『あーもう遠くからチマチマと!腰抜けめ……ギャッ、グレネードがっ!?』
無線からちょくちょく聞こえてくるデストロイヤーの悲鳴。
顔を出すたびに狙撃部隊が狙っているため向こうはかなり数を減らされて消えている。
相手の射程より優れているなら、それを活かさない手は無い。
デストロイヤーは侮られている相手だとはいえ、グレネードは強力だ。
相手の得意分野で勝負してはいけない。
『こちらM16。私達の出番は無いのかい指揮官?』
「そう急くなM16。討ち漏らしの掃討がある」
『はいはい……』
『しーきーかーんー!私達は!?早く奴等をズタズタにさせてよ!』
『SOPMOD……あまり指揮官を困らせないように。M4、了解しました。待機します』
そろそろ、現地の前衛部隊から不満が上がってきた。
狙撃でカタが着くのならそれに越したことはないが。
『指揮官を臆病者と誹った事を、後悔させて差し上げます……!』
鬼気迫る春の声が聞こえてくる。
「愛されてるねぇ指揮官殿」
「やかましい後方幕僚。迎えの準備しとけ」
「はいはい、判りましたよ……」
『はぁい、しきかーん。愛しのUMP45ですよ〜』
間延びした声が聞こえてくる。
ローニンがめちゃくちゃニヤニヤしている。
「どうしたハニー?」
『無事建物に潜入したわ。これから無線も封鎖する』
「了解。無事に帰って来いよ?」
『勿論。貴方の指輪の相手を全員連れて帰るわ』
「頼んだぞ」
『アウト』
さて、いよいよ作戦が本格的になってきた。
先程春の狙撃がデストロイヤーのグレネードユニットを撃ち抜き、奴は建物に引っ込んだ。
そろそろ前衛打撃部隊を突入させる頃合いだ。
「指揮官よりAR小隊、第一部隊に通達!突入準備!」
『こちらM4、AR小隊突入準備』
『こちら第一部隊GrG3、突入準備』
「突にゅ……」
『うわぁぁぁん!
……ローニンと顔を見合わせた。
『こちらノーススター!カウンタースナイプ!』
「……何だと!?被害は!?」
『G17が、私を庇って……』
「下がらせろ!ローニン!」
「今向かってる!!」
カウンタースナイプ?
一発で部隊長を狙うAI?
いや、G17は無事か?
「落ち着け指揮官、やれることをしろ」
「……ノーススター、一度待避。人形達に援護させる」
『りょ、了解……』
『こちらスカウト!ハイエンドモデルを確認!』
「あぁ!?ハイエンド!?45!」
繋がらない。
……無線は確か封鎖されていた。
『ハァイ、ジョージィ。元気だったかしら?』
ノイズから、音声。
……舞台の誰でもない猫なで声。
「……ドリーマー!」
忘れはしない。
忘れるものか。
『覚えててくれて嬉しいわ。
「ああ、そうかよ……!」
ハイエンドモデルが二体。
これは高く付くだろう。
「ローニン」
「……ハァ、行くのか」
「ああ、45達が危ない」
「404に騙されてるとか思ってないのか?」
「まさか」
「指揮系統とバンガードを繋ぎっぱなしになる。常に位置はバレるぞ」
「承知の上だ。俺がやらなきゃいけないからな」
ポケットから黒い指輪を取り出す。
「……ペルシカも本当に趣味悪いな」
「本当にな」
「ヘリを回した。やつの射程範囲外からしか降ろせないから、後は走って向かってくれ」
「バンガード!」
『やっとあたいの出番?待ちくたびれちゃったよ』
司令室の片隅にケーブルで繋がれていたバンガードが立ち上がる。
バンガードに自分をリンクさせる。
元々夜戦服にアーマーと言う出で立ちだったので、すぐに準備は終わっている。
「ほら、武器だ」
「サンキュ」
ローニンからフラットラインと予備弾薬を渡される。
壁に立てかけられていたクレーバーを手に取る。
『ニューラルリンク確立』
「それじゃ、行ってくる」
「基地は任せとけ。さっさと報酬貰って飲みに行くぞ。お前の奢りでな」
「オイオイ、祝勝祝いで奢ってくれよ年長者」
「あぁ?寝言は寝て言え指揮官殿。さっさと行け」
軽く手を振って司令室から出た。
『プライベートチャンネルに通信。WA2000からだよ』
「繋いでくれ」
『……ジョージ』
相棒からの個人通信。
本来なら指揮官への直接通信なんて褒められたものでは無い、が。
「判ってる。決着つけるぞ……俺達で」
『やっぱり、こっちに来るのね』
「ああ』
『馬鹿。考えなし、指揮官失格よ』
「今更だろう?」
『本当よ……今更だわ』
「すぐそっちに行く。待ってろよ」
『……ええ、待ってるわ』
「通信終わり」
無線を切る。
「バンガード、付き合ってもらうぞ」
『水臭い事言わないでよ、
「相棒は、生涯ただ一人って決めてるんだが」
『リサには勝てないねぇ。いいよ、あたいが勝手に呼んでるだけだから』
「悪いな」
駆け出す。
飛び立とうとしているヘリに飛び乗る。
「行くぞ」
『見せてあげる!あたいの本当の力!』
ドリーマー、襲来。
ジョージは決着をつけるため、前線に向かう。