メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~   作:上月 ネ子

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このお話は後編です。
前話をご覧になってからこちらをお読みすることを推奨します。

後、カラーコードを使用しています。
見づらい場合はお手数ですが、背景色を変えるなどの工夫をお願い致します。

追記
カラーコード変更しました。
少しは見やすくなったかと思います。


やはり世間はキミを中心に形成する(後編)

ランドソルの大通り。

様々な屋台が並び、行き交う人々が足を運ぶ。

その中で、大通りの中心にぽつんとたたずむ一人の少年がいた。

 

名はユウキ。

今日は誰かと待ち合わせをしているのだが、その相手が約束の時間になっても現れなくて少々心配している。

 

 

 

> やっぱり迎えに行くべきだったのかな……。

 

 

 

実は迎えにいくとその子と話していたのだが、最近は体調が良いから問題ないと言われ、現地集合となった。

しかし案の定と言うべきか、姿が見えないことで何かあったのではないか、とユウキの中で心配事が大きくなっていく。

 

そんな時、

 

 

「……あれ、お兄ちゃん? そんなところで何してるんですか?」

 

 

と少女に声をかけられる。

 

ユウキは顔を向けて、エプロン姿のリノに挨拶をする。

 

 

 

> 待ち合わせをしてる。

 

 

 

「待ち合わせ? …………それって女の子ですか?」

 

 

ユウキはあっさりと首を縦に振る。

リノは複雑そうな顔をするが、それに気づかずユウキはリノに質問をする。

 

 

「……え? 約束の子が時間になっても来ない? いったいどういう子ですか?」

 

 

ユウキはその子の名前と外見的特徴を話す。

 

 

「獣人族のシオリさん、ですか。うーん、私は見てないですねぇ……。ところで、その子といったい何をするつもりだったんですか?」

 

 

 

> リノちゃん達のクレープ屋を紹介するつもりだった。

 

 

 

その言葉を聞いてさらにリノは複雑そうな顔をする。

 

 

「……それってデートですか?」

 

 

 

> デートになるのかな?

 

 

 

「なりますよ! 女の子誘って、屋台に行くとか完全にデートじゃないですか! しかも聞く限りそのシオリって子年下ですよね! 年下の女の子なら私がいるじゃないですか! 妹じゃ満足出来ないって言うんですか、この贅沢お兄ちゃん!」

 

 

途中から何を言っているのかさっぱりなユウキだったが、ぜーはー、と肩で息をするリノを見て叱られているのは理解できた。

 

そしてそんなリノに通信魔法が受信された。

 

 

――リノちゃん、今何処?

 

「シズルお姉ちゃん? 今屋台の前に居ますけど?」

 

――なら今すぐ私の親戚の家にきて。緊急事態発生だから。

 

 

有無を言わさずシズルの通信魔法が切れ、リノは準備中の看板をクレープ屋に立ててシズルの親戚の家に向かい、ユウキもそれに付いていくのだった。

 

 

 

 

 

シズルの親戚の家に上がり、案内された寝室にはベッドで横になって眠っている獣人族の女の子がいた。そしてその少女はユウキに見覚えがある。

 

 

 

> シオリちゃん⁉

 

 

 

「薄々勘づいてたけど、やっぱり弟くんの知り合いだったか」

 

「この子がどうかしたんですか?」

 

「この子、道のど真ん中に倒れててね。ほっとくわけにもいかなくて連れてきたの」

 

 

 

> シオリちゃんは体が弱いんだ。

 

 

 

「なるほどね。でも流石にこれは……」

 

 

シズルはシオリに近づきかけてあるシーツを捲る。

 

 

「顔色も白すぎるし、体も細すぎる。栄養失調を疑った方が良いかもね」

 

「そ、そんなにまずいんですか⁉」

 

 

シオリがかなりの重体であることにリノは戦慄する。

 

 

 

> シオリちゃんは体調を崩しやすいから、重い病気とかじゃないと思うけど……。

 

 

 

「それでも重症なのは間違いないよ。ありったけの回復魔法はかけたけど、あまり状態が好転してないし……」

 

 

病院に連れていくべきか、シズルとユウキが話し合っていると、

 

 

「――私に良い考えがあります!」

 

 

と、リノが鶴の一声を発するのだった。

 

 

 

 

 

