Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior   作:はんふんふ

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失せる夢

その叫びは憤怒の感情を乗せていた。

その音は、大地すら飲み込む勢いだ。

その姿は、死人のように見えた。

世界の不条理を神に伝えようとしているようだ。

世界が止まる。

人もBETAも海も風も、すべてが赤い化け物を中心に凍りつく。

そして、その氷塊を打ち壊すのも、それを作り出した張本人以外にありえない。

その右手に取り付けられた巨刀が前方に移動し吸い寄せられるように赤い化け物の右手に収まる。

次の瞬間には、遥か先のBETAの群れをその巨刀で切り刻んでいた。

その光景は何と言ったら良いのだろうか。

ビデオを重ね取りし、いきなり場面が変わったかのような、そんな表現しか出来ない。

気が付いた時には、遥か先で暴れていたのだ。

それは、どこかの国の極秘開発された戦術機と言うより、新種のBETAが暴走していると言った表現の方がしっくりくる。

敵にしろ味方にしろ、関係が無い。

その姿を見た者達は皆が思った。

あれは、どうする事も出来ないと・・・。

 

忙しなく動く世界の中で、俺はただひたすらに暴力を振るう。

「セラフヴェルターのOSは依然と同じ仕様にしてある。今回の君の戦闘データと先行量産型のデータを元に全規模量産型のOSを作成する。君は、ヴェルターで出来るだけ他者を守りながら多くのBETAを殺すんだ。そのデータは今後の開発に重要なモノとなる。そして、ヴェルターを宣伝するんだ。BETAから人々を守る救世主だと。神の使いだと思わせるんだ。ヴェルターの活躍が噂でもいい、情報として民間人にまで広がれば、また我々の計画を一歩前進させることが出来る。G弾発射まで後一時間だ。頑張ってくれ・・・。」

