メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~ 作:上月 ネ子
また、今回は少し前作ネタがあります。
ここ最近のランドソルではある珍事件が多発している。
いわく、ホビーグッズの盗難が相次いで発生しているらしい。それも、少女向けのグッズが大半の標的にされている。
事件を耳にしたユウキは早速事件解決を図るべく、二人の協力者を呼ぶことにした。
それが――
「ま、魔法少女グッズが軒並み盗まれるなんて……っ! 犯人は許さんっ‼ 絶っ対にっ、ゆ゛る゛さ゛ん゛ッッ‼」
「は、張り切ってるわね……」
ユウキより既に現場に駆けつけていたナナカと、商談関連で聞き捨てならないと立候補したサレンである。
「でも分からなくもないわね。盗まれたグッズの中には救護院の子供たちが気に入ってるものもあるみたいだし……。盗難、買い占め、転売は商人の大敵だわ。到底許されるものじゃないわね」
「…………
冷や汗を流すナナカ。
そんなやり取りも程々に、ユウキ一行は盗難にあったホビー店を何店も調べていく内に、ある共通点が幾つか見つけられた。
「犯人の目撃はなし。いつの間にか棚に置いてあった商品が忽然と消えていた……」
「いわゆる神隠し、ってヤツですかな? 気がつけば周りのホビーグッズが全部豚の置物に変えられてたり……」
「そんな訳ないでしょ……」
しかし、盗まれたと店長が気づいたのは、業務終了後の事だった。
「盗まれたグッズが置いてあった棚には、引き摺ったような跡があった。にも関わらず、そんな物音は聞いたことがないと皆口を揃えて言っていた……」
完全犯罪。
一瞬サレンの脳内にその4文字が過る。
しかし、犯行の決定的な状況証拠は残っている以上、犯人の特定は不可能ではない。
「跡ができるくらい引き摺られたのに音が聞こえなかった……、妙だな……?」
「何か分かったの、ナナカさん?」
顎に手を当てて首を捻るナナカの姿に、サレンは一縷の望みを見た。
そして、
「あ〜なるほど。そういう事ね、完全に理解したわ〜」
「え、ホントに! 凄いわね、教えてくれないかしら?」
「初歩的な事だよ、ワトソン君」
「誰がワトソンよ」
おどけながら喋るナナカにサレンは顔を引きつらせるも、聴く姿勢を崩そうとしない。
その態度を見て、ナナカはニィ、と口を綻ばせて、
「つまり! 我々はランドソルゴーストバスターズを結成する時が来たのですぞ!」
と声高に宣言した。
「……ランドソル、ゴースト……ごめん、何かしら、それは?」
「つ・ま・り! 今回の事件は幽波紋使いか、幽霊の仕業だ、って事だったんだよッ!」
「ゆ、幽霊ぃ? 急に現実味が無くなったわね……」
> そんなことない。幽霊はいるよ。
「アンタが言うと途端に笑えなくなるから止めなさい」
【サレンディア救護院】に現れたプリン狂いの幽霊が現れた話をスズメから聞いたサレンは顔を青くする。
「でも幽霊って……いくら何でも……」
「んんんんん、人間業ならありえませんぞ〜! 引き摺られた棚の跡には霊力みたいなのの残滓もあったしね〜」
「⁉」
> そういうのに詳しい人知ってるよ。
「⁉」
「なにィ⁉ そいつは何処にいるんだ、言え! 相棒ぉ!」
ユウキの案内のもと、ゴーストバスターズ一同は霊に詳しい人を訪ねるのだった。
なお、途中から置いてけぼりだったサレンは、
「……はっ! ちょ、ちょっと! そういう重要なことは先に共有しなさいよ!」
遅れて二人の後を追うのだった。
「――こんにちはユウキさん。貴方から訪ねて来てくださるなんて、久しぶりですね」
大通りから少し外れた場所にこぢんまりとしたテントが張られてあり、中をくぐると静かに微笑むシノブが出迎えてくれた。
「ここに来てゴスロリ美少女キタコレ‼」
「はいはいアンタの知り合いね。知ってた知ってた」
> ……あれ、ドクロ親父は?
