メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~   作:上月 ネ子

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知っているか?
プリコネには3種類のガキが存在する。

マセガキ

メスガキ

クソガキ

――この3種類だ。
ちなみに私はそれぞれ二人ずついると解釈しています。


好奇心がキミを追い詰める

ここは【サレンディア救護院】。

身寄りのない子供たちを保護する場所であり、現在ユウキとコッコロが住まいとして使っているギルドハウスである。

 

現在ユウキは荷物をまとめており、これから何処かへ出かけるようだ。

しかし、そんなユウキを阻むものがこの二人。

 

 

「お兄ちゃん! おままごとの人数が足りないから一緒に遊んでよ」

 

 

がしっとユウキの背中にしがみつくのは、救護院でも年長者のアヤネ。

フリフリと揺れる赤いツインテールは今日もご機嫌のようだ。

 

 

「あれ、荷物なんて纏めてどうしたの?」

 

『これから一仕事行ってくるみたいな感じだな。でも今日はアルバイトは休みなんだろ?』

 

 

彼女が持つくまのぷうきちは、ユウキが休日だというのをコッコロから聞いているのを思い出し、首を傾げる。

 

 

 

> これから探検に行ってくる。

 

 

 

「探検……ってことは、またミソギたちなの⁉ この間も誘ってたじゃん!」

 

 

分かりやすく不機嫌に顔を険しくするアヤネ。

また、というのはミソギ達【リトルリリカル】がユウキを探検に誘いにやって来ることである。

【リトルリリカル】の三人はよく救護院に遊びに来るが、ユウキがいるときは一緒に勉強したり、絵を書いたり、探検に行くことがある。

その頻度がここ最近多いのは、ランドソルの周域の環境が激変したことにある。

最近のランドソルは魔物の姿を見かけることがなく、安全にランドソルを出入りすることができる。

反面、シャドウの目撃情報が度々上がっており、絶対に安全というわけでもないのだが。

 

 

「も〜! お兄ちゃんも断ればいいのに!」

 

『そう言うなよ、アヤネ。どうせ坊っちゃんの事だし、事前に約束してるんだろ?』

 

 

そう問答していると、外から子供たちの声が聞こえてくる。

 

ユウキを呼んでいる声がここまで聞こえてくるのと同時に、部屋を開ける音が響く。

 

 

「お、お兄ちゃん。ミソギちゃんたちがよんでるよ……」

 

 

クルミがわざわざ迎えに来たようなので、ユウキは纏めた荷物を背負って救護院の外に出る。

ユウキを捉えたミソギは待ちくたびれたようにウキウキと声をかける。

 

 

「やっと出てきた! も〜にいちゃん遅いよー」

 

 

早く行こう、とミソギはユウキの腕を引っ張るが、ユウキの反対の腕を引っ張り、引き留めようとする者が一人。

 

 

「ちょっと、ミソギ! いい加減にしてよ‼ 一体何回お兄ちゃんを連れていけば気が済むの⁉」

 

「え、アヤネ?」

 

 

ユウキの影に隠れて気づかなかったのか、アヤネの怒鳴り声に肩が跳ねるミソギ。

 

 

「多すぎるよ! わたし達だってお兄ちゃんと遊びたいのに!」

 

「なんだよ~! ミソギたちはちゃんと事前に約束してるんだよ。アヤネには関係ないじゃん!」

 

「お、落ち着いてよアヤネちゃん……!」

 

「ミソギも、喧嘩しに来たわけじゃないんだよ?」

 

 

いきなり喧嘩を始めた二人をクルミとキョウカは止めようとするが、二人の耳には全く届いていない。

 

 

「だいたい、なんでわざわざ危険なところへ行って遊ぼうとするの? 家の中でも遊べることなんて沢山あるじゃん!」

 

「探検は探検じゃないと楽しめないことがあるの! それに最近は全然危険じゃないもん! アヤネたちだってサレンねえちゃんから聞いてるでしょ? 今はランドソルには魔物は全然いないんだよ。危険なんてないよ!」

 

 

喧嘩がどんどんヒートアップしていくところで、ふとミソギは良い事を思いついたと手を叩く。

 

 

「そうだ、だったらアヤネとクルミもついて来ればいいんだよ! そうすればにいちゃんと一緒に遊べるじゃん!」

 

「えっ」

 

「え、ええ? わ、わたしも……?」

 

 

なぜか話が変な方向に行き始めたので、アヤネとクルミは抗議しようとするが、

 

 

「わーい、きょうはアヤネちゃんたちと探検にいけるんだねっ」

 

 

ミミも乗り気になってしまい、だんだん断りきれなくなってしまう。

 

 

「ちょ、ちょっとミソギ。いきなりそんなこと言っても……」

 

「大丈夫だよ。今日は近くの山を探検するだけだし」

 

「近くの山って言うと、あそこかな? ……なら、すぐ戻ってこれる、かな」

 

「キョウカまでっ⁉」

 

 

キョウカまで賛成派閥に入ってしまい、アヤネたちは断りきれなくなってしまった。

 

 

 

> 一緒に行く?

