メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~ 作:上月 ネ子
エルフの森を管理するギルド【フォレスティエ】。
ミサトを筆頭にして、様々な方面に特化した能力を持つエルフ族のメンバーで構成されている。
その内の一人――アオイ。
植物や鳥と意思疏通を可能とし、毒薬の取り扱いに長けて、射撃能力に優れている。
が、それらが活かしきれない程の欠点を有している。
その欠点とは……、
「アオイちゃーん、居るかしら~?」
「ほ、ほあっ⁉ な、ななな何ですかミサト先生⁉」
いきなりミサトに呼び止められ、オーバーに驚いたアオイは飛び跳ねてから胸に「だいじょぶマイフレンドくん1号」を抱く。
アオイはミサトに呼ばれたことで嫌な予感がひしひしと感じているのだが、ミサトに世話になっている以上、嫌だと断ることが出来ない。
「突然で悪いのだけれど、お使いを頼まれてくれないかしら?」
「お、お使いですか⁉」
アオイはブンブンと凄まじいスピードで首を横に振る。
「お、お使いなんて無理ですぅ……! ぼっちの私には不特定の人と顔を合わせるだけでもハードルが高いのに……」
「別に不特定ではないわよ。ちょっと【牧場】までこれを届けてくれないかしら?」
ミサトは手に持った少し大きめの包みをアオイに渡す。
アオイは怪訝な顔でそれを受け取り、鼻孔を擽る匂いに口を開いた。
「これって植物ですか?」
「【牧場】の牛ちゃん達、この頃お腹の調子が良くないらしいの。だから、動物の調子を良くするお薬を届けて欲しいの」
「そ、そんなに大事なものなら、私なんかじゃなくギルドマスターのミサト先生が届けるべきでは……」
「そうしたいのだけれど……、今日は親御さんが来られる参観日なの。席を外すわけにはいかなくて~。だけど【牧場】には牛乳とかいつも届けてくれるし、有事には出来るだけ早く協力したいの」
「あうぅ…………」
ミサトの理論武装――別に本人にはそんな意図はない――に反論できないアオイは、少しの逡巡の末、おずおずと受け取った。
【フォレスティエ】が管理するエルフの森の裏手にある山々――その山道を舗装した先に青々と広がる牧場がある。
それこそが【
「確か、ハツネさんの妹さんがここに所属してるんだっけ……?」
ハツネいわく、とっても可愛くてとっても病弱でとっても優しくてとっても読書好きな女の子だそうだ。……あとアオイより一歳年上らしい。
「でも、ハツネさんの妹さんだし……。ハツネさんに似てリア充オーラが溢れ出てるんだろうなぁ」
それこそが、アオイがハツネを苦手とする一番の理由である。
優しくて美人で格好いいところがあるが、誰とでも距離を詰めやすい彼女の性格はアオイにとって劇薬である。
「薬を渡して早く帰ろう。うん、それがいい」
ナーバスになったアオイは早足になって【牧場】を目指す。その時、
> 何してるの?
「ぱああああああぁぁぁぁぁっ⁉」
後ろから男性の声が投げ掛けられ、アオイは山々に響くほどの奇声をあげてしまう。
「だ、だだだだだだだだだだッ⁉」
> 落ち着いて。
「だだだだ――ってあなたは! 我らがBB団の団長さん‼」
我らが、と言っても二人しかいない。
そう、BB団の同志でありアオイの生涯における大切な友達――ユウキである。
彼はカバンを提げて【牧場】の山道を上っていたのだが、珍しい後ろ姿を見てアオイに駆け寄る。
> なんで【牧場】にいるの?
「じ、実は……」
アオイは自らの胸の内をユウキに話した。
ミサトからお使いを頼まれたこと。
ちゃんと渡せるか不安なこと。
ハツネの妹に苦手意識を感じていること。
「ですので、ささっとギルドマスターさんにこれを渡して早くエルフの森に帰りたいんですけど……」
> マヒルさんならランドソルに居たけど。
「はい⁉ な、なんで⁉」
ユウキは配達の仕事をする際、ランドソルを出る前にマヒルと顔を合わせたことを伝える。
マヒルは【牧場】の乳牛から作った乳製品をランドソルや周辺の村に直接販売しに行っている。
最近は牛の調子が良くないらしく、いつもより乳製品の製造が少ないと嘆いていたのはユウキの中でも印象的である。
> でも確か、シオリちゃんとリンちゃんはどちらか必ず居るはずだってマヒルさん言ってたけど。
「シオリって、確かハツネさんの妹さんの名前……」
途端にアオイの顔色が青くなっていく。
「そ、そうだ! ……さっきの口ぶりからして、ユウキさんは【牧場】の人達とはお知り合いなんですよね? だったらこれ渡しますから、ユウキさんが代わりに渡してくれますか?」
> でもそれ、ミサト先生がアオイに頼んだ意味が無くなっちゃうけど……。
「はう⁉ そうでした……。お使いのお仕事をユウキさんに押し付けたなんて知られたら怒られちゃいます……」
> そもそもどうしてシオリちゃんが苦手なの? 何かあった?
