メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~ 作:上月 ネ子
ルビ振りが面倒くさい!
前回までのあらすじ。
ランドソルに平和をもたらさんとするべく旅を始めたショーグン一行。
ピンクの超能力者と黒の狼剣士を仲間に加え、平和まであと一歩と言うところに、謎の二人組が立ちはだかる!
彼女たちは一体、何者なのだろうか――⁉
「いや、前回名前出てたし、仲間にしただけで平和に近づくの早すぎじゃないかな……?」
「誰に突っ込んでんだハツネ?」
それはさておき。
「そこに居る閃光のシグルドは前世からの我が
金色の瞳でニノンに睨めつけるシュテッヒパルム。
バチバチと雷の魔法が轟き、完全に臨戦態勢を取っている。
「シュテッヒパルム……確か、『歩く竜巻』とか呼ばれてたか?」
「知ってるのマコトちゃん?」
「知ってると言うか、賞金稼ぎで有名なんだ」
「フッ、我をその名で呼ぶものもいるようだな」
気分が良さそうにシュテッヒパルムはニヤリと笑う。
「改めて名乗ろう。我が名はアンネローゼ・フォン・シュテッヒパルム! またの名を疾風の
ビシィ! とポーズを決めるシュテッヒパルム。
一同はポカンと閉口しており、ニヤリと内心嬉しそうにする。
「どうやら怖気で言葉も出ぬようだな?」
だが、
(じ、おう…………?)
(やべえ、半分以上聞き取れなかった)
ハツネとマコトの内心は?マークでぎゅうぎゅう詰めだった。
しかし、これを一蹴する者が一人。
「オーダブルだか、ナガイモだか知らないデスが、ショーグンの行軍を邪魔する事は許されないデース‼ 不敬千万デース‼」
「なっ、オーダブルでもナガイモでもない! いいか、もう一度言うぞ!【熾炎戦鬼煉獄――」
「長いですアンナさん。今はそれどころではないでしょう」
「遮るなよエリコぉ!」
ピシャリ、とエリコが止めてしまい、涙目になるアンナ――もといシュテッヒパルムだった。
「私からの勧告はただ一つ。ユウキ様を解放しなさい。将軍だか何だか知らないけれど、不当な方法でそのお方を祀り上げようなど、その浅ましい悪知恵は万死に値するわ」
エリコから濃密な殺気が溢れ、一同は警戒レベルを引き上げる。
しかしニノンは臆することなく一歩前に踏み出す。
「ショーグンはいずれアストライアに平和をもたらすショーグンデス! ショーグンの威光と優しさが全世界に知れ渡ること、アナタは悪い事ではないと思うはずデスが?」
「ユウキ様のすばらしさは! 優しさは! 私だけが知っていれば良いのですッ‼ 忠臣蔵なんて必要ありません!」
「大体シグルドは【
「あっ、シグルドってユウキ君の事なんだ……」
シュテッヒパルム――もといアンナは杖剣を構えて、魔法を展開する。
バチバチと稲光が轟き、周囲が爆発するが、ニノンはそれをジャンプして躱す。
「ムム……」
「ニノンとやら! 我と勝負しろ! 我が勝ったら、我が盟友――閃光のシグルドは返してもらう!」
「サムライは決闘から逃げマセン! 受けて立ちまショウ! ただし――」
「――ワタシが勝ったらエリコさんは赤の忠臣として貰い受けマス!」
『は?』
ニノンの宣言に、一同は絶句するのだった。
「……待ってください。色々突っ込みたいところがあるのですけれど」
こめかみを押さえながらエリコは引きつった顔で尋ねる。
「まず、なぜ私は決闘の景品にされたのかしら? なぜ赤の忠臣とやらにされるのかしら? なぜこれらが決定事項みたいになっているのかしら?」
「そ、そうだそうだ! 大体エリコは【トワイライトキャラバン】のメンバーだぞ! 勝手に忠臣蔵に誘おうとするな!」
「その答えはただヒトチュ‼ エリコさんがショーグンの忠臣に相応しい人物だからデス‼」
「わ、私が……?」
エリコは思わずユウキを見る。
ユウキはそれを受けて、サムズアップを送る。
> エリコは強い。だから赤!
