Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior   作:はんふんふ

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ただいま

見据える先には、吐き気を催す程に惨たらしい姿をした異星起源種。

それらは、砂埃を上げながら平野を進み大地すら削り取る。

その数は約二万、前方すべての景色がそいつらで溢れかえり生物が本来持っている本能が赤信号を灯し続ける。

進むな・・・。

反転しろ・・・。

無理だ・・・。

そう教えてくる。

だが―――。

「赤信号皆で渡れば怖くないってね!」

俺は左手に持つ120mm水平線砲改を統一感覚で放っていく。

それらは、赤い流星となって突撃級に突き刺さり息の根を止める。

そして開いた群れの中に戦術機を捻り込ませ、突撃砲を撃ちまくる。

要撃級の攻撃を屈んで躱し、要撃級の二対の前腕衝角がヴァローナの頭上を通り過ぎるのと同時に背部ブレードマウントからフォルケイトソード改を左手に装備し叩き切る。

血飛沫を上げる要撃級を飛び越えさらに他の要撃級の感覚器を狙い撃つ。

新突撃砲G11のトリガーを一度引くとほぼ同時と思わせる速さで三発の銃弾が放たれ、二発が要撃級の顔のような感覚器を破裂させる。

それだけで要撃級はよろめき、満足に歩くことすら出来なくなる。

今度は他のBETAの足元に蔓延る戦車級を狙い、トリガーを押し続ける。

すると、照準がブレまともに狙いが定まらない。

だが、それでいい―――。

下手な鉄砲数うちゃ当たるである。

地面の茶色が見えない程に群がる赤い戦車級を一々狙っていても仕方がない。

俺は、暴れる突撃砲をそのままに弾丸をまき散らす。

「数が多すぎんだよテメェ等は!まだ、ゴキブリの方が紳士的だぞ!?」

俺は時間を確認する。

残す所、30秒。

斯衛軍も奮戦しており、この一帯だけは何とかBETA進行を食い止める事ができていた。

その時センサに反応が現れる。

「くッ!!」

俺はそれを確認する前に行動に移る。

ヴァローナが飛び上がった地面が弾け飛び、さらにBETAの数が増した。

「毎度毎度、ご苦労な事だな!」

俺はその穴に向かって36mm弾をぶちまける。

だが着地すると同時に要塞級の触覚に狙いを付けられていたと悟る。

「しまッ!!」

触覚を間一髪回避することに成功するが、バランスを崩してしまう。

俺はバランスを崩しながらも120mm水平線砲を構え要塞級に5発撃ちこみ黙らせる。

だが、その時には突撃級が目の前に来ていた。

―――やられるッ。

そう思った瞬間、青い閃光が突撃級にぶち当たり体内から何かを引き千切る音を奏でる。

そして、突撃級が弱弱しく倒れると青い武御雷の姿がそこにはあった。

「待たせたな、五六中尉!」

「嵩宰少佐、斯衛の部隊が奮戦してくれているおかげですよ!」

「そう言って貰えると有難い!」

赤いヴァローナと青い武御雷が背を合わせる。

「あなたと戦えるとは、恐悦至極であります、嵩宰少佐?」

「ふっ、慣れない言葉使いはしない方が身のためよ?教養が足りていないと思われる。」

「くくっ、以降気を付けますよ。」

武御雷が74式近接戦闘用長刀を構える。

「だが、中尉と同じ戦場に立つ事が出来るのは真に心強い!」

ヴァローナがその両手にフォルケイトソード改を持ち構える。

戦場に置いて目立ちすぎる青と赤は己が力を示す。

武神と悪魔が暴力を遠慮なくまき散らせる喜びに打ち震える。

「・・・残り30秒、いけますか?」

「愚問だな?」

「そうでしたね・・・。それじゃ、派手に行きましょうか!」

そして、二体の獣はまるで競い合うようにどす黒い赤に身を染めた。

 

