Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior   作:はんふんふ

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暖かい

あれから、一週間が経過した。

ニクスとは、あれから会っていない。

俺は、元々男手が少なかったのもあり町で仕事をしている。

仕事先は、あの山菜売り場だ。

時たま山菜を取りに行くこともしている。

俺は店番をしながら考えていた。

俺がしてきた事はなんだったのか。

俺が良かれと思ってやったことの結果が戦争だった。

なら、俺が何もせずにここで果てるのなら未来は変わる筈だ。

「・・・俺は何をしているのだろうな。」

その時、おばちゃんが話掛けて来た。

「今日はもう上がって構わないよ!」

「はい、お疲れ様です。」

「これは、今日働いて貰った分ね!」

そう言ってまた大量の食材を渡された。

「いつもありがとうございます。」

「いいってことよ!」

そして、俺は帰路についた。

「ただいまぁ~。」

誰もいないのが解っていながらも、俺はそう言いながら扉を開けた。

すると、そこには俺の衛士強化装備服を手に取り見ているニクスがいた。

「なんだいたのか、ニクス。・・・ニクス?」

ニクスから反応が返ってこない、いつもなら何かしらの反応を返してくれるのに・・・。

そして、その動作が俺を凍りつかせた。

まるで、赤の他人が自分の家に入ってきたかのように驚き、脅えていたのだ。

「・・・だ、だれ?」

「えっ?俺だよ、和真や。ほら、一週間前に俺のことを助けてくれたやろ?」

俺がそう言うと、ニクスは数秒固まる。

そして、再び動き出した時には元のニクスに戻っていた。

「・・・おかえり、和真。」

「あ、あぁただいま。なんや俺の事忘れとったんか?」

「・・・痴呆?」

「オイオイ!まぁ、ええわ。それより、仕事お疲れ様!」

「・・・うん。」

そう言いながら俺はキッチンに立ち料理を始める。

すると、ニクスが俺の隣に歩いてきた。

「今日は食べていくやろ?」

「・・・うん。」

俺はホッとしていた。

この時代のこの場所で俺の知り合いなんて数える程しかいない、その中で一番親しいのはニクスだ、そのニクスと共にいられる時間を俺は欲していた。

これが、寂しさを紛らわせるためで、それにニクスを利用している自覚があったが、孤独には耐えられない。

俺は心の中でニクスにごめんと呟く。

すると、ニクスが俺の手を握ってきた。

「ど、どうしたんや!?」

心臓がバクバク言っているのが解る。

ニクスに握られている手が熱で熱くなっていく。

「・・・私も同じ。」

そして、俺達は見つめ合う。

俺の黒い瞳とニクスの銀髪の隙間から見える緑の瞳が重なり合う。

心臓の脈打つ音が鼓膜を揺らす。

ニクスの整った顔を見ているとどうにかなってしまいそうだ。

そして、俺の視線がニクスの桃色の唇に写った所で俺は理性を取戻しニクスの手を振りほどいた。

「あ、あははははは!さ、さぁ晩飯を作ろか!?」

「・・・うん。」

ニクスは自分の手を見つめながら頷いた。

 

それからさらに2か月後、俺は休みを貰いニクスと町に出かけることにした。

小屋の中で引きこもっているニクスを外に連れ出すためだ。

だが、ニクスは中々町に行こうとしない。

俺はそんなニクスを不思議に思いながらも、良かれと思ってニクスを無理矢理連れて行くことにした。

そして、町に到着するとニクスが嫌がっていた訳と違和感に気が付いた。

町の人達がニクスを避けているのだ。

まるで腫物でも扱うように皆が遠巻きに噂をし、避けている。

道の中心を歩く俺達の周りは、今までの喧騒が嘘のように静まりかえっている。

「これは、どういうことや・・・。」

「だから、来たくなかった。」

ニクスもどこか悲しそうにしている。

俺は途方にくれてしまった。

なんせ、ニクスがこんな扱いを受ける理由に検討が付かないからだ。

だが、何より俺はニクスに悲しんでほしくなかった。

笑ってほしかったから町に連れ出したのに、これじゃ逆効果じゃないか!

