メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~ 作:上月 ネ子
前話を見逃した方はそちらから見ることを推奨します。
> ん…………。
瞼を突き刺す日差しでユウキは目を覚ます。
ゆっくりと頭が覚醒し、今日がみんなで話し合った作戦決行の日だというのを思いだす。
この日を逃せばペコリーヌの奪還は敵わない。
「んぅ……、ぅ……」
寝息を立てるコッコロに目を向ける。
ギルドハウスに戻ってきてからというもの、コッコロはずっとユウキの傍をついて回り、寝るときもコッコロはユウキのベッドに入り込むようになった。
以前スズメより一緒に寝てはいけない、と注意されたが、今回ばかりは仕方がないかもしれないとユウキは申し訳無さそうにコッコロの頭を撫でる。
「んみ、あるじさま……」
頭を撫でたためか、コッコロはゆっくりと瞼を開き、目を覚ます。
> おはようコッコロちゃん。
「あるじさま、おはようございます……っ」
安心しきったような表情でコッコロは起き上がる。
そして、少しの間見つめ合ったあと、二人は深く頷き合った。
二日前の深夜の事を思い出す。
それは【美食殿】のギルドハウスで行われたペコリーヌ奪還作戦の内容だ。
「……と、言うわけで『Xデイ』は二日後になる」
カスミは纏めたメモをテーブルに置き、バンとテーブルを叩いて注目させる。
「私とアユミさんで集めた情報だ。間違いない」
「せ、先輩のために頑張りましたっ」
ふんす、とアユミは得意げな顔をする。
それを見て傍にいたモニカが渋い顔をして咎める。
「……全く、ルカ殿が取り計らってくれたお陰で皆の役に立っているものの、独断専行したことはもう少し反省しろ、アユミ」
「ご、ごめんなしゃい……」
「まあまあ、そう目くじら立てなさんな。エリコから聞いてたけど、凄まじい情報収集能力だよ。正直滅茶苦茶助かったよ」
シュンと縮こまるアユミをルカがフォローする。
「さて、そろそろ『Xデイ』の話と行こうじゃないか」
「この『Xデイ』に保護対象のユースティアナ殿下が王宮門前に連れてこられるのだな?」
「ああ、今もあの辺りが立ち入り禁止になっている。おそらく会場自体に仕掛けをするのは不可能だと思った方がいい」
「ペコリーヌさま……」
ユウキの傍で手を組み、泣きそうな表情でコッコロは憂う。
Xデイ……それはペコリーヌの
王宮門前の広場に設置された高台に彼女が連れてこられ、集まった住民達の前で国家反逆罪を雪ぐべく公開処刑される。
「他にも、ランファという女性から情報が入ったのだったか?」
「ああ、ランファさんの話では地下道を未確認の生命体が一週間前からランドソルへ向かって移動しているらしい。おそらくだが、私たちのような邪魔者への対抗策として用意しているのかもしれない」
「ふむ、ですが少なくともわたくし達が『Xデイ』に介入してもその未確認の存在は簡単には現れないのでは? 何を仕込んでいるのかは分かりませんが、混乱の種を自ら蒔くようなことは非効率ですわ」
アキノは冷静にその正体不明の存在を分析する。
「だが警戒に越したことはないだろう。戦争にありきたりなマニュアルなど通用しないからな」
「常に最悪の事態を……って奴か」
「見えないものより見えている脅威を気にすることも重要だけどね」
> ジュンさんや、クリスティーナさん、キャルちゃんも……。
ユウキが出した名前によって、重苦しい空気が流れた。
「え、えっと騎士団長のジュンさんは広場の方に常駐するみたいです。だから、ペコリーヌさんを奪還する際に最大の脅威になるのは……」
「現場にいるジュン殿と、彼女が従えている精鋭の騎士団員達か……。これを我々と【自警団】が正面から対処するのに異論はないが……」
モニカは懸念事項があるようにユウキを見つめる。
「
モニカの質問は、ユウキもある程度察することができる。
本当なら今すぐにでも会いに行きたい。無事を確認したい。
しかし自分ひとりが我儘を言っても作戦は成功しない。
なにより、
> ペコさん以外にも、取り戻したい人がいるから。
「主さま……」
心配そうにコッコロはユウキを見上げる。
コッコロはユウキがキャルに対して何をするのかを聞いている。
それ故に、ある意味で正面からペコリーヌを助けに行くよりも危険なことになる可能性が高いことにコッコロは気づいてしまった。
「……なんだいなんだい。寝てる間に男の顔つきになったじゃないか」
「ふふ、そうですわね……ユウキさまのそういう表情も素敵ですわ」
ルカとアキノはユウキの真剣な表情を見て微笑む。
正面からの奪還作戦については異論が出ないことを確認してから、カスミは地図を開いて印をつけた場所を指す。
「では次に、【王宮騎士団】の哨戒部隊をせき止めるための箇所だが、これが大きく分けて3箇所ある」
