メモリーズコネクト!~プリンセス達の四方山話~   作:上月 ネ子

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???「ごめん、ユイ……!」

これホント草。

冗談はともかく、幼馴染の恋路をホントに応援してるのか分からないあのヒロインが今回のメインのお話です。


女心が解らないキミは常に誰かを後悔させている

「はあ⁉ 全然相手にされなかっただぁ⁉」

 

 

マコトの私室内に彼女の声が響く。

一通り話し終えたユイはブルーな空気を背負って顔を俯かせている。

 

ユイは幼馴染のマコトに呼び出され、もはや日課のようにユウキとの関係が進展したかを話すことになっている。

今回は、以前ユイが街道に出て特訓をしようとしていたあの日の出来事をつまびらかに話すと、案の定マコトは頭を抱えて嘆く。

 

 

「ま、マコトちゃん、私は別に相手にされなかった訳じゃ――」

 

「二人っきりじゃない上にお礼も受け取ってくれなかったんだろ? そんなの碌に相手にされなかったも同然じゃねえか‼」

 

 

さらにはユイの恋敵がかなりの強敵だという情報が対価として獲得したというおまけ付き。

カオリから事前に聞いていたが、自分も同行して牽制するべきだったか、とマコトは僅かばかりに後悔する。

 

しかし、とマコトは思考を切り替える。

ユイがここまでブルーになっている原因は――

 

 

「……よし、分かった。ここはあたしも一肌脱いでやるよ」

 

「え……」

 

「前々から気になってたんだよな、競争相手がどんだけいるのか。だから、ちょちょいと調べてきてやるよ!」

 

「で、でも悪いよマコトちゃん。そんな事――」

 

「甘ったれんな‼」

 

「…………‼」

 

 

ユイとしては気遣ったつもりだが、マコトはあえてそれを無慈悲に切り捨てる。

 

 

「ユイ、前々から思ってたんだが、お前は本当にその気持ちをユウキに伝える気があるのか?」

 

「そ、それは……っ」

 

「もし、遊び半分で恋愛ごっこしてるならここらで降りさせてもらうぜ。生半可な気持ちでぶつかる奴を応援できるほど、あたしは優しくねえぞ」

 

「………………………」

 

 

きつく言い過ぎたか、とマコトは若干後悔しかける。

しかし、マコトにはユウキを好きな女の子が一人心当たりがあった。

それは【自警団】のリーダー、マホである。彼女はユウキを「王子はん」と、明らかに特別な呼称を使っている。

事実確認をしたことはないが、可能性は考慮した方がいい。

マホには世話になっている以上、ユイのために諦めて欲しいとは口が裂けても言えない。

 

 

「…………わ、私はっ――」

 

 

その後の言葉を聴いて、マコトはにいっ、と笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

――私はっ、騎士クンが大好き! 諦めたくないよ‼

 

 

マコトはこの言葉を聴けただけで十分満足している。後は親友として援護射撃と情報収集をするだけである。

とはいえ、人間関係の調査などマコトの専門外である。

そこで調査を十八番とする彼女を頼ったのだが、

 

 

「……そんな個人的すぎる事に探偵の力を借りないで欲しいな」

 

 

と、一蹴されてしまった。

 

 

「仕方ねえ、自力で調べるしかねえか……」

 

 

とはいえ、何から調べればいいのかマコトには分からない。例のアイドルや読モでも調べればいいのか? だがあの二人は有名人だし調べることも一筋縄ではいかなさそうだが。

かといって不特定多数の中からユウキを好きな女の子をピンポイントで調べるなど不可能である。

 

 

「…………あー! 駄目だ、こういうのはあたしの性に合わねえよ!」

 

 

考えが纏まらず、最終的にマコトがとった行動は――

 

 

「――ひとまず腹ごしらえするか」

 

 

最近開店したファーストフード店とやらに足を運ぶことにした。

 