そして、ニクスを悲しませた俺自身に腹が立つ。

俺は額を一発殴りつける。

「和真?」

「・・・行こう、ニクス。」

俺はニクスの手を掴み強引に歩みを進めた。

もう小屋に帰った方が良いだろう。

俺はニクスの手を引きながら元来た道を戻ろうとする。

すると、聞きなれた声が俺達を呼びとめた。

「あら、和真君じゃないのさ!彼女なんて連れて、もしかしてデートかい?」

「おばちゃん・・・。」

そして、振り返った俺達を見ておばちゃんが一瞬固まる。

「あら、その子は・・・。」

その時、俺は思った。

おばちゃんも周りの連中と同じなのかと・・・。

だが、俺の予想は良い意味で裏切られた。

「何だい水臭いね!彼女が出来たならあたしに紹介してくれないと!」

「あ、えと、その・・・。」

「なに、辛気臭い顔してんのさ!まぁ、まずは内の店に寄って行きなさい!」

そして、俺の手をゴツゴツとしているが大きく暖かい手が握り引っ張って行った。

「おばちゃん!痛い、痛いよ!」

「男の癖にそんな事言ってると、彼女に愛想つかされるよ!」

 

そして俺達はおばちゃんの露店に入る。

だが、やはりニクスの影響があるのか今までいた客が皆どこかに行ってしまった。

「ごめん、おばちゃん。」

「別に和真君が謝る必要はないさね。そんな事より、聞きたい事があるんじゃないかい?」

「うん・・・、でも。」

俺はそう言ってニクスを見る。

ニクスは先程から俯いており、少し震えているのが握り閉める手から伝わってくる。

「別に、その子がいても問題はないだろ?」

ここで、聞かなかったらニクスがこんな状態になっている理由が解らない。

なら、問題点をニクスにも聞かせることで解決できるかもしれない。

俺はそう思い聞くことにした。

「何故、ニクスは町の人に避けられているのですか?」

「単刀直入に言うなら、その子が暗すぎるせいさね!」

「・・・はっ?」

「まぁ、その程度でって考えは解らないでもないけどね。その子、ニクスちゃんの見た目と雰囲気、それにこの地の悪い癖かね。」

「と、言うと?」

「まず、ずっと下を見ているのと前髪で目元を隠していること、それに話掛けてもだんまりなのがいけないね。そりゃ、話しかけても黙っているだけの子に気を使ってやれるほど、今の時代余裕はないさね。自分からガツガツいかないと!それと、この地には昔からの風習でね。魔女が災厄を持ってくるって言うのがあるのだけれど、それがまたその子がその魔女とそっくりでね。銀髪で透き通るような白い肌、それに表情の無い顔。まぁ、これらが重なって噂が広がりニクスちゃんに好んで近寄ろうとする人がいなくなったと言った所さね。」

「そんな、そんな昔話に出てくるような存在にニクスが似ているからってだけでこんな、まるで迫害しているようじゃないですか!!」

「そうさね、でもここまで放置していたニクスちゃんにも問題はある。・・・そこで、あたしは思いついた訳さね!ニクスちゃん、あんたも家で働きなさい!」

「へっ?」

「その人見知りな所を強制的に治すには接客業による荒治療が一番さね!」

「で、でもそれじゃおばちゃんに迷惑が・・・。」

「そんな事気にする必要はないさね!あたしが、やりたいと思ったからやるんだよ!」

そんなおばちゃんに対し俺は深く頭を下げた。

「ありがとうございます・・・。これからも、よろしくお願いします。」

「任せときな!」

そして、俺達はおばちゃんと別れ小屋に帰ることにした。

 

