まだ生きてます。
今回は回想シーンから
唐突だが、前世にて青崎橙子という人間とオレは面識があった。
出会いは偶然。
人里に降りてきていた時に、怪奇事件に遭遇したオレは事情聴取とやらのせいでその場にとどまることとなった。
しかしそのとき不意にも魔術の気配がし、音を殺して近づけばそこにいたのは青崎橙子だったというわけだ。
なんでも魔術をつかって現場を調べようとしていたらしい。
その事件は彼女のおかげで無事解決した。
彼女にはいろいろな事を教わった。
それと同時に七夜式”個人”に対する暗殺の依頼などを受けていた。ギブアンドテイクと言えるだろう
ある日聞いたことがある
「俺みたいな殺人鬼が一般社会に溶け込みにくいのはもう知ってるけどさ。溶け込んでいる奴もいるんでしょ?
先達者がどうやって溶け込んで行ったのか、とか知らない?」
と。式とて別に溶け込んでいなかったわけではない。溶け込めるからこその異端者だったのだが。
しかしそれはそれとして異質ではあったのだ。故の質問。これに彼女は
「ふむ…キミのようなタイプであれば…仕事のときとそうでない時でオンオフをつければいい。
しかしキミも区切りをつけろ、と言われてすぐにできるとは思えまい?であれば…私のように眼鏡を掛けたときとそうでないとき。それによって口調を変えるように、キミは…たしか仕事のときは着物の魔術礼装を着ていたな。
であれば、着物のときと洋服のときで性格、考え方を切り離せばいい。最初は魔術による暗示でも良いが時期なれる。」
簡単に言ってくれる。と思っていたがなまじできてしまったので文句も言えまい。
そして俺は着物のときに退魔衝動を集中させることによって、洋服のときはちょっと考え方が物騒な男子になったのである。
——そしてこの男、私服は前の学校の制服を除いて着物しか持ってきていないのである——
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「つれるもんだなぁ」
釣りをしていた。
口調が変わることは許してほしいが。
久々の釣りは良好で始めて30分にして10匹だ。
「しかし、釣りも好きだがやっぱり誰かをぐちゃぐちゃに解体したいものだよ」
しかし、
「有地もいいよな…あんなかわいい娘と婚約…結婚か…」
指輪とかしてなかったし、大方、家同士の都合ってとこかね。
ご苦労なこった。家と縁を切った身としてはなんとも言えない気持ちだよ。ホント
「眠い…」
いい具合に光が当たり、川の音、鳥のさえずり…
眠い…
20分ぐらい寝たって問題はないよな…
大丈夫だろ…うん…大丈夫…だいじょ…う………ぶ…………………
「はっ!!!」
「暗い!!」
む、20分と言わず夜まで寝てしまっていたようだ…
辺りは真っ暗。それこそ七夜の人間だからこそ夜目はきくほうだが…
暗いことに変わりはない。
…?この気配は…
「 『魔』か?」
それも少し外れた真っ当な魔とは少し違う。しかし七夜の家が相手取っていた『魔』とも違うように感じる。具体的には分からないが…
…少し近づいてみるか
「さて…こちらの『魔』はどんなものなのかね?楽しい殺し合いができることを祈るよ」
この男。やはり七夜である。
…もしかしたら一族がこの男を殺したのは間違いだったのかもしれない。
「ん?あれか…」
とても生き物には見えない。
4本足で狼のようだが足元は泥のようになっていて全身が紫がかった黒色だ。
まぁ、細かいことはいいや。とやかく考えてるうちにコイツら3匹になりやがったしな。
そんなことより
「さぁ殺し合おう」
今は目先の殺し合いを楽しむのが最優先だっ——!
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ワタシたちは今、祟り神を祓っている。
ワタシの名前は常陸茉子。
そしてそのワタシがつかえている芳様。
その2人で、だ。
有地さんはいない。有地さんはこの地に伝わる叢雨丸を抜いてしまった人だ。そのため叢雨丸に宿るムラサメ様も認識できるようになり、我々の事情を知らないまま森に入って祟り神に襲われた。のちにお祓いに後から参加してきたがそのときは彼のおかげで祟り神を祓うことができた
流石に今日は芳乃様が釘を刺していたのでこないだろう。
有地さんは芳乃様の婚約者だ。
それ故にこの祟り神の子に巻き込んでしまったことを心苦しく思うが、これからお祓いにこないのであれば問題はないのだろうか…
まぁ、どうにかして自分も参加しようとはしているらしい…
しかし今日は祟り神が多いらしい。
すでに1匹祓っているのでそれで終わりと思いきや芳乃様の耳はまだ消えない。
芳乃様は祟り神に…妖に呪われた家の娘だ。その祟り神がいると見えるようになるその獣耳は最初の段階であればワタシたちのような祟り神と関係のある血筋の人間にしか見えないものの、ゆくゆくは普通の人にも見えるようになる。その耳を見たものは言った「呪われは姫だ」と。ワタシの常陸家がつかえてきた主人の家を侮辱され大変に気分が悪くなる。しかし、今はお仕事中。一刻も早く祟り神を祓わなくてわ。
「芳乃様、お体は大丈夫ですか?」
「え、えぇ。大丈夫よ茉子。それとあっちだと思う」
「ええ。そのようですね。
では行きましょう。」
「うん」
2人で川のすぐ近くまで来た。
そこで目にしたものは…
「さあ殺し合おう」
着物姿の有地さんと一緒に転校して来て、町外れ…つまりはワタシの家の近くにとても大きな日本家屋を作ったことで少し有名で、転校初日の挨拶でかなりふざけていたものの常にニコニコしていてとても話しやすそうな印象を受けた、七夜式さんが———————楽しそうにナイフを構えている姿だった。
洋服時——オリ主モード
着物時——少しマイルドな七夜
って感じに思っていてください。
感想ください。