「審査がちょっと雑じゃないかなユウキ君⁉」
「そもそもなんでソイツなんだよ? あたしらって一応その、ヒーローみてえな立場じゃないのか? なんか、その、もっといるだろ相応しいやつ」
ハツネとマコトからも抗議の声が上がる。
エリコは巷では『壊し屋』と呼ばれており、その筋ではかなり恐れられている存在だ。
ヒーローとは程遠いように見えるが……。
「古来より、赤の戦士は特別な戦闘力を有していると聞いたことがありマス。よって、赤の忠臣は忠臣蔵の中で最も戦闘力が高い人物をいくつか候補にしていたのデス!」
そして、とニノンは声高に言う。
「エリコさんが赤の忠臣に相応しいと判断しまシタ‼」
「勝手に決めないでくれるかしら……」
「良いのデスか? ショーグンのお側にいれば、ショーグンの威光を遠慮せず見ることが出来マスよ?」
「………………ッ!!!!」
瞬間、エリコの脳内に溢れ出した薔薇色の
ユウキがアストライアを統一し、その側でユウキを立てる良妻エリコ。
何と幸福なことか――。
「……くっ…………」
「こ、この歌舞き女……エリコの
「フフフ! アユミの情報収集力はランドソル1デス‼」
「つまりアユミの手柄じゃねえか……」
自分でやったわけではないのに、何故か得意気にしているニノン。
「ええい、卑怯な! エリコが欲しいなら正々堂々と勝負しろ!」
アンナは魔力を展開し、杖剣を振りかざす。
「手加減などしないッ!
バチバチと雷の魔力が迸り、彼女の周りの
「ムムッ、風遁――旋風撃の術ッ‼」
団扇を横になぎ払い、ニノンの周囲に小規模な竜巻が起きる。
カチャカチャと金属の擦れる音が響き、アンナの鎖は絡まっていく――
「フッ、その程度の抵抗が予想できないと思ったか!」
アンナは高く飛び上がり、ニノンの上を見下ろす。
ニノンは応戦しようとして、
「ニノンちゃんダメ! それ以上動いたら危ないよ!」
「ムッ⁉ …………ハッ⁉」
気づけばニノンの周りには先程振り払ったはずの螺旋霊撃疾風飛剣が蜘蛛の巣のようにニノンの周囲を塞いでいた。
「もう遅いッ‼ 脱出不可能だッ‼」
紫電の光が辺りを包み込む。
一同は顔を伏せて、それを直視することが出来ない。
「これが滅びの輝きだ――
雷が落ちる。
音も、衝撃も、全てを置き去りにして。
極太の雷の波動は鎖を伝い、その範囲を大きく広げてニノンを無慈悲に包み込む。
そして――
「ぐえぇっ⁉」
『えええ⁉』
情けない悲鳴を上げながら、地面に突っ伏しているアンナの姿が現れた。
「な、何が起こったんだ⁉」
「もしかして、今の一瞬でニノンちゃんが返り討ちにしたの⁉」
「…………いえ、それはないですわ。だって彼女はそこにいますわ」
エリコが指した土煙の向こうの人影。
エリコは斧の一振りで煙を吹き飛ばし、改めてその姿を確認する。
「フフフ……シノビとは、いついかなる時も耐え忍ぶ者なり……デス」
「それは……まさか、ゴム風船!」
ニノンの周囲に浮くいくつかの風船。
ポヨンポヨンと宙で跳ねるそれは膨張し、今にも破裂しそうである。
「てやっ」
空に飛ばしたそれは限界を示すように破裂する。
そして、バチバチ、と電気音を響かせた。
「ゴム材質は、電気を吸収しやすいデス。これがニノンの究極忍法、雷風船の術!」
「……全く、おつむの弱そうな割によく機転が効きますこと」
「なるほどな、今みたいにその風船をアイツに飛ばして反撃したわけか」
「いいえ、ニノンさんはただ風船で防御しただけですわ」
「え? それじゃあ……」
「アンナさんはナナカさんと違い、後先考えずに魔力を放出する癖があるんです」
ピクピクとうつ伏せに倒れるアンナ。
魔力切れを起こすと体に力が入らなくなり動けなくなる。
つまり……。
「アンナさんの自滅ですわ」
締まらない勝敗だった。
その後、勝負の対価に則って、エリコは忠臣蔵に参入。
ショーグン擁する忠臣蔵はこれで5人。残すところはあと一人。
ちなみに、エリコはそれなりに乗り気になっていたことはまた別の話。
そしてアンナは……。
「ぐぬぬ、一生の不覚……」
約束通り、エリコが忠臣蔵に加わる事を認めることしかできず、悔しさで表情が歪んでいた。
「ということなのでアンナさん、正義のヒーローとしてユウキ様と一緒に頑張ってきますね」
「そんな柄でもない癖に……何を嬉しそうにしているのだ」
仕方がない風に語っているが、ユウキと何かしらの活動ができるのがそんなに嬉しいのか、表情から笑みが隠しきれていない。
「これで5人か……」
「えっと、赤がエリコちゃん、黒がマコトちゃん、桃が私、黄色がニノンちゃん、青がユウキ君だよね。後は……」
「緑の忠臣デス!」
「……!」
緑、という単語を聞き、アンナは何かを閃く。
多少魔力が戻ったので立ち上がり、おずおずと手を挙げる。
「な、なんだ、まだ人手が必要なのか……。ところで、わ、私も緑っぽいイメージがあるとは思わんか?」
「アンナさん……貴女、プライドというものは無いのですか?」
アンナが何を言い出すのか察しがついたエリコ。
