敵本拠地近くの廃ビル群の一角。
リサとトカレフを降ろす。
「トカレフ……」
「わ、私だって一緒に戦いたいんです!!」
「気持ちは嬉しいんだけど……」
「この指輪は、嘘だったんですか」
「……参った。連れてくよ」
涙目に懇願されて、折れるしか無かった。
本当に……甘くなったなぁ俺。
「甘いわね、ホント」
「うるせぇ」
「悪いとは言ってないわ。だから惚れたのよ」
「お前っ……ほんと、ずるいやつ」
最近よくリサに手玉に取られてる気がする。
……だってコイツ今までぜんっぜん素直じゃなかったのに。
好意バンバン表に出されて俺もちょっとキャパオーバー気味なんだ。
「むっ……私だって大好きです!」
「アハハ……ありがとな。さて、二人共。真面目な話だ」
二人にバンガードは基地と回線を繋ぎっぱなしのため、ドリーマーに絶えず位置がバレている事を伝えた。
「あいつに位置をバレてるなら……先制攻撃は免れないわね」
「その為の切り札は、ある」
「それ、アンタに負担は?」
「一応、無い」
「なら良いわ。行きましょう」
リサが歩き出す。
「待て、アテはあるのか?」
「有る無しの前にここに留まるのは得策じゃないわ」
『指揮官、あたいのウェポンラックにナイフが2本あるでしょ?四角い柄のやつ抜いて』
「バンガード?了解」
言われたとおり柄が四角い方のナイフを引き抜く。
振り回すより投げて使う方に特化した、尖端の尖ったナイフだ。
バンガードのディスプレイに表示されるアナウンスには、『パルスブレード』と書かれていた。
「うん?これは、壁に投げりゃ良いのか」
パルスブレードを壁に向かって投擲。
刺さると同時にオレンジの波が広がる。
『!曲がり角に敵歩哨!数は2!』
「なるほどな!リサ、トカレフ!」
「わかってる!」
「はい!」
俺とトカレフが先んじて走り出す。
曲がり角から一人……鉄血のAR持ちが出てくる。
しかし、頭が出た瞬間にリサがヘッドショットを決める。
後ろに居たもう一人にトカレフが牽制し……壁を蹴り頭上から踵を頭部に叩き付けて地面に押し付け、潰した。
「……クリア!」
靴に付いた人工血液を拭いながら警戒する。
壁のパルスブレードを抜いた。
「良いなこれ。ペルシカも指輪とかじゃなくてこう言うの作れよ」
『まだ強度に問題があって、使えても3回が限度なんだ……』
「充分だ。ありがとなバンガード」
『ふふっ、任せなさい
「むっ……ジョージ?」
「わかってるって、相棒はお前だけだ」
『(´・ω・`)』
「ごめんって」
「皆さん……先に進みますよ?」
なんと言うか、イマイチ締まらないメンバーだった。
何とか敵陣に侵入した三名。
しかし、位置情報は常にバレているため迅速に行動したい。
何でコイツら敵陣でいちゃついてんですかね……。