Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior   作:はんふんふ

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別れ

気が付くと俺は、戦術機を歩かせていた。

現在位置を調べると、保津峡だった。

どうやら、俺の戦術機はザウル達に操縦権を取られていたようだ。

「すみません、もう大丈夫です・・・。」

俺はザウル達に通信を繋げる。

「本当に大丈夫なんだな?」

「はい。」

「・・・わかった。」

操縦権が俺に返される。

俺は斜面を出来るだけ、戦術機に負荷がかからないように歩く。

「俺達がBETAに抜かれた事は、伝えた?」

「あぁ、伝えた。新たに防衛戦を構築するそうだ。」

「そっか・・・。」

歩く、踏みしめる地面が雨のためかぬかるんでいる。

生きなければならない、生きてBETAを殺さなくてはならない。

俺達の夢の為に邪魔する存在は消さなくてはならない。

そんな奴らには、この世界で生きる資格すらない。

俺の中では、悲しみが怒りに怒りがさらなる糧になり、憎しみを燃やす。

「もうすぐで、嵐山補給基地だ。先に向こうのCPには、連絡を入れてある。先を急ごう。」

「了解。」

さらに、歩く。

「うわっ!」

「キャッ!!」

ザウル達の声を聞き俺は嫌な予感をすべて頭から追い払う。

「ザウル!リリア!!」

2人の乗るブラーミャリサは雨でぬかるんだ、斜面に足を取られ崩れる地面事落ちて行く。

2人の、戦術機は跳躍ユニットの燃料もすでに無く、緊急浮上することも出来ない。

俺は、戦術機を器用に扱いながら、二人を追いかけた。

ブラーミャリサは、何とかスクラップになることなく地面に横たわっていた。

「2人とも無事か!?」

俺は急いで、ブラーミャリサの操縦権を奪い、コックピットハッチを開ける。

そして、俺は戦術機の腕をその横に着け、それに飛び乗り中の様子を確認する。

「ザウル!リリア!!」

「和真・・・、ザウルが、ザウルが。」

「―――ッ!!」

俺は直ぐに中に入り確認する。

すると、ザウルの腹部には破損した部品が当たったのか大きな切り傷が出来ており、そこから血が大量に流れ出ていた。

「は、早く応急処置しやんと!!」

俺はファストエイドキットを取り出し、手早く応急処置を済ませて行く。

そして、正気に戻ったリリアの肩を借りる形で、俺の戦術機に乗り込んだ。

「早くちゃんとした治療しやんと!!」

俺は、戦術機を起き上がらせる。

「うるせぇな・・・。」

「ザウルっ!!」

「おう、リリア!無事か?」

「私の事より自分の心配をして!!」

「ハハハハッ、悪い・・・。」

俺は先を急いだ、だがロケットモーターを使って移動すれば、ザウルの傷口は開いてしまうかもしれない・・・。どうすれば!

歩くにしても、足場が不安定で危ない。

そこで俺は思い出す。

ホバー装甲を兄貴につけられ四苦八苦していた時の助言を。

 

「良いか和真!俺がやって欲しかった事はだな、羽みたいな動きだ!」

「羽!?兄貴良くわからんよ?」

「つまりだな、今回の和真は、二次元的な動きしかしなかったろ?」

「まぁ、ホバーやしそうやな。」

「それじゃないんだよ!俺がやって欲しかったのは、ホバーを使っての流れるような動きだ!これが出来れば、急速な方向転換で生じる各部の摩耗を最小限に出来るし、ザウルみたいな多角機動にも、最小限の燃料で対処が可能となる。しかも、コックピットも大きく揺さぶられないから、衛士にとっても助かる筈だ!俺の言いたい事が解るか!?」

「よく解らん!」

「オイっ!!」

 