それから5日後俺は東京に来ていた。

米子には後から来た帝国軍の部隊が監視をし防衛体制を整えている。

俺のヴァローナは、斯衛軍のハンガーを借りネフレの整備員に整備されている。

瑞鶴や武御雷が並ぶ中でも、ヴァローナは目立っており他所の整備員がチラ見をするくらいだ。

「ふぅ、久々の戦闘やからか少し疲れたかな?」

俺が疲れているのは、明らかに違う理由でだがこう言う事で、それを自分で否定する。

「ヴァローナか・・・。」

ザウル、リリア、ニクス・・・。

見ていてくれ、俺は皆の分まで頑張るよ。

「君が五六和真中尉で構わないかな?」

俺はヴァローナに向けていた体を声が聞こえた方に向け直し、階級章を確認し敬礼する。

「はっ!自分が五六和真であります!」

俺に声を掛けて来たのは、顔の左側に縦線に深い傷跡を残す強面の男だった。

「私は帝国陸軍技術廠第一開発局副部長を務めている。

巌谷榮二(いわや えいじ)中佐だ。君の噂は聞き及んでいるよ。」

「巌谷中佐に御みしり置けたことは、衛士として嬉しい限りです。」

「私は、それほどの人物ではないのだけれどね・・・。」

「謙遜は止してください、あなたの名前は海を渡り大陸にまで轟いていますよ?」

「ハハハハハッ、それこそ身に余るな。それよりも五六中尉、この戦術機の事を聞いても?」

・・・なるほど、わざわざ帝国軍のお偉いさん、しかも技術廠の副部長なんかがただの中尉に会う為に斯衛軍のハンガーまで来たのはそのためか。

だが、表に出すのならネフレの力を知らせておくのは悪い事ではない。

これが切っ掛けでなにかが動き出すかもしれないんだ。

ネフレの利益に繋がり日本との関係を改善する上でも少しくらいなら情報を出しても良いだろう。

こう言った時になんて言えば良いかもレオに聞いているしな。

それに元々そのために来たのだから。

「この戦術機の名前はヴァローナ、ネフレが米国の企業と開発した第三世代機です。近接密集戦から遠距離狙撃能力まで既存の戦術機の中でも高い位置にいるものと自負しています。」

「・・・なるほど。」

巌谷中佐はそう言うと、顎に手を添え何かを考え込む。

「巌谷中佐?」

「あぁ、すまない少し考え事をしていた。この戦術機、ヴァローナと言ったかな。ヴァローナは米国との共同開発と言うことで間違いないかな?」

「はい、ネフレ単独ではこの戦術機を作り出す事は不可能だったでしょう。米国の技術あって初めて完成した戦術機です。」

「だが、見た感じだとソ連のSu-47と似ている点が多いと思われるが?」

「・・・正確に言うならSu-47がヴァローナに似ているですよ中佐。」

「それは何故か聞いても?」

「すみません、これ以上は何とも・・・。ですが、各部の違いを見て頂ければ解るかと思いますが、ソ連のSu-47がハイヴ攻略を前提とした設計思想をしているのに対しヴァローナはマルチロール機として作られています。Su-47程の近接密集格闘戦では劣るものの、使い勝手はこちらの方が数段上でしょう。」

これで俺の言いたい事は伝わった筈だ。

ソ連のビェールクトがハイヴ攻略に最適な戦術機であるのに対し、ヴァローナは多任務でその力を見せつける。

今の日本の現状を考えても今後の事を考えても、ビェールクトを買うよりもヴァローナを買った方が得だと思わせられればそれでいい。

それに米国の企業が絡んでいるとすることで、おいそれとライセンス生産をしてもそこには必ずアメリカが絡んでくると言うのが、理解して貰えれば技術だけを取られるなんてことにもなりわしないだろう。

「ふむ・・・、ありがとう。色々と参考になったよ、それでは私はこれで。」

「はっ!」

巌谷中佐はそう言うと、格納庫を後にした。

俺は中佐の後ろ姿を見ながら呟く。

「嘘は言ってないからな・・・。」

跳躍ユニットは間違いなくアメリカ製だ。

別に嘘をついた訳では無いと俺は開き直ることにした。

俺は格納庫に取り付けられている時計を確認する。

それと同時に俺を呼ぶ声が聞こえた。

「お久ぶりです、五六中尉!」

「上総ちゃんか・・・、久しぶりだね。元気そうで良かったよ!」

俺を呼びに来たのは、白い斯衛の服を着る上総ちゃんだった。

上総ちゃんは、俺と最後に会った時よりも成長しているのが見た目で解った。

「はい!五六中尉もお変わりないようでなによりですわ!」

「ハハハッ、そこは男らしくなったとか言って欲しかったかな?」

俺がそう言うと、上総ちゃんは目に見えて慌てだす。

「いや、えっと、あの和真さんは元々屈強な殿方でして、その・・・。」

両手を目の前でワタワタ振ちながら必死に何かを伝えようとする。

俺はそれを見て噴き出した。

「ハハハハハハハッ、そうか、そうか、ありがとう!上総ちゃんのような美少女にそう言って貰えるなら男冥利に尽きるね。」

笑う俺を見て上総ちゃんは顔を赤くしプルプル震えだす。

そして、震えながらも本来の仕事を思い出したようだ。

「そ、そんな事より、お迎えに上がりました五六中尉。恭子様の所までご案内します。」

「あぁ、よろしく頼むよ。」

廊下を歩きながら思い出す。

ストーは今こちらに向かっているとの事だ。

ストーのセイカーファルコンは、自力では動く事が出来なくなってしまっておりネフレの回収地点まで帝国軍に運搬して貰い、そこに付き添っている。

そろそろ来る頃だとは思うが・・・。

そして俺は気になっていた事を聞いて見ることにした。

「上総ちゃん。」

「はい?」

「ストーは君達と行動を共にすることが多かったと聞いていたけれど、君から見てストーはどんな子だった?」

俺の問いに上総ちゃんは、考え込む。

あれ、何か聞きずらいことなのか?

