【完結】借金から始まる前線生活   作:塊ロック

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砂糖、足りたか?
まだまだあるからな、遠慮しないで持って行ってくれ。

…デストロイヤーいつデストロイしにいくんだって。


誓約 スプリングフィールド-春

夜、団欒スペースの喫茶エリアにて。

 

既に残っている人は居らず、スプリングフィールドが静かに片付けを行っているだけだった。

 

「…指揮官?もうとっくに閉店の時間ですけど」

「用があるのは君だ」

「あら、お誘いでしょうか」

 

いたずらっぽい表情で人差し指を唇に当てる。

…そっちの仕草の方が誘ってるんじゃないのかなと苦笑する。

 

「いや、別件だ」

「そうでしたか」

「ただ…今夜、君が良ければ」

「…あら。うふふ…いつでもOKですよ」

 

春の目の前のカウンターに座る。

…ティーカップがひとつ、差し出される。

 

「閉店したんじゃなかったのか?」

「特別ですよ?」

「ありがとう。明日の朝もお願いしていいかな?」

「勿論」

「なぁ、春。1つ聞いていいか?」

「答えられることなら」

 

春がエプロンを外しながらこちらへ来た。

…カウンターから出てきて、隣に座る。

 

「…俺で良かったのか?」

「…一発、要ります?」

「悪かった悪かった。だから勘弁してくれ、頼むから」

 

笑顔で拳を握るもんだからビビってしまった。

…春のグーは本当に痛い。

 

「貴方じゃなきゃ駄目なんですよ。私をここまで縛り付けたんですから。…自信を失くす様でしたらまたボコボコにして慰めてあげますので」

「こわっ…」

 

気付けの一発の後にグーで殴ってその後にベットに連れて行かれるの意味である。

…最近は俺の方から誘っているので滅多にないが。

 

「何で悩んでいるかは知りませんが、今更貴方の判断に異を唱えるほど愚かでは無いつもりですよ」

「…そっか。ありがとう」

 

カップに口を付ける。

いつも通りの、変わらない味…おや。

 

「…母さんのコーヒーだ」

「再現に手間取ってしまいましたが、ようやくモノに出来ました。どうですか?」

「とても、懐かしい味だ」

「それは良かった」

 

飲み終わったカップを春が下げる。

その間に、ポケットの指輪を手に…。

 

「指輪ですか?」

「…バレてたか」

「ずっと気にされてましたからね」

「敵わないな…本当に」

 

春が戻ってきて、俺の手を取って立たせる。

 

「やっと振り向いてくれたんですから。目を離すなんてできませんよ」

「そこまで慕われてる自信、やっぱり持てないな…」

「こういう時ばかり臆病になって、本当にズルい人ですね」

 

春が俺の首の後ろに手を回す。

密着する形になる。

コーヒーの匂いが鼻孔をくすぐる。

 

そのまま、お互いに顔を寄せて唇を重ねた。

 

「自信、持たせてあげましょうか」

「いいや…大丈夫だ。これで自信ついた」

「ふふっ、単純ですね」

「そんなもんさ、男ってな。それと…お待たせ、春」

 

春が手を下ろす前に、左手をとり、指輪を通した。

 

「ジョージ。愛しています…これからも、ずっと」

「ありがとう、春…愛してる」

 

この日はこのまま、二人共部屋から出てこなかった。

 

 

 




砂糖の追加でございまーす!!
春さんとのやり取り、どうでしたかね。

次のお相手はカラビーナです、お楽しみに。

…真面目なカラビーナを刮目せよ。

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