リノの考えた策はこうだ。

山奥にあるエナの実は、食べると重い病気を治せるくらい強力な回復アイテムであると冒険者の間で専ら噂になっている。

それも偶然か否か、ランドソルの周辺の山々にその実がなる木があるとの事。

 

シオリのあの重い症状を少しでも緩和させるにはこれしかない、とリノはユウキを連れてエナの木があるという山を登っていく。

 

 

「お兄ちゃん、はぐれないでくださいね。一寸先の山道の気持ちで目指しましょう‼」

 

 

 

> 山道ならもう歩いてるけど。

 

 

 

「………………それもそうですね?」

 

 

自分もついていくべきだったか、と遠くのシズルが心配し始める頃、ガサガサと脇道の茂みが揺れる。

 

二人は武器を構えて音の主を睨み付けると、

 

 

――ぷぷぷっぷ、きゅるきゅる~~。

 

 

と、プチグリフォンが顔を出す。

 

プチグリフォンはそのまま森の奥へと走り去っていき、それを確認してから二人は構えを解いた。

 

 

「……ふう、プチグリフォンだけで済んで良かったですね」

 

 

魔物だけど端から見れば可愛いですよね、と感想を漏らしていると、先程の茂みの音とは比較にならない、木々が揺れる音が周囲に響く。

 

そして、

 

 

――クオオォォォォォッ‼

 

 

と雄叫びをあげて、ワイルドグリフォンが現れた。

 

 

「………………………うそ」

 

 

呆けている間にリノはユウキに手を引かれ、そのまま走り出す。

段々と現実に戻ってきたリノは気が動転し始める。

 

 

「ヤバイですヤバイですヤバイですよお兄ちゃん! さっきのプチグリフォンといい、あの大型魔物といい、もしかしたら私たちいつの間にか鳥類系の魔物の巣に入り込んじゃったのかも⁉」

 

 

 

> とにかく今は逃げなきゃ!

 

 

 

「逃げなきゃって、お兄ちゃん思いっきり山の奥へと走ってますよ! 逃げるなら逆方向じゃ――」

 

 

ユウキの頭の中では、あのワイルドグリフォンとの交戦を避けつつ、エナの木へと辿り着く事しかない。

だが、戦いを避けるにしろ、立ち向かうにしろ、ワイルドグリフォンのような大型魔物を対処するにはユウキとリノだけではどうすることも出来ない。

 

故に――

 

 

「………………ぁ…………」

 

 

山奥へと逃げていく二人に回り込んで、正面に降り立ったワイルドグリフォンはそのままの勢いで衝撃波を起こす。

 

 

「きゃあっ⁉」

 

 

耐えきれずに後ろに倒れたリノ。

そこへ追撃するワイルドグリフォンの掻き爪が伸びる。

 

 

 

> リノちゃんっ‼

 

 

 

だが、リノにはその痛みを味わうことはなかった。

代わりに、

 

 

「え」

 

 

ボトボトと、背中から血を流すユウキが、リノの目の前で立っていた。

 

 

「お、おにいちゃ……」

 

 

ワイルドグリフォンの更なる追撃でユウキは横から殴り飛ばされ、茂みの奥の傾斜へと転がり落ちていった。

 

 

「お兄ちゃんッ⁉」

 

 

リノの悲鳴が山に響くが、それは意味をなさない。

抵抗する力を持たない獲物だと、ワイルドグリフォンは腕を振り上げ、止めを差そうとする。

 

 

「ぃ、ぃゃ…………っ」

 

 

首を振って、後ずさるがいずれ木にぶつかる。

弓からも手を離してしまい、目を伏せなすがままになる――

 

 

「シューティング☆スターッ‼」

 

 

――周囲に流星が迸る。

まだ昼間なのに燦然と輝きを放つそれらはワイルドグリフォンを取り囲み、一斉に射出する。

 

重く、鋭く命中するその魔法の連撃は気絶するには十分すぎる程の威力であり、ワイルドグリフォンはそのまま横に昏倒する。

 

 

「リノちゃんっ」

 

「……ぇ……」

 

 

駆け寄ってリノの肩を抱く少女――ハツネは心配そうな顔でリノの顔を覗く。

 

 

「大丈夫、リノちゃん⁉」

 

「は、ハツネ、さ……」

 

 

ふるふると震えるリノを見てハツネは下りてきて正解だったと判断する。

 

 

