Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior 作:はんふんふ
俺は、今非常に困っている……。
「え~と、あ~、あんな?」
ビクッ!
うわぁ~、めっちゃ引かれてる。
そりゃいきなり、君のお兄さんだよ! とか言われたらこうなるか……。
父さんから、少し人見知りする子って聞いてたから声かけられて調子乗ってもうたかな……。
「築地先生から聞いてると思うけど、先生の所で俺がお世話になってたのは知ってるやんな?」
コク!
良し、話は聞いてくれてる!
「それでな? ここに来る途中で築地先生にな? 家族にならんか? って聞かれて、それで築地先生の息子になったんや。」
俺が、そう言うと多恵は上目使いで俺を見てきた。
こっ、これはかなり来るな……!
俺が、狼狽していると多恵がやっと口を開いてくれた。
「変態さん……じゃ、ない……ですか?」
この言葉に、俺の中のなにかがひび割れ、地面に膝をついてしまい半泣きになってしまう。
この時俺は、美少女の言葉は時に凶器になるのだと知った。
「そりゃ、はたから見たら変態かも知らんけど……そんな面と向かって言わんでも・・・。」
俺は、1人でぶつぶつ呟いて美少女の前で膝をついて泣いている。
第三者がこの状況を見て変態と言っても否定できないだろう。
「あっ!すみません!! えと、あたしまたやっちゃった。」
「俺は変態だ俺は変態だ俺は変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ変態だ。」
完全に壊れてしまっている俺を見て、多恵はさらに焦る。
「あ、あの泣かないで……。かっこよくない顔がさらにかっこ悪くなってるだよ!」
トドメの一撃が入ってしまった。
俺は、完全に燃え尽きてしまった。
「あああああああわわわわわわ! ごめんよぅ、ごめんよぅ! だば、帰ってきてけろ~!」
あわあわ、する美少女を放っておいて、俺は青空の下真っ白になっていた。
「本当に、ごめんよぅ!」
「別にかまわへんよ。俺の顔が不細工なんわ、知ってるから……。」
俺がこんなにも、自分のことを卑下するのには訳がある。
この世界の大抵の人間は、かっこいい、かわいい、きれい、渋い。
このどれかに当てはまる。
初めて光州の町に出た時、周りのレベルの高さに驚いたものだ。
だが、皆良い人達ばかりなのでそこまで気にしたことはなかった。
この時までは……。
「ごめんな? やっぱり、かっこいい兄ちゃんの方がよかったやんな?」
そう言って今だ立ち直れない俺を多恵が励ます。
「そ、そんなことないよ! あたしは、和真さんが優しそうな人で良かったと思っているよ!」
必死な多恵を見て、俺はからかってみようと行動にでる。
「ほんまか? なら、俺のことは にぃにぃ と呼んでや!」
俺は、言ってから後悔した。
ヤバイまた調子に乗ってしまった!
俺がそう考えていると。
「うん! 分かったよ。にぃにぃ!」
満面の笑みで言ってくる。
これは、別の意味で燃え尽きてしまいそうだ。
「それじゃ、この辺りで何かして時間を潰していこうか?」
「うん!」
あの、インパクトのある出会いのおかげか、俺達はすぐに仲良くなった。
仲良くなったのは良いのだが……。
「にぃにぃ! 次場あそごにしょう!」
多恵は物凄く元気だった。
そして、俺は体力の限界にきていた。
「はいはい! ちょっと待って。」
俺は、疲れから半ば投げやりな感じで言葉を返す。
「にぃにぃ! 早く」
「はいはい……。」
あれから、一通り港のお土産屋で買い物をした後(もちろん俺がお金をだした。)俺たちは、食事処で食事をしていた。
「にぃにぃ……。体力無さすぎだよ!」
そして、多恵はズバッと人の痛いところを言ってくる。
それも、天然なのか言った後に可愛いく謝って来るのだ!なかなか侮れない子である。
「にぃにぃは、顔が他の人よりも少し悪いんだから! 男の魅力で女の子を落とさないとだめなんだよ? そのためには、最低体力くらいは無いと!」
「おっしゃる通りです……。」
妹に女の心配をされる俺って一体……。
俺は、打ちひしがれていた。
時計を見るとそろそろ良い時間になっていた。
「そろそろ、父さんが帰ってくると思うから、港に戻ろうか?」
