Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior   作:はんふんふ

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親友(ライバル)

「なんでここにいんのや……。」

「ひ、1人で帰るのが怖くて……。だば、付いてきてしまったけろ。」

 この子、行動力あるな~。

「じゃあ、なんで俺らの所に来やんかったんや?」

「お、怒られるとおもって……。」

 俺と父さんは、それを聞いて深いため息をこぼした。

「まぁ、来てしまったのは仕方がない。和真、今日は家に帰って明日多恵を送って行ってくれるかい?」

「わかったよ。父さん」

 そのまま、なんとも言えない空気のままで家まで帰って行った。

 多恵は、家につくなり大はしゃぎである。

「すごかぁ~!ここが、お父さんとにぃにぃの職場かぁ~!」

 俺は、そんな多恵に苦笑いしながら手伝うように促す。

「多恵、興奮するのは解るけど、荷物運ぶの手伝って!」

「は~い!」

 荷物を全部家の中に入れ終わると、昼の三時になっていた。

 これから、どうするか俺が考えていると、父さんが声をかけてきた。

「和真、すまないのだけれどご近所さんや通院されていた人達に帰ってきたことを伝えてきてくれないかい?」

 俺は、やることができたと返事をした。

「じゃあ、多恵!出かけよか?」

「うん!いいよ。どこに行くの?」

「ご近所さんと普段病院に来てくれてはる人らのところやで!」

「わかったよ!」

 俺達は、まず隣の家のお婆ちゃんに挨拶をした。

「お婆ちゃん、ただいま!今帰ってきたよ!」

「おや、お帰り!和真君。」

 元気に返事を返してくれたお婆ちゃんは、俺の隣にいる多恵を見て急にニヤニヤしだした。

「あらあら、まぁまぁ!和真君の彼女さんかい?」

 多恵は、この国の言葉が解らないので頭に? を浮かべて首を傾げている。

「ち、違いますよ!お婆ちゃん、この子は築地多恵、俺の妹ですよ!」

「あら、そうだったのかい?おしぃ~ねぇ~、和真君!こんなかわいい子がいても妹じゃ、手が出せないもんねぇ~。」

 完全に俺のことをからかっていた。

「手なんか出しません!もう、行きますからね!」

 俺は、そう言って多恵の手を掴み歩き出す。

 そこで、俺は言わなければいけないことがあることに気が付いて、お婆ちゃんに大声で言う。

「お婆ちゃん!明日から病院開けるからね!」

俺がそう言うと

「わかったよ!ありがとうねぇ~。」

と声が聞こえた。

「にぃにぃ?」

「うん?どうした?」

「さっきのお婆ちゃん何て言ってたの?」

 俺は、言うべきか迷ったが別に大丈夫か、と思い言うことにした。

「多恵のこと、俺の彼女か?って聞いてきてな、妹です!って答えてたんや。」

 俺が、そう言うと多恵は立ち止まってしまった。

 やばっ!これって、ちょっと、止めてよね!キモ~イ!のパターンか!どうしよ、そんなん多恵に言われたら俺、立ち直られへんぞ!

 俺が、青い顔をしていると多恵がうるんだ目と赤い頬のダブルパンチな顔を俺に向けてきた。

「に、にぃにぃ・・・。私じゃ、いや?」

 そして、上目使いのアッパーまで放ってきた。

 元の世界では、女の人と無縁な生活を続けてきた俺は、もろにアッパーをくらいその場で鼻血を出して気絶してしまった。

 

 目を覚ますと、多恵の顔がすぐ近くにあった。

「うわぁお!!」

 俺は、奇声を発して飛び起きる。

「キャッ!」

 だが、多恵はぎりぎりの所で頭をそらし事なきを得る。

 この子、すごい反射神経だ……。

と俺が驚いていると、俺は倒れる前、多恵と話していた記憶はあるのだが、そこから先の記憶が無いことに気が付く。

「ごめんな、多恵。俺の頭重かったやろ?」

 俺は、膝枕されていたのを思い出し多恵に声をかける。

「ふぇ?大丈夫だよ!私これでも鍛えてるから。」

「そうか、それより俺さっき多恵と話してたと思うねんけど、何の話してたっけ?」

 俺が、聞くと多恵は急に慌てだす。

「な、なんにもなかったよ!あたしは、何もしらないよ!」

 その必死な姿に俺は気押されそれ以上聞くことができなかった。

「じゃあ、もう挨拶回りは終わったから少しこの辺りのこと歩きながら教えて行くで?」

「うん!」

 そう言って俺が立ち上がると、森の方をじっと見ている子がいることに気が付く。

 俺は、その子に近づいて膝をついて目線を合わせ、話を聞いてみることにした。

「どうしたんや?森の方じっと見て?」

「あのね!私の赤ずきんちゃん、森のくまさんが治してくれるって連れて行っちゃったの!」

 俺は、{治してくれる}のところを聞き逃してしまう。そして、盛大な勘違いをしてしまう。

 

 森のくまさん……だと……!しかも、赤ずきんちゃんを攫って行くだと……!