流れるような動き、最小限の機動、衛士に負担を駆けない、羽。

俺の中で何かが、カチリと音を立てる。

そして、父さんを殺した時のような頭がキリキリする痛みが襲ってくる。

湖の中心にいる俺を周りの腕が締め上げて行く。

だが、その時には世界が遅く見えた。

斜面を転がる岩も、風に揺れる木も俺の指も、計器類の反応もすべてが遅く見えた。

そして、遠くにある望遠にしなければ見えない筈の物まで見える。

筋肉が痛む。

神経に流れる微弱な電気信号を感じることが出来る。

俺が握る操縦桿から本来ならあり得ない、ミシミシと握りつぶしてしまいそうな音がする。

「守るよ、俺が守るから!」

そして、俺はジュラーブリクを動かした。

すべてが遅い、すべてが見える。

俺の操るジュラーブリクを神の視点でアクションゲームの様に見ているようだ。

操縦桿を握る力も加減しなければ壊れてしまいそうだ。

俺は、戦術機を川を流れる木の葉のように、風に揺られる羽のように、最小限の動きで、ジェットエンジンを使い移動する。

ザウルがどの程度の速度まで耐えられるかそれすら、分かったような気がする。

俺は自分の感覚を信じて突き進んだ。

そして、遂に嵐山補給基地に到着することが出来た。

カタパルトには、すでに衛星兵が待機してくれている。

リリアが伝えてくれたのだろう。

俺は、カタパルトに着陸し気を抜いた瞬間に激しい痛みに襲われ気を失った。

 

「ここは・・・。」

俺が目を覚ますと、辺り一面が真っ白な部屋にいた。

横を見ると、ザウルが寝ている。

呼吸も整い苦しそうには見えない。

どうやら間に合ったようだ。

「目が覚めたんだね、和真。」

ザウルの寝顔を見ていたリリアが俺に気が付き声を駆けてきた。

「リリア・・・。」

「ここは、嵐山補給基地だよ。それと、ザウルは無事だから安心して。」

「そっか・・・良かった。」

俺は心底そう思った。

このままザウルまで失ってしまったら・・・。

俺はそこまで考え頭を振るう。

馬鹿な事考えてんじゃねぇ!そんな事、あるわけないだろ!

その時、もう聞きなれた爆音が基地内部まで聞こえて来る。

地響きが蛍光灯を揺らす。

「そんな・・・、京都まで戦場に・・・、それじゃあ、俺達がしたことは皆の死は無駄だったのか・・・?」

俺は、その余りにも無情な現状に嘆いた。

あれだけの被害を出して、あれだけの思いをしたのに、まだ苦しませるのか。

「和真ッ!!」

リリアの聞いた事も無い本当の怒声が室内に響く。

「彼らは無駄死にじゃない!!私達が、それを認めたら本当に彼らは無駄死にしたことになる。彼らが、あそこで頑張ってくれたからこそ、今まで京都が戦場になることはなかったのだから・・・。」

俺はそれに頷いた。

決して彼らは無駄死になんかじゃない!俺達がそれを証明すれば良い、後の人達に彼らを語り継ぐ、それが生き残った衛士の務めなのだから。

「うっ・・・ぐ・・・ッ!」

俺は悲鳴を上げる全身の筋肉を無理に動かし立ち上がる。

脳ミソがキリキリ痛む。

俺はそれを無視して、屈伸し体にまだまだ頑張れと喝を入れた。

ベッドの横を見ると、俺のショットガンとククリナイフが目に入る。

俺は、それらを装備する。

「和真?」

「リリア、俺のジュラーブリクはどうなった?」

「私達が来る少し前に、ここから近衛の衛士が戦場に向かったそうだよ。タイミングが良かったんだね。整備員の人達が避難する前に出来る限りの事はしてくれたよ。」

「じゃあ、ここにおるのは俺達だけ?」

「違うよ、私達以外だと、後はCPの人達だけが残ってる。ここから、出て行った子達は、まだ訓練兵なのを繰り上げ任官された子達なんだって、その子達が無事に帰還するまではここに残るって・・・。」

日本はそこまで追い詰められているのか・・・。

まだ満足に訓練を終えていない衛士を戦場に出さなければいけない程に・・・。

「ロイヤル・スウィーツから連絡は?」

「ザウルが負傷、ブラーミャリサの破棄、これらから私達の任務はもう終わってる。だから、迎えに来たいらしいけど、光線級の姿も確認されてるから、私達はここに待機だって・・・。アメリカとネフレは国連を通して日本に京都に砲撃、爆撃による面制圧を敢行するように圧力をかけてる。多分直ぐに行われると思うから、私たちはそれによるBETAが制圧されるまでの間、ここに隠れろだって。」