呆れて顔をしかめるが、アンナはフッとそよ風に吹かれたような態度で返す。
「フフフ、我はそこの者の激闘し、敗北したのは紛れもない事実。だが激闘から生まれた友情というのもまた乙なものだろう?」
「ものは言いようですわね……」
「良いではないか、戦隊ヒーロー! ナナカも良く語ってるし、憧れるものだろう⁉」
顔を赤くしつつ、改めてニノンに詰め寄るアンナ。
「ど、どうだ? 貴様は勝者だ。敗者として軍門に下る覚悟は出来ているぞ?」
「イエ、キャラが被るので遠慮しておきマス」
「は?」
ポカンと絶句するアンナ。
キャラが被るとは。
「ワタシもよく魔力切れを起こすのデス。こういうのはキャラ被りしてはいけないとモニカさんも話してマシタ。死活問題だそうデス」
「………………………」
「え、えーっと、それじゃ緑の忠臣さんって誰になるのかな?」
灰になりかけているアンナを尻目に気遣いながらハツネは尋ねる。
「ではこれから会いに行きまショウ! お仕事でないならいるはずデス!」
「会いにいくって、何処にだよ?」
「【サレンディア救護院】デス!」
「――で、あたしがその忠臣とやらになってランドソルの平和を守る、と?」
「
「あたし、あなたとは初対面よね? なんであたしが【王宮騎士団】の元副団長だって知ってるのかしら?」
自身の身元が全く知らない人に詳しく知られている事に、若干の寒気がするサレンだった。
ちゃっかり付いてきたアンナが一言。
「……ドレスしか緑要素が無いではないか」
「それを言ったら私とニノンちゃんも髪だけだよ……」
コソコソと話をする二人をよそに、サレンの側にいたスズメは嬉しそうにしている。
「お嬢様、これで何かあったときはいつでもユウキさんに駆けつけることが出来ますね」
「なっ、べ、別に仲間外れにされてたなんて思ってないわよ? あれは、魔法少女じゃないとどうしようもないって言ってたし……」
口ではそう言っているが、サレンも満更でも無いように見える。
「…………ある意味忠臣蔵に入って正解でしたわね。これならユウキ様にたかる羽虫共を把握しやすいですわ」
「これで忠臣蔵が完全結成されマシタ‼ アストライアの夜明けは近いゼヨ、デース‼」
その場でスキップするニノン。
そこで何を思ったか、ニノンは懐からマイクを取り出してユウキに渡す。
「ではショーグン、集まった家来たちに有り難いお言葉をお願いシマス!」
全員の視線が集中する。
ユウキのはなった言葉は、
> 異変が起きるまで、解散‼
空気を止めるのに最適だった。
「な、何と……つまり、未来でまた会おうぜ、という再会を祝福するお言葉を家来に託してくれるのデスね? では、ここはヒーローらしく、異変の現場でまた会うことにしまショウ! 皆さんも、ランドソルの平和の為に今は雌伏の時デス! では、サラバ‼ シュババババ〜〜〜!」
と、ニノンは何事もなかったように帰っていった。
『結局なんだったんだ、この集まり……』
一同の心は今、一つになったのだった。
アンナ
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場する、賞金稼ぎの魔法使い。魔力切れが早いが繰り出される魔法はどれも強力。本名はアンネローゼ・フォン・シュテッヒパルム(自称)。
【熾炎戦鬼煉獄血盟暗黒団】の団長で、ユウキとは前世からのライバルであり盟友、今生では【第二連隊長】としてアンナと肩を並べて戦っている、という設定……じゃないかもしれない?
作家をやっており、「冥風戦記」という本を書いている。本人の育ちがとても良いのか、パニックになると素が出てしまい、その態度はとても行儀が良い。
長くなってしまいました。
やっぱりギャグを書くのは難しいですが、少しでもクスッとしてくれるのなら幸いです。
おまけ
ハツネ「ところで、赤の忠臣は他にも候補がいたんだよね。他に誰がいたの?」
ニノン「クウカと、【ルーセント学院】のイオさんと、【メルクリウス財団】のアキノさんデス。
でも、クウカはドMデスし、イオさんは……色々と戦いどころじゃなくなりそうデスし、アキノさんはショーグンより絶対に目立ちマス。
よって残りの候補のエリコさんに白羽の矢が立ちマシタ!」
マコト「それ結局全部お前のさじ加減じゃねえのか……」
以下のキャラの中で誰を優先して書いてほしい?
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アキノ
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スズナ
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チカ
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ミサト
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ミミ