メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~   作:上月 ネ子

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気が付いたらもう二周年目前で草枯れる……。

リアルが忙しく、ssを書くモチベーションも出ず、最悪な年でしたが、年も開けたので心機一転。第一部も完結しましたし、久々に書いていきますよー!

今回は底抜けに優しい子猫なあのヒロインがメインのお話です。


お人好しな子猫はキミと怪異を惹き付ける

夜も更ける丑三つ時。

ランドソルでは突然誰かの絶叫が響き渡るという怪異が噂となっていた。

声量はかなり大きく、他の地区にまではっきりと聞こえるくらいのもので、それが余計に怪異として恐怖の対象となっていた。

 

 

「という訳で、騎士くん! わたし達でこの事件を解決しよう!」

 

 

キャットグローブでガッツポーズを作る猫耳の少女――ヒヨリは、この怪異によってランドソルの住民が困っていると知り、早速解決に乗り出すことにした。

 

 

 

> そうは言うけど、原因は何か分かってるの?

 

 

 

「……んー、ちょっと聞き込みしたんだけどね。【王宮騎士団】が調査しても、大声を出す人なんて何処にもいなかったんだって。だからみんな、お化けの仕業なんじゃ、って口を合わせて言うんだ」

 

 

お化け――プリン好きのあの子を思い出すが、ユウキは首を振り改めて考える。

大声を出す人間がいないのにも関わらず、何処からか声がする。

……確かに霊的な何かを疑うのも無理はない。

 

 

 

> 仮に本当にお化けの仕業だとして、僕達に出来ることってあるの?

 

 

 

「それは…………」

 

 

表情を曇らせてヒヨリは俯く。

彼女は底抜けに優しいところがあるが突発的に行動するところがあり、よくレイに諌められる事がある。

しかし自分にできないと解っていても諦められないのがこのヒヨリという少女である。

 

 

「ねえ騎士くん、何かお化けを成仏させられる方法とかあるのかな?」

 

 

 

>……一応、あると思う。

 

 

 

「ほ、本当にっ⁉」

 

 

一瞬で顔色を変え、ユウキに詰め寄ってくる。

ユウキの脳裏に浮かんだのは、物静かな少女と頭蓋骨(ドクロ)な幽霊の姿だった。

 

 

 

 

 

「――なるほど、それで霊媒師である私たちのところへ訪ねに来たわけですね」

 

「こ、この人がお化けとかをなんとかできる専門家さんなの?」

 

 

お辞儀をする少女――シノブは肯定する。

 

 

「ヒヨリさんがお話ししてくれた事件については私たちも聞いています。今夜にでも調べにいくつもりだったんです」

 

『ふん、小僧も相変わらずでしゃばりな奴だ。俺が何かをしなくてもその内本当に痛い目を見るかもな』

 

 

相も変わらずユウキに対して隠そうともしない悪感情を露にしながら頭蓋骨の幽霊――シノブの父親はユウキを睨み付ける。

 

 

「もう、お父さんったら。……でもヒヨリさん。あなたも予想している通り、これはお化け――正確には地縛霊が起こしている事件なんです」

 

「じ、じばくれい?」

 

『地縛霊ってのはな、よほど生前での強い後悔や願いがなければその場に縛られることのない、つまりはそれだけ危険な幽霊なんだ。悪いことは言わねえ。ヒヨリちゃんは首を突っ込むべきじゃねえ』

 

「そ、そんな……」

 

 

ドクロ親父はやんわりとヒヨリを拒絶する。

シノブ達は今回の事件は一般人にはかなり危険なものであり、霊感に耐性のないものがあの声を聴き続ければ何が起きるか分からないと主張する。

 

 

「で、でも‼ 生前での後悔や願いってことは、それが叶えられなかったから困ってるんですよね⁉ だったらわたしもその手伝いがしたいんです‼」

 

『う~ん、……シノブお前からもなにか言ってやってくれ』

 

「……お父さんからは何か言ってくれないの?」

 

『こんな良くできた子に頭ごなしに言うのは気が引けてなぁ。……そうだ小僧、お前の友達なんだろ? お前が止めろ!』

 

 

 

> ヒヨリはこう言い出したら止まらないよ。

 

 

 

『この役立たずが‼』

 

 

結局、シノブの護衛役として同行が認められ、例の声が聞こえる時間に件の現場へと足を運ぶことになった。

 

 

 

 

 

現場には人の気配はなく、微かにおどろおどろしい気配が肌にまとわりつく。

霊的な事件であると改めて感じてしまう。

 

 

「気を付けてください。……います」

 

「え、ええ⁉ ほ、本当に……?」

 

 

話を聞いただけでは現実味がなかったのか、獣人であるヒヨリはこの空気に誰よりも敏感であったためユウキの後ろで微かに震えていた。

そしてシノブの指を指した方向を見ると、往来の中心で何かがくるくると回っているのを視認できたとき、これが正真正銘の霊的な事件であるとようやく認識した。

 

 

「ほ、本当だ。体もちょっと薄暗い……。お化けって本当にいるんだ……」

 

「お父さん!」

 

『おう、とっとと終わらせてやるよ!』

 

 

シノブとドクロ親父に霊力が集中し、徐霊の準備にかかる。

しかし、相手がこちらに気づいたとき、地縛霊は妙な行動をとった。

くるくると回る動きがピタリと止まり、こちらに体を向けたかと思った刹那、

 

 

「…………⁉ なにか来る‼」

 

 

ヒヨリの直感は正しかった。

気づいたときには、現場には既に沢山の幽霊がユウキ達を取り囲んでいた。

 

 

「……⁉ ど、どういうこと⁉ これだけの数の霊、気づかないわけがないのに!」

 