「父ならいつもの様に女性を追いかけています。近所迷惑だからやめて、って何度も言ってるのに……」
辟易するように大きなため息を吐くシノブ。
一同はシノブに訪ねて来た理由を話すと、納得するように何度も頷く。
「……ああ、だから最近父は楽しそうにしてたのですね」
「な、なんだか複雑な家庭環境が垣間見えた気がするわ。大丈夫? 何かあったらうちに来なさい、歓迎するわよ?」
「折角ですがお気持ちだけ受け取っておきます。……それで、【トワイライトキャラバン】のナナカさんですよね? イリヤさんから聞いたことがあります」
「あ〜いっ! 如何にもタコにも! 天才ぐうカワ魔法少女ナナカちゃんとは、アタシだよッ‼」
「え、【トワイライトキャラバン】……?」
ドン引きするような声が隣から聞こえたナナカだが、気にしないことにした。
ナナカは事件に対する自身の推理をシノブに話すと、シノブはこう教えてくれた。
「いわゆる、付喪神という霊的な現象の延長にあるかと思います」
付喪神――
長い年月を経た物に霊的な力が宿ったものと言われている。
このアストルムの世界では、大事にされた物や人々の幻想が集まりやすい場所や物にそういったものが宿る。
シノブはこう教えてくれた。
「――最近、魔法少女ベルルちゃんや他の少女向け作品の合同イベントをやる特設ステージが準備されてるんだよね〜」
当然、ナナカそれに目をつけていたし、観客席のどの辺りに陣取ろうかと何日も調査をしていた。
盗まれた――いや、忽然と消えたホビーグッズもそれらと深く関わりを持つものばかりだったため、霊的なものが宿る可能性は大いにあった。
「けれど、そんな怪奇現象が起こるくらい想念が渦巻いてるなんて、なんだか薄ら寒いわね。人の業を思い知ったというか……」
「そう? 私は嬉しいかな。それだけ女の子のヒーローが評価されてる、ってことでしょ? ユウキ君もそう思うよね?」
> もちろん。でも……
「うん、そうだね――」
一同はその特設ステージの会場に立つ。
現在時刻は深夜。
霊的な現象が活性化しやすい時間帯に、魔法少女への想念が渦巻くこの場所で、それは居た。
およそ現実に存在するとは思えない、華美な衣装。人形のような顔立ち。纏うオーラ。
そのキャラのトレードマークとも言える大きなベルを提げ、ステージの上でポーズをとっている異質な存在。
――「魔法少女ベルルちゃん」そのものに極めて近い何かだった。
「魔法少女ってのはね、皆に愛と希望を与えるものなんだよ」
ナナカは魔法杖を構える。
「決して、相手に押し付けるものじゃないんだッ!」
ユウキは剣を構える。
「……ベルルちゃん、どうか安らかに――リアルに、魔法少女は、いなくて良いんだよ……!」
自身を否定されたのか、それともホビーに取り憑いた何かが気に障ったのか、激情するように体を奮い立たせて、それは高速で突進してくる。
ナナカの魔法杖とユウキの剣を合わせて、叫ぶ。
「ナナカ&ユウキ!」
> インフィニット!
『ユニゾンブラストッ‼』
二人の一撃は、切ない――
その後。
二人の一撃によって吹き飛んだ付喪神は、体が崩れて消えたホビーの塊となった。
騒ぎとなって【王宮騎士団】が駆け付けてきて、魔法攻撃によるステージの倒壊等を追及されることとなったが、元副団長のサレンが上手くまとめてくれた。
「はぁ……」
「お疲れさまです、お嬢様」
その事後処理も終わり、久々に休暇を謳歌するサレンは憂鬱そうにため息をついた。
悩みのタネは当然、今回の事件……ではない。
(あの二人、随分息ぴったりだったわね)
ナナカの悪ノリに付き合うユウキ。
ナナカの相棒だというユウキ。
言葉も交わさず言いたい事が一致していたあの二人。
まるで、昔馴染みの親友のような――
「………………いやいや、まさか」
それではまるで、自分とユウキの関係みたいではないか。
脈絡が無さすぎる自身の思考に、サレンは笑い飛ばす程の心の余裕は無かった。
ナナカ
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場する、天才美少女魔法攻撃を自称する少女。燃費は悪いが繰り出す魔法はどれも一流である。
ランドソルでは「蒐集家」という通り名があり読んで字のごとく魔導書を買い漁る趣味を持つ。なお、魔導書だけでなく、いわゆるサブカルチャー方面の書物も集めている。
魔法少女に憧れ、魔法少女の圧倒的な戦いをよく真似する。一緒によく行動するユウキを魔法少女のマスコット兼相棒と決めつけ、今日も魔法少女行脚の最中である。
何とか間に合ったぜ……。
さて今回の話についてですが、実は今作は死に設定になってそうですがナナカと主人公は前作では小学校時代の友人だったという設定があるそうです。
サレンも小学校低学年くらい(?)の時期に主人公と出会っていた事を考えると、現実では入れ替わりで主人公と繋がりがあったって事なんですかね?
さて、次回はリマ編ですが、リマ編が投稿される頃にはまた新しいアンケートを実施することになるかと思います。
ご協力よろしくお願いします。
以下のキャラの中で誰を優先的にお話しを書いて欲しい?
-
アヤネ
-
カスミ
-
シノブ
-
ニノン
-
ミソギ