そのファーストフード店はチープな味だが安くて美味しいことをモットーとしているらしい。マコトとしては丁寧に調理されたものを好むが、たまにはこういうのもいいだろうと考えている。

 

 

「――きゃっ⁉」

 

「うおっと! すんません、大丈夫か?」

 

「いえいえ、あたしも不注意だったわ……ってあら?」

 

 

店に入ろうとして、同じタイミングで逆から人がやって来てぶつかりかける。

マコトはその人物をよく見ると、

 

 

「あれ、あんた確か救護院の……」

 

「確か、【自警団】の……」

 

 

プラチナブロンドを揺らす少女――【王宮騎士団】襲撃事件で世話になったサレンであった。

 

 

 

 

 

「いやー、驚いたぜ。あんたみたいな貴族のお嬢さんがこんな所に来るなんてな」

 

「別にあたしの実家は裕福って訳じゃないわ。商談が上手くいっているだけよ」

 

「それにしたって、もうちょっと上品?な食べ物をいつも食ってるイメージがあってさ……」

 

「そうでもないわよ? 料理はスズメに任せっきりだし。あの子よくドジを踏むから出来合いの物で済ませることもあるわよ」

 

 

苦笑を浮かべながらサレンは語る。

 

 

「それに、こういうチープな味わいの方が食べたくなるときがあるのよね~」

 

「へえ、そこまで解るクチとはね」

 

 

意外だと、口にはしないがマコトは呟く。

……ふと、マコトはサレンを見ていると頭の中で何か引っ掛かりを感じた。

何か目の前の少女に訊かなければならないことがあるはずだ。

だがそれは何だ?

 

そうして考えていると、

 

 

 

> お待ちどうさまです。コロッケバーガーセットと、デミグラスハンバーガーセットです。

 

 

「ああ、どうも…………って」

 

「……って、アンタ何してるの?」

 

 

商品を持ってきた店員の顔をふと見ると、それは二人がよく知る人物――言わずと知れたユウキ少年だった。

 

ユウキは珍しい組み合わせだなぁ、と目を丸くしているとすかさずサレンから突っ込みが入る。

 

 

「アンタ、もしかしてここでバイトしてるの?」

 

 

 

> 忙しいけど経験になるから。

 

 

 

「あたしが言いたいのはそれじゃないの。ユウキ、アンタまたバイト増やしたのね。働かざる者食うべからずとは言ったけど、あんまり忙しくしてるとコッコロが心配するわよ?」

 

 

 

> それをサレンちゃんが言うんだ? いつもスズメちゃんが心配してるけど。

 

 

 

まるでそれが日常茶飯事のように目の前で繰り広げられたやり取りを見て絶句していたマコトの脳裏に、ある一つの真実が過る。

 

 

――この二人、仲が良すぎじゃねえか?

 

 

そう思ったマコトはすでに口を開いていた。

 

 

「……おい、ここで駄弁ってて良いのかよ? バイト中なんだろ?」

 

 

ユウキはハッとして、サレンに謝罪したあとカウンターの方へと戻っていった。

 

 

「……悪いな、楽しそうに話してたところに水差して」

 

「い、いやいや。別に楽しかった訳じゃないわよ?」

 

 

水を差された事への言及が無いことでマコトはほぼ確信した。

 

 

「随分と仲が良いんだな」

 

「ま、まあね。救護院で一緒に暮らしてるし、多少は仲良くなるわよ、うん」

 

「……ああ、そういやそんな話もあったな」

 

 

【王宮騎士団】襲撃事件。

【プリンセスナイト】が傘下ギルド――【サレンディア救護院】の運営メンバーの一人であるスズメを始め、ユウキやコッコロといった完全な部外者も巻き込んだ大きな事件だった。

ユウキはサレンと知り合っていたのも相まって、巻き込んでしまったお詫びとして救護院で二人を保護することになった。

 

 