「・・・そっか。」

俺は脱力した様にベッドに腰掛ける。

本当なら今すぐにでも、飛び出して行きたい。

それでも、すぐに面制圧されるなら俺が行ってしまえば邪魔になる。

俺の命はネフレにとっても今は必要な物なのだから。

「それじゃあ、俺達も出来るだけ情報を集めるためにCPの所に行こうか!」

そう言ってザウルは上半身を起こした。

傷はすでに縫われ塞がっているとは言っても危険な状態には違いない。

「横になっていないとッ!」

リリアが叫ぶ。

「大丈夫だって!ほれピンピンしてるだろ?」

ザウルはリリアの頭を撫でながら、立ち上がる。

「でもっ!」

「大丈夫、俺は大丈夫だから・・・、ネフレに来る前はこんなの日常だったろ?」

リリアは、それを聞き黙り込んでしまった。

「良し、行くとするか!!」

ザウルは、日本側に用意して貰った服に袖を通す。

そして、廊下に出て行った。

俺達はそれに急いで付いて行く。

そして、廊下に出た時にそれは起こった。

基地全体が揺らぐ、まるで横から叩きつけられたかのように激しい横揺れが俺達を襲った。

「な、なんや!」

動揺する俺にザウルが叫ぶ。

「リリア、和真走れ!格納庫にあるジュラーブリクまで急ぐぞ!」

俺達は、脇目もふらずに走る。

「リリア、補給はすんでるんだよな?」

「うん!」

「良し!手遅れになる前に辿り着くぞ!」

そして、格納庫に向かう途中で爆音がすぐ後方で聞こえた。

そして、壊された壁の中から何体もの闘士級が姿を現す。

「――――ッ!!」

アイツはくまさんを殺した!!

闘士級がこちらに飛び掛かろうとするが、ザウルが俺の手からショットガンを奪い取、蜂の巣に変える。

「走れッ!!」

俺達は走る。

格納庫の場所を唯一知るリリアを先頭に息が切れるのを無視して走る。

「もう少しだよ!」

リリアがそう声を駆けてきた時、また轟音が聞こえた。

そして、壁の中からホラーゲームの様に醜い姿をした小型BETAが這い出してくる。

そして、俺達は逃げるように走る。

だが、俺は気付いた。

ザウルが横にいないことに―――。

「ザウル!!」

俺が後ろを振り向くと笑顔のザウルがいた。

ザウルは横腹を押さえている。

傷が開いたのだろうそこからは、滝のように血が流れ出していた。

俺がそれを見て息を飲むとザウルは笑顔で俺にこう言った。

「リリアを、―――後を頼んだぞ。」

隔壁が降りて行く。

俺とザウルの間に超える事ができない死の壁を築いていく。

ザウルの後方からはBETAが溢れ出している。

助からない、ザウルはここで死んでしまう。

俺は硬直していた体を殴り付け、無理やり動かしザウルの元に向かおうとする。

だが、俺の腕をリリアに掴まれ進む事が出来なかった。

「リリアッ!!離せ、離してくれッ!!ザウルが、ザウルがこのままやったら・・・、リリア!!」

錯乱状態の俺はリリアの顔を見ようともせずに、腕を振り払おうとする。

バシンッ――――。

俺は、リリアに頬を叩かれていた。

「ザウルは、私たちを逃がすために残ったの・・・。彼の思いを無駄にしないで・・・。」

リリアは悔しさと怒りを含んだ涙目を俺に向ける。

俺は、その瞳に何も言えずにそのまま、リリアに腕を引かれた。

後方では、数発の銃声と扉が閉まる音が響いた。

 

「行ったか・・・。」

目の前の闘士級を撃ち殺しながら、昔の事を思い出す。

オルタネイティブ3計画なんて訳の分からない計画に招集された俺、そこで紹介されたリリア、初めの頃はこちらの心を覗かれているようで怖かった。それは、戦場でも同じだった。

