Muv-Luv ALTERNATIVE Toy Warrior   作:はんふんふ

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親友(尚哉)

1997年5月俺は、17歳になっていた。

 今では、まだ負けるがくまさんとも良い格闘戦ができるようになり危機察知や空間把握それに催眠術の力も去年とは比べものにならない位に成長している。

 俺の誕生日の時は、どこから情報を手に入れたのか多恵と雅美ちゃんが突撃を我が家に仕掛けてきて、驚いたが嬉しかった。

 雅美ちゃんとは、柊町に行くたびに京塚食堂に行っていたから大分仲良くなった。

 彩峰さんは、最近軍の仕事が忙しく会う機会が少ない、尚哉も彩峰さんと同じだ。

 たまに予定が合う日は共に訓練をしたり試合をしている。

 因みに、10回戦ったら2回勝つことができるまで成長した。

 慧は、完全に焼きそばに嵌り独学で勉強をしているそうだ。

 そして、多恵だが柊町から東京に引っ越すそうだ。

 理由は、お婆ちゃんが亡くなり親戚の家に行くから。

 葬式の時に光州に行きたいと父さんに言っていたが、却下されていた。

 最終的には納得していたのが救いだ。

 そんな事があった俺だが、今久しぶりに尚哉と会うことができた。

 たまたま、御使いで京都に来たときに道で会い、尚哉が休憩時間だと言うので茶屋で話をすることになったのだ。

「久しいな、和真!お前はやはり余りかわらないな。」

「どう言うことやねん!それより、お前は少し変わったな・・・。いきなり、大人になってもうたきがするわ。」

「ならざるおえないと言うのが実情だがな・・・。それよりも、お前の腰にぶら下げているそれはなんだ?」

 そう言って尚哉は、俺の腰に下げている二本のナイフを指差す。

「これか?これは、ククリナイフ言うてな!まぁ、俺の師匠がくれた物でな、いつも持ってんのは、肌身離さず持っているとそれが自分の体の様に感じれるようになる。そうなると、今より格段に強くなれるって教えてもらってな?持ってる訳や!」

「そうか・・・。それより和真。」

「なんや?」

「お前は、今の大陸の状勢を知っているか?」

「あぁ、だいたい噂でな・・・。去年ウランバートルが敵の基地になってんやろ?」

「それだけじゃない!今年になって新たにブラゴエスチェンスクにハイヴ建造の動きがある。このままでは、いずれ大陸が落ちる!そのことをお前は理解しているのか!?」

「・・・落ち着け尚哉。その話は初耳やけど、俺は、まだ光州におるつもりや。俺が、逃げるのは父さんが逃げた時、つまり光州の人らが逃げた時や。皆を置いて逃げるなんてできやんよ・・・」

「───ッ!お前は・・・!」

「俺は、この情報を知らんかった。つまり、情報規制されてんねんやろ?大陸の人らが混乱しやんように・・・。それでも、お前は危ない橋渡ってでも教えてくれた。感謝している。」

「和真・・・。僕は、知っているんだ。大陸に渡った多くの仲間が死んでいってるのを、そして死んでいった英霊達が作った貴重な時間を、大陸の人達を救うことに使わずに自らの保身の事しか考えない無能どもが食潰しているのを・・・ッ!!残された家族達には生活の宛が無いんだ!そんな彼らに、有ろう事か!!軍や政府は何もしていない!何もだ!!僕は、彩峰中将以外にどうにかしようとする人を知らない・・・。僕はこんな思いをするために、軍に入ったんじゃない!こんな・・・思いを・・・。」

 尚哉は、そのまま顔を両手で覆い隠す。

 指の隙間から何かが見えるが俺は気にしない様に話を続ける。

「尚哉、俺はな信じてるんや!すべての人が、人類の危機に立ち向かうために必死になってるってな?己の得になることしかせん奴なんておらん!傍からはそう見えても、実は人類のために頑張ってるってな・・・。俺なんかは、たいした事は出来てないけどな。」