「そのうちの一つなんですけれど……」
アユミはある箇所……王宮門前より一番近い箇所を指す。
「ここはその、クリスティーナさんが防衛するそうで……」
「クリスティーナ・モーガンか……ユキから人となりは聞いているが、ランドソルでも名が挙がるほどの実力者だそうだな。もう一度確認するが、本当にそなた達だけで大丈夫なのか?」
「問題ないよ。【牧場】からこっちに来てくれる奴がいてね。それが滅茶苦茶強いんだと」
ルカの言葉にカスミが頷く。
「あとの箇所は……こっちが【牧場】から数名とサレンさん達が、そっちが【メルクリウス財団】と【フォレスティエ】が担当してくれるそうだが……」
「それなのですが、【牧場】側の方に協力してもらえる方々がいらっしゃいましたのでお伝えしますわ」
「協力者?」
「とある学院の方々なのですが、ユカリさんが話をつけましたところ、快く協力していただけるそうでして」
学院の方々と聞いて、もしかして、とユウキは首を傾げた。
それをよそに戦力の把握をしているモニカがふと呟いた。
「こうして戦力を確認すると、医療班が心許ないな。確か【トゥインクルウィッシュ】と【ラビリンス】には回復魔法が使える者がいるのだったか? ルカ殿が連絡を取っていたと聞いたが……」
「【ラビリンス】は空振りだ。【トゥインクルウィッシュ】はユウキが目を覚ます前日に向こうから連絡が来たよ」
> そうなの?
「ああ、セントールス行きの馬車で急いでるってさ」
「セントールス行きか……」
カスミは地図を確認し、セントールスに向かう馬車の道のりを予測する。
「助手くんが目覚める前の日から逆算すると……作戦に参加できるかどうかギリギリのタイミングになりそうだね」
「だろうね。ランドソルに戻るまで四、五日かかりそうって言ってたし、戻ってきたら王宮門前の広場に来いって言っておいたよ」
「そうしてほしい。【自警団】はこれ以上戦力は投入できない」
「そういえば、獣人族の居住区の方々はセントールスに避難させたのでしたか?」
「ええ、王子はんが倒れた次の日のうちに手配しておきましたわ」
カスミの傍にいたマホは答える。
「【王宮騎士団】から随分根掘り葉掘り聞かれたけんど、皆里帰りするって白切っときましたわ」
(あのときのマホさん、凄い怖かった……)
やって来た隊長格の騎士団員に笑顔で凄んでいたマホを思い出し、カスミは軽く震えた。
「そ、そう言えばアキノさん?」
「どうかいたしましたかアユミさん?」
「タマキさんは来てないんですか? 後で話があるって言われたんですけれど……」
「む、そうなのか?」
モニカが首を傾げてアキノに尋ねる。
アキノはああ、と合点がいったように頷き、
「でしたらこの会議が終わりましたら会いに行ってくださいまし。きっと外で待ってますわ」
「は? 何でそんなこと、参加すればいいだろうに」
ルカが呆れるように口を挟む。
「さあ……少々気まずいと言っておりましたので、タマキさんなりの悩みがあるのでしょうね」
「ふぅん?」
ルカはアキノの意味深な返答に訝しげに相槌を打った。
「……よくわからんが、ひとまず目下の作戦内容は以上で良いのか?」
「そう、だね……。不確定要素がまだ明らかになっていない以上、楽観視は出来ないが……」
「よし、ではマホ殿。当日の陣形について相談があるのだが……」
その後は個人個人で連携を取るべく話し合ったり、通信魔法を送り合ったりと、作戦会議は自然に解散という形になった。
作戦会議の翌日。
目が覚めて体も本調子を取り戻し、準備をしていたトモの元に、ある通信魔法が送られた。
「……!!! あ、貴女は……!」
その声の主にトモは絶句するのだった。
モニカ
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場する、体の小さな軍人。子供みたいな外見だが、軍事指揮を的確に行い戦いを有利に進めることが出来る。
ランドソルより遠い異国の軍組織【ヴァイスフリューゲル】に所属する軍人であり、潜入調査の名目でランドソルにやって来た。以降【ヴァイスフリューゲル】の支部を立ち上げ活動する。
しかし、外見が子供のようである事が災いし、ギルドの設営や武道大会などで子供と間違われ上手く行かないことが多々ある。そうなると彼女は激昂し中々手がつけられない。甘味が好物。
ここ最近の中だと結構短いですが、あんまり一話が長いものばかりでもだれてくるでしょうから丁度いいのかも。
あとこれを書いてる最中にミソラのプレイアブル化が確定したのを確認したのですが、ランファと同じでまた早いなぁ、と。
プリコネの新キャラガチャはストーリーと並行して行われるので、つまりメインストーリーでもミソラが主人公一行に合流することになる、と。
全く想像つかねぇ……。