 俺は、その話に恐怖した。

 この平和な場所で誘拐事件が起きるなんて。

 俺は、勇気を振り絞って聞いてみた。

「えっと、それはどれくらい前のことだい?」

「う~んと、一時間くらい!」

 一時間も赤ずきんちゃんが拉致されているだと! 一刻も早く助けに行かなければ!

「多恵!!今すぐにこの子を連れて父さんの所に迎え!俺は、今から赤ずきんちゃんを助けに行ってくる!」

「えっ!にぃにぃ何か勘違いしてない?」

「時間が無いんだ。多恵、早く!俺が、一時間戻らなかったら父さんとその子を連れて避難するんだ!いいな?」

 俺はそう言って、森の中に走って行った。後ろで多恵が何か叫んでいたが聞いている暇なんてなかった。

 俺が、森の中を真っ直ぐ走っていくと小さな小屋があった。

「あそこだな……。」

熊が小屋で生活するはずが無いのに、俺は確信に近い何かを感じていた。

 俺は、そばに落ちていた石を掴み上げ一気に小屋に向かって走って行き扉を開け中に転がり込む。

「赤ずきんちゃん!助けに来たぞ!どこだ!赤ずきんちゃん!!」

 俺が叫んでいると、突然腕の関節を決められ床に叩きつけられる。

「がはっ!」

 肺の中の空気が一気に口から外に飛び出す。

 すると、耳元で声が聞こえた。

「どこの隊の奴だ?命はとらん、ここの事は忘れて何事もなかったように隊と合流しろ……。そして、二度とここに近づくな。」

 その声を聞いて頭に一気に血が上る。

「お前こそ赤ずきんちゃん誘拐してどうするつもりや!? 返答しだいでは、怒殴き回して尻の穴から腕突っ込んで奥歯ガタガタ言わすぞ!!」

「お前何を言っているんだ?」

 相手は、明らかに呆れていた。

「お前こそ何を言っとるんや! 聞いたぞお前、女の子の友達の赤ずきんちゃんをその子の目の前で連れ去ったそうやないか? 早く赤ずきんちゃんを解放しろ!!」

 俺がそう叫ぶと突然俺に掛かっていた重みが消えた。

 俺が慌てて立ち上がり振り返ると、そこには背の高い軍人の男が立っていた。

「お前の言いたいことは解った。ほれ、解放してやるよ。」

 男はそう言うと、人形を俺に投げて渡してきた。

「お前……!ふざけるな!これは人形だ!!早く赤ずきんちゃんを返せ!!」

 俺が、また叫ぶと男は頭を掻きながら答える。

「だ~か~ら~。それが、赤ずきんちゃんだって!」

「何を・・・言って・・・」

 俺は、その人形を見ると確かに赤ずきんをした人形だった。

 俺は、訳が分からず混乱してしまう。

「は?え?これ?」

「そう、それ!あの子が飯をくれたからその詫びにその人形を治してやったんだよ。」

俺は、自分が早とちりしてしまったのに気が付いた。

「えと、あの何かすみません。」

「別に、かまわねぇよ!ただ、これだけは約束しろ!俺が、ここにいることは軍の奴らに言うなよ?」

 俺は、その気迫に押され返事をする。

「は、はい!わかりました!」

「なら、それ持って早くいけ!」

「はい!失礼しました!」

 俺は、急いでその小屋を後にした。

 俺が、森から出ると多恵が心配して待っていた。

「にぃにぃ!大丈夫だった!?」

「あぁ、大丈夫だったよ!」

 俺は、多恵にそう言うと隣にいた子に人形を渡す。

「森のくまさんが、ごはんありがとう!って言ってたよ?」

 俺の言葉にその子は、嬉しそうにして「ありがとう!バイバイ!」とその場から離れて行った。

「じゃ、俺達も帰るか?」

「うん!」

 俺たちは、そのまま何事もなく家に帰った。

 

