メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~   作:上月 ネ子

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もう一度、キミが始める物語(前編)

数日前、ミソギはアヤネ達を誘って探検をした結果、アヤネを怖い目に合わせてしまった。

まだ引きずっているかもしれないと思い、【サレンディア救護院】にやって来たミソギだが……。

 

 

「ゆ、行方不明ってどういうこと……?」

 

「ここ数日、アヤネちゃんの様子が変だったんですよ。まるで()()()()()()みたいに大人しくて、目も合わせてくれなくて……」

 

 

スズメの話では、探検から戻ってきてからのアヤネは寝込んだり、誰とも会話をしなかったりと様子が変だったらしい。

その上、いつも一緒にいるぷうきち相手でもまるで怯えたように距離を取っていたようだ。

 

 

「いつの間にか部屋からいなくなった、ってクルミちゃんは言ってましたけど……思い返せば誰に対しても怖がってて逃げ出そうと考えてたのかも……」

 

「でも、なんでいきなりそんな……」

 

「わからないです……。急に様子がおかしくなったのと関係があるのでしょうか?」

 

 

救護院ではいなくなったアヤネの手がかりを探すべく、全員で家宅捜索を行っている。そして、

 

 

「ユウキさんは今、外に出てアヤネちゃんの手がかりを探しに行ってくれてます」

 

「にいちゃんが?」

 

「ええ。探偵を頼りに行く、とか」

 

 

 

 

 

一方、アヤネの足取りを探っていくとランドソルへたどり着いたユウキ。

ランドソルに入ってからは足跡が分からなくなってしまったので、予定通りカスミを頼りに行こうと大通りを駆けるところ、いきなり横から声をかけられる。

 

 

「ユウキ! そんなに急いでどうしたのにゃ?」

 

 

声をかけてきたのはたいやき屋のタマキ。そして、たいやきを頬張るアキノとミフユだった。

 

できる限り人手がほしいと考えたユウキは三人に事情を話す。

 

 

「まあ! 行方不明なんて大変ですわ。早く探し出さないと……」

 

「アヤネちゃん、って言うと救護院の子だにゃ? あの赤いツインテールの……」

 

「何か人相書きとかないの? ギルド管理協会に手配した方が早そうだけど……」

 

「ミフユさん、そのような悠長な事を言っている場合ではないのではなくて? 救護院の子どもということは、サレンさんもさぞ心配しているはずですわ」

 

「だったら手分けしてやったほうが早いにゃ! あたしはこれから独自の情報網と【動物苑】を頼ってくるにゃ! アキノはギルド管理協会に! ミフユはユウキと一緒に心当たりのありそうな場所を探すにゃ‼」

 

 

タマキはサラサラと人相書きを描く。

 

 

「アヤネちゃんって、こんな感じだったにゃ?」

 

 

 

> うん、お願い!

 

 

 

的確に特徴を描いた人相書きをそれぞれに渡し、タマキとアキノはそれぞれ走り出す。

 

 

「さてユウキ君、アヤネちゃんがいるだろう心当たりはある?」

 

 

一箇所だけある、とユウキは話す。

ユウキはミフユとその場所へ向かいながら事情を話す。

 

アヤネの両親はロストしたわけではないのに、アヤネは親元から離れて暮らしていること。

それらを話しながらやってきた場所は、住宅区のある一軒家――アヤネの実家だった。

 

 

「ここがアヤネちゃんの実家ね……。見たところ普通の一軒家だけど……」

 

 

いつもアヤネの側にいるぷうきちは、昔からアヤネの友達として話し相手となっていた。

だが、その声は誰にでも聞こえるわけではなく、少なくともアヤネの両親には聞こえなかったのである。

 

そして、

 

 

「その、本当なの? アヤネちゃんの両親が、アヤネちゃんの本当の親じゃないかもしれないって」

 

 

これこそが、アヤネが親元を離れた一番の理由。

アヤネはいつからか両親が自分の親ではない、と認識するようになってしまい、その心の迷いを持て余した結果、【サレンディア救護院】へと足を運んだのだった。

 

しかし、アヤネも両親をちゃんと家族だと思っているので時々実家に戻っている。ユウキもアヤネをここまで送ってきたこともあるし、両親を見たこともある。

ユウキの目から見ても、至って普通の一般家庭に見えたが……。

 

 

「……いわゆるホームシックと言うやつかしら? でも……」

 

 

ミフユはアヤネの心中を察し切ることが出来ないと判断する。

 

どのような心境の変化があったかは分からないが、果たして両親への疑念が残る状態で心が不安定になったとき、実家へ逃げ帰るのだろうか?