 俺が、そう苦笑いを浮かべると尚哉は顔を上げる。

「そんなことはない!!和真は、光州に逃げて来た人達のために頑張っているじゃないか!?」

「逃げてこれたんも、十数人程でケガの治療とかぐらいやけどな・・・」

「それでも!!僕は、和真の事を誇りに思う!」

「おおきにな。・・・逃げて来た人達やけどな?中には心を病んでしまった人もいてな?そんな人は大抵皆BETAを見た人らや。そんな人はな、比較的安全な場所に来るとどんな行動を取ると思う?」

 俺の問いかけに尚哉は答えが出せない。

「・・・自殺しようとしよるねん。」

「────ッ!!」

 尚哉は俺の答えに声も出せないようだ。

「BETAに殺される前に楽にさせてくれ・・・ってな。俺も、初めの頃は焦ったよ。」

 俺の顔は、疲れから酷い有様だった。

「じゃあ、お前の目の隈は・・・。」

「これは、そんな人らを止めなあかんからな・・・。あんまし寝てないねん。」

 俺は、ここ最近満足に寝ていない。一度BETAの恐怖を味わった人は、楽に死ねる方法を探す。

 俺や父さんやくまさんは、そんな人達を止めるために睡眠時間を削って見回りをしていた。

「でもな!逃げて来た人らも、手伝ってくれてな?今はこうして、薬とか買うために日本に来る時間が取れてんで!」

「・・・そうか。」

 俺が、無理をしているのを尚哉も察したのだろうが追及はしてこない。

 これは、俺が決めた道だと解ってくれている。

「本当に良い親友に恵まれたよ・・・。」

 俺は、小さく呟く。

「何か言ったか?」

「何でもない。・・・話しの続きやけどな?自殺しようとする人に俺が良く話すことでな。

人は、死ぬと天国と地獄にしか行かれへん。天国には、悪いことをしてない人達が行く。

でも、生まれてから悪い事を一回もしない奴はおらへん、そんな人達のために神様は地獄に行くまでに道を用意した。

その道は一本道に見えるけど実はそうじゃなくて脇道がたくさんあって、その先は天国に通じてる。

でもその道は罪を償いきるまで見つけることができへん。

罪の容もたくさんあるけど、その中でも特にあかんのが人殺しや。

人殺しはおそらく一番重い罪や、そこに大義名分があろうと重い罪や、償いきる事はできへん。

そんで、人を殺した奴はずっと脇道を見つけられへんで地獄まで行ってまう。

そうすると、天国には二度と行けん・・・。

俺は、死んだら皆と天国で会いたい。

やから、殺すな!例えそれが自分であろうと人殺しなんわ同じや!会いたい人がおるなら生きろ!!天国で待ってる人のために生きろ!!ってな感じでな・・・。

偉そうに、訳解らん事言うてるやろ?」

「僕は・・・そうは思わない。いかなる理由があろうと、同族である人を殺してはならない。その行いは外道のすることだ。」

 尚哉がそう言うのと同時に俺は席を立つ。

「もう、時間なのか?」

「おう!もう行かんと船に間に合わんからな?」

「和真と話せて良かった・・・。」

 尚哉も席を立ち会計をすませ店の外に出る。

「それは、俺もや!あぁ、そうや!」

「なんだ?」

「もし、尚哉が外道になったら俺がお前を殺したるわ!お前実は寂しがりやろ?」

「ふんッ!それは、和真もだろ?安心しろ。もしお前が外道になったとしても僕が介錯してやる。和真の様に騒がしい奴が地獄に行ったんじゃ、閻魔も困るだろうからな!僕が、閻魔の代わりに相手をしてやるさ。」

「なら、閻魔も交えて宴会をせなあかんな!」

「大概にしておけよ?閻魔に愛想つかされるぞ?」

「「クッ、ハハハハハ!!」」

 俺達は笑う、今までの鬱憤を晴らす様に明日から良い日になる様に太陽に向かって笑う。

「それじゃ、またな親友!!」

 俺が、尚哉に握手を求める。

「あぁ、またな親友!!」

 尚哉も晴々した顔で、バチンッと音がなる程に勢いをつけて手を握る。

 そして、手をどちらかともなく離しお互い反対方向に向かって歩き出す。

 お互いの道は違えど、最後に行きつく先は同じであると信じて・・・。

 




次回予告
救うの意味を理解していなかった・・・。
何が幸せなのか解らなかった・・・。
ただ、皆に笑っていて欲しかったから・・・。
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