【完結】借金から始まる前線生活   作:塊ロック

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今回はコラボ回です。

笹の船さんの「女性指揮官と戦術人形達のかしましおぺれーしょん(https://syosetu.org/novel/184136/」で行われたとある雑誌のネタです。

ただ、シーラさんは出ません……悪しからず。


☆ブライダル・コマンダー

最近、目に付く所に女性誌が置かれるようになった。

 

そういった嗜好品がこの基地でも手に入るようになり、部下達のモチベーション向上に繋がり万々歳なのたが……。

 

「……結婚式、か」

 

やっぱり、彼女達も女性の精神構造をしているし興味はあるのだろうか。

雑誌を手に取る。

ブライダル特集とでかでかと表紙に書かれている辺り、やっぱり催促しているのだろう。

 

…………ん?

この表紙の女性……?

 

「あら、これあの時の女指揮官じゃない」

「うおっ……!?あ、アニーか」

 

座っていた俺の肩に、いつの間にかアニーが顎を乗せていた。

 

「ハァイ、ジョージ。様子、見に来たわよ」

「お前……仕事中は指揮官と呼べ」

「私、あなたの指揮下になったつもりは無いわよ。貴方個人に惚れてるから力を貸してるだけ。いつでも寝首をかけるんだから」

「こっわ……失望させないようにしないとな」

「せいぜい頑張りなさい……まぁ、惚れた弱みだから、ハードルは低くしてあげるわ」

「ははは……所で、知ってるのか?この人」

 

表紙で微笑む花嫁姿の女性……指揮官らしいが。

それにしてもどこかで見た事があるが……。

 

「昔、汚染地域で交戦したのよ。負けちゃったけど」

「へぇ……ハイエンドを下せる指揮官か。かなりデキるみたいだ」

「べ、別に下された訳じゃないわ!本気じゃなかっただけだもの!」

「お前俺とやり合ってる時も遊んでて大体やられてるじゃねーか」

「うぐっ……」

「……ったく、可愛いやつだなホントに」

 

ペラペラとページをめくる。

……泣きながらも、幸せそうに笑う女性の写真だ。

 

「……結婚式、か」

「挙げるの?」

「どうだろうな……人形との誓約は所詮リミッターの解除と所有権の譲渡だ。それを婚約とするかは……当人達次第だ」

 

何だかんだ俺は彼女達に指輪を渡しただけだ。

……だけとは言うが、俺は彼女達を愛してるし、彼女達も俺の事を慕ってくれている。

 

「夢の無いことを言うのね」

「俺に会うまで夢も目標も無かった奴が何を……」

「指揮官、入るわよ……何読んでるのよ、全く」

 

リサが報告書片手に入室してきた。

 

「お前らの誰かじゃないのか?置いたのは」

「私じゃないわよ。カラビーナじゃない?」

 

俺の手から雑誌をひったくった後、まじまじと見た後……、一言、呟いた。

 

「あら、コリンズ指揮官じゃない」

「は?」

「……報告書読まなかったの?」

「……いつの話だ」

「アンタが昏睡してた間よ」

 

急いで引き出しを漁る。

その間、アニーとリサが喋り出した。

 