迫る決戦のとき。
「ハァイ、ジョージィ。おはよ」
「……おはよう、45。素敵な夜空だな」
今日の仕事をすべて終わらせ、珍しく誰も絡んでこなかったのでたまには早く寝ようかと思った日。
そんな日は、大抵こいつがやってくる。
左目の傷を軽く撫でようとして、頭を振られた。
UMP45だ。
掴み所がなく、雲のような存在の彼女が、また俺のに座っている。
「……今日はどうしたんだ?45」
「別に。いつまで経っても誘ってくれないとか思ってないわ」
「……なるほどね。ちょっと待ってろ」
「寝てても良いわよ?」
「はいはい、ちょっと降りてくれ」
不貞腐れたように45が俺から降りる。
ベットから立ち上がり、部屋の備付けの冷蔵庫からアルコールの瓶を一つ出す。
「え、それ……前にプレゼントって言って買ったやつじゃ」
「お前と飲むためにキープしてた奴。そこそこするから味わって飲めよ」
「……カッコつけちゃって」
グラスを出して、お互いに注ぐ。
「乾杯」
「何に?」
「俺達の出合いに?」
「初めて会った時から随分経つのに?」
「……じゃ、ここはベタだが……君の瞳に」
「!……ふふ、乾杯」
ささやかな晩酌が始まった。
「ジョージってさ……私の瞳、気に入ってるわよね」
「そうだな。綺麗だ」
「私に綺麗だって、ずっと言ってくれてるのは……貴方くらいね」
「花は愛でるものだ」
「その花に銃を向けられたり、向けさせたりしてるのは?」
「……何でこんな世の中になったんだろうなって、思ってたよ」
俺が銃をとったのは借金の為。
でも、そこからはやりきれない事なんて沢山あった。
「金の為に戦ってきたけど、そんな奴が誰かの為に戦えたらなってずっと思ってた。でもそれは思い上がりだ」
グラスを煽る。
黄金の瞳は、俺から逸らされない。
「酔うのが早いんじゃない?ジョージ」
「お前に酔ってるのかも」
「……言えてる。人形にお熱なんだもの」
「ははは、こやつめ。じゃあ身体許すんじゃないよ全く」
「嬉しくなかった?」
「嬉しかったさこんちくしょう。お前みたいな美人さん大歓迎だ」
「そ。なら良いわ」
UMP45がグラスにアルコールを注ぎ足す。
そして、それを一気に煽った。
「おいおい味わってくれよ……」
「ねぇ、ジョージィ……私さ、昔……とても、悔しかった事があるの」
「……どんな?」
「……まだ、言えない。でも、死ぬほど後悔した」
「そっか……」
誰にだってやりきれない事はある。
そんな何処にでもあるような言葉を投げたって意味は無い。
だから、俺に出来るのは……。
テーブルの上に置かれた、45の手を取る。
「……いつか、話せる日が来るまで……一緒に居てくれ」
「……え?」
「その日まで、預けておく。失くすなよ?」
手のひらの中に、指輪を置いて握らせた。
「……空気読めなさすぎ」
「いいのさ。それが俺なんだから」
「過去の事引きずる重い女よ、私は」
「酒でナイーブになってるだけだよ」
「私が、欲しいんだ」
「ああ」
「どうしようかな……」
「どうすれば良い?」
「じゃあ……」
部屋の明かりは、暫くして消えた。
45を書くときは背後にビクビクしながら書いてる気がする。
殴られそうで怖いんだもの。
でも、たまにはこうやって弱さを見せてくれるんじゃないかなって思ってる。
45には最後にサプライズするつもりなので、こうご期待。