仲間が何人も訳の分からない計画の為に死んだ。

俺の憤怒の怒りは国に対して、そして銀髪の悪魔にしか向けることが出来なかった。

でも、俺は見てしまった。

コイツの事を忌み嫌っていた俺の仲間もそいつらと同じ戦術機に乗っていたアイツの家族も、1人でそいつらの墓を泣きながら作っているリリアの姿を・・・。

それから、俺は変わった。

リリアを1人の人間として見ることが出来た。

嫌、その俺以上に人間らしい彼女の影に隠れることで、自分を人間だと思っていたかったのかもしれない。

そして、俺達は軍を脱走しレオに拾われた。

そして、初めに連れて行かれたのが辺り一面が、太陽の様に輝く向日葵畑だった。

俺は、そこでネフレに嫌、レオに忠誠を誓ったんだ。

世界中の人達に、こんなにも綺麗な景色があるんだって教えたかったから・・・。

そこまで、思い出し向かってきた戦士級を打ち殺す。

弾はこれでもう無くなった。

さらに後方からは、闘士級が姿を現す。

そこで、俺はふと目蓋を閉じると、あの向日葵畑に立っていた。向日葵畑の中でリリアが白いワンピースに麦わら帽子の姿で向日葵畑の中を楽しそうに走り回っている。その隣を和真がリリアに注意しながら走り、レオが俺の隣で笑っていた。

俺が手を伸ばすとリリアは俺に振り返り、俺の傍に来て手を握りながら微笑んでくれた。

「またお前と、向日葵の花を見たかったな・・・。」

 

「はぁ、はぁ・・・。」

俺は唇を噛み締め、涙を出さないように必死に耐える。

じゃないと、俺以上に辛いはずのリリアに俺は二度と顔を合わせる事ができない。

それに、俺はザウルにリリアを任された。

なら、俺がしっかりしなければいけないんだ。

俺は自分にもう何度目になるか解らない、言葉を心の中で吐きかける。

そして、等々格納庫に辿り着く事ができた。

だが、大型のBETAがすでにカタパルトに上ってきている。

時間が無い。

リリアは急いで、パイロンに繋がるエレベーターを押す。

普段なら待つことが出来る数秒が、今は数時間に感じられる。

その時、後方のコンテナが爆発した。

俺は、リリアを庇おうとするが逆に抱き締められ、リリアを盾にしてしまう。

「リリア――ッ!!」

俺は急いで俺に被さるリリアに声を駆ける。

顔を上げたリリアは苦痛に顔を歪めながらも、俺に肩を借り立ち上がりエレベーターに向かう。

だが、エレベーターはまだ開いていなかった。

「くそッ、早く来いよ!」

忌々しげに毒づく俺に肩を借りながらリリアが、苦しげに聞こえるか聞こえないかの声量で話しかけてくる。

「和真、生きてね・・・。あなたは、生きて世界を変えてね。・・・この先辛い事ばかりだと思うけど、大丈夫・・・。いつも私とザウルは一緒だから・・・。」

リリアは、苦しそうに息を吐きながら言葉を紡いでいく。

聞きたくない、そんな言葉は聞きたくない!

俺は、ザウルに頼まれたんだ!だから、一緒に生き残るんだ!

