メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~ 作:上月 ネ子
「えへへ、素材集めにまた付き合ってくれてありがとうございます、お兄ちゃん!」
ランドソル周辺の山々に足を運ぶユウキと、その妹リノ。
リノは一人前の洋裁師となるべく、日夜勉学と裁縫の腕を磨いているが、中々報われない。
今回も裁縫の鍛練として素材を収集するために、ユウキに協力してもらってランドソルの外れに位置する山脈に足を運んでいる。
「今回必要なのは、この桃色の木の実です。名前は……えっと、ブロッシード、だったかな?」
この辺りにブロッシードの木があるはず、と、リノはキョロキョロと探す。
つられてユウキもキョロキョロと探す。そして、ユウキはふと見上げて指で示す。
リノは指の先を見ると、確かに木があった。そしてピンク色の小さい木の実が……、
「ってお兄ちゃん、あれはブロッシードじゃないですよ。遠目で見ているのを加味しても小さすぎです」
そう、木の実にしては小さすぎるのだ。
よく見るとちょっと横に長いし、まるでバナナみたいである。ブロッシードは梅みたいにもっと丸くて――
「――……んん?」
リノは二度見した。
木の実ではないのならあれは何だ?
> あっ、まさか……。
ユウキはあれが何なのか気づいて、山道を駆け上がっていく。
「え、ちょ、どこ行くんですかお兄ちゃん⁉」
リノがユウキの後を追いかけていくと、先ほどのピンクの何かに向かっていくユウキと、ピンクの物体が大きくなっていくことにリノは気づく。
そして、リノはようやくそれが女の子だということに気づいた。
「何で空から女の子が降ってくるんですか⁉ アストルムだと◯ブリも再現できるんですか⁉」
聞く人が聞けば意味のわからない事を口にしながら追いかけるリノ。
そして困惑しているのはリノだけではない。
「う、うわあぁぁぁぁっ⁉ また空から落ちてるよ~~っ⁉」
パニックを起こし自身の能力を制御できない少女――ハツネはもがきながら落下していき、間に合ったユウキに受け止められた。
「あ、アハハハハ……またユウキ君に助けられちゃった」
ハツネは自分がまたユウキに「お姫様抱っこ」で抱えられたことに吃驚し、顔を赤くしながら跳び降りて苦笑いを浮かべる。
「……お兄ちゃんの知り合いですか?」
「……ん? お兄ちゃん? キミ、妹がいたの?」
「えっと、ハツネさんでしたか? 私、ユウキお兄ちゃんの妹のリノですっ!」
「へえ! 偶然! 私にも妹がいるんだー!」
どちらも似た波長を出すのか、自己紹介をしただけで話に花が咲き始める。
「ところでハツネさん。空から落ちてきたように見えたんですが、何かあったんですか?」
「え? 特になにも無かったよ。というかよくあることで……――はっ!」
「はい?」
ハツネは余計なことを口走る前に、自身の口を手で塞ぐ。
ハツネは一般の魔法使いとは異なり、超能力という特異体質を持つ。が、それはひけらかすものではないため、ハツネはあまり周りの人に吹聴しないようにしているのだ。
ハツネは話題を変えるために顔をユウキへと向ける。
「そ、それより! さっきは助けてくれてありがとね!」
> 偶然見つけただけだよ。
「それでもだよ。いつもいつもユウキ君には助けてもらって……」
頬を赤く染めながら、ハツネは言葉を紡いだ。
「付き合ってる身としては何だか恥ずかしいよ」
「………………………はああぁぁぁっ⁉」
「ええ??」
ハツネの何気ない一言が、リノの絶叫を生んだ。
「お、おおおおお、お兄ちゃん! つ、つつつ付き合ってるって……!」
> ???
「ど、どうしたのリノちゃん?」
パニックを起こし、あわあわと震え始めるリノ。
やがて震えを止めて、リノはあるひとつの選択肢を取った。
「わ、わ、私なんてっ!」
リノはユウキの腕に抱きつき、ハツネに向けて宣言した。
「私たちなんて今、山道デート中ですよ!」
「………………………ええぇーーーーっ⁉」
今度はハツネから絶叫が飛び出た。
「で、ででででで、デートぉ⁉ き、兄妹なのに、デート…………」
言葉の意味が理解できず、ハツネは頭を抱えてふらふらと後ずさる。
これより、謎のマウント合戦が勃発する。
…………だが、この試合はそも無効試合である。
なぜなら、お互いに致命的なすれ違いが発生しているからだ。
ハツネはここ最近、超能力の暴発が発生することがあり、それを防ぐためにユウキに協力してもらっている。
また、無意識下で起こしてしまっている超能力の後始末などもユウキが片付けてしまい、ハツネの個人的な事情に振り回してしまっているのだ。
よって、ユウキにハツネの事情に「付き合って」くれていることにはとても感謝しており、いつかちゃんとしたお礼がしたいと考えていた。
……が、その矢先にユウキとデート中だと自称する彼の妹が現れ、ハツネは理解が追い付かなくなった。
リノはハツネの「付き合ってる」という発言に完全に危機感を覚えてしまい、どうすれば良いのかその思考が吹き飛んでしまった。
……が、そんなリノの脳裏にある言葉が思い浮かんだ。
――リノちゃん、もし弟くんとの逢瀬に水を差す野暮なやつがいたら、遠慮せずに射抜いて良いんだよ。……え、危険? 大丈夫、もしその人が弟くんをたぶらかしていたら……許せないよね?
