メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~ 作:上月 ネ子
プリコネの問題児は三種類に分類される。
やべーやつ
トラブルメイカー
危険人物
――この三種類だ。
なお三種類全てに当てはまるキャラがいることは考慮しないものとする。
ユウキが退院してからしばらく経った。
そんなある日、ユウキの住まいでもある【サレンディア救護院】でとある事件が起きた。
> 部屋が寒い?
「う、うん。他の子供たちも同じこと言ってて……」
「ま、まだ冬じゃないのに、あ、あり得ないくらい寒いんですぅ……」
どういうわけか、救護院の室内温度が現在の季節に反して急激に下がっているらしい。
『坊っちゃんの部屋は……そんなことねえみたいだな』
ぷうきちの言葉に、アヤネとクルミは震えて身を寄せ合う。
「うぅ……、や、やっぱりこわいよぉ……」
「だ、大丈夫だよクルミ! 他の子はあんなの言ってたけど、あり得ないって」
> 何の話?
要領が掴めず、ユウキは二人に尋ねる。
ユウキの質問にはぷうきちが答えてくれた。
『空気の温度がぐっと下がったのは、幽霊が救護院に現れたからだ、なんて言い出した子供がいてな。真に受けた奴も結構いて割と洒落になってねえんだよ』
> 幽霊…………??
「や、やっぱりお兄ちゃんも幽霊なんていないって思うよね。だったらスズメと一緒に子供たちを説得してよ! みんな幽霊を恐がって一階に集まってるんだよ」
アヤネの言葉をよそに、何か引っ掛かりを感じていたユウキは、ひとまず立ち上がって一階へと降りることにした。
そして、ユウキが部屋を出た瞬間に異変は起きた。
――きゃあああああああっ⁉
「ひううぅっ⁉」
「今の悲鳴って……」
三人は駆け足で一階へと降りると、そこにはおどろおどろしい光景が広がっていた。
まだ昼間だというのに、とても暗い。そして極めつけには、天井辺りに無数の薄暗い炎が――
「あ、あああああああれって……」
「………………………きゅう」
「ちょ、クルミ⁉ 気絶しないでー!」
『おいおい、いよいよヤバいことになってんじゃねえか‼ おい、スズメの姉ちゃん大丈夫か⁉』
「そ、その声はぷうきちくん⁉ ユウキさんも! ダメです、それ以上近づかないでください!」
台所を背にして、杖を構えているスズメ。
だが、顔色が青く腰もカタカタと震えていることから、彼女も本気で恐怖しているのが見てとれる。
「スズメ! あれはいったい何なの⁉」
「あれは……あれは……人魂にされた子供たちです‼」
『はあああぁっ⁉』
「嘘じゃないです、目の前で怯えてた子供たちが突然宙に浮き上がって……」
その光景を思い出したのか、スズメの震えが大きくなる。
その言葉にアヤネは青ざめて、ふらりと尻餅を着いてしまった。
だが、この状況で終始顔をしかめたままの人物がいた。
> 流石にやりすぎだよ、ミヤコ。
「へ」
「え?」
『は?』
天井を見上げてユウキは呟くと、
「――そう思うのなら、早くミヤコにプリンを寄越すのーーー‼」
ゆらゆらと天井が揺らいだら、それは小さな女の子の姿となった。
彼女はミヤコ。正真正銘の幽霊であり、ユウキが知る限りの一番の問題児である。
> なんで怒ってるの?
「怒りたくもなるの! ミヤコは……ミヤコは……」
ぷるぷるとミヤコは震えて、衝撃(?)の言葉を口にした。
「ミヤコはここ数ヵ月、プリンをほとんど食べてないの! お前とイリヤのせいなの!」
> ええ……??