『あいつが呼び寄せたんだ! 除霊する必要のないくらいの微弱な霊を沢山な!』

 

 

全員は武器を構え、地縛霊へとたどり着くために霊の大群を退かせる。

ユウキとヒヨリには霊への対抗策はないがシノブ達に寄り付かないように両側に立ち、霊達を牽制していく。

 

 

『く、それにしてもふざけた動きだぜ……。踊るようにこっちの動きをのらりくらりと、おちょくってんのかこいつら‼』

 

「こんな動きをする霊なんて初めてみました……。二人とも、気を付けてください! おそらく地縛霊が操っている霊達です。地縛霊と同じ力を使ってくるかもしれません‼」

 

「……踊るように?」

 

 

ヒヨリは疑問に思いながらも、何とか一行は霊をいなしながら地縛霊の前へとたどり着く。

待ち受けていたように地縛霊は不可解な動きを見せる。くるくると回ったり、意図の読めないポーズをとったりと。

 

 

「はあぁッ‼」

 

 

シノブが霊力を伴った攻撃を放つが、地縛霊には効いていないのか攻撃が弾かれる。

 

 

「く、やっぱりもう少し霊力を込めないと……」

 

『だがそんな悠長な事をする余裕はないぞ! 後ろから霊共が近寄ってくるし……』

 

 

これだけ距離を詰めたのに相手に時間を与えてはまたさっきのように囲まれるかもしれない。

ここはユウキの力を借りて一気に決めよう。そうシノブは振り返ろうとして――

 

 

「ヒヨリさん……?」

 

 

自分達の一歩前に出たヒヨリに首をかしげた。

 

 

『ダメだ、ヒヨリちゃん‼ それ以上は危険だ‼』

 

「ううん、多分大丈夫だよ」

 

「え…………」

 

 

二人の疑問を置き去りにして、ヒヨリは屈託のない笑顔で話す。

 

 

「ねえ幽霊さん。さっきの躍り、もう一回見せてくれる?」

 

 

 

 

 

結論から言うと、地縛霊は満足して成仏していった。

地縛霊は生前は有名なダンサーだったようで、ひとしきり歌って踊ってを繰り返した後、観衆であるヒヨリ達が最後まで見ていてくれたことが何より嬉しかったようだ。

 

 

『……しっかし、蓋を開けてみりゃ下らねえ事件だったな。真面目にやって損したぜ』

 

「もう、お父さん! 事件の解決の立役者はヒヨリさんなんだから、そんなこと言ったら彼女に失礼だよ」

 

 

ヒヨリは地縛霊が満足して成仏したことがとても嬉しそうにしていたため、騒ぎや規模のわりには原因が少々下らない事に思うところがあったドクロ親父出会った。

 

 

『ヒヨリちゃんねぇ、今時の若いもんにしては良くできたいい娘だったな。数年後が楽しみだ。…………』

 

「お父さん、どうしたの?」

 

 

唐突に沈黙した事にシノブは首をかしげる。

 

 

『いや、改めて小僧がけしからん奴だと思っただけだ』

 

「まだそんなこと言ってるの? 確かに、わたしも思うところがあったけど……、お父さんのは単なる僻みでしょ?」

 

『……まあ、否定はせん。だが、今回は割りと真面目な話だ』

 

 

ドクロ親父は帰っていったヒヨリ達を遠目で見やる。

 

 

『実はさっき、別れる前にこっそりヒヨリちゃんを占ったんだ。もし良い結果だったら手伝ってくれたお礼にそれとなく教えるつもりだったんだが……』

 

「良くない結果だったってこと?」

 

『良いとか悪いとか、そんな単純な内容じゃなかったぞ。なんだありゃ……』

 

 

以前、シノブがユウキを占ったことを思い出しながら話す。

ユウキには後にも先にも女難の相が色濃く出ていた。彼の因果には、様々な女性との出会いが強く関係していた。

それを前提としてヒヨリの占い結果を思い出すとあまりにも歪なのだ。

ヒヨリの因果は、過去、現在、そして未来にかけてユウキの因果に関わっている。

現在と未来は理解できるが、過去から現在にかけて因果の交わりは無いのに、なぜかこの二人の過去には深く交わっている因果を確認した。

ユウキが記憶喪失だという事を加味しても、あの二人は昔からの顔馴染みだという雰囲気はなかった。

 

 

『あんな因果の交わり、普通はあり得ねえ。あの二人、いったい何者だ?』

 

 

その問いに答えられるものは誰もいない。




ヒヨリ
前作「プリンセスコネクト!」にでのメインヒロインの一人。黄色い猫の獣人の少女。かつて彼女とユウキの出会いが物語の始まりの鍵となる。
ギルド【トゥインクルウィッシュ】のギルドマスターで表向きのギルド方針「人助け」を考案した本人である。しかしそんな彼女にもソルの搭を昇る理由がある。
困った人を見捨てることが出来ない、天性のお人好しな性格。自分達が努力すれば、世界中の人達が幸せになれると信じて疑わない。



久々のss投稿でまた人がいなくなってるかもですが、二周年も近いですし、おそらく今月中旬に第二部が実装されるでしょうからトゥインクルウィッシュの三人も本格的に参戦するでしょう。
それと前作本編では主人公に一番最初に出会ったのはユイではなくヒヨリなんですよね。改めて確認するとちょっと意外というか。あと「騎士くん」呼びもヒヨリが元祖ですし、ヒヨリからユイに伝わって「騎士クン」になるんですね。例外なのはツムギの「騎士さん」くらいですかね。

さて、次回は二周年前までには必ず投稿する予定です。美食殿からトゥインクルウィッシュときたので、次は彼女を予定しております。
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