レオからの通信に俺は返事を返さない。

返す暇すらない。

味方陣営を守りながら戦うのは、骨が折れるどころの話では無かった。

BETAは、極上の餌を見つけたと言わんばかりに大挙として押し寄せる。

ほぼこの全域のBETAが海岸沿いにいる俺に向かって来ている状態だ。

この中で俺が守る者、それはBETAの進行上にいる人達を守ることだ。

俺はその人達を守っては元の位置に戻り、守っては元の位置に戻りを繰り返していた。

「良し!撤退を始めた!!」

戦域地図上の味方マーカーが次々と補給地点に向かって行く。

予定通りだ。

「あれから、すでに45分!急いでくれよ!!」

G弾投下まで後15分、おそらく米国からは作戦司令部にG弾投下の通達が行っている筈、また戻って来るなんて事はないだろう。

「ちぃ、しつこい!!」

ヴェルターの周りにはBETAの山、戦域地図は赤一色で自分のマーカーすら見えない。

「はぁあああああッ!!」

俺は右手の熱で赤く輝くGバスターソードを振り貫く。

すると、BETAの肉片が飛び散り血の蒸気が立ち込める。

そして、戦域地図の赤いマーカーに穴が開く。

だが、それも直ぐに染まり始める。

殺せば殺すほどにBETAは増えていった。

まるで、殺したBETAが生き返っているのではないかと錯覚させるほどだ。

戦車級がヴェルターの周りに群がり大きな壁を作る。

その数は4、ヴェルターを閉じ込めるように配置されたそれは中に崩れ落ちヴェルターを生き埋めにしようとする。

そして、暴れる獣は赤い土砂にその体を飲み込まれてしまった。

赤い山からは黒い煙が立ち上る。

それは何時噴火するか解らない火山のようだ。

「重てぇええんだよぉおおおッ!!」

土砂と化していた戦車級を体についた雫を払う犬のように震わせ剥がれ落とす。

すると、今度は四方を要塞級に囲まれていた。

「シッ!!」

俺はその要塞級の内三匹をGテールで串刺し内部から細切れにする。

残りの正面にいた要塞級は、右手のGバスターソードで叩き切った。

だが、それで終わらないのがBETAだ。

要塞級の内部からは羽化を始めた虫のように光線級が姿を現す。

それと同時にアラートが鳴り響く。

「隠し武器って訳かよ・・・。」

Gテールは要塞級三匹に使っている。

Gバスターソードは、目の前の要塞級を殺すのに振り貫いた体制のままだ。

このままでは、いかにヴェルターと言えども危険だ。

生れ落ちようとしているのは、五匹の光線級。

周りにはBETAの海、回避するすべなどない。

「けどなぁ!!」

その時、セラフヴェルター両脚部側面の歪な装甲が展開していく。

「こっちにだってあんだよ!!」

それは、腕だった。

脚部に生えた腕は腰部のGソードを掴み、居合のように振り貫く。

すると、今にもレーザーを放とうとしていた光線級はハサミで切られたかのように両断された。

そして、その場で回転する。

三本の巨大な、海すら断ち切ってしまいそうな刀を振り回す。

ヴェルターの周りにいた無数のBETAは、それだけで弾け飛び、溶かされ、消え去る。

俺は再び戦域地図を確認する。

大部分の部隊は補給に向かっている最中だ。

取り残された部隊には他の部隊が向かっている。

時間までまだ、10分ある。

なんとかなるだろう。

 

そう、思っていた――――。

 

聞きなれないアラートがコックピット内を満たす。

それは今から訪れる最悪を予見したヴェルターの叫びに思えた。

「な、なんや!!」

すると、CPより連絡が入る。

「五六中尉ッ!ただちに撤退して下さい!!」

「なんでやッ!まだ、G弾投下まで時間があるやろ!?俺にこの場の人達を見捨てろ言うんか!!」

「そのG弾が投下されました!!被害規模は想定不可能です!!ですから、急いでッ!!」

「なッ!」

そんな、G弾投下まで時間があるはずだ。

俺がここで暴れたんだ、BETAの数も大分減らした、連合軍の避難も開始している。

態々時間を繰り上げてまで行う意味なんて無いはずだ。

俺は急いでレオに通信を繋げる。

「レオッ!これはどういうことだ!!」

「私にも解らない・・・。今掴んでいる情報ではどこかの馬鹿が緊張に負けて撃ちだしてしまったと言う事だけだ。」

レオの表情も険しい、この事態は想定していなかったことのようだ。

「とにかく早く撤退しなさい。もう残された時間も少ない。」

そしてレオとの通信を切る。

「クソッ!!」

俺はコントロールパネルを叩きつける。

後数分、後数分あれば生き残れたかもしれない人達の寿命が決定してしまった。

「クソッ、クソッ!!」

いつもうまく行かない、何かがうまく行ってもどこかでしっぺ返しを食らってしまう。

俺はBETAを葬りながら、その怒りをBETAにぶつけながら時間に追い立てられた。

「五六中尉!撤退して下さい!!」

「うるさいッ!!」

俺は通信を強制的に切る。

「奪わせないぞ・・・。これ以上、無くしたくないんだぁあああああああッ!!」

セラフヴェルターは、その体をさらに黒に塗りつぶした。

その時、別の回線から通信が入る。

「アメリカ宇宙軍より、22号ハイヴ攻略全ユニットへ。・・・即時撤退せよッ!!繰り返すッ。即時撤退せよッ。我々はハイヴ攻略可能な破壊兵器を持っている。我々はその新兵器の使用を決定した。即時撤退せよッ!!。攻撃の効果範囲より至急撤退せよッ。」