「間に合って良かった~。でも、どうしてこんなところに?」

 

「……ぁ、ぁ」

 

 

震えが収まり、リノは少しずつ冷静になって、がばっと立ち上がる。

 

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃんが!」

 

「え……ユウキ君に何が――」

 

 

ユウキが転がり落ちていった傾斜へとリノは足を運ぶ。

 

茂みの枝が幾度もリノの身体を引っ掻いていくが、リノには関係ない。

傾斜が終わり、渓流へと出ると、リノはあるものを見つけた。

 

 

「……これって、最近お兄ちゃんが身に付けてる……」

 

 

それは暗い色の、暗闇でも光るという宝石のブローチ。

これがここに落ちているということは……。

 

 

「…………ぁ、あぁ……」

 

 

その先にある、赤黒い血溜まりの中心に倒れる少年。

ぐったりと頭が横に倒れ、出血で汚したのか否か、泥と血で汚れた顔がリノの顔に向いていた。

 

 

「いや……いやあああああああっ⁉」

 

 

 

 


 

 

 

 

 

こんの大馬鹿ッッ‼

 

何でいつもいつも無茶ばっかりするのよアンタは!

見ていることしか出来ないあたしへの当て付けなの⁉

 

……ひとまず、アンタは何とか生きてるわ。

ハツネの超能力のお陰で傷は完全に塞がったからね。

もっとも目覚めるのはあれから一週間後になるけどね。

 

ほんっとにどうかしてるわ。シオリちゃんの方が重症の筈なのに、アンタが病院送りになってるんだから。

 

あのあと奇跡か否か、渓流で例のエナの木をハツネが見つけたのよ。それで、気絶したアンタでも食べられるように磨り潰して飲ませてくれたってわけ。

アンタが生きているのはそれのお陰でしょう。

 

それでも意識不明だから、ハツネが超能力でランドソルまでテレポートしてくれたのよ。目が覚めたらあの子にちゃんとお礼を言うこと。

 

それとシオリちゃんも快復したから問題ないわ。リノがハツネにシオリちゃんの事を教えてあげて、もうひとつ持っていくことにしたのよ。

 

良くできた子だわ。愛しのお兄ちゃんが意識不明の重体なのに、ポロポロ泣きながらやるべき事をやってたんだから。

 

目が覚めたら、心配かけすぎたことをちゃんと謝るのよ。

いい? ちゃんと謝るのよ。良いわね?

 

 

 

 


 

 

 

 

 

目が覚めると、視界に広がるのは知らない天井だった。

 

背中からじりじりと感じる痛みをよそに身体を起き上がらせると、様子を見に来た看護師が驚いて尻餅を着いた。

 

それからあれよあれよとユウキが目覚めたと広まり、毎日様子を見に来てくれた【美食殿】や【サレンディア救護院】には、無茶をしたことをこっぴどく叱られ、【フォレスティエ】からは体調が悪くなった時に飲んでほしいと薬を渡されたりと、ユウキの病室は見舞い客でてんやわんやだった。

 

その中で、

 

 

「お兄ちゃんっ」

 

 

リノを筆頭に、四人の見舞い客がやって来た。

 

 

「あ~、弟くん良かった~! もう一生目が覚めないかと思ったんだよ~! もう体は大丈夫? 痛いところはない? ご飯ちゃんと食べられてる? トイレ行きたいならお姉ちゃんが付いていってあげよっか?」

 

「さ、流石に過保護過ぎじゃないかな?」

 

「お姉ちゃんは人の事言えないと思う……」

 

「ええっ⁉ だってシオリンに何かあってもお姉ちゃんは何処からでも飛んで来るよ! それって普通でしょ?」

 

「それはハツネさんにしか出来ないと思います……。いや、シズルお姉ちゃんなら出来そうかも?」

 

 

三人寄らばかしましいとは言うが、四人寄らば収集がつかなくなるというもの。

ユウキはリノとハツネに声をかける。

 

 

 

> 二人とも助けてくれてありがとう。あと、心配かけてごめんなさい。

 

 

 

「いやいや、気にしないでよ! ユウキ君は無事だったし!」

 

「そうですよ、お兄ちゃん。それにお礼を言うのは私の方です。あの時お兄ちゃんに庇ってもらえなかったら、私がああなってたかもしれないですから」

 

 