むしろ心の拠り所は【サレンディア救護院】のようにも思えるし、そんな場所から出ていったのなら、一体どこへ――

 

 

「あら……貴方は」

 

 

ガチャリ、とドアが開き、女性がユウキに話しかける。

彼女はアヤネの母親だ。アヤネを送り迎えしたときにユウキは顔を見たことがある。

 

 

「あら、貴方一人だけ? てっきりアヤネが戻ってきたとばかり……」

 

 

 

> え? それじゃあ……。

 

 

 

「――ごめんなさい、私達ただ通りすがりの最中でして。失礼します」

 

 

ユウキが問う前にミフユはユウキの腕を引き、その場から離れる。

どうしてそのようなことをしたのか、ユウキは目で問いかける。

 

 

「娘さんが行方不明、なんていきなり言われたら気が動転するに決まってるわ。それに、あの口ぶりからしてアヤネちゃんは実家に戻ってきてないのは間違いない。なら、あそこで留まるのは非効率よ」

 

 

相変わらずの効率理論だが、一刻も早くアヤネを見つけないといけないためとても頼もしい限りである。

 

他に心当たりはないか、とミフユはユウキに聞くが、一番の当てが外れた以上考え直さなくてはならない。

埒が明かないと判断したミフユは一度大通りに戻り、タマキとアキノと合流することにした。

 

 

「おお、ミフユ、ユウキ! 戻ってきたのにゃ!」

 

「やあ助手くん。事情はタマキさんから聞いてるよ。水臭いね、こういうのは探偵の仕事だろう?」

 

 

たい焼き屋の屋台では既にカスミがおり、いつでも調査ができるように待機していた。

 

 

「ひとまず協会の方でも人相書きは渡しましたが、捜索願として依頼が出るのはもうしばらく後との事ですわ。その間にわたくし達もアヤネさんの手掛かりを探さないと……」

 

「タマキさんの情報網はどうだったの?」

 

「今の所は駄目そうだにゃ。誰もランドソルで見てないって……」

 

「あの子達を情報網として扱うのは個人的にはちょっと心配だけどね……」

 

 

 

> …………?

 

 

 

カスミのツッコミの意図が理解できず、首を傾げるユウキ。

そんな中、「にゃあ」とユウキ達に割って入る鳴き声が一言。

 

 

「にゃにゃ、最後の情報網がやってきたにゃ!」

 

「え、情報網って……小猫じゃない!」

 

 

ミフユが指摘したとおり、割って入ってきたのは小さな野良猫。

タマキはたまにこうして野良猫と意思疎通をしてランドソルを渡り歩いており、どうやら今回も利用したようだ。

 

 

「……待って、その子何か咥えてる」

 

 

 

> これは、アヤネちゃんの……!

 

 

 

小猫が咥えていたのはアヤネのドレスにいつも身につけているくまのぬいぐるみ。

彼女はぷうきち以外にもくまのぬいぐるみを身につけている。彼女いわく全てぷうきちの家族である。

 

 

「……なるほど、重要な物的証拠だ。タマキさんそれがどこで見つかったか聞いてくれるかい?」

 

「もちろんにゃ!」

 

 

タマキは小猫に誘導を頼むと小猫は走り出し、山道方面への街道へと向かう。

そして、その出入り門で立ち止まり、キョロキョロと周りを見る。

 

 

「ここで落としたのですか?」

 

 

アキノは首を傾げる。

すると意図を汲んだのか、小猫はぬいぐるみを嗅ぎ、てくてくと歩き出す。

 

 

「猫って匂いを嗅ぎ分けられるんですの?」

 

「犬ほどじゃないけど、それなりに鼻は利く方にゃ」

 

 

小猫は街道から離れるように街の中へ戻っていくが、何を思ったかそのままUターンをして出入り門へと戻っていく。

 

 

「…………、まさかここまで来て引き返したのかい?」

 

「変ね……この先は救護員や山の牧場へ続く道よ。引き返したなら救護院に戻ってそうだけど……」

 

 

 

> スズメちゃんには、救護院に戻ってきたなら通信魔法を送るって言われたけど……。

 

 

 

「未だにそのようなものはこちらには来ていない。つまり、救護院にも戻っていない可能性が高い、と」

 

 

一同は先へ続く街道を見つめ、駆け出した。

 

 

 

 

 

時を同じくして、【サレンディア救護院】。

アヤネの行方不明を知ったミソギは途方に暮れていた。

 

 

「うぅ、やっぱりミソギのせいなのかな……」

 

「だ、大丈夫ですよ! ミソギちゃんは良かれと思ってしたんですから。それに皆無事でしたし……」

 

「でも……」

 

 

納得がいかないミソギは次第に目尻に涙が溜まっていく。

このままでは泣かせてしまう。

スズメはアワアワと狼狽する。なにか気の利いた事を言おうと考えて、その矢先に後ろから大声がかかる。

 