 

 

 

ユウキにも誘われてしまい、いよいよ二人は付いていくことになってしまった。

 

 

 

 

 

「るんたった〜、るんたった〜♪」

 

 

楽しそうに耳を揺らしながら先頭を歩くミミ。

現在一行は救護院の山道を登っていく。この道のりは山頂に【牧場】があり、アヤネとクルミは何回か行ったことがある。

が、

 

 

「はあ、はあ……」

 

 

それはそれとして長い道のりなので、どうしても体力の限界というものがある。

 

 

「ね、ねえお兄ちゃん。結構歩いたよね。ちょっと休憩しよ?」

 

「あれ、アヤネもうバテちゃったの? 早いなぁ〜」

 

「ぅ……」

 

 

小馬鹿にするような表情でミソギがアヤネの顔を覗き込む。

 

 

「家でおままごとばかりしてるから体力が無いのかな? キョウカも最初はすぐにバテてたもんね」

 

「なっ、そんなことないもん!」

 

 

流れ弾が来てキョウカは慌てて否定するが、そのキョウカも肩が上下に動いており、息切れをしているのがわかる。

 

 

『でも確かに、ミソギの嬢ちゃんの言うとおり、アヤネはもうちょっと体力つけても良いかもしれないな』

 

「ぷうきちまでそんなこと言うの?」

 

『だってほら、クルミを見てみろよ』

 

 

ぷうきちの指すクルミは、特に息切れしているわけでもなく、酷く汗をかいているというわけでもなく、涼しい顔をしている。

 

 

「く、クルミは大丈夫なの?」

 

「え? うん、おままごとにだって凄く体力を使うし……」

 

「いや、あんなに迫真のおままごとで体力使うのクルミくらいだと思うな……」

 

 

アヤネはおままごとをするクルミを思い出す。

クルミはよく斜め上な内容のおままごとを考えて、サレンが狼狽するほどの演技力を見せる。

あれは確実に体力を使ってるな、と思うアヤネだった。

 

 

「きゅうけいするの? じゃあおにいちゃん、いっしょにお菓子食べよっ」

 

 

腰を下ろしたユウキの膝にちょこんと座るミミ。そのまま座椅子のようにユウキの胸にもたれかかり、カバンを開いてお菓子を取り出す。

 

ぎょっとしたアヤネはすかさずツッコミを入れる。

 

 

「ミミ、ちょっと近くない?」

 

「最近はずっとこんな感じですよ。ミミはユウキさんによくなついてますけど、ここのところ良く一緒にいるのであんな風によくくっついています。……もう、ミミったら警戒心無さすぎ」

 

 

咎めるような口調だが、キョウカの表情はあまり面白くないと書いている。

 

 

「にいちゃんにいちゃん、これ食べてみて! ミソギが作ってきたんだよ!」

 

 

ミソギも対抗するようにリュックから箱を取り出し、その箱の中からシュークリームを取り出す。

 

 

「じゃじゃーん! ミソギの手作りシュークリームだよ!」

 

「み、ミソギちゃんお菓子作れたんだ……」

 

「……待ってください、ミソギの作ったものは……!」

 

 

キョウカの制止を無視して、ミソギはシュークリームを直接ユウキに食べさせる。

大きな口を開けてユウキはシュークリームを頬張り、数回の咀嚼の後、ユウキは火を吹いて後ろに倒れた。

 

 

「きゃははははっ! また引っ掛かった〜!」

 

「おにいちゃんっ……?」

 

 

ミミは急に倒れたユウキを訝しみ、ミソギの持つシュークリームのクリームを指で掬い、舐める。

 

 

「〜〜〜〜っ、か、辛いよ〜〜っ⁉」

 

「もう、ミソギが一人で用意したものは警戒してって、いつも言ってるのに……。ミミもなにやってるの!」

 

「いつも、って……いつもこんなことしてるの⁉」

 

 

アヤネはキッとミソギを睨む。

しかしミソギは愉快そうにケラケラと笑う。

 

 

「だってにいちゃん、いつも面白いくらいにイタズラに引っかかっちゃうんだもん。こうやってミソギが鍛えないと、悪い人に騙されちゃうよ!」

 

「だからって今のは悪質過ぎるでしょ! せっかくミソギがお菓子作りするんだ、って感心してたのに……」

 

 

