俺の脚の後遺症も取れ、動ける様になってから。
また日常が戻って来た。
「おはようございます、指揮官。足の調子はどうですか?」
朝。
いつもの時間に春が起こしに来てくれた。
……昏睡から覚めて、春と会ったときに開幕10割パンチ貰って凄い泣かれてしまった。
心配はかけられないなと再認識するのであった。
「ぼちぼちだ。動く様にはなったけど……まだ本調子じゃないな」
あれから一ヶ月。
S-12地区基地は普段の様子を取り戻していた。
……ただ、404小隊はあれから戻って来ていない。
三人と誓約しているとは言え、小隊としては動き回らなくてはいけない。
少し前に、45から来ていたメールにもそう書かれていた。
だから、
『いつでも帰ってこい。待ってる』
とだけ、返しておいた。
また、同様にAR小隊も任務に出ていった。
M4が俺とまた離れる事に何か無いかと危惧していたが……。
『行ってきます、指揮官』
『気を付けて』
『はい。いつ帰って来られるか分かりませんが……』
『……気にしなくて良い。お前は、お前の勤めを果たして……辛くなったら、いつでも帰ってこい。俺はここに居る』
彼女も、強くなったなぁ。
「……それで、指揮官?この状況に何か申し開きは?」
「……え?」
春が笑顔で拳を構えている。
はて、俺何かやってしまっただろうかと思い……視線を落とし……。
「すぅ……」
固まった。
俺の膝の上で、全裸のドリーマーが寝ていたのだから。
「……ホワッツ?!」
「ジョージ……見損ないました」
「待て待て待て待てウェィッ!!ウェイツ!!誓って何もしていない!!」
「ぐすん……信じて送り出した旦那が、こんな小さな女の子を……」
「あっお前分かってて喋ってるな!?」
春が嘘泣きを始める。
嘘と分かっているのはこちらをチラチラ見ながら顔を手で覆っているから。
可愛いなコイツ。
「春」
春の手を引っ張ってベッドに招き入れる。
春を抱き締めて横になる。
ゴン!と音がしたが多分ドリーマーが床に落ちたのだろう。
「……まだ朝ですよ?」
「君が、俺を疑う様な事を言うから。少し、お仕置きが必要かな」
「あっ……もう、ジョージったら……」
春の服の襟をはだけさせて、首筋に舌を這わせる。
左手は、春の左手と絡ませる。
首筋を舐った後、キスを……。
「ちょっと!!何で普通に私無視しておっ始めようとしてるのかしら?!!」
ドリーマーが飛び起きて、一時中断。
「何か着ろ、はしたない」
「わぷっ!朝からそんな事してる貴方に言われたくないわよ!」
ドリーマーにシーツを投げ付ける。
何か抗議が飛んできたが無視。
「悪いな春。お預けだ」
「あぁん……いけず」
「俺は一向に構わないんだが……仕事だ。今夜、開けとけよ」
「はい……」
「アンタ達ねぇ!!」
「はいはい。懲りねぇなお前も」
ドリーマー。
何の力も持たない、自立人形以下となってしまった彼女。
俺は、彼女に自由を与えた。
その結果は、これ。
俺に迫ってくるようになった。
それは、もう露骨に。
「言っただろ。俺はお前にもう興味は無い」
「あらそうかしら?視線が離れないみたいだけど」
「視線はずしたらお前飛び掛かってくるだろうが」
どこのホラーゲームだよ。
「大体、お前の様な幼女体型は興味ねーっつーの。出直して来い」
がたん。
「そんな……指揮官……そんな事を……」
「トカレフゥ!?いつの間にィ!!?ウェイツ!ウェイト!!早まるな!!まっ、あっ!!コラっ!!」
何故か扉の前に居たトカレフが走って行ってしまった。
着替えもそこそこに追い掛ける。
「春!今朝のメニューは!?」
「今日はスチェッキンさんからいい卵が貰えましたから、スクランブルエッグです」
「最高っ!すぐ戻る!」
これが、今のウチの日常だ。
離れていても繋がっている。
これがジョージの手に入れた平穏。
本篇はもう少しだけほのぼのしてから、畳もうかと思っています。