 

「スズメ、大変よ‼」

 

「お、お嬢さま? どうされたんですか?」

 

「ぷうきちの様子が変なの。さっきから語気に力がなくって……」

 

 

サレンが抱えるぷうきちは弱々しい言葉で喋りだした。

 

 

『悪いな……ママ・サレン……。まさか、こんな……ことに……、なっちまう、とは……』

 

「ぷ、ぷうきちくん! どうしたんですか?」

 

『アヤネがおかしく、なってから……妙に、ちからが、出なくて……。いなくなったとたんに……一気に、キちまった……』

 

「そんな……」

 

「それだけじゃないわ。この状態になってから、ぷうきちの声が何人か聞き取れない子が出てきた。もしこの状態が続けば……」

 

 

誰にもぷうきちを認識できなくなってしまうかもしれない。

それは、アヤネが一番恐れている事態である。

 

 

「は、早くアヤネを探さないと!」

 

「落ち着いてミソギ! あなたまではぐれたら大変だわ、せめてユウキが戻ってから――」

 

 

 

> ――サレンちゃん!

 

 

 

「……! ユウキ……って、え⁉」

 

 

ユウキが戻ってきたと思ったらユウキ以外の人物もぞろぞろとやってきて驚きの声を上げる。

 

 

「あ、アキノさん達、なんで……」

 

「薄情ですわね、サレンさん。わたくしとあなたの仲ではありませんか」

 

「事情は聞いてるわ。アヤネちゃんだけど……」

 

 

ミフユはこれまでの情報を整理し、救護院方面へアヤネが向かったことを教える。

だが、ランドソルに向かったと思えば逆戻りしたりと、今の情緒不安定なアヤネの行動範囲は特定できそうにない。

 

故に、

 

 

「3手に別れましょう。まず、私とタマキさんでランドソル周域の捜索。アキノさんはサレンさん達と一緒に救護院周辺の捜索。残ったユウキ君達は……」

 

「【牧場】方面だね」

 

 

それぞれ分担してアヤネの捜索にあたる。

ミフユの一声で散開しようとしたところに、待ったをかける者がいた。

 

 

「にいちゃん、ミソギも連れてって!」

 

「み、ミソギ! 何を言ってるの!」

 

「そ、そうですよ! 【牧場】方面なんて、つい数日前にシャドウが大量発生した場所じゃないですか!」

 

 

そんなところに子どもを連れていくわけにはいかない。

慌ててサレンとスズメが止めるが……。

 

 

 

> わかった。力を貸して。

 

 

 

「……! うんっ‼」

 

「ちょっとユウキ!!!」

 

「……大丈夫なのかい、助手くん?」

 

「ミソギ、足手まといにはならないよ! 山や森の歩き方には慣れてるから!」

 

「それは……本当なら心強いけど」

 

 

心配はいらない。

ユウキはサムズアップでジェスチャーを送るが、サレンは眉をひそめるのを辞めない。

 

 

『わりい、坊っちゃん……。オレも、手伝うから……連れてってくれ……』

 

「ぷうきちくん……」

 

『いざとなりゃ……武器になれる、から……』

 

 

ユウキはサレンからぷうきちを受け取る。

 

 

 

> 行ってきます。

 

 

 

「〜〜〜〜〜〜ッ! ああもうっ、無事に帰ってこないと知らないわよ! もちろん、アヤネを含めてよ‼」

 

 

短く頷いて、ユウキはミフユに合図を送る。

 

 

「みんな、準備は良いわね? それじゃあ行くわよ!」

 

 

こうして、一同はアヤネを探し出すべく駆け出した。

ユウキ、カスミ、ミソギ、ぷうきちの四人は【牧場】を目指して山道を駆け上っていく。

 

謎が残る捜索旅は続く。




ミフユ
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場する、アルバイト漬けの傭兵。正確無比で隙のない戦法が戦いに効率をもたらして有利に進める。
誰よりも効率を重視し、コストパフォーマンスにうるさい。ユウキを弟子にしているが、師事の依頼料としてお金を要求する。その姿はまさに効率厨。
もっともその効率主義には色々な事情があり、家族のために無駄を排斥していった結果、時間、お金、効率に誰よりもうるさいワーカーホリックとなってしまった。



アニバーサリーイベントの予告を見ましたが、めちゃくちゃ不穏ですね。
正直去年のアニバーサリーイベより数段ヤバい気配しかしないです。
それにしても主人公が今回のメインキーキャラみたいですが、もしかしてエンディングも主人公が歌うのだろうか。

以下のキャラの中で誰を優先して書いてほしい?

  • アユミ
  • イリヤ
  • スズメ
  • マホ
  • ルカ
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