クルミに飲み物を飲ませてくれたユウキは起き上がり、今度はミミに飲み物を飲ませる。

 

 

「ぷはぁ、ありがとうおにいちゃんっ」

 

「もうっ、わたし達探検に行くんでしょ。何で探検以外に力入れてるのよ」

 

「何か本当にごめんなさい……」

 

 

ぺこり、とキョウカは謝り、続いてミソギに向き直る。

 

 

「それで、今日はこの辺りで何するの?」

 

「えっとね〜」

 

 

リュックから地図とメモ帳を取り出し、ミソギはキョロキョロと辺りを見渡す。

子供たちやユウキも地図を覗いてみると、地図には赤く大きなマルが書かれているが……。

ミソギはその赤いマルを指して言う。

 

 

「最近ね、この辺りで歌声が聞こえるんだって」

 

「お歌? お歌を歌ってるひとがいるの……?」

 

「でも、そのひとを誰も見たことがないんだって。だから今日は歌ってるひとを見つけるのが探検の目標だよ!」

 

 

 

> え? それって……。

 

 

 

「お兄ちゃん……?」

 

「どうかしたんですか?」

 

 

ミソギの話にユウキは表情を険しくする。

 

ユウキは一同に少し前にあった異変を話す。

ランドソルから魔物がいなくなった代わりに、シャドウの目撃情報が多発するようになったこと。

シャドウの大量発生に、その詳細不明の歌声が関係していること。

 

これらを話すと、子どもたちは顔を青くして震える。

 

 

「ね、ねえミソギ。この探検ってもしかして、かなり危ないんじゃ……」

 

「そ、そうだよぉ。シャドウに襲われたら危ないよ……!」

 

「う、うう……」

 

 

ミソギも流石に危険だと考え始めているのだろう。

先程までとても楽しそうだったのに、その表情には翳りが見える。

 

これは、多少強引にでも引き返したほうがいいかもしれない。

ユウキがそう考え始めたとき、

 

 

―――――♪―――♫―――♪――

 

 

また、あの歌が聞こえてきた。

 

それも、以前よりはっきりと。

おそらく歌声の主が近くにいるのかもしれない。

 

 

「ひっ……」

 

「やだぁ、怖いよお……」

 

 

以前シャドウに襲われた事をいまだに引きずっているのか、アヤネとクルミは抱き合って震えている。

 

 

「ふえ、ど、どうしよう……」

 

「ち、近づかなきゃいいんだよ! 今からでも救護院にもどれば……」

 

 

戻れば安全。

その考えを無慈悲に打ち砕く茂みの揺れがミソギの後ろから響く。

 

 

「……ぁ…………ぁぁ……」

 

 

虚ろな目を向けるツインテールの少女。

アヤネのシャドウはゆっくりとアヤネを捉えて近づく。

 

 

「ぃゃ……こないで……っ」

 

『アヤネ、落ち着け!』

 

 

アヤネはクルミにしがみついたまま動かない。

 

 

 

> 皆は逃げて!

 

 

 

ユウキは剣を抜き、シャドウの前に立って道を阻む。

子どもたちは狼狽えるが、その中で一番冷静だったキョウカがアヤネとクルミに声をかける。

 

 

「ふ、二人とも動けますかっ?」

 

「え、わ、わたしは大丈夫……」

 

「ぅ、うう……」

 

『アヤネ、しっかりしろ! 逃げるんだぞ⁉』

 

 

クルミは頷くが、アヤネはクルミにくっついて震えている。

自力で動けそうにない事を察したキョウカはミソギとミミに声をかける。

 

 

「ふたりともお願い!」

 

「ふえ、う、うん」

 

「わかった! アヤネ、いくよ!」

 

 

ミミとミソギはアヤネを担ぎ、ユウキを一瞥してから下山を始める。

続くようにクルミとキョウカも下山の為に足を運ぶが、

 

 

「お兄ちゃんも!」

 

 

 

> 僕のことはいいから、アヤネちゃんを!

 

 

 

「……っ、わかりました。絶対に追いかけてきてくださいね!」

 

 

意志は固いと察して、キョウカはクルミの腕を引いて山を降りていく。

 

 

「うう、お兄ちゃん……」

 

「信じるしかないです。それよりも、アヤネさんは……」

 

 

ペースが早いのか、だいぶ遠くにミソギ達が見える。

だが、追いつこうと必死に走れば、どんどんその距離が縮まっていき、そして彼女たちに異変が起きているのがようやくわかった。

 

 

「ぅ、ぅぁ……」

 

「ふえ、ふええぇ……」

 

 

ミソギとミミは尻餅をつき、アヤネから手を離してしまっている。

そして、無防備に座り込んだまま動かないアヤネの前には――

 

 

『………………』

 

 