そして空より現れる黒い二つの太陽。

すべてを飲み込み、すべてを歪め、すべてを消しさる。

暖かさなんて微塵も無い、ただただ冷たい黒い光が横浜ハイヴに舞い降りてくる。

「なんだよ・・・、あれは・・・。」

その黒に俺は言葉が出なかった。

あれはヤバい・・・。

見る事すら躊躇われる存在だ。

口に出したくもない存在だ。

「あんな物が、人類の切り札だって言うのかよ・・・。」

だが、和真は気が付かない。

己が纏うその色も同等の物であり、また、その存在を抱えていることに。

すると、突然激痛が走りヴェルターが言う事を聞かなくなった。

「な、なんだよ、コイツはッ!!」

まるで全身が麻痺したみたいに言う事を聞かない。

すると、突然ヴェルターが動き出した。

この感覚は前にもあった。

「レオッ!」

「ヴェルターの操縦権をこちらに譲って貰ったよ。」

「どうしてッ!!」

「ここで、ヴェルターを失う訳にはいかないからさ。」

そして回線自体が切られてしまう。

「レオッ、レオッ!・・・クソッ!!」

ヴェルターは吸い寄せられるように東京湾に向かう。

遠隔で操っているのか速度も出ない。

その時、黒い太陽が膨張した。

数々の光線級がレーザーを放つ中、それらをすべて捻り逸らし逆に飲み込み始める。

そして膨張していく太陽はハイヴ諸共すべてを飲み込んでいく。

逃げるBETAも人も関係が無い。

ただ、そこに在るだけで怒りを買ったかのように無慈悲に存在を消し去られていく。

ヴェルターは黒い太陽から逃げるために東京湾を目指す。

だが、その時ヴェルターを激しい揺れが襲った。

「なっ!Gドライブの貯蔵量が急速に減って行く。」

ヴェルターが纏う黒は、さらに強力な黒に吸い寄せられていく。

「このままじゃ・・・。」

すぐ後ろまで太陽は迫っている。

もう逃げられない。

そう覚悟した時、声が聞こえた。

「た・・・ゃ・・・。」

「だれか、誰かいるのか!?どこだ!どこにいる!?」

俺は出来る筈が無いのに、悪あがきを行う。

「たけ・・・ん。」

だが、その声は通信を通した音ではない。

耳に語りかけてすらいない。

頭の中に直接入り込んでくる声だった。

「タケルちゃんッ!!」

その声を聞いたと同時に俺は意識を失った。

 

 

「うっ・・・くッ!」

鈍器で頭を叩かれたような痛みに襲われながらも俺は目を覚ます。

なんだか頭がスッとしたような気分だ。

俺は死んでしまったのだろうか?

俺はピントが合わない眼鏡を掛けたかのような、歪んだ世界を見ながら冷静に行動していく。

「あっ、そうだ。薬飲まなきゃ・・・。」

手さぐりで強化装備に取り付けられた特殊なポケットから薬を取り出し飲み込む。

すると、視界が元に戻って行った。

そして、見た景色は何もない空間。

嫌、空はあるし地面もある。

だが、あったはずのハイヴは無くBETAもいない。

そして人もいない世界に俺はいた。

「は、ハハハハ、ハハハハハハハハハ・・・。」

乾いた声が口から漏れ出す。

望んだ結果だ。

これで、人類はハイヴ攻略可能なのだと分かった。

なのに喜べない。

心に穴が開いたみたいだ。

だが、世界はそんな和真に救いを与えない。

「アラート?」

コックピット内にアラートが鳴り響く。

それはロックオンアラートだった。

次の瞬間弾丸の雨がヴェルターを襲う。

「うわぁッ!」

外部モニターを使い、空を見る。

すると、そこにはヴァローナがいた。

「あれは、ヴァローナ?・・・違う、あれはビェールクト!」

 

「捕獲対象、反応ありません。」

「了解した。情報と違いがあるが関係ない。各機、作戦通りに行け。あれは、我が祖国が手にしなければいけない物だ。」

「「「「「「「「了解!」」」」」」」」

そして、舞い降りたソ連の新型戦術機達はヴェルターに要塞級捕獲用のケーブルを撃ちこもうとする。

「おわッ!」

「どうした?」

「杭が撃ちこめません・・・。要塞級にすら打ち込めるスーパーカーボン製なのに・・・。」

「本当に、人類が作ったものなのか?」

「案外、BETAとは別の宇宙人だったりして?」

「口を慎めよ?次は無いぞ。」

「す、すみません・・・。」

BETAだけでも、人類はこのありさまなのだ。

それが、他の宇宙人だと?そんな事があってたまるか!!

