Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior   作:はんふんふ

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柊町

 俺と尚哉は、今京都の彩峰宅の道場で向かい合っている。

 尚哉は木刀を正眼に構え、俺は二本、小太刀の木刀を借りて肘を少し曲げ構える。

「それでは、これより尚哉対和真の試合を行う!ルールは、相手を戦闘不能もしくは、参ったと言わせれば勝ちとする。それでは・・・始め!!」

 審判の彩峰さんの号令をきっかけに俺と尚哉は動き出す。

「はぁぁぁぁぁ!」

 尚哉が上段から面を狙ってくる。

「シッ!」

 俺は、左の木刀で防御をし右の木刀で相手の面を狙う。

 しかし、尚哉は直ぐに後ろに跳び引き仕返しにと俺の左脇腹を狙ってくる。

 それを俺は、尚哉が振り切る前に右肩のタックルで尚哉を弾き飛ばす。

 そこから、何度も打ち合うが中々お互い決定打を打てないでいた。

 俺は、内心悪態をつく。

 くそ!決めきられへん。

 体力も限界に近いどうすれば・・・!

 俺が、疲れてきたのを見抜いた尚哉は怒涛のラッシュで畳み掛ける。

 俺は、それを防ぐことしかできない。

打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ打つ。

防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ

 どれだけ、防いだのか数えるのがバカらしくなるほど攻防を繰り返す。

 腕が疲労でうまく上がらない、うまく呼吸ができない、足が棒のようだ。

それでも勝機を見出すために防ぐ。

 その時、額の汗が目に入り片目を瞑ってしまう。

「そこッ!」

 尚哉の一閃が俺の両手の木刀を弾き飛ばす。

 それでも、まだ諦めきれない俺は尚哉に殴りかかろうとするが、足を掛けられ扱かされてしまう。

 扱けた俺の上に尚哉が馬乗りになり首元に木刀の刃の部分を押し当てる。

 その時、彩峰さんの声が道場に響いた。

「そこまで!!」

 その声を聞いた尚哉が俺から退き立ち上がる。

 俺は、まだ寝たままだ。

「大分強くなったな和真、だが僕の勝ちだ!」

「はぁ・・・うる・・・せい・・・はぁ」

「あぁ、私も驚いたよ。だが、まだ尚哉には届かないな。よし、反省会をやろうか!」

 俺は、息を整え上半身を起こし返事をする。

「はい!」

 俺達は、そのままその場で反省会をした。

 反省会が終わった後、彩峰さんにお風呂を借りた。

「それにしても和真!良く僕の攻撃をあそこまで防げたな?体力は限界だったのだろう?」

 俺は、そこまで見透かされていたのかと肩を落としながら答える。

「ほとんど直観やで、一々認識してから防いでたらさすがに間に合わんからな。」

「つまり、見えていない攻撃も防いでいたと言うことか?すごいな・・・。」

「俺には、空間把握能力と危機察知能力しか芸が無いからな・・・そこを、重点的に鍛えてるよ!それより、尚哉の方が出鱈目やろ!?あの、スピードと判断力おかしいで!?」

「僕は、日本帝国を守る軍人だ。判断力は必須なんだよ!スピードは近接戦ではもっとも必要だから誰よりも早く動けるように毎日鍛錬している。」

「でも、次こそは勝つ!!」

「その次はこないけどな?」

「ぐぬぬぬぬ・・・!」

 俺は、悔しがっている時に尚哉に会った時話しておきたいことがあったのを思い出す。

「そう言えば、尚哉?」

「なんだ?」

「めっちゃ美人のメガネ系知的美女、前見たで?」

「なに!!どこでだ!?お前の知り合いなら紹介してくれ!!」

「お、落ち着け!大阪で出来た友達のボディーガードみたいな人やったで?」

「なんだそれは?じゃあ、情報は無いのか?」