「いえ、というかお会いしたこと無いですし」
> はい?
要領を得ず、ユウキは気の抜けた声を上げる。
「実は私、ハツネさんがちょっと苦手で……。ハツネさんの妹さんだというシオリさんも似たような性格だと思うと……」
ユウキは顎に手を当てて首を傾げる。
数瞬考えてから、ユウキはアオイの体を反転させて、背中を押して【牧場】に向かわせる。
「ちょ、ちょちょちょちょちょっ‼ な、なんで背中を押すんですかぁ⁉」
抗議の声を上げるも、ユウキは全く意に介さない。
そして、アオイの声はよく響く。
騒げば当然気づく人がいるわけで。
「…………何かあったんですか? ……ってあれ?」
【牧場】のギルドハウスからホワイトタイガーの獣人――シオリがゆっくりと顔を出した。
「ユウキさん、今日も来てくれたんですね」
ユウキはシオリの挨拶に相槌だけ返し、さらにアオイの背中を押す。
「わ、わわわっ! ……ひいっ⁉」
アオイは顔を上げると、ハツネの面影のあるシオリと顔を近づけ、後ろに飛び退いた。
が、ユウキはそれを後ろから押し出し、アオイとシオリが面と向かって立つように妨げた。
「……? 何か、わたしに用事ですか?」
「え、えとえと、その、こ、こここ…………っ」
「こ……?」
「こ、こけこっこーーッ‼」
「ふえっ……⁉」
> 落ち着いて、アオイ。
「……ぅぅ、で、でもぉ……」
完全にパニック状態となり、アオイの目尻に涙が溜まり始める。
どうしたものか、とユウキは一度視線を下げて、アオイの持つ包みに目が留まった。
> そういえば、その中の植物ってどういった時に使う薬なの?
「……え? これですか? これはフレシュオキッドって言って――」
アオイは自分の得意分野に関する質問を受けて、フレシュオキッドについて長く語り出す。
要約すると、毒性のある植物だが、水に弱いので煎じたものを水に溶いて飲ませてあげれば胃腸薬の代わりになる。
ただしそれでも人体には毒なので、人が飲むにはオススメ出来ないらしい。
「――ですので動物に飲ませれば胃腸内の不純物を消化させやすくなるんですよ」
「…………す、凄いです」
「…………はぁっ⁉」
シオリの目がある事も忘れて植物に関して熱弁していたアオイは我に返り、取り繕おうとする。
「あ、あわわわわわ……す、すみませんっ。私ごときが長々とあなたの貴重な時間をつぶしてしまって……」
「図鑑に載ってないような事までしってるなんて……。はっ!」
シオリは思い出したように一歩踏み出して、アオイの両手をとる。
「もしかしてあなたが、ハツネお姉ちゃんの話してたアオイさんですか?」
「ふえ? は、ハツネお姉ちゃん? そ、それじゃああなたが……」
「妹のシオリです。アオイさんのことはお姉ちゃんから聞いています。エルフの森のことなら誰よりも詳しいって。同じ弓使いとして一度お会いしたかったんです」
「そ、そんな、私なんて……」
距離を詰められ、手を掴まれているのに、アオイは何故かそこまでパニック状態になっていない。
それは雰囲気が穏やかだからか、自分の手を掴む手が細いからか、あるいは自分の話を呆れずに最後まで聞いてくれたからか。
少なくとも、さっきまでのイメージにあったあからさまにキラキラと輝くリア充オーラは彼女からは感じられない。どちらかと言うと、ユウキのように近くに居ると落ち着くような――
「わたし、あなたのこと尊敬してます。また会えますか?」
「は、はうあっ!」
上目遣いで見つめられ、アオイは怯んでしまった。
その後、呆けているアオイの代わりにユウキが事情を説明し、シオリはフレシュオキッドの包みを受けとることとなった。
なお、帰り際にアオイはポツリと呟いた。
「天使みたいな人だった……」
アオイ
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場するハープのような弓を扱うエルフの少女。【フォレスティエ】のメンバーの一人で植物や鳥と心を通わせる。
とても気が弱く、とても自分に自信がなく、とても人見知り。いわゆるぼっち気質であり、そんな自分を変えたくてユウキとBB団(バイバイぼっち団)を結成する。
植物についてかなり詳しく、毒薬を幾つか取り扱っており、戦闘にも利用している。努力家なのだが、いかんせん方向性が行方不明。
キャラスト見たの大分前だけど、中の人の演技も相まって奇声を上げてるイメージしかない……。アオイファンの人本当にすみませんでした。
それにしてもこの子本当に13歳なのかね。いや口を開けば確かに13歳してるけど。プリコネキャラは外見から年齢を予測しづらいのがまた魅力の一つですかね。
さて次回は一つ目のアンケート最後のキャラ、クルミを予定してます。
2.5周年まで間に合わせるので、どうかお待ち下さい!
以下のキャラの中で誰を優先的にお話しを書いて欲しい?
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サレン
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シオリ
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シズル
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ハツネ
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ミヤコ