「・・・各機、厳重に注意しながら捕獲対象にケーブルを撒きつけて行け。」

 

ヴェルターの体に馬鹿みたいにゴツイケーブルが巻きつけられていく。

「な、なんで・・・。ソ連が知っているんだよ。レオは、ヴェルターの存在を隠し通している筈じゃ。」

だが、世の中に100%なんて存在しない。

「前の戦いを見られていた・・・?」

それなら、納得が行く。

この作戦にヴェルターが現れる可能性が少なからずあったから、網をかけていたと言う事か。

「そんなのって、ありかよ・・・。」

俺がそう言った瞬間、目の前のビェールクト達が突然向きを変える。

「今度はなんだよ・・・。」

東京湾方面から現れた機影は36、ビェールクトと同じ数だ。

現れたのは見たことも無い戦術機、その姿はイーグルを元にしているのか似ている箇所が多い。

だが、タイフーンにも似ておりジュラーブリクにも似ている。

そんな戦術機だった。

俺は慌ててライブラリを開く。

すると、その戦術機の詳細が出てきた。

「F-15FOWW、ワイルド・イーグル・・・。」

米国が対BETAのために開発した第三世代機。

ストライク・イーグルを改良した戦術機だ。

そして、両者の距離が射程範囲内に入ったと同時に戦闘が開始された。

ビェールクトがその機動性を生かしモーターブレードを展開しながら、ワイルド・イーグルに接近する。

米国産の戦術機ならここで、射撃をするか回避行動に出る。

だが、ワイルド・イーグルは逆に接近していく。

あきらかに自殺行為、だがワイルド・イーグルは上腕部に固定された物を展開しビェールクトの斬撃を防いだ。

それは、歪な形をしていた。

長方形のスーパーカーボンブレードの中心に存在する円柱を高速回転させている。

そして、それは微振動を起こしカーボンブレード全体を振動させる。

それは、モーターブレードですら斬り裂く事が出来なかった。

光線級の脅威が無い空で、数々の戦術機達が殺し合っている。

そう、まさしく戦争をしていた。

目の前の宝を手に入れるために、殺し合いをしていた。

「なんでだよ・・・。」

和真の声が空しくコックピット内に響く。

「お前達は、どうして・・・。」

流れる涙を拭おうともせずに、悲しみに呑み込まれた瞳を空に向ける。

「そんなにも・・・、そんなにも、戦争がしたいのかよッ!!」

 

薄暗い部屋で、1人の男がモニターを見つめる。

「あぁ、そうだね。彼らは戦争がしたいらしい・・・。過ぎたる力を得れば、それは争いを招く。理解していても、欲しい物は欲しいだろうね。」

レオは、別のモニターを見つめながらその瞳を暗く濁らせた。

「でもね・・・、それは私の玩具だ。だれにも、譲るつもりは無いし触れて欲しくも無い。」

そして、その顔から表情すら消し去る。

「悪戯をする子供には、お仕置きが必要だよね?」

 

俺はその瞬間、身の毛がよだった。

何か来る。

何か解らないが、何かが死を運んでくる。

空では、未だに戦争が行われている。

誰も気が付かないのか?

俺は、無駄だと解っていながら喉が千切れる程に叫んだ。

「逃げろッ!頼むから逃げてくれッ!!」

その時、空を天馬が走った。

沖合から現れたそれは、戦場よりもさらに高い高度で停止し翼を広げ力を示す。

天馬を中心に広がる円、それは戦場を包み込む。

まさに結界だ。

その結界内にいる者は自由を奪われる。

ビェールクトもワイルド・イーグルもすべてのデータリンクを絶たれ、部隊と通信を取る事すら出来ない。

それでも、対応するのがスペシャリスト。

ただちに異変を察知し体制を立て直す。

だが、それと同時に爆ぜる二機の戦術機、それはビェールクトとワイルド・イーグルそれぞれだった。

どちらも攻撃を加えていない。

なのに、爆散していく仲間達。

両陣営の隊長達は散会を命じる。

そして、見つけた二機の戦術機。

それは、ビェールクトに似た機体とYF-23だった。

 

「家にケンカを売るとは良い根性してるよなぁ~。そうは思わない?トランプ。」

「・・・その汚い口を閉じろギャンブル。」

「チッ・・・。さぁ、御片付けの時間だよぉ~。」

 

そこからは、見ていられなかった。

ヴァローナの圧倒的なまでの加速による機動性に翻弄されながら、掠り傷さえ与える事が出来ずに散って行くビェールクト。

YF-23の性能を知っているために、近接戦と射撃による息の合った攻撃を加えるワイルド・イーグルを嘲笑うかのようにすべての攻撃を躱しながら幽霊のように真っ直ぐ突き進み殺すスパイダー。