「ごめんな?その友達ともすぐに別れてもうてな、紹介してもらってないねん。」

「そうか・・・。」

「でも、怖そうな人やったで?」

「その程度、どうと言う子は無い。その人も見た目はそうでも中身は素晴らしい大和撫子のはずだ!」

「まぁ、いつか友達に紹介してもらうからそん時に尚哉の事を言うといたるわ!」

「本当か!?よろしく頼んだぞ!!」

「あぁ!任せとけ!!」

 俺達は風呂の中で友情を深めた。

 風呂から上がると、ちょうど昼ご飯の時間だったのでキッチンに向かった。

 キッチンには、慧が待ち構えていた。

「待ってたよ!和真兄さん!!」

「はいはい!許可貰えたから、また作ったるわ!」

「楽しみ!」

「じゃ、食事の用意してきて?」

「わかった!」

「まったく・・・。ホンマに好物になってんな、じゃあ気合を入れて作らんとな!!」

 俺の気合が注入された焼きそばは、好評だった。

 食べている時の慧は、目を輝かして本当においしそうに食べてくれるので、作り手の俺は大変満足した。

 昼食が終わり俺は、多恵が待つ柊町に向かうために彩峰宅を出ることにする。

「それじゃ、お世話になりました!」

「また、来ると良いよ。その時も前もって連絡をしてくれ、都合が空いてる日を教えるからね?」

「はい、ありがとうございます!」

「和真、さっきから思っていたのだがお前の頭の上にいる猫はなんだ?」

「あれ?紹介してなかったっけ?これは、家の病院の看板猫のタエや!これから、よろしくしたってや?」

「あぁ、わかった!それより、例の件忘れるなよ?」

「応とも!」

「和真兄さん、タエまたね!」

「また、焼きそば作りに来るな?」

「でも、私とお母さんはもうすぐ横浜に戻るから・・・。」

「そうなんか・・・。じゃ、横浜に行って時間がある時は行く様にするわ!」

「待ってる。」

 その時、彩峰さんの奥さんから声が掛かる。

「そろそろ行かないと、電車に遅れますよ?」

「ほんまですか!?じゃ、行きますわ。奥さん、お世話になりました。」

「ふふふ、またいらして下さいね?」

「はい!それじゃ、失礼します。」

 俺は、そのまま走って駅に向かう。

 なんとか、電車に間に合い柊町に無事着くことができた。

 俺は、改札を出ると多恵が待っていてくれていた。

「にぃにぃ~!」

 改札から出てきた俺に向かってタックルをするように抱き着いてくる。

「ぐはっ!!・・・多恵、元気そうで良かったよ。」

「うん、タエも久しぶり!今日は、たくさんお話しして町も案内するからね!」

「よろしく頼むわ!」

 

 俺達が、町を歩いていると遠くの方から騒がしい声が聞こえてきた。

「でねぇ~。その時・・・ってにぃにぃ!話を聞いてる?」

「ごめん、ごめん・・・いや、あそこ何だか騒がしいなと思ってな?」

「どこ?あぁ、あの二人はこの辺りではちょっとした有名人だよ?」

 多恵の言う有名人を見ると男女のペアだった。

「なんや、痴話ゲンカか。」

「まだ、そこまで行ってないらしいけどね。」

「そうなんや?でも時間の問題やろな、あの様子じゃ。」

 その二人はケンカをしているが、仲の良さが遠目でもわかる。

「あっ!そろそろだよ?」

「なにがや?」

 俺が、その二人を見ながら聞き返すと・・・。

「タケルちゃんの・・・バカ~~~!!」

「ガガーリン!!」

 女の子の見事なアッパーが男の方に決まり男は空を飛ぶ。

「・・・は?」

 そう、飛んで逝った。

「ひ、人が飛んだ・・・で?」

「大丈夫だよ!にぃにぃ!あの二人の間にはギャグ世界が構築されているから、その内帰って来るよ?それよりも、先に行こ?」

「あ、あぁ!!そうしよか」

 俺達が歩きだすと、空を飛んだ男はちゃんと元の位置に帰ってきていた。

「ここは、人外魔境やな・・・。」

 俺の呟きは誰にも聞こえず四散していった。

 