思わず困惑の感嘆がユウキの口から漏れ出る。
残念ながら、ミヤコは激昂した表情をしていることから本気で言っている。
「……あのー、ユウキさん? この子と知り合いですか?」
> 幽霊のミヤコ。
「ゆ、幽霊っ⁉ ほ、本物⁉」
「う、うそ……」
『マジかよ……』
半信半疑のスズメ達だが、ミヤコが宙に浮いていることと、姿を現したことで更に気温が下がったことがそれを証明している。
「あ、あの、ミヤコちゃん、でいいですか?」
「……ん? 何なの? ミヤコは今猛烈に機嫌が悪いの。お前も人魂にされたくなかったらプリンの準備をするの」
「や、やっぱりあなたが子供たちを人魂に変えたんですか! どうしてそんなことを……」
「ミヤコだって日々学習してるの。一体どんなことをすれば、確実にプリンを手に入れられるかこの数ヵ月間じっくり考えたの」
ミヤコは宙に漂う人魂を指差し、声高々に宣言する。
「――ミヤコに早くプリンを寄越すの。出来ないならコイツらをプリンにして食べちゃうの~!」
「「え、ええええええええっ⁉」」
それは、完全なる脅迫であった。
『……な、なに言い出すかと思えば、そんなこと不可能に決まってんだろ! デタラメ言って脅すのも大概にしやがれ‼』
> 出来るよ。
『え?』
> ミヤコは魔物をプリンにして食べたことがある。
ユウキの無慈悲な言葉に、三人はなにも言えず、ただ顔を青くするだけ。
> どうしてそこまでするの?
「お前とイリヤのせいだって言ったの!」
> どういう事?
話についていけず、ユウキは首をかしげる。
「……イリヤは最近、シノブ達にミヤコにプリンを買ってくれることを禁止したの。お陰でギルドハウスにいてもプリンが滅多に用意されなくなったの」
ミヤコは当時の事を思い出して目に涙を浮かべる。
「……仕方ないからランドソルにまで行ったのに、ここ最近はお前を全く見かけなくてプリンが手に入らなかったの」
「ランドソルまで行ったのならプリンを買えば良かったんじゃ……」
「ミヤコは物に触れないからお金が持てないの」
「おかしくないですかそれ? それならプリンなんて食べられないんじゃ……」
「シノブが言ってた話だと、ミヤコはプリンを食べるという行為を実行した時だけ実体化してるらしいの。正直ミヤコはあんまり自覚なかったの」
スズメは改めて目の前のミヤコという少女がデタラメすぎる存在であることを思い知らされた。
「……とにかく、ユウキを探してるとここにたどり着いたの。けどお前はここ数日この家から出てこないの。だから実行したの」
「……ユウキさん?」
> 僕のせいにしないで。
ユウキにとっても入院していたという事情があったのに、人のせいにされては堪ったものではなかった。
「わかったらミヤコにプリンを用意するの~!」
「い、いきなりそんなこと言われても、プリンなんて買い置きしてませんし、今から作るにしても卵をランドソルにまで買いにいかないと……。それまで待ってくれますか?」
「ん~~…………」
精一杯のスズメの懇願に、ミヤコは長考。
そして――
「嫌なの。ミヤコはこれ以上お預けされたくないの」
「え」
無慈悲な答えを返すのだった。
「ちょちょちょちょちょ、ちょっと待ってください!」
「嫌なの、もう待てないの。そろそろお腹いっぱいプリン食べたいの~」
ミヤコは霊力を強く放って、周囲の人魂を皿に乗せたプリンに変化させた。
「あ、ああ………………」
『ホントにプリンにしやがった……』
「待ってください! お願いです、子供たちだけは‼」
「しつこいの! これ以上ミヤコのプリンタイムを邪魔するななのー!」
ミヤコはさらに霊力を強く放って、ユウキ達を壁に張り付ける。
壁に叩きつけられたユウキ達はもがくが全く動けず、プリンとなった子供たちを手にして今にも頬張ろうとするミヤコを見上げることしか出来ない。
「それじゃあ、いただきまー――」
『そ こ ま で だ ! このクソガキが‼』
ミヤコがプリンをつかむ腕を、ドクロの幽霊が噛みついて、ミヤコは驚いてプリンを離してしまう。
そして、落ちていくプリンを器用にキャッチする少女が呆れた表情で口を開いた。
「探しましたよ、ミヤコさん。なかなか戻ってこないから、皆さん心配してましたよ」
「し、シノブ……それにドクロ親父も! な、なんでここにいるの?」
『あんだけ霊力を放ってて気付かねえとでも思ったのか貴様は‼』
「そ、それはおかしいの! こことギルドハウスはかなりの距離があるの! 転移魔法でもないと――」
「――そうじゃ。その転移魔法でここまで飛んできたのじゃ」
がらり、と救護院のドアを開けて、小柄の少女が入ってくる。
