「わーちゃん、お迎えですよ」
春さんが唐突にそんな事を言い出した。
「撤退のヘリですか?」
「ふふっ、トカレフさん。あちらをご覧なさって」
カラビーナさんに指さされた方向を見る。
私のカメラは、はっきりと想い人を捉えた。
「指揮官……」
ビルからビルへ飛び移る人影。
それがどんどんこちらへ向かってくる。
勢いよく目の前に着地した。
『到着!どう?あたいの近道は!』
「バンガード、近道について再定義しとけ……道じゃねーよこんなん。ただの壁じゃねーか」
『だったら走れば良いじゃない!……ごめんよ、これから近道は使わないよ……』
そんなやり取りをしながら歩いてきた。
「ノーススター、リサ借りてくぞ」
「いいですけど……返してくださいよ?」
「訂正するわ。俺のものだから聞かなくても良かった」
「惚気の出汁にしないでくれますぅ!?」
春さんとカラビーナさんが指揮官の所へ向かった。
……私も気が付いたら駆け出していた。
「私達は連れて行ってくれないんですか?」
「お前は多分あいつを破壊しちまう……悪いな」
「わたくしも因縁浅からぬとは思いませんか?」
「浅くない、けどもっと深い奴がいる」
「残念」
リサさんが、悠然と歩いてくる。
まるで、到着するまで置いていかれないと分かっているかのように。
「来たか」
「ええ」
「行くぞ」
指揮官がリサさんに手を差出す。
けど、リサさんは正面から指揮官の首に抱きつく。
呆れて左手を足に添えてお姫様抱っこの様に抱えた。
「それじゃ、行ってくる」
「必ず、帰ってきてくださいね。……それと、ハンドガンくらいなら持てそうですね」
「……え?まぁ、いけるだろうけど」
春さんがそう言うと、こっちにウィンクしてくれた。
……私は、走り出した。
「行くぞ、しっかり掴まってろよ……!」
「ちょっ、ジョージ!後っ!」
「私も、行きます!!」
「トカレッ、おわっ!?」
「えっ、きゃぁぁぁぁ!?」
背中に飛び付いた勢いが良過ぎて、三人まとまって落下した。
「あらあら……」
side:ジョージ
後ろからトカレフが飛び付いて来たのは予想外過ぎて対応に遅れた結果、俺達は垂直落下する羽目になった。
「ば、バンガードぉぉぉグラップル!!」
『了解!』
空いている右腕からワイヤーが射出される。
近くの壁に突き刺さり、振り子の要領で落下の向きが変わる。
目の前には、
「ジョージ!壁!」
「わかってる!」
壁に向かって飛ぶ。
そして、ぶつかる前に脚を突き出し、
そしてそのまま進行方向へ走り出した。
「わぁ……本当に走ってる……きゃっ!?」
「喋るな!舌噛むぞ!!」
とにかく、まずは平な場所まで行かねば……。
『指揮官……重い……』
「頑張れバンガード!!」
トカレフはやっぱり寄り添いたい。
最終決戦のメンバーはこの三人になりそうですね。