メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~   作:上月 ネ子

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知っているか?
プリコネには三種類の姉が存在する。

双子の姉

種族が違うが血の繋がった姉

血の繋がらない見知らぬ姉

――この三種類だ。

……皆さんは誰だか分かりますか?


愛は人を狂わせるが、キミは女の子を狂わせる

「――おーい、ユウキー! こっちにゃ、こっち~‼」

 

 

ランドソルの大通りを歩いていると、たい焼き屋のタマキがユウキを呼び止める。

 

 

「ユウキ、ここであったのも何かの縁にゃ。たい焼き買っていかないかにゃ?」

 

 

タマキはたい焼きを見せつけ、ふとユウキしかいないことに気づく。

 

 

「んにゃ? この間の子はいないのにゃ?」

 

 

クルミの事を言っているのだろう。

ユウキは今日は自分一人だけだと伝えると、タマキは思い付いたようにニヤリと笑う。

 

 

「それなら袋詰めにして上げるにゃ。この前の子にも食べさせるにゃ! ……ああ、お金なら心配ないにゃ。お得意さんという事でまけてあげるにゃ」

 

 

うーん、と唸るユウキ。

魅力的な提案ではあるのだが、クルミだけを用意してもらっては他の子ども達から不公平だと文句を言われる可能性がある。

かといって子ども達全員分を用意して貰おうものなら時間もかかるし、割り引きしてもらうにしても値段もバカにはならない。

 

 

「――ふふ、弟くんの心配事は分かるよ。だから、お姉ちゃんが良いアイデアを提案しちゃうね」

 

「むっ、誰にゃ⁉」

 

 

唸り続けるユウキの背中に投げ掛けられた言葉。

タマキはユウキの背後にいる女性に目を向ける。

 

 

「弟くん、今度の日に救護院の子ども達をうちに連れてきて良いよ。美味しいクレープご馳走しちゃうよ!」

 

「ちょ、どさくさに紛れてなにうちのお客を横取りしようとしてるにゃ! 一体どこの誰にゃ、名を名乗れにゃあ‼」

 

 

聞き捨てならない言葉はしっかり聞き逃さない。

タマキに鋭く睨み付けられた女性はニッコリと微笑み、そのままユウキの肩に腕を回した。

 

 

「初めまして、たい焼き屋のタマキさん。私は向こうのクレープ屋の従業員のシズルです。弟のユウキくんがお世話になってます!」

 

 

 

 

 

「――ねえ、お兄ちゃん。ここに連れてきて一体何するの?」

 

「ふ、ふえぇ、何だかたくさん人がいる……。お祭りでもするのかな……?」

 

「ふむ、何やら屋台を寄せあって旗を立てておりますが……。主さま、わたくしたちは結局何をすればよいのでしょう?」

 

 

シズルに言われた通りにユウキは救護院の子ども達プラスコッコロをランドソルの大通りに連れてやってきた。

 

大通りはたい焼き屋とクレープ屋が向かい合うように展開しており、派閥を表すように立て旗が立っている。

そして、屋台からそれぞれ少女と女性が出てくる。

 

 

「――えー、皆さん本日はお集まりいただき誠に有難うございます!」

 

「これよりぃ、第一回甘味屋台競争を始めるわよぉ~♪」

 

 

クレープ屋の制服を着た少女――リノと、たい焼き屋のエプロンを身につけて出てきたエルフの女性――ユカリが司会進行を始める。……何故か試合形式になっていることに突っ込む野暮な人間はこの場にはいない。

 

 

「ルールはとってもタン塩明太子! お客様の皆さんは食べたい方に買いに行って下さい! ご来店いただいたお客様の総数が上回った方の勝ちです!」

 

「ちなみにぃ、制限時間は午後一時から午後五時までとさせてもらったわ~」

 

 

ちなみにこのユカリ、何故か顔が赤く呂律が微妙に回っていない。

そしてクレープ屋の屋台の方から「それを言うなら単純明快ね~」とツッコミが飛んで来る。

 

