どうして、こうなった。
「…それで、話というのは?」
「えっ、あー…それは」
夜。
GrG3に飲んでくると告げ、クルーガーに連れてこられたのは…意外、屋台。
店主が目の前でおでんを茹でている。
俺とクルーガー飲めの前には空のジョッキが合計四。
そろそろ頃合いだと思われたのだろう。
「…誓約の必要に迫られて」
「はぁー…よりによって人形か…」
店主がジョッキを下げて徳利を出した。
…熱燗かよ。
「ジョンは相手が一人だったからな…それで、何人だ」
熱燗を煽ってからその一言。
多人数前提かよ。
「…三人」
「ハハハ!流石だな、ジョン見てるか!これがお前の息子だぞ!」
「すんません店主…」
「構わんさ」
俺の目の前にもビールが置かれる。
受け取ってそのまま煽った。
あと大根を食す。
美味い。
「はぁー…しかし、誰の入れ知恵だ?私に相談するとは」
「あー、それは…グリズリーだ」
「グリズリーが?……待て、グリズリー?お前の所のか?」
「え?知らなかったのか?元正規軍の自律人形だって言ってたが…」
「…………………思い出した。居たな、一体。ジョンに惚れた哀れな人形が」
苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
これはまた闇の深い話かな…。
「…そうか、あのグリズリーがそうだったか…あの頃が懐かしいな…」
「昔話にゃ、早いんじゃないかオッサン…」
「すまんな。…しかし、人形ならば全員娶れば良いだろう」
店主が吹き出した。
いや、まぁ笑うけどさ。
「おい、真面目に…」
「至って真面目だとも。人間では無くモノなのだからな」
…そう、人形ではなく、モノなのだから。
人間に対する対応ではなくてもよい。
ならば、倫理に縛られることも無いのでは?
「それは…そうだが」
「何だ、嫌に納得が早いな」
「…まぁ、誰かにそう言って欲しかったのかもしれない」
自分の中で悪手としていた物だったから、尚更だ。
「ま、ベルロックもお前が末代だがな」
「…いつ終わるか分らない世界だ。どうせ死ぬなら派手に遊んでからで良い」
「違いない。私も昔ジョンに散々付き合わされたからな…」
クルーガーが遠い目をする。
それはきっと、楽しかった思い出なのだろう。
「…ありがとう、クルーガー。吹っ切れたよ」
「フン、人間相手なら最悪だがな」
「正直殴られるだろうなって思ってる」
「一発殴られて来い」
「…もう殴られたよ。スプリングフィールドに」
「…スプリングフィールドにか。よく生きてたな」
殴られたし刺されたし割とやられる事全部済ませてあったのだった。
「後悔だけはするな。良いな?」
「ああ」
「…ところで、相手は誰だ?ん?誰に惚れた」
「オイこら近所の親戚のオッサンかアンタ」
「何、めでたい話だ。話してみろ」
「…WA2000と、スプリングフィールド、Kar98kだ」
「はっはっはっは!!全員本部から引き抜いた奴らじゃないか!」
大笑いしながら背中バンバン叩いてくる。
痛えよ。
「それで、向こうから襲われたのだろう」
「…ああ」
「ったく、そんなとこまで似んでも良かろうに」
「似たくて似た訳じゃねーよ」
「式には呼べよ」
「んな盛大にやらねーっつの!」
「先に借金は返せ」
「わぁーってるよ!!」
結局、散々しこたま飲まされてこの後二軒目を梯子したのだった。
「…GrG3待たせてるんだった!」
相手が人形なら、と却って開き直りハーレム容認したジョージ。
おや?GrG3の様子が…?