「……ん、ちょっと待ってくれ」

 

 

今しがた、聞き捨てならない言葉がサレンから出てきたと感じたマコトは会話を巻き戻す。

 

 

「一緒に暮らしてる?」

 

「え? ええ、そうよ。救護院の運営も手伝ってくれてるし、自分達の生活費は自力で稼いでるし、もはや【サレンディア救護院】の準ギルドメンバーみたいなものね。救護院の皆は家族だから、あの二人だってもうあたしにとって家族のようなものよ」

 

 

だからさっきのやり取りはあんなに自然だったのか。

マコトは頭を抱えた。

先程の二人のやり取りは、いい意味で気安かった。まるでマコトとユイのように。

しかしそれが異性となるとまた話は変わってくる。それに、サレンの先程の慌てた取り繕いからしてほぼほぼ黒である。

 

 

「なあ」

 

「何かしら」

 

「その、ユウキの事なんだが――」

 

 

――好きなのか?

口から出掛けた言葉を、マコトはなんとか飲み込んだ。

 

 

「――……ユウキって、救護院だとどんな感じなんだ? ちょっと気になってさ」

 

「……そうね。子ども達からは完全にペット扱いね。何でも言うことを鵜呑みにするから見てて面白いんでしょう」

 

「へー、そうなんだ……」

 

 

何故か聞けなかった。

己にここまで度胸がなかったとは思わなかったと、内心ではかなり困惑している。

 

ただ、こんなことなら訊くんじゃなかった。そう感じているこの後悔は、一体何に対する後悔なのだろうか。

 

その答えは、今のマコトには導き出せない。

 

 

 

 

 

「……アンタって本当に女泣かせよね」

 

 

 

> 急に何の話?

 

 

 

「マコトさんだっけ? 彼女とはどういう関係なのかしら」

 

 

その日の夜、二人で軽食を食べていると不意にサレンからそんな質問が飛んで来る。

 

 

 

> マコトちゃんは何度もお世話になってる友達だよ。

 

 

 

「言い切ったわね……」

 

 

何故か呆れられたユウキ。

 

 

「アンタが今度勉強しなきゃいけないのは女心かしらね」

 

 

 

> 女心? 【ルーセント学院】で教えてもらえるかな?

 

 

 

「それ絶対に言うんじゃないわよ。正気を疑われるわよ」

 

 

知らないことを教えて欲しいだけなのになぜ止められるのか。

ユウキには一生理解できそうにない。

 

 

「……でもまあ、ユウキは今のところはそのままでいいと思うわよ。無理に難しいことを覚えても空回りするだけだわ」

 

 

 

> そうなの?

 

 

 

「ええ――」

 

 

――マコトさんの気持ちに気づかれたらあたし、後悔しそうだし。

 

 

ぼそり、と呟かれた言葉はユウキの耳に届くことはなかった。




マコト
前作「プリンセスコネクト!」より続けて登場する獣人の少女。狼の牙のような刃の大剣を振り回し、獣人特有の獰猛さで敵を叩き砕く。
ユイとは幼馴染。種族こそ違うが、二人は相談に乗ったり助け合ったりと確かな絆を持つ。ちなみに最近はユイの恋愛事情の聞き手になることが多い。
本人は自身をがさつで女らしくないと思い込んでいるが、料理やお菓子作りが得意。また、妹がいるためかかなり面倒見も良い。



という訳で、ユイの幼馴染マコトでした。水マコはいません(半ギレ)
ごめユイとか散々な事を言われてますが、マコトはユウキへの感情をおそらく深い親愛だと現時点では思い込んでいるように見えます(キャラスト参照)
が、どういった心境の変化か、ユウキにデレ始めているという。☆6実装が楽しみですねぇ(ゲス顔)



さて、次回はアンケート結果に則りツムギを予定しています。
そして、次回辺りでまたアンケートを行う予定です。その際はご協力お願い致します。
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