赤を基調としたレオタードを身に纏う、黒髪の妖艶な雰囲気を放つ少女は、ミヤコを睨み付ける。
「……まったく、ここ最近大人しくなったかと思えばこんな大それたことをしていたとはのう。【
「い、イリヤ⁉ なんでお前まで……それに体も小さいままなの! お前がここまで転移してきたの? ユウキの力も無しに?」
「そうじゃ。とある方法を使っての」
イリヤはドクロ親父にそのまま掴まえておけ、と指示をすると、ミヤコの透けている足を掴む。
「吸血鬼と言えば、やはり吸血じゃ。しかしそれはただ血を吸って私腹を肥やすためだけではない」
「な、何なの…………、……ッ⁉」
ミヤコは急激に脱力感に襲われ、ふらふらと床に落ちてくる。
それに合わせてミヤコの霊力も弱まり、壁に叩きつけられたユウキ達も解放され、プリンとなった子供たちも元の姿へと戻っていく。
「吸血鬼には吸精という能力があってな、かいつまんで説明すると魔力を吸い上げることができるのじゃよ。……この姿で出来るか賭けじゃったが、ヨリとアカリに使ったら、目論見通り吸精できたのじゃよ」
「……い、イリ、ヤ……そろそろ、止めて……」
「お主はやりすぎじゃ。そのまま反省せい」
ばたり、とミヤコは床に突っ伏すのだった。
「――ミヤコは悪くないの~‼ イリヤがプリン禁止令をしなければこんなことしなかったの~‼」
プリンから元の姿に戻った子供たちは気絶しており、ユウキが全員運ぶこととなり、その間にイリヤ達による事情聴取が行われていた。
ミヤコはえんえんと泣きながら自らの無罪を主張するが、その場にいる全員は呆れてモノも言えない始末。
『言い訳すんな、このクソガキ! こんどまたこんな真似しやがったら無理矢理成仏させるからな!』
珍しく真面目に本気で怒っているドクロ親父。
「……でも、イリヤさん? でいいですか?」
「うむ」
「どうしてプリン禁止令なんて出したんですか?」
「それがのう……。シノブとも話し合ったのじゃが」
イリヤはスズメからミヤコへと視線を変えて恐る恐る話しかける。
「のうミヤコよ」
「ぐすっ、えぐっ……何なの?」
「お主……初めてあったときより、顔が少し丸くなったかの?」
「………………………え」
「いろいろと考察してみた結果、ミヤコさんはプリンを食べる際、霊力を高めて実体化しています。それこそ生者と遜色ないレベルで。よってミヤコさんは実体化してプリンをたくさん食べたことで、太ったのではないか、と考えに至ったんです」
「ふ、太った? 冗談は止めるの。ミヤコは幽霊なの、太るわけないの」
「じゃがお主の肉付きが少々良くなったのは事実じゃぞ。それはどう説明する?」
ミヤコは自分の顔やお腹をペタペタと触る。
何度かそうしているうちに、ミヤコの表情が少しずつ青くなっていく。
「じ、じゃあプリン禁止令って……」
「まあ、余計なお世話かもしれぬが、お主のためのダイエットかの」
「そ、そんなぁなの~~!」
……その後、ミヤコのプリンを食べる頻度がしばらく減ったのだが。
「……霊力をたくさん使ったら痩せたみたいなの」
と、盲点に気づいて元通りプリンをたくさん食べるようになったという。
ユウキはミヤコらしいとなにも言えなかった。
ミヤコ
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場する正体不明の幽霊少女。スプーンのような大きな武器は魔物を倒すのにも使用する。
無類のプリン好きであり、プリンを見かけると食べずにはいられない。幽霊なので物に触れないし食事も出来ないが、プリンを食べる行為のみ実体化する。
強力な霊力を持ち、人間に簡単にとり憑いたり、魔物に変身したり、物体をプリンに変えることもできる。仲間意識はあるが、時々プリンを優先することもある。
今回やりすぎじゃない? と思ったあなた。
今回のお話はアニメの十話をリスペクトして作りましたので、「これくらい公式でもやった」という認識のもと執筆させていただきました。
そも、私にとってはミヤコはプリコネで一番の危険人物だと認識しております。クリスティーナとかはまだ弁えている方なので、余計にミヤコのヤバさが際立って見えるのです。
まあ、そういうところが人気の秘訣なのでしょう。
最後に、新たにアンケートを実施します。
お手数ですがご協力お願い致します。
以下のキャラの中で誰を優先的にお話しを書いて欲しい?
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アヤネ
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カスミ
-
シノブ
-
ニノン
-
ミソギ