自分の中のやりきれない感情を自覚する。
うちの基地の独房は、今まで誰かを投獄した事が無かった為、ほぼ新品の用に綺麗である。
そんな中……初の投獄者である、黒い少女が簡素なベッドに座り、虚空を見つめていた。
「よう」
なんと声を掛けるか、ずっと考えていたが……結局、ろくな答えは出なかった。
なので、いつも通りの俺で行こう。
「……はぁい、ジョージ。生きてたのね」
「誰かさんのお陰で暫く車椅子生活だがな」
「半分は自業自得よ」
車椅子を押しているリサにそんな事を言われた。
カラビーナも無言で頷いている。
「私は、負けたのね」
「ああ。俺の勝ちだ」
ドリーマーがそう、零した。
「どうして、私を破壊しなかったの?」
「お前を破壊すれば、また新たなドリーマーが起動する。イタチごっこを終わらせる為だ」
「……ふぅん?で、これは?」
ドリーマーが覇気の無い、虚ろな笑顔で微笑み……自身の左手を振る。
……その手には、黒い指輪が、嵌められていた。
「お前の機能を9割封じるもの……らしい」
「なるほど……ね。これで私はただの人形。さぞ愉快でしょうね」
「……そんな訳、あるものかよ……」
俺は、拳を握りしめていた。
リサとカラビーナが顔を見合わせる。
「お前は、全力で……死力を尽くして俺を殺しに来た。なのに、だと言うのに……この扱いは、無いだろ」
そう、俺は漏らしたのだった。
「ジョージ。これは殺し合いよ……スポーツじゃないわ」
「分かってる、そんな事は」
「指揮官、割り切ってください」
「……」
わかっている。
わかっているとも。
けど、納得は出来ない。
こんな扱いをするなんて納得出来る訳がない。
「ドリーマー、俺はお前をここから出して……他の人形達と同じ様に生活させるつもりだ」
「指揮官さん!?」
カラビーナの悲鳴のような声は無視する。
リサは、何も言わない。
「……へぇ?どうして」
「お前はもう何もできないからだ」
「指輪を私が外すっていうのも?」
「やってみろ」
ドリーマーが指輪に手をかけ……止まった。
動けないのだ。
「……そういう事だ」
「……そう」
「それと、最後に一つだけ……どうして俺に執着した?」
4度に渡る邂逅。
どうして俺だったのか。
「……目的もなく、ただひたすらにルーチンをこなすのは……人形も人間も同じよ」
「……つまり?」
「貴方は、私の視線を、意識を、釘付けにした。私を夢中にさせたのよ……そんな貴方が、私を見ていないのが許せなかった」
突然の告白に面食らった。
つまるところ、こいつの口走っていたことは紛れも無く真実だったと言う事だ。
「貴方は私の、私の中での一番だった……貴方は、どうだったかしら」
何か言おうと口を開き……リサの一言で絶句した。
「
したり顔でなんてこと言ってるのリサ。
思わず顔が紅くなるのだった。
リサちゃん段々バカップルっぽくなってきた気がする(
オマケで読みたい話とかあれば、ネタとして投下して頂けるともしかしたら書くかも知れません。
本篇はあと何ページ位で終われそうかな…。