先程振り切ったはずの、アヤネのシャドウだった。

 

 

「ど、どうして⁉ ま、まさか、もう一体いたの……?」

 

「アヤネちゃん、逃げてえ‼」

 

 

今から走っても二人は間に合わない。

ミミとミソギは恐怖で動けない。

アヤネはシャドウに釘付けとなり目をそらせない。

 

 

『―――――――――』

 

「…………ぁ………………⁉」

 

 

ボソボソ、とシャドウはアヤネにしか届かない呟きを放ちながらまた一歩アヤネに近づく。

もう駄目だ。

誰もがそう思ったとき――

 

 

「もふもふストライクッ‼」

 

 

横から白いもふもふが突進し、シャドウを彼方遠くまで吹き飛ばす。

唖然とするなか、もふもふ――リマはアヤネに駆け寄り抱き寄せる。

 

 

「アヤネちゃん、大丈夫⁉」

 

「……ぁ……ぇ…………?」

 

 

恐怖で声が出せないのか、アヤネは口をパクパクと開閉する。

それだけで察したリマは口で首根っこを咥えて、自分の背中に乗せる。

 

 

「さあ、他の子たちも乗って! 子供なら5人くらい何とか乗せてみせるわ!」

 

「え、え、ええ?」

 

 

突然の情報量にミソギたちは困惑して言葉が出ない。

だが、顔見知りだったクルミは何とか言葉を絞り出す。

 

 

「えと、えと……お兄ちゃんがまだ……」

 

「ユウキ君ならさっき会ったわ。マヒルちゃんが今頃【牧場】に避難させてる筈よ!」

 

 

ユウキから救護院まで避難させることを頼まれたリマは、子ども達を背中に乗せて、全速力で救護院まで駆け抜けるのだった。

 

 

 

 

 

その後、救護院に戻ってきたユウキを含めて、子供達はサレンにこっぴどく叱られた。

 

もう二度と危険なところに行かないこと、この件にはもう関わらないことをしつこく約束された。

だが、説教を受けている間、ミソギは虚空を見つめるような呆けた表情でアヤネがじっとしているのが気がかりだった。

 

 

「謝りに行かなきゃ……っ」

 

 

あれから数日。

ミソギの頭の中はアヤネに対して悪いことをしてしまったという罪悪感でいっぱいだった。

 

時間を見つけて、一人で【サレンディア救護院】までやってくるほどに。

 

 

「お、怒ってるかな……」

 

 

元々ミソギが誘わなければアヤネは怖い目に遭うことはなかった。なのに、半ば強引に連れ出し、シャドウに襲われてしまうのを恐怖で見ていることしかできなかった。

 

 

「ご、ごめんくださーいっ」

 

 

恐る恐る挨拶をするが、救護院からはバタバタと騒音が聞こえるだけでミソギの声に反応する様子はない。

 

 

「ご、ごめんくださーい! アヤネいますかーっ?」

 

 

今度はもっと大きな声を出すと、中の騒音はピタリと止んで、バタンと勢いよく玄関のドアが開かれた。

 

 

「み、ミソギちゃんですか?」

 

「あっ、スズメねえちゃん。その、アヤネは……」

 

 

アヤネは居る?

そう問う前に、スズメはがしり、とミソギの両肩を掴み狼狽しながら口を開く。

 

 

「ミソギちゃん、ここまで来るのにアヤネちゃんに会いませんでしたか?」

 

「えっ? う、ううん。会ってないけど……」

 

「そうですか……。じゃあどこに……」

 

「あの、アヤネに何かあったの?」

 

 

 

「実は――今朝から行方不明なんです! 相部屋のクルミちゃんも見てないみたいですし、ぷうきちくんも連れて行かないで一体何処に行ったのか……っ」

 

 

 




ミソギ
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場する、悪戯好きのやんちゃ少女。凝ったギミックのアイテムを駆使してトリッキーに戦う。
かなりの悪戯好きで、落とし穴やロープトラップなど様々な罠を仕掛けて遊ぶのが大好き。最近は鍛錬と評してユウキに様々な罠や悪戯をけしかける。
父親が探検家であり、罠使いであるため、ミソギもそれに倣ってよく探検をしたがるし、罠もよく作るようだ。【リトルリリカル】の集まりでもよく探検に誘おうとする。



長過ぎましたし、これじゃミソギじゃなくてアヤネがメインになっちゃう。
なので以前と同じようにミソギも次回続投となります。
次回は前編、中編、後編と長くなり、後編がアヤネメインのお話となります。
どんどん話が長くなっていく本SSですが、これからもよろしくお願いします。

以下のキャラの中で誰を優先して書いてほしい?

  • アキノ
  • スズナ
  • チカ
  • ミサト
  • ミミ
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