二人は屈託のない笑顔で返す。

だが、リノは笑顔を浮かべた後、俯いてふるふると震え出す。

 

 

「…………でも、わたしすごく怖かったんです。もしお兄ちゃんが、もう二度とめがさめないかと、思ったらっ……、わたしのせいで、おにいちゃんが、っておもったら…………っ」

 

 

それは段々と潤んだ声色になり、肩がカタカタと震える。

ユウキはそれを見て、リノの頭に手を伸ばして、

 

 

「……ぁ…………」

 

 

 

> もう大丈夫だよ。

 

 

 

安心させるように、リノの頭を撫でた。

 

 

「……うんっ、お帰りなさいお兄ちゃん!」

 

 

 

 

 

「むむむ、リノちゃん一歩リードって感じかな。まあ今回は仕方ないか」

 

「リノさん、ユウキさんの前だと本当に妹って感じですね。私もユウキさんみたいなお兄ちゃんがいたら……」

 

「シオリン、何でそこで私を見るの? …………それにユウキ君はどっちかというと弟っぽい感じがするな~☆」

 

「おっと、ユウキくんのお姉ちゃんを名乗るなら私に一言断りを入れて欲しいかなっ♪」

 

「ちょ、ちょっとそこなに好き勝手に言ってるんですか! 面会時間もそろそろ終わるんですから、ほら帰りますよ!」

 

 

今日も世間はユウキを中心に輪を繋いでいく。




リノ
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場するユウキの妹(?)。甘えん坊で人懐っこい性格は誰とでも取っつきやすい。
ユウキとの昔の思い出をしっかりと保有する者の一人であり、記憶のないユウキの家族として、妹として甘えて孤独を和らげる。
が、実は血縁関係は一切ない。言ってしまえばただの幼馴染みであり、記憶のないユウキと新たに沢山の思い出を共有しようとする。実はかなりの泣き虫。



という訳で後編でした。
今までで一番長いですが、その一番の原因は彼女の登場です。
あと、今回はおまけパートがあります。

【おまけ:見舞い客の反応】

美食殿の場合

ペコリーヌ「はあ~、それにしても本当に目が覚めて安心しましたよ。実はわたし心配しすぎて泣いちゃったんですよ。女の子の涙は高いですよ、責任取れますか?」

キャル「聞けば相当無茶したみたいね。弱っちい癖に無茶するからこうなるのよ。これに懲りたら身の丈にあった事だけしなさいよ。コロ助なんて日増しに表情が死んで――」

コッコロ「アルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマアルジサマ――」

キャル「ちょっとコロ助ー? 気持ちはわかるけどそろそろ離してあげなさい。仮にも病人よ、そいつ」

ペコリーヌ「ヤバいですね」



サレンディア救護院の場合

アヤネ「もうお兄ちゃんったらどうしてそんな無茶したのアヤネ心配したんだからねお兄ちゃんがいない救護院ってすっごくつまんなかったんだよだからはやく退院して帰ってきてねあと心配させた罰として今まで以上におままごとに付き合ってもらうからあとそれから――」

サレン「あらら、今までの反動かしらね」

クルミ「アヤネちゃん、ここ最近ずっと口数が少なくて、久々に声を聞いたかも」

スズメ「アヤネちゃんは救護院のムードメーカーでもありますからね。アヤネちゃんが元気がないとみんなも心配して気が沈んじゃいますから」

サレン「ま、バチが当たったとおもって甘んじて受け入れなさい。…………あたしだって、心配したんだからね」



フォレスティエの反応

ミサト「もう、男の子ね。でも今回はちょっとやりすぎじゃないかしら。ちゃーんと、反省するんですよ?」

ハツネ「あの時はホント空を飛んでて良かったよ。ランドソルに向かってる途中で女の子の悲鳴が山の中から聞こえたと思ったら、リノちゃんだったんだから」

アオイ「でも、ユウキさんって本当に沢山の人にお見舞いされてましたね。私もそれくらい体を張れば友達も出来るんでしょうか……」

ミサト「あらアオイちゃん。そんな危険なことはしちゃいけませんよ~?」

アオイ「え……で、でも」

ミサト「いけませんよ~?」

アオイ「………………………はい」

以下のキャラの中で誰を優先的にお話しを書いて欲しい?

  • エリコ
  • クウカ
  • ナナカ
  • リマ
  • ヨリ
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