 そろそろ、晩御飯を食べる時間になってきたので俺達は近くにあった京塚食堂に入ることにした。

「い、いらっしゃいませぇ~!」

 店内は綺麗で、俺達を迎えてくれたのは髪型をおかっぱにしている小学生くらいの女の子だった。

 その子は、俺の頭を凝視している。

「猫さん・・・。」

「うん?あぁ、すんません!動物は入店できひんのですか?」

「い、いえそんなことないです。あの、その・・・な、何名様ですか?」

 少し、恥ずかしがりなようだ。

「2人と1匹やで!」

「それでは、席にご案内します!」

 初々しくてかわいいなぁ~。と思っていたら、多恵に肘打ちをくらう。

「ニヤニヤしない!」

「す、すんません・・・。」

 席に案内された俺達は直ぐにオーダーをする。

「俺は、鯖味噌煮定食で!」

「私も同じので!」

「か、かしこまりました!!」

 女の子は、ちらちらとタエを見ながらオーダーを取り厨房に姿を消す。

 そして、数分後ふらふらと覚束ない足取りで2つの定食を持って姿を現す。

 その姿を見て嫌な予感がした俺は、席を立ちその子の元に向かう、すると案の定その子は後ろにバランスを崩してしまう。

「キャッ!」

 俺は、体でその子を受け止め両手で2つの定食を支える。

 すると、俺がその子を包み込む様に密着してしまう。

「危なかったなぁ~!大丈夫やった?」

「は、はい・・・」

 まだ、何が起こったのか解っていないようだったが時間がたつにつれて今の現状を理解し始めているということが顔の色が真っ赤になっていることからわかった。

「おっと、そろそろ退いてくれやんとお兄さん少し困るかな?」

「す、すみません!」

 そう言ってすぐに俺から離れる。

「えぇよ~。これも役得やから!」

「本当にごめんなさいねぇ~!」

 突然後ろから声が掛かる。

 俺が振り返るとエプロンをつけた肝っ玉母ちゃんな、おばちゃんがいた。

「この子そそっかしくてね!助かったよ!!」

 おばちゃんは、バシッバシッと俺の背中を叩く。

「痛てッ!はははは・・・!どういたしまして。」

「デザート!オマケでつけておくね!!」

「ホンマに!?ありがとう、おばちゃん!!」

「それじゃ、味わって食べておくれよ!!」

 俺は、手に持っていた定食をテーブルに置き食べ始めた。

「なにこれッ!うまッ!めっちゃうまい!!ホンマに合成物使ってんの!?」

 多恵も食べながら、「美味しい」と心底驚いていた。

 俺達が料理を楽しんでいると、さっきの女の子がデザートを持ってきた。

「あの、先ほどはありがとうございました!」

「ケガが無くて良かったで!えぇと・・・」

「雅美です。京塚 雅美(きょうづか まさみ)そして、今厨房にいるのが私の母の京塚 志津江(きょうづか しずえ)です。」

「俺は、築地 和真!そんで、そこで美味しい美味しい言うてんのが妹の・・・」

「築地 多恵です!よろしくね!雅美ちゃん!」

「はい!それで、その・・・」

 雅美ちゃんは、俺の膝の上で飯を食べているタエをじっと見ている。

 俺は、それに気が付きタエを抱き上げ雅美ちゃんに渡す。

「ほら!撫でたって?大丈夫、おとなしい子やから。」

 初めは恐る恐るだったが、しだいに慣れていきタエを撫でまわしていった。

 タエも嫌がらずされるがままになっている。

「うわぁ~!もふもふ♪」

 タエの撫で心地が気に入ったようだ。

 俺は、そんな様子を見て微笑みながらデザートを食べていると多恵に爪先を思い切り踏まれる。

「────ッ!!」

「デレデレしない!!」

 デザートを食べ終わった俺達は、京塚食堂を後にすることにした。

 食堂を出るときに志津江さんが、またおいで!と言ってくれた。

 そして、雅美ちゃんだがタエをまだまだ撫でていたかったらしいが、また来るからと諦めてもらうことにした。

「そろそろ、電車の時間やな・・・。」

「もうそんな時間なの?」

「あぁ・・・。名残惜しいけど今日は帰るわ!」

「分かった・・・。次は、泊りに来てね?」

「了~解や!」

 俺達は、駅前で別れ俺はそのまま夜行列車に乗り港まで向かうことにした。

 




次回から、一気に時間が進みます!
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