【完結】借金から始まる前線生活   作:塊ロック

151 / 183
コラボ回です。
サマシュ様の『傭兵日記』(https://syosetu.org/novel/185223/ )のとあるキャラとの一幕。

ジョージは傭兵時代にPMC『武器庫』と少しだけ接点があった、という後付け設定には目を瞑って貰えると助かります()

なお、まだ指輪を渡したのはリサだけの時間軸です。


☆彼女は全てを護る盾

 

ある日。

俺はグリフィン本社に毎月の定期報告へ向かい……それが片付いて管轄下の街をウロウロしていた時だ。

 

シスターが居た。

妹とかそう言うベタな間違いとかじゃないぞ?

 

教会に務めている様なマジ物の聖職者っぽいシスターだ。

 

その人は足を悪くしていた老婆へ手を差し伸べて聖母の様にニコニコしていた。

 

……うわぁ、見覚えある。

 

あっ、こっち見た。

 

「あら、貴方は……」

「あ、あはは……どうも、久しぶり……イージスさん」

 

彼女はコードネーム『イージス』。

PMC『武器庫』の『盾部隊』に所属する女性だ。

 

「お久しぶりですね、ジョージさん」

 

彼女は昔会った時と変わらずに笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――さて、俺がこの女性を苦手としている話をしようか。

 

 

昔……と、言ってもまだ1年も経ってないか。

まだ傭兵だった頃……たまたま街で彼女を見かけて……口説いた。

 

そしたらどうだ、フリーならうちへ、って言うもんだから話を聞いてみると……。

 

まぁ……ただのPMCへの勧誘だけなら考えたよ。

でもまさか社長と隊長を崇めよとか言われたらなぁ……。

 

口八丁で逃げ出したがもう少し遅れたらちょっとヤバかったかもしれない。

 

 

 

……で、今そんな相手が目の前に居ると。

 

「あら、その制服……グリフィンに入社されたんですね」

「あ、ああ……ちょっと、色々あって」

「前に私が勧誘したときは逃げられてしまったのに、罪なお方ですね」

「その、えっと……スミマセン」

 

この人にそんな言われると申し訳なさとか半端なく重い。

聖職者に懺悔する信徒ってこんな感じなのだろうか。

 

「今日はどういったご用件で?……もしや、本社務めですか?」

「俺がそんなエリートに見えます?辺境の地で細々と指揮官やってますよ」

「そうなんですか……所で」

 

がっ、と腕を掴まれた。

力強っ!?

 

「……何か、悪い薬を使ってますね?」

「な、何の事でしょうか……」

 

イージスさんに凄まれてしまい思わず敬語に。

そう言えば彼女はいくつなんだろうか……。

 

「体に良くない劇薬を。それも常用していますね」

「……それは」

「今すぐ使用を止めることを勧めます。貴方の為にも」

 

興奮剤は俺が唯一、鉄血に対抗できる様になる装備だ。

それを手放すことは正直出来ない。

 

「……すまん、イージスさん。これは俺と……相棒の為に必要なんだ」

 

俺と相棒で仇敵を討つ為に。

劇薬で寿命を縮めると分かっていても頼らざるを得ない。

 

「……貴方の体を蝕んでいますよ?」

「承知の上だ」

「長くは、ありませんよ」

「構わない……って断言出来ないなぁ……あいつら置いて逝きたくないし」

「なら」

「それでも、だ。俺は相棒との約束を果たさなきゃいけない」

「相棒とは……ご友人ですか?」

「ああ。大事な友人で、戦友で……恋人だ」

 

イージスさんは目を伏せる。

 

「……分かりました。もう止めません」

「ご忠告痛み入る。けど、申し訳ない」

「良いですよ……ただ、変わりましたね」

「……変わった?」

「はい。軽薄なイメージが何処かへ行ってしまいましたね」

「軽薄……」

 

そんな俺の様子に、呆れた様な顔をした。

……まぁ、そうだろうなぁ。

 

「初めて出会ったその瞬間に食事に誘われた事は余りに衝撃的過ぎて忘れそうにありませんので」

「あ、あはは……若気の至りってやつですかね……」

 

前に相棒に話した、武器庫に一人居る女性の知り合い。

まぁこう言う訳だったと。

俺らしいと言えばらしいが。

 

「……所で、今日は勧誘されないんですか」

 

彼女、見た目も正確も非の打ちどころが無くまさに女神とも言うべき美貌を誇るのだが……。

宗教……と、言うより自分のPMCの社長と部隊長を崇めているらしい……。

 

PMCの勧誘もその一環だった。

 

風の噂で聞いたが、そのせいで彼女は単独行動を許されていなかったらしい。

が、今彼女は一人だ。

俺はちょっと身構えてしまった。

 

「ふふ、しませんよ」

「えっ?」

「グリフィンは今、武器庫と提携を結んでいます。ならば、我らが盾も貴方達と共にあります」

「そう言えばそうだったな……」

「また、機会があればご一緒しましょう。貴方に加護が有りますように」

 

……あれっ、なんか平穏に終わったぞ?

 

「良かった……のかな?」

「……何が良かった、ですって?」

「え?ああ……別に何も……リサ?いつ来たんだ?」

「……アンタが、凄い美人に声かけられてからよッ!!」

「ほぼ最初からじゃねーか!!言えよ!!」

「うるさいうるさいうるさぁーいッ!!この浮気者ッ!!」

「あたっ?!やめろ、叩くな!お前が一番だっての!!」

 

この後、機嫌を損ねてしまったリサのご機嫌取りに追われるのだった。

 

「……そう言えば、ジャベリンの奴元気にやってるだろうか」

「今度は誰よ」

「違うって、男だって。いい加減機嫌直してくれよ」

 

お姫様はまだまだご機嫌斜めだ。

今日は長くなりそうだ……。

 

 

 




そんな訳でコラボ回でした。
あともう1話『傭兵日記』様とコラボする話があるのでお楽しみに。

……しかし、キャラ大丈夫だろうか。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。