「あ、うん……わかった!」
俺が提案すると、多恵は一瞬迷った後何かを決心した顔になって答えた。
俺達が、港に戻ると父さんは車を乗船させて、こちらに歩いてきた。
「父さん、お疲れ様!」
「和真、どうだ? 多恵は、可愛いだろ!」
「うん、めっちゃ良い子やったで! こんな子の兄ちゃんになれて俺も嬉しいわ!」
「ハハハハハハッ!そうだろう、そうだろう!」
俺と父さんがそんな会話をしていると、多恵は顔を真っ赤にしていた。
「もう、にぃにぃ!そだこと言っても何も出せんとよ。」
にぃにぃの言葉を聞いた瞬間、父さんの空気が変わる。
「和真、いけないよ! 妹にそんなプレイをもとめたら!」
「ち、違うねん! 父さんこれには訳が!」
「いけない、いけないよ!和真……。帰ったら家族会議だ!」
「ちょ、父さんホンマに待って話聞いて!」
俺と父さんがふざけ合っていると、多恵が真剣な顔で父さんに話しかける。
「お父さん、帰ってきて……! 日本で一緒に暮らそ?」
「多恵、それは、前にも話したろ? 僕は日本で暮らさないよ。」
「でも……!」
「僕はね多恵、医者なんだよ。今BETAのせいで大陸の医者はほとんどいない、他の国からも誰も行きたがらない、だから……、僕が行くんだ。」
「お婆ちゃんも心配しているよ? お母さんだって、お父さんが大陸に行くのをきっと望んでないよ?」
「多恵、アイツも理解してくれている。僕が人の命を助けたいと思っているのを、アイツは一番理解してくれている。」
その言葉を聞いて多恵は、落ち込んでしまう。
お母さん……。
俺は会うことができない人。
前に、父さんに多恵の写真を見せてもらった時に多恵の隣で笑っていた人。
父さんに聞くと、三年前に亡くなったそうだ、その後父さんは多くの人を救うために大陸に渡ったらしい。
そして、大陸中を動くだけの力がもう自分には無いと悟った時に、医者のいない光州で町医者をすることを決めた。
俺が、そのことを思い出している間に場の空気はさらに悪くなる、俺はこの空気を治すために努めて明るく多恵に話しかけた。
「大丈夫やって多恵! 父さんの面倒は俺が見るし、危ないと思ったら引きずってでも父さんと逃げるから。それに、軍の人らも頑張ってくれてる! 光州までBETAは来やんよ!」
「にぃにぃ……。」
多恵が目に涙を浮かべてこちらを見る、それに俺は自分ができる最高の笑顔で返す。
「やから多恵、俺に任せとけ!」
俺がそう言うと多恵は笑って返事をしてくれた。
「うん!」
「それじゃ、もう船が出る時間だ。多恵、気を付けて帰るんだよ?」
「わかってるよ、お父さん!」
「ハハハハ! それじゃ、和真行こうか?」
「はい、父さん」
「それじゃ、多恵、元気でな?」
「次に会うときはもっと美人になっとれよ?」
父さんと俺が、続けて言う。
「お父さんも体に気を付けてね!それと、にぃにぃ!次に会った時はビックリさせちゃうよ!」
「「「またね!」」」
俺と父さんは船に乗り込んだ。
それと、同時に船が動きだす。
「父さん、良かったん?」
「何がだい?」
「多恵ともっと話したかったんとちゃう?」
「うん、でもね。光州には僕のことを待っている人達がいるからね。それに、ずっと光州にいるわけじゃないんだよ?」
「うん?どういうこと?」
「アイツに言われていてね、大陸に行くのは良いけど多恵が16歳になるまでには帰ってきなさい!ってね・・・。それに、多恵が18歳になって徴兵される前に結婚させないとね!」
「そうか……、良かった。」
「何故だい?」
「子供と親がずっと離れ離れは寂しいやん? やから、光州の方はまかしとき俺が父さんの後をついで皆の助けになるから。」
「和真……!あぁ、ありがとう!」
「じゃ、もう寝よか! 明日も忙しいやろうからな。」
「そうだね。おやすみ!」
「おやすみ、父さん。」
父さんは、そう言って眠り。
俺も行きと同じでタエを抱きしめて眠った。
朝になって、港につき先生と車に向かう。
が――。
「どうしてこうなった……。」
俺は、そう言って天を仰いだ。
「なにを、しているんだい?……多恵?」
父さんは、呆れたように問いかける。
「お、おはよぅ~。」
車の中に多恵がいた。
多恵の話し方は難しいですね(汗)