Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior 作:はんふんふ
「はぁ、はぁ、・・・はぁ。」
あれから俺はニクスを探し続けていた。
ニクスの言動から小屋の近くになにかがあるのは解っていた。
だから、俺は小屋の近辺を重点的に探す。
ズボンはドロドロ、靴の中にも泥が入り込んでいる。
シャツは汗でへばり付き、そこに砂埃がくっつくことで色が変色してしまっている。
それでも俺は、走り回り時には地面にへばり付き、探すのを諦めなかった。
だが、どれだけ探そうとも見つける事が出来ない。
施設らしきモノなんて見つける事が出来なかったし、人っ子一人見つける事が出来なかった。
そして、俺は一縷の望みを託し、再び小屋に帰る事にした。
体力も限界に来ている。
立っているのもやっとだ。
何時間走り続けていたのかも解らない。
俺は、笑い続ける足に勝を入れて歩いた。
そして、小屋が見えてくると見つけた。
「ニクスーーーーッ!!」
俺の声を聞くと、口元に手を当て涙を流すニクスがそこにはいた。
ニクスの姿を確認した俺は、すでに限界なのも忘れて走りニクスを力一杯抱きしめ持ち上げる。
「ニクスっ、ニクス!」
「和君、会いたかった・・・。会いたかったよぉっ。」
太陽が昇り俺達を照らしだす。
その温もりが今までの苦労を時間をすべて無かった事にしてくれる気がした。
一頻抱き合った俺達は、イスに座っていた。
ニクスは俺から離れたがらずに、俺の膝の上にいる。
そして、俺は撃ち明けた。
自分の事を・・・。
「・・・そっか、和君は未来から来たんだ。どうりで、色々とおかしな点があると思った。」
ニクスは俺の話を聞き終わると、何かを決心した顔をした。
俺は、それが酷く恐ろしく感じた。
まるでニクスがどこかに行ってしまうかのように感じた。
だから、俺はニクスをさらに抱きしめ、その不安を温もりで覆い隠す。
「それにしても、よく博士が許可してくれたな?」
「ふふふ、私が我儘を言ったら許可してくれた。」
ニクスの笑顔を見ていると、心が温かくなる。
この気持ちはおそらくアレなのだろう。
やりたい事をやる―――。
俺は自分の気持ちにもっと素直になるべきなのだろう。
だから―――。
「なぁ、ニクス・・・、俺っ。」
俺が決心し言おうとした瞬間にニクスの人差し指を唇に押し当てられ遮られてしまった。
「・・・待って、あの場所で話したい。」
「わかった。」
そして、俺達はあの崖に来ていた。
大分長い間話し合っていたのだろう、もう夕方になっていた。
そして、俺達は海を見守る様に立っている木の前にそれぞれ立つ。
「・・・ニクス、俺は話した通り未来から来た。多分、そう長い時間この時代に居続けることは出来ない。・・・それでも、俺は言いたい。自分勝手な我儘なのも解っている。でも、言わせてくれ・・・・。俺は、君を愛している。」
俺がそう言うと、ニクスは解っていたのか笑顔になった。
その笑顔は夕陽に照らされ、流れる涙が反射しニクスの心の温かさを表しているようだ。
「・・・はい、私もあなたを、愛しています。」
そして、俺達は口づけを交わした。
それは一瞬だったのかしれない。
でも、永遠に感じられた。
そして俺は思った。
この時間が永遠に続けば良いのにと・・・。
そして、俺達は唇を離す。
「最長で九年だ。九年待っていてくれ、何がなんでも、俺が迎えに行く。」
決意を込めて俺はそう言った。
すると、ニクスはもう一度俺にキスをし恥ずかしそうに頬を赤らめながら言ってきた。
「・・・私は、いつまでも一緒だよ。」
それに今度は俺からキスをし答えた。
そして、小屋に戻ろうと来た道を手を繋ぎながら歩いていると、良く知った声が俺達を呼びとめた。
「和真君に、ニクスちゃんじゃないさね!探していたんだよ!?おやまぁ、和真君泥だらけじゃないさね!今日はヨンソクなのだから、綺麗にしなきゃいけないよ!!」
そう言われると、俺は町の男衆に拉致られていった。
「ちょ、ちょっとーーーーッ!!」
「ほら、ニクスちゃんはこっちだよ!」
気が付けば俺は黒いスーツに身を包んでいた。
身体もジャワーを借りさっぱりしていた。
「あの、これは一体?」
「ヨンソクの締めを今回はあんたらにしてもらう。」
そう言って豪快に笑うのは、魚屋のおっちゃんだ。
スーツは、ここに逃げて来た人との商談で手に入れたらしい。
「それじゃ、気合入れろよ!」
そして、俺は夜の時間帯なのにまだ、夕方のように明るい街に出た。
そして歩く事数分、海岸に着くと焚火を囲み町中の人達がいた。
豪華な料理が並び、どこから持ち出して来たのか手に楽器を持ち即興で作り上げた音楽を奏でる。
皆が笑顔で笑っている。
幸せな世界がそこには広がっていた。
そして、そんな中に女集が姿を現した。
それは何かを守るように円を組んで歩いている。
そして、それは俺の前で割れ中から月が姿を現した。
純白のウェディングドレスを身に纏った、月・・・。