ストーの正確なら皆と仲良くやれていたと思うのだが。

「ストー少尉は何て言ったら良いのか難しいのですが、一言で言いますと一匹狼でしょうか・・・。」

「・・・もしかして、ネフレの関係者だからかな?」

「いえ、そんな事はありません!初めの内は皆、仲良くしようとしていたのですが単独行動権が与えられていたからでしょうか。1人で何でも解決させようとしているようで、次第に壁が出来てしまったと言った方が良いかもしれません。いえ、元から壁を作っていたように思いました。・・・それからは、彼女は冷たい女だと独りよがりな女だと周りから思われるようになってしまい。」

「・・・そうか、ありがとう。」

「すみません、五六中尉・・・。」

「いや、上総ちゃんが誤る事じゃないよ・・・。」

沈黙が俺達の間に生まれ重苦しい空気が出来上がる。

そして、軍靴が鳴らす乾いた音が響くだけになってしまった。

その中で俺は思った。

ストーは、俺がいなくなったせいで自分を責めていたのかもしれない。

そして、俺の代わりにと力を求めた。

まるでザウルとリリアを失った俺のように・・・。

なら俺はストーに対して見せてやらなければならない。

1人ではないと、仲間と呼べる存在は作って行くことが出来るのだと。

俺が考えている間に目的の部屋に到着したらしい。

上総ちゃんが扉を開き、俺は中に通される。

「五六和真中尉、只今参りました!」

敬礼する俺に中にいた唯衣ちゃんと嵩宰少佐が敬礼を返してくる。

「すまないな五六中尉、我々の我儘に付き合わせてしまって・・・。それと、遅くなったが改めて礼を言わせてほしい。ありがとう、中尉が来てくれなければ今頃私はここには、いなかっただろう。そして、多くの帝国軍将兵の命を危険にさらすことになっていた、を心から感謝している。」

「あれは俺個人がしたくてしたことですから。嵩宰少佐が気に病む必要は無いですよ。それに、ネフレにとっての目的も達成できましたし。」

「それでも、感謝している。」

「いえ、感謝しなければいけないのは俺の方ですよ嵩宰少佐。ストーを気にかけて頂き感謝しています。」

「いやいや、あれは・・・。」

「いえいえ、こちらこそ・・・。」

そして収集が付かなくなってきたところで俺達は笑い合った。

「「プッ、ハハハハハハハハハハハハッ!!」」

そんな俺達の様子を目を丸くして唯衣ちゃんと上総ちゃんが見ている。

「・・・では、本題の方に入らさせて頂いてもよろしいですか?」

そう切り出した俺に嵩宰少佐も頷く。

「ネフレが何も求めて来なかったことも今回の一見が関係しているのでしょ?」

俺達はそう言い合いながら席に着き向かい合う。

そして俺は意地悪くニヤケ顔を作り鞄から資料を取り出した。

「今回は逃がしませんよ?」

「はぁ、お手柔らかにお願いね・・・。」

そして俺はヴァローナの宣伝を始めた。

「まず、先の戦闘でヴァローナの力は理解して頂けたかと思いますが・・・。」

 

「ふむ、分かりました。この案件は次の会議で出させて貰います。」

「ありがとうございます!」

どうやら、売り込みは一定の評価を頂けたようだ。

レオから事前に情報を貰っといて良かった~。

すると、嵩宰少佐が時計を確認する。

「そろそろ時間だな、五六中尉今日も我が嵩宰邸で疲れを癒していかれないか?」

「お言葉に甘えさせていただきます少佐、ストーの方にはこちらから連絡をしておきます。」

「分かった、そのように家の者にも伝えておく。」

そして俺達は嵩宰邸に向かう事となった。

 

嵩宰邸に到着すると、1人の女性が俺達を待っていた。

「・・・リリア?」

そこにいたのは、リリアを少し幼くしたような女性だった。

凛と背筋を伸ばし、銀髪を風に靡かせ、国連軍の軍装に身を包み待つ女性。

だが、俺は変わってしまった雰囲気を持っていながらも直ぐに気が付いた。

「ストー?」

すると、ストーは突然脇目もふらず走り出した。

そして俺に強烈なタックルを決める。

「グハッ!」

「和君!和君、和君、和君ッ!!」

俺の胸元で喜びを表し、泣きじゃくるストーの姿を見て唯衣ちゃんや上総ちゃん、嵩宰少佐までもが固まっていた。

それほどまでに、今のストーと前のストーのギャップが激しかったのだろう。

「会いたかった、ずっと、ずっと・・・会いたかった。」

ストーは今までの寂しさを掻き消すように俺に抱き着く。

俺は、成長しても変わらないストーに笑いかけ、優しく頭を撫でた。

「ごめん、待たせたな・・・。ただいま!」

 

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