 晩飯は、多恵が作ってくれるらしい。初めは俺がやる!と言ったのだが、あたしがやる!と突っぱねられてしまった。

 キッチンで料理をする多恵を見て俺はケガをしないかヒヤヒヤしていた。

 だが、心配する必要は無かったみたいだ。

「にぃにぃ!配膳手伝って~。」

「は~い!」

 父さんも手伝いに来てすぐに終わり。晩飯を食べることにした。

「「「いただきます!」」」

 俺は、一口食べて素直に感想を言うことにした。

「多恵、料理うまいな!めっちゃおいしいで!」

「ほ、本当!よかった~」

 続いて父さんが、「うん、確かにおいしいね。これなら、どこに嫁に出しても恥ずかしくないよ。」

「もぅ~!お父さん!!」

 そんな、場面を見つつ俺はいつものようにタエを呼ぶ。

「タエおいで!」

 そして、いつものように膝に乗って口を開けるタエに俺もご飯を入れていく。

 その、光景をじっ……と見ていた多恵が「なんだか、新婚さんみたいだね。」

 俺は、苦笑いで返した。

 晩御飯の片付けが終わり雑談をしたあと、明日も朝が早いので寝ることにした。

「痛てててて、くまさん強すぎやわ!まだ、腕が痛い……。もう、寝よ」

 俺は、今日一日の疲れを癒すために寝ることにした。

 すると、突然部屋の扉が開く。

ビク!

「な、なんや?」

「にぃにぃ~。」

 そこには、半泣きの多恵がいた。

「驚かすなよ。どうしたんや?」

「怖いよ~!」

「は?」

 多恵が言うには、家が軋む音が怖いらしい。

「はぁ……。確かに古い家やから音はするけど倒壊したりせんから、大丈夫やで?」

「でも、怖いよ!」

「安心し、大丈夫やから。明日も早いし早く寝や?」

 俺は、そう言ってベッドに入り布団を被る。

 すると、多恵がベッドの中に入ってきた。

「お、おい!何しとんねん?」

「一緒に寝よ?」

「アホなこと言いな!早く戻りなさい!」

「一緒に寝よ??」

「やから。」

「い・・一緒に・・・ね・よ?」

 多恵は泣きそうになりながら、聞いてきた。

「わかった!降参や。」

「じゃあ!」

 さっきまで泣きそうだったのに、もう笑顔である。

 忙しい奴やな。

 俺は、そう思いながらも横でモゾモゾ寝る位置を決めている妹を見て。

 こういうのも悪くないなと思っていた。

 

 朝、俺はいつも以上に苦しいことに気付いた。

 タエの奴に餌やりすぎたかな?今度から、甘やかさないようにしないと。

 そんな決意を新たにしながら目を空けると……、多恵が俺の上で寝ていた。

 いや、一緒に寝たからこんな展開あったらいぃな~!て思てたけど、ちゃうやろ!そこは、うつ伏せで俺を抱きしめる様にやろ!なんで、仰向けやねん!と1人変態なことを考えていると、多恵がもぞもぞ動きだした。