それはニクスであり、その余りの美しさに俺は声を出せないでいた。
ニクスは雪のように白く輝く顔を赤くし俯いている。
すると、どこかの誰かに肘打ちを食らった。
それのおかげで正気を取り戻した俺は、なんとか声を絞り出せた。
「凄く、綺麗だよ・・・。」
「あぅ、うぅ・・・、あ、ありがとう。」
そして、飛び交う野次。
俺達はその野次に背中を押され、神父らしきおっさんの前まで歩いた。
「あ~、え~と、なんでカンペがないんだ?あ~、端折らせて頂きます。死が二人を分かつまで共にあると、誓いますか?」
その適当ぶりに俺とニクスはくすくす笑う。
そして、お互いに見つめ合う。
太陽が沈み月が顔を覗かせる。
そして焚火の炎が、海を照らし人々を照らし妖精を招き入れる。
この祭りの主賓は妖精だ。
そして、妖精に祈りを捧げる場でもある。
俺達は妖精に祈りながら答えた。
「誓います!」
「誓います。」
そして、夜の世界が訪れた。
その中にあっても尚、ニクスは星に負けない程に輝いている。
「では、誓いの口づけを・・・。」
そして、俺達は口づけを交わした。
様々な歓声が上がる中、口づけを交わす俺達・・・。
ニクスの瞳からは、喜びの涙が流れ落ちた。
その時、祭りに参加していた子供たちが完成を上げる。
そして、人々はそれを見た。
「キレイ・・・。」
「これは・・・。」
「妖精様が来て下さった。」
町の人達が口々にそう漏らす。
それもそのはずだ、海が青く光り輝いていたのだ。
星よりも輝き、波に運ばれ海岸に打ち寄せる青い光。
空気を読まずに言ってしまえば、ただの発行するプランクトンの群れが流れ着いただけだ。
だが、その光は町の人々の願いを、そして俺達を祝福してくれているようでもあった。
その光に誘われるかのように、流れ出す音楽。
その曲に合わせ皆が焚火を中心に踊りだす。
その光景を見ていた俺は、ニクスに手を差し伸べた。
「一緒に、踊ろうか?」
ニクスは少し驚いた様子で俺の手と顔を交互に見ている。
そして、今まで見たことも無い程に美しい笑顔で俺の手を取りながら返事をした。
「はい、よろしくお願いします。」
その二人の姿は儚くもあり、そして高貴でもあった。
好き勝手に踊るだけのダンスホールは、その二人が加わるだけで社交場へと姿を変え、すべての人々はその空気に毒され上品に踊りだす。
ある者は、腹を抱えて笑い。
ある者は、食べすぎる余り死にかけ。
ある者は、愛を囁き合う。
俺は、今のこの時なら言えるだろう。
間違いなく、今この時、世界はここを中心に回っている。
俺にそう思わせる程に、俺は心から楽しんでいた。
「あぁ~、頭がガンガンする。あの連中、どれだけ飲むんだよ。」
「仕方ないよ、皆嬉しかったのだから。」
俺達はあの後、騒ぎ倒し祭りが終わるとニヤける連中に促され小屋に帰宅させられた。
ベッドに横たわる俺をニクスが覗き込む。
ニクスの甘い匂いが俺の鼻をくすぐる。
そして、俺達はまたキスをした。
だが、今度のキスは長い、お互いの息が止まる程に長いキスだった。
「ふぅ、うん・・・。」
ニクスの口から艶かしい声が漏れる。
だが、それと同時に俺は酷い眠気に襲われる。
「に、くす?」
ぼやける視線の先では、ニクスが涙を堪えながら笑っていた。
「和君、私は、心からあなたを愛しています。・・・本当に、愛しています。だから、あなたには幸せになって欲しい。」
そして、ニクスは優しく壊れ物を扱うように俺に触れるだけのキスをした。
「ひっく、ふぇ・・・、大好き、大好きだよっ。」
なんで、ニクスは泣いているんだ?
あんなにも幸せだったのに、これからだったのに、何故?
俺はニクスの頬に手を添える。
泣き続けるニクスの悲しみを少しでも分かち合えるように。
そして、俺は深い闇に捕らわれてしまった。
私の目の前では和君が眠っていた。
「ごめんさない、和君、・・・和君。」
私の呼び声は和君に届かない。
当たり前だ、私が彼に睡眠薬を飲ませたのだから・・・。
「もう、良いのかい?」
私がその声の方を向くと博士がいた。
「はい、ありがとうございます。」
博士はそんな私を見て顔を悲しげに歪めた。
「すまないな、ニクス・・・。私は、幸せになってほしいと願ってはいけない立場にいるのに、そう思ってしまう私がいる。」
「いいえ、博士は何時も私達の事を考えていてくれました。あの中でも博士だけが、私達の事を人として見てくれていました。・・・和君と出会えたのも、今までの幸せがあったのも博士のおかげです。」
「そう、か・・・。すまない、でわ行くとしよう。・・・すでに、第一防衛ラインが突破された。」
「・・・解りました。和君は、この町の人達は私が守ります。」
そして、私は和君を見つめる。
「この命のすべてを使ってでも・・・。」
次回予告
なぁ、知ってるか?
実は俺、泣き虫なんやで。
そんでもって寂しがり屋・・・。
男の癖になさけないやろ?
でもな、そんな俺でも意地がある。
守るよ、お前のために―――。
お前が残したすべてを、俺が・・・。