片や無茶苦茶に見える機動で翻弄し、片や未来予測でもしているのでは無いかと言う程にギリギリですべての斬撃、射撃を交わす。

―――遊んでいる。

各国のエースを相手に遊んでいた。

それが、トイ・キングダムの実力なのだ。

 

「つまんねぇなぁ~。可愛そうに、所詮捨て駒だよなぁ~。」

「・・・なら、お前は先に帰れ、後は俺が片づける。」

「キャハハハハ、冗談だって~!それよりさぁ~、チェスはぁ~?」

「海の方でゴミ掃除だ。」

「キャハハハハ、海はアイツの世界だもんなぁ~!」

 

海は赤く照らされていた。

それは、アメリカ戦術機空母が焚火のように燃えているためだ。

「あらあら、まぁまぁ・・・。ただの的じゃないですか。もう少し頑張っていただかないと。」

海の中を高速で動き回る物体。

それは、X-47ペガサスの姿だった。

「ペガサスも問題無く差動しましたし、母艦も鎮めましたし、仕事はこれでお終いかしら?う~ん、どうしましょう?」

 

俺はそれらの蹂躙劇を見ながら涙を流し続けた。

「もぅ、止めてくれ。お願いだから、止めてくれ・・・。」

どうしてこうなった?

俺が嵩宰少佐の願いを聞いたからか?

それとも、明星作戦に参加すると言ったからか?

「なんで、こうなるんだよ・・・。俺はただ、誰にも死んで欲しくないだけなのに・・・。」

俺はこんな世界に嫌気が挿していたのかも知れない。

逃げ出したかったのかもしれない。

人を救うだなんて綺麗ごとを言い訳にして、死に場所を求めていただけなのかもしれない。

 

―――もう、嫌だ。こんな世界は嫌だ。

 

俺がそう呟いた瞬間、俺は光に包まれた。

 

 

「ヴェルター、無事に帰投しました。」

私は、戻ってきたヴェルターを見ながらコックピット内を見るように伝える。

「ご、五六中尉がいません・・・。これは、一体?」

そうか、無事に成功したか・・・。

「何かGドライブに異変が発生したのかも知れない。もしかすると、G弾の影響かもしれないな・・・。早急に原因を突き止めてくれ。」

すると、ストーがヴェルターに走りよりコックピット内に潜り込む。

そして、中から悲痛な叫び声が聞こえてきた。

「返してよ!和君を返して、お願い・・・、返してよぉ。」

すまないな、ストー君。

でも、これは予め決められていた事なんだ。

これがベストな選択なんだ。

そして、私は1人で格納庫奥の扉を開き最下層の扉を開く。

目の前に現れたのは無数のスーパーコンピューター。

それらは、一本の道を作るように並んでいる。

そして、緑色のナノマシンが流れるケーブルに繋がるカプセルが通路を照らす。

そして最奥に辿り着くと現れた大きな機械。

「香月博士は素晴らしい理論を考え付く。そして、それを我々は現実の物としてしまう。・・・夢とは、経験であり知識であり時間だ。それらは、何物をも凌駕する可能性を秘めている。だが、無形であるそれらは確認のしようがない。なら、確認するしかないだろう?・・・なぁ、和真君。君の夢は一体、どこにあるのだろうね。」

 

 

俺は容赦無く照り付ける太陽と寝苦しさから目を覚ます。

「う、くっ・・・。」

目を擦り見渡せば今にも壊れてしまいそうな小屋の中に俺はいた。

小屋と言っても生活するには十分で、暖炉もあればキッチンもある。

そして、俺はその小屋のベッドに寝かされていた。

目の前のテーブルには、衛士強化装備服とヘルメット、それにククリナイフも置いてあった。

「ここ・・・は。」

すると、部屋の隅に1つだけある扉がギシギシ言いながら開かれる。

「・・・初めまして。」

 




ここまで読んで頂きありがとうございます。

長い文章になってしまい申し訳ないです。
次からは、新しい展開に入っていきます。

今後ともお付き合い頂けたら幸いです。
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