「あっ……う、ん!……。」

 なんだ、この艶かしい声は!そこで俺は、は!と気づいてしまった。

 俺の大切な息子が大変元気であることに……。

 やばい、やばいですよ!妹相手にこれは非常にやばいですよ!もし、気付かれたら一生変態だと言われてしまう。

 それだけは、なんとか回避しないと!俺が、必死に考えている時に視線を感じた。

 やばい、気付かれた!と焦りながら視線の先を見ると多恵の胸元で寝ているタエが俺のことを蔑む様な目で見ていた。

「ち、違うんだタエ!これは、一種の生理現象なんだ!男の朝は皆こんななんだ!」

と猫相手に必死に便宜を図っていた。

 タエは、その目のまま何もせずに部屋から出て行く。

 俺は、この体制はまずいので多恵をベッドの上に俺から落とし俺は脱出する計画を立ててすぐに決行する。

「そぉい!」

 多恵を腕を使って落とす、そして俺は横に回避するが勢いをつけすぎてしまったため顔から、ベッドの下に落ちる。

「ふごっ!」

 俺の落ちる音を聞いて、多恵が飛び起きる。

「な、なに!なに、なに?」

 俺は、痛む鼻をさすりながら多恵に声をかける。

「おはよう、多恵」

「へ?おはよう?」

 多恵はまだ頭が回転していないようだ。

「多恵、今日は日本に帰るんだろ?早く用意しやんとあかんで?」

「あ、そうだったっぺ。急がんといかんばい!」

 どこの方言だよ、それ……。

 多恵は、急いで自分の部屋に駆けて行った。

「さて、俺も用意しやんとな!」

 気合を入れなおし俺も準備を始めた。

 朝飯も用事もすませ、父さんに港まで送ってもらった。

 父さんが帰りしな俺に手紙を渡してきた。

 なんでも、古い友人宛らしいそして、その人は京都の別荘に単身赴任中なのらしいのだが、なぜ俺が持って行くのか聞いたところ、手紙を渡した後大阪に行きなさいと言われた。

 俺は、父さんの気遣いに感謝した。

 どうでも、良いことなのだが多恵はやはり船の中で寝て朝起きた時俺の上で寝ていた。

 なぜ俺の上で寝るのか聞いたら、寝やすくて落ち着く!と言われた。

 今度からはやめてくれと懇願した。

 そんなことをしている間に、日本についた。

「多恵、駅まで案内して!そんで、京都でお別れや!」

「えぇ~!柊町まで来てくれないの?」

「そこまで、運賃貰ってないから無理や!」

「次は、来てね!観光手伝うよ?」

「あぁ、そん時は頼むわ!」

 そんな話をしていると、駅がすぐ近くにあった。

「へぇ~!新幹線あんねんや?」

「なに当たり前のこと言ってるの?」

「いや、別になんでもないよ!」

 俺は、慌てて何でもないように言う。

 でも、内心はこんな時代に都会でない町まで新幹線が走っているのに驚いていた。

 新幹線に乗り京都に向かっている間、俺は窓から外を見ていた。

 外の風景は元の世界と同じで田舎もあれば、都会もあり住宅街もあり、そこには、たくさんの人達が生活をしている。

 BETAが徐々に近づいてきていることは知っているはずなのに、皆逃げることをせずに日本で生活をしている。

 それは、軍隊にたいする信頼なのか国にたいする信頼なのかはわからない、ただなんとかなると考えることを止めているだけかもしれない。

 だけど俺は、この国で生きている人達を見て強いなと感じていた。

「にぃにぃ!もう、京都駅に着いちゃうよ?」

 多恵が、横から声をかけてくる。

「あぁ、ごめんな?ちょいと考えごとしてたわ!」

「もぅ~~!」

 多恵が頬を膨らませる。

「やから、ごめん!て次にこっち方面にくることがあったら柊町にも行くから」

 俺の言葉を聞いて一気に笑顔になる。

「約束だよ♪」

「おう!約束や!!」

 俺と多恵は指切りをした。

 でも、約束を破ると120mm弾を千発飲ませるのはやりすぎだと思う……。

 俺達がそんなことをしている間に、京都駅に着いてしまう。

「じゃ、俺は行くな?次に会うまで元気にしてるんやぞ?」

「それは、にぃにぃもだよ?」

「わかってる!それじゃ、またな!」

「またね!!」

 多恵は、新幹線の扉の所まで付いてきて送り出してくれた。

「さぁ、着いたぞ京都!!京都タワーもあるやん!俺そういや、京都タワー入ったこと無かったわ。まぁ、観光は後にしてまず用事すませよか」

 俺は、独り言のクセが治っていないことに気が付かないまま、父さんから渡された地図を見る。

「少し、距離があるな……。」

 俺は、行動することにした。

「しかし、京都って路面電車走ってたっけ?」

 路面電車に初めて乗ることに興奮しながら、目的地に向かうために乗り継いで行く。

 そして、お昼ごろには目的地に着くことができた。

「で、でかい家やな……。」

 家は、大きな門扉があり門扉から家を守るように塀が続いており、見た目は純和風な家だった。

 俺は、家のでかさに驚きながら表札を確かめる。

 表札を見てみると 彩峰 と書いてある。

 俺は、ここだと確信してチャイムを押した。

ピンポ~ン!

 電子的な音を聞きながら待つが、出てこない。

ピンポ~ンピンポ~ンピンポ~ン!

 暇だったのもあり、連続で鳴らす。

 すると、門扉の内側からドカ!ドカ!と足音がしてくる。

 俺は、しまった!と思い体を硬直させていると、門が空いた。

「誰だ!!この家に住まう御方を知っての行いか!?」

 中から大声を出して飛び出して来たのは、俺と同い年くらいのメガネを掛けたいかにも真面目そうな男だった。

「す、すみません。築地 三郎の使いできました。築地 和真です!手紙を持ってきました!!」

 俺は、頭をおもいっきり下げながら自己紹介をし、手紙を突き出した。

「いや、大声を出してすまなかった。僕は、沙霧 尚哉(さぎり なおや)だ。話しは聞いている、とりあえず家の中に入ってくれ、彩峰中将から許可も貰っている。」

「わ、わかりました。」

 これが、俺の親友(ライバル)になる男との最初の出会いやった。

 




尚哉登場です。彩峰中将と尚哉が京都にいるのは、完全にオリジナル設定です。ここから、さらにオリジナル路線に入っていきます!
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