さすがにそんな猟奇的な選択を取る勇気こそなかったが、この少女がユウキと本当に恋仲だとするなら牽制しなければならない。
そうしてとっさに出てきた言葉は「デート中」だった。
なお、自身はユウキの妹という立場を自称するのに、兄とデートをするのは常識的なのだろうか、というツッコミを入れる勘の良い者はこの場にはいない。
つまりこれは、ツッコミ不在のマウント合戦なのであるッ!
「ゆ、ユウキ君‼ で、デートってどういうこと⁉ 兄妹ってデートするものなの⁉」
「しますよ! 私とお兄ちゃんは小さい頃公園にデートしにいったこともあるんですからね!」
「こ、公園デート⁉ デートの王道パターンだあ! ちょっとユウキ君、流石に聞き捨てならないよ! し、シオリンというものがありながら、別の年下の女の子とデートするなんて!」
「シオリン⁉ 他にもいるんですか⁉ しかも二股⁉ ちょっとお兄ちゃんどういう事ですか⁉ 返答次第ではお姉ちゃんを呼びますよ‼ ……いやでもお兄ちゃんとデートがお姉ちゃんにバレるのはマズイです、今度の埋め合わせとかでお姉ちゃんにお兄ちゃんを取られちゃいます!」
「姉妹で修羅場⁉ しかもお姉ちゃんってことはユウキ君のもう一人の姉妹⁉ ほんとどういうことなの⁉」
勘違いマシンガンマウント合戦はなおも続き、振り回されるユウキは双方の火消しに一時間を要するのだった。
その後、何とか誤解を解けたハツネとリノ。
元々はハツネの言葉足らずだから、とハツネはお詫びとしてこっそり超能力を使い、リノが探していたブロッシードの木を生やす事にした。
睡魔に襲われたハツネをユウキが背負い、ランドソルに戻ってきた頃、ハツネは目を覚まし、リノと気まずい雰囲気を出しながら別れてから、ハツネは口を開いた。
「……えっと、ゴメンねユウキ君。なんか、酷いミスでトラブル起こしちゃったね」
> 気にしてないから大丈夫。
「うーん、ちょっとは気にした方が良いと思うな……」
呆れ混じりの呟きを終えて、去っていくリノの背中を見て、再び口を開く。
「リノちゃんかあ。可愛い子だったよね。あんなに可愛い妹がいるなんて、私たちって結構似た者同士なのかな?」
> そうかな?
「そうだよ! 私にもとびっきり可愛い妹のシオリンがいるし。……でも……」
むう、とハツネはユウキの頬を摘まみながら唸る。
「ユウキ君って実は妹っていうカテゴリの女の子に好かれる体質だったりするのかな?」
どうしても、「妹」に想われている事がとても複雑なハツネであった。
ハツネ
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場する、元気でちょっぴりお人好しなエルフの少女。種族が違う血の繋がった獣人族のシオリという妹がいる。
魔法使いとは異なる、「超能力」という特異体質を持ち、念じれば思った通りの事象を起こすことが出来る。が、それを自分のためではなく、他人のために使う。
なお、この超能力は力むと暴発する事があり、ユウキはよく巻き込まれている。また、睡眠状態のような無意識下だと、宙に浮かぶ事がある。
え、これほんとにハツネのお話なのかって?
大丈夫です、次回のシオリ回でも登場します。
超能力のヤバさが際立つけど、本人はいたって善人のハツネ。
妹と想い人が一緒かもしれないことに複雑な乙女心を抱えるハツネ。
キャラスト読んでるとまるでメインヒロインみたいなムーブしてるのが特に好きです。
以下のキャラの中で誰を優先的にお話しを書いて欲しい?
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エリコ
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クウカ
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ナナカ
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リマ
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ヨリ