはすべて蹴散らすと、BETAの中を突き進む。

戦域地図には、俺達の周りに敵が群がってくるのが解る。

だが、俺達を中心に円を描くように敵がいない。

近寄られる前に撃ち殺しているからだ。

だが、銃弾なんてものは直ぐに底をつく。

最前列に居る帝国軍の不知火はBETAの群れの中間位置に辿りついた時には、すでに弾薬が無く。

近接長刀を抜いていた。

俺は、十八番の空間範囲の力をフルに使い肩と左手の計5つの突撃砲を触覚のように使い援護する。

隊の皆の戦術機はすでに元の色が解らない位にBETAの血に染まっている。

不知火がその鋭利な刀で要撃級を通り過ぎる時に斬り殺し、その直後現れる戦車級を俺が打ち抜き守る。

未だBETAの肉壁の先に居る要塞級が移動を始める。

それと、同時に目の前の壁が開けて行く。

その先に待つのは光線級だ。

だが、リリアとザウルのブラーミャリサは光線級が姿を現した瞬間に吹き飛ばしていた。

「ヒュ~ッ!」

「やるわね!」

「俺達も負けちゃいられないな!」

その技術を目にした帝国軍から賛辞が贈られる。

俺も自然と笑顔になる。

これくらい当たり前のようにこなすのがリリアとザウルなんだ!

俺もトイ・ボックスとして恥ずかしくない様に36mm弾を撃つ。

あたる箇所は突撃級の足だ。

「当たる。これも当たる。」

俺は撃つ前から当たるのが解っているように撃って行く。

確実に俺の射撃レベルは上がっていた。

そして、遂に光線級の群れに辿り着いた。

だが、そこには要塞級4匹が巨塔のように聳え立っており。

俺達をアリのように見ているとさえ感じた。

「要塞級の鞭には気を付けろよ!全機食い荒らせ!」

そして、1つの弾丸は内蔵されていた散弾を飛び散らせるように弾け飛び。

エレメントを組んで光線級を手当たり次第に殺していく。

「ここからは、時間との勝負だ!既に琵琶湖からは六機のファンデーションが大量の爆弾を積んでこちらに向かっている。さっさと片付けるぞ!」

ザウルからの通信に俺は右手のフォルケイソード改を光線級に突き刺し答えた。

 

戦域から光線級が姿を消し俺達の作戦が成功した事を知らせる。

「全機急速離脱だ!急げ!!」

後数分でこの辺り一帯は火の海と化す。

俺達は急ぎ隊形を整え離脱しようとする。

だが、一体の不知火が来ない。

「どうした!04!?」

「跳躍ユニットと脚がいかれました。・・・隊長、置いて行って下さい。」

そう言う04に隊長はすまないと言い離脱しようとする。

だが、俺は隊長が言い切る前に04の元に向かって行った。

「何をしているトイ3!すぐに引き返せ!!」

「すみません!先に離脱して下さい!!すぐに俺も向かいます!」

俺はそれだけを言うとロケットを最大で噴射し04の元に向かった。

 

「えぇい!ザウル大尉、よろしいですか?」

隊長機の不知火から通信が入る。

「えぇ、我々は即座に離脱しましょう。アイツは、やるといったらやる男ですから。」

「了解した。全機離脱だ!」

通信を切ると後ろの席からリリアが話しかけてくる。

「また無茶をして・・・。」

「な~に、リリアの腕なら離脱しながらでも援護射撃が出来るだろ?」

「・・・帰ってきたらお仕置きだね!」

和真は強くはなったが弱くもなった。

もしここで、見殺すなんてことをしてしまったらアイツは本当の意味で壊れてしまう。

「それじゃ、余り急がずに離脱しようか?」

「うん!」

 

俺は、猛スピードで不知火の前に到着し周りに集ろうしていた戦車級を五つの突撃砲で撃ち殺す。

「早くコックピットから出て下さい!急いで!!」

俺は、肩部四つの突撃砲をオートに設定し左手の突撃砲を捨て不知火のコックピット横に着ける。

中から04が姿を現しジュラーブリクの腕に飛び乗る。

俺は落ちないように慎重にコックピットに寄せて行く。

そして、コックピットを開け中に04を入れ後ろの座席に座らせた。

「離脱します!」

立ち上がり離脱しようとすると目の前に要塞級がいた。

俺は慌てて跳躍ユニットを噴射し流れるように要塞級に向かって上昇、通り過ぎる時に接合部を切り裂いた。

崩れ落ちて行く要塞級を後ろに俺は、BETAの海を飛び越えて行く。

「大丈夫ですか?」

俺は後ろの座席に座る女の子に尋ねる。

だが、返事は無言で返された。

俺は慌ててバイタルチェックするがどこにも異常はない。

「あの、大丈夫ですか?」

俺は再度問いなおした。

「・・・なんで助けたの?」

だが、帰ってきた言葉は予想外の言葉だった。

「なんでって・・・。」

「あの場面では、私を見捨てるべきだった。隊のことを考えるなら来るべきではなかった。あなたの独断専行で隊にどれだけの危険が及ぶか誰にも分からないのよ?」

その通りだ、隊の皆が生き残る最善の道を考えるなら、俺は来るべきではなかった。

この1を捨てることで、隊の皆を安全に退避させることができた。

それでも、俺は出来なかった。

この人が危ないと解った時には体が動いていた。

それは、贖罪なのかもしれない。

初陣の時に助けられなかったあの子の代わりにこの人はと、どこかで考えていたのかもしれない。

「・・・すみません。」

俺には謝る以外の言葉は見つからなかった。

「謝らないでよ・・・。ぐす、ひっ・・・。」

後ろの席から泣声が聞こえて来る。

「ひっく・・・恐った、もう死ぬしかないと・・・思って・・・食べられると思って・・・。」

俺は、ただ黙って聞いておくことしかできなかった。

 

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