俺は、馬鹿な事を言うなとリリアに言う為にエレベーターの扉に背を向けリリアに向き合う。

すると、唇に温かいモノが触れる。

リリアの顔が目の前に合った。

リリアの舌が俺の口の中に入り込んで来る。

それと、同時に頭の中に激痛が走り、様々な記録が流れ込んできた。

それは戦いの記憶、ザウルとリリアの戦いの記憶だった。

それらすべてが、ただの情報として俺の脳のタンスに無理矢理押し込まれていく。

唇を離されると、赤い糸が俺とリリアの口から伸び途中で途切れる。

頭の中が色々な情報で真っ白に塗りつぶされた俺は、驚いた顔でリリアを見つめる。

「和真のファーストキス、私が奪っちゃった♪」

「リリア・・・。」

リリアの背後には、煙の黒と炎の赤が交じり合っている。

それらをバックに綺麗な夜空の星々の様に輝くリリアの髪と雪の様な肌、それに子供の様な顔の作りなのに、大人びているその表情は、天使の様に見えた。

リリアとのキスは、ディープキスなのに、性的な物でなく母性愛を感じるキスだった。

リリアが再び離れた顔を近づけ額を重ね合わせる。

リリアの息遣いが聞こえる。それは、無理やり息をしているような息遣いだ。

顔には痛みのせいなのか、汗が流れ落ちている。

「さっきのキスは御まじない・・・。私も、ザウルも、和真の事が大好きだよ♪だから・・・生きて。」

ファーストキスの味は血の味だった。

一瞬呆けていた俺はリリアに押され後ろに倒れ込むようにエレベーターに入る。

そして、俺も大好きだから本当の家族のように大好きだから、お願いだから一緒に逃げてくれ。

俺は、そう心に強く思いながら必死に神に助けを求める罪人のようにリリアに手を伸ばす。

扉が閉まって行く中で俺は、さらに腕を伸ばす。

だが、リリアはその手を取らずに月の様に綺麗に輝いた笑顔で俺を見つめるだけだった。

そして、扉が閉まりきる最後に見た光景は、リリアが、横から伸びてきた赤い腕に子供が欲しかった玩具を見つけた時のように連れ去られていく光景だった。

扉が閉まり上に向かうエレベーターの中で俺は理解する。また全てを失ってしまったと・・・。

だが涙は流さない、その悲しみもすべて頭の中の湖に滴として落としていく。何本も増えた腕が俺の体に纏わりつき締め上げて行く。

だが、俺にはこの痛みが心地よかった。

罪人には、この程度の痛みは必要なのだ。

そして、俺は気が付けばジュラーブリクのコックピットに座っていた。

世界のすべてが止まって見える。

俺の脳から発せられる信号が解る。

戦術機は、跳躍ユニットの燃料も弾薬も突撃砲もすべて補給されていた。

俺は、戦術機の目を通して周りを見る。

すると、一か所に戦車級が群がっていた。

それをズームで見るとリリアがバラバラにされ貪り食われていた。

俺の頭の中では、初陣の様に何かが切れたりしない、嫌もう引き千切るモノが無い。

俺は、頭の中の湖の上で多数の腕に締め上げられながら立っていた。

そこで、俺の感情は消え失せようとした。

だが、俺を両側から誰かが腕を解いていき抱きしめる。

腕は一度は離れるが、今度は両側の誰か諸共締め上げる。

だが、1人で締め上げられた時よりも随分楽になった。

俺は両側の人の顔を感情を無くした瞳で見つめる。

良く見るとリリアとザウルだった。

2人の体温と笑顔が俺の心の氷をゆっくりと溶かしていく。

俺は、それを感じると元の世界に帰ってきた。

そこで俺は操縦桿を握る自分の腕を見る。

俺の目には俺の手の上から一緒に操縦桿を握ってくれる二人の腕が見えた。

「そうか・・・。」

ハンガーを壊し戦術機を動けるようにする。

そして、リリアを未だに食らう戦車級の群れに銃口を向け弾をぶちまけた。

36mm弾は全弾命中する、普段の和真なら良くて70%の命中率なのにだ、その射撃の動作はリリアそのものだった。

爆炎の炎の中を悪魔が演武を踊る。

密閉された狭い格納庫内を縦横無尽に主脚、跳躍ユニットを使い壁を足場に要撃級に飛び掛かり、斬り殺しながら前転し攻撃を躱す。

その姿は、ザウルが戦っているように錯覚させる。

飢えた獣のように次々とBETAをたいらげていく、観客はいないが、誰が見ても思うだろう・・・。

あれは悪魔だと。

俺は、基地に入り込んでいた大型のBETAをすべて殺し、ゆっくりとカタパルトを歩いて行く。

そして、眼下の京都の町を見下ろす。

町は魑魅魍魎が蔓延っておりそれらが、天から降り注ぐ神の雷のごとき砲弾に消し炭にされていく。

だが、雷がまだ来ていない箇所では、魑魅魍魎は我が物顔で地獄を体現していた。

俺は、その地獄を見ながら呟いた。

「行こうか、・・・リリア、ザウル。」

 




向日葵の花言葉:私の目はあなただけを見つめる。

今回も読んで頂きありがとうございます。
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