夕陽が俺達を照らす。

まるで、これから先が明るいと暗示しているように俺達の進む道を照らしだす。

俺は小屋に入る前にニクスを呼び止めた。

「ニクス。」

「なに?」

「これから、頑張ろうな!」

「・・・うん。」

ニクスは俯きながら答える。

そんなニクスに俺は笑いながらポケットを漁る。

「そんで、これプレゼント。」

それは可愛らしい向日葵が付いた髪留めだった。

ニクスは髪留めを受け取るがどう返事を返したらいいのか困惑していた。

「しゃ~ないな、ほら貸して!」

そして、俺は髪留めをニクスから取り上げ顔全体が見えるように前髪に取り付ける。

すると、ニクスは恥ずかしいのか両手で顔を隠す。

「なぁ、ニクス。俺に君の顔を見せてくれへんかな?」

すると、ニクスは観念したようでゆっくりと両手を下げ俯いていた顔を持ち上げる。

「あっ・・・。」

恥かしさの余りトマトのように赤くなったニクスの顔は途轍も無くキレイだった。

だが、俺は別のことに驚いていた。

その顔は目元が少し吊り上り冷たく見えるが、その顔の作りはリリアやストーと同じものだった。

薄々は感づいていた。

だが、認めたくなかった。

ニクスがオルタネイティブ3計画で生み出された存在だなんて、そう考えるともしかするとニクスにとって害にしかならない実験をさせられているのかもしれない。

そう考えると不安になってくる。

だが、俺は切りだすことが出来なかった。

それを聞くと二度とニクスに会えない気がしたからだ。

だから、俺はその考えを振り払い素直な感想を言う事にした。

「キレイだよ。」

「は、恥ずかしいから、そんなに見ないで・・・。」

そうニクスは言うとまた俯いてしまう。

だが、俺はガン見し続けた。

すると、仕返しだと言わんばかりにニクスは俺の両手を自分の両手で包み込んだ。

「え?なっ・・・。」

そして、赤い顔のままにその大地に輝く草木のような綺麗な緑色の瞳を俺に向ける。

「あ、ありがとう。・・・和、君。」

「・・・。」

「おばちゃん、が、言って、いたから・・・、私はそう読んでみたい。」

ニクスは赤い顔をさらに赤くさせ言ってくる。

「良い?」

「あ、あぁ・・・。」

俺は気の抜けた返事しか出来なかった。

あまりにもニクスが可愛すぎて、脳味噌が処理堕ちしてしまったみたいだ。

「・・・良かった。」

ニクスはそう言って俺の両手をさらに強く握り閉める。

「和君は、暖かいね。」

そして、俺達は小屋に戻って行った。

仲良く手を握りながら。

 

その日の晩、俺は意を決して聞いてみた。

「ニクス、何で俺を助けた後も俺の傍にいてくれるんや?」

「・・・和君も私と同じで世界で一人ぼっちだと思ったから。」

「そっか・・・、ならこれから俺と一緒に世界に溶け込んでいこな!」

「うん!」

そして、ニクスは立ち上がる。

「もう帰るんか?」

「うん、明日また来るから・・・。」

「なら、送っていくよ!」

「いい。」

「な、なんで?」

「家、直ぐ近くだから・・・。」

「いや、でもこの辺りに家なんて・・・。」

「いい。」

そう言ってニクスは外に出て行こうとする。

俺はニクスが心配なのもありこっそり後を付けようとした。

すると、ニクスは立ち止まる。

「・・・ついてきたら、もう来ない。」

その一言が決め手となり俺は大人しく言う事を聞くことにした。

すると、落ち込む俺にニクスが笑いかけ頭を撫でてくる。

「本当に大丈夫だから、心配してくれてありがとう。・・・またね。」

そして、本当にニクスは小屋を出て行った。

「またね、か・・・。」

俺はその言葉がたまらなく嬉しく思った。

 




今回も読んでいいただき、ありがとうございます。

可愛い女の子と言えばいいのでしょうか・・・。
デレてくる女の子を書くのは難しい(汗)

それでは、次回もお付き合い頂ければ幸いです。
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