試合内容を聞いたアヤネとぷうきちは口を開く。

 

 

「ねえねえお兄ちゃん、さっきお小遣い貰ったけど、ほんとに買いに行って良いの?」

 

『いつにも増して太っ腹だなユウキ。ならお言葉に甘えることにしようぜアヤネ』

 

 

アヤネ達は二つの屋台をキョロキョロと見比べ、どちらに行こうか悩み始める。

次にクルミはユウキの裾を引っ張り、

 

 

「お、お兄ちゃん。たい焼き屋に行ってきても、良いですか?」

 

 

 

> いいよ。

 

 

 

ユウキが頷くと、クルミはたい焼き屋の方に足を運び始める。数歩歩いてからクルミはユウキの方へ顔だけ振り返り、とてとてと歩を進める。

 

 

「主さま」

 

 

二人を見送ったあと、コッコロはユウキの隣に立って問いかける。

 

 

「主さまもお客様としてこの試合に参加なされるのですよね」

 

 

 

> うん。シズルお姉ちゃんに頼まれた。

 

 

 

「シズルさまに頼まれた、ですか」

 

 

ちなみに、ユウキは事前にルール内容を聞かされている。その中で、どちらか一方しか買いに行けないというルールはない。

なので、シズルはユウキにクレープ屋に来て欲しいとは言ったが、たい焼き屋には行くな、とは言われていないので、後でタマキの屋台に顔を見せるつもりではあった。

 

 

「――あっ、弟くーん‼」

 

 

人がある程度少なくなったところを見計らって、ユウキとコッコロはクレープ屋に顔を出す。

シズルはユウキの顔を見ると分かりやすくテンションを上げる。が、ここで飛び付いたりしないのは試合に集中しているからか、両手は機材に手を伸ばしたまま。

 

 

「あ、お兄ちゃん来てたんですね。コッコロちゃんも、クレープ何にします?」

 

 

奥にいるリノが注文を聞き、二人の注文を聞いてリノはガッツポーズを作る。

 

 

「任せてくださいお兄ちゃん! お兄ちゃん達のためなら、イダ天ぷらの勢いで作っちゃいますよ~‼ ……ところでイダ天ぷらの『イダ』って何ですか?」

 

「イダ天ぷらじゃなくて韋駄天ね、リノちゃん」

 

 

いつもの姉妹のやり取りを傍目で見ていると、ふとコッコロが口を開く。

 

 

「シズルさま、お忙しいところ大変申し訳ないのですが、ひとつお聞きしたいことがあります」

 

「ん? 別に構わないよ。なんでも聞いて良いよ」

 

「では単刀直入に……なぜこのような催しを?」

 

「ん~、その質問はミステイクかな」

 

「はい? どういうことでしょう?」

 

 

質問への返しがよく分からず、コッコロは首をかしげる。

 

 

「私はタマキさんに屋台の利用客の数を競い合いたいとは言ったけど、試合の主催者は【メルクリウス財団】だよ。だから向こうからもう一人来てるんだよ」

 

 

あれよあれよと言う間にアキノの耳に伝わり、ランドソルの屋台販売の流行に目をつけ、大々的に試合を行うことになった。

なお、後にこれにより屋台販売の需要が高まり、ランドソルの大通りが屋台商店街となり、ユウキやサレンがパン屋を利用することになるのはまた別のお話。

 

 

「……なるほど。ではなぜタマキさまに対抗しようと? 主さまから双方の知名度はあらかじめ聞いておりますが、正直無謀というものではないかと……」

 

 

ユウキが知るところでは、タマキのたい焼き屋はユウキがランドソルに来る前から長いこと続けているらしい。対して、シズル達のクレープ屋は店主が気まぐれで設立したらしく、店主は時々いないし、利用客もあまり多くはないとのこと。

 

 

「……ふふ、そんなに気になるほどのことかな? コッコロちゃんなら理解してくれると思うんだけどなぁ」

 

「……どういう意味でしょうか?」

 

「簡単な話だよ。私が一番でありたいから。誰にとっての、かは言わなくても解るよね?」

 

 

コッコロは閉口する。シズルの最後の一言でこの場にいるコッコロとリノは理解した。シズルはそれを本気でいっているのだと。

理解していないのは首をかしげているユウキのみ。

 

 

「ハイハイ、シズルお姉ちゃん。こんな往来で年下の女の子と喧嘩しないでください。大人げないですよ」

 

「分かってるって。……でも最後に一つだけ」

 

 

リノに注意され、苦笑いを浮かべながらシズルは口を開く。

 

 

「コッコロちゃんが弟くんにとって、母親になろうとも、恋人になろうとも、妻になろうとも、兄妹になろうとも、それはコッコロちゃんと弟くんの自由。好きにして良いんだよ」

 

「良くないですよお姉ちゃん‼ お兄ちゃんの唯一無二の妹は私なんですよ――」

 

 

刹那、リノはシズルに頭突きされ数秒間目を回す。

 

 

「でもねコッコロちゃん――」

 

 

――ユウキくんにとっての一番のお姉ちゃんは私以外にいないんだから、身の振り方はよく考えてね。

 

 

 

 

 

試合結果は、結論だけを言うとタマキのたい焼き屋が勝利した。

やはり長い時間ランドソルの市民にそのたい焼きを売り続けていた実力は伊達ではなかった。

しかし、クレープ屋もかなり健闘しており、以降クレープ屋にも客足が増え始めていくのだった。

 

そんなある日、

 

 

 

> こんにちは。クレープください。

 

 

 

「任せて弟くん! 後ろの子ども達も何にするかな?」

 

 

ユウキはここ毎日シズル達のクレープ屋に足繁く来店している。それだけでなく、時折彼の隣には【サレンディア救護院】の子ども達が一緒にいる。

 

クレープを受け取り、シズルと話をして帰ったあと、屋台に戻ってきたシズルにリノは呆れたように呟く。

 

 

「まったく、お姉ちゃんも小賢しいこと考えますよね」

 

「あら小賢しいだなんて、酷いこと言うなぁ」

 

「言い逃れできませんよ。あの後試合が終わって、他のお客さんのより遥かにクオリティが上のクレープを、新作と偽ってお兄ちゃん達に渡してたでしょう?」

 

 

試合が終わった後に全員で訪ねに来て欲しいと言われたユウキは、渡されたクレープを食べるととても気に入り、以降クレープ屋の常連となったのだ。

だがそれはある意味では賄賂行為であり、試合後にやったというのが相まってずる賢さを醸し出す。

 

 

「ふふ、タマキさんに勝てないのは最初から解ってたからね。だから最初から私の目的を果たしただけだよ(・・・・・・・・・・・・・・・・・)。私はユウキくんっていう常連一人だけを勝ち取っただけだからね」

 

「相変わらずですねえ…………」

 

 

リノはそれ以上何も言えなかった。




シズル
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場する、ユウキの姉(?)。清楚で高潔な雰囲気から繰り出す苛烈な攻撃に怯まない者はいない。
ユウキとの昔の思い出をしっかりと保持する者の一人であり、記憶のないユウキの家族として、姉としてユウキの世話を焼く。
が、実は血縁関係は一切ない。言ってしまえばただの幼馴染みであり、自分とユウキが結ばれることに一切の疑念がない。時々癖で頭突きや腹パンが飛んでくる。



という訳で、姉を名乗る不審者と名高いシズルでした。
私のイメージとしては、一見常識人ですが、その中身は主人公に関する想いと言う名の狂気で溢れているキャラです。
主人公のためなら割りとイカれた行動を平然と行えるこのシズルなら、多少狡猾に書いても問題ないはずですよね(狡猾なキャラになっているかは考えないものとする)

さて次回は私の一番お気に入りでもあるハツネを予定しております。
うん、また「姉」なんだ、すまない……。

以下のキャラの中で誰を優先的にお話しを書いて欲しい?

  • エリコ
  • クウカ
  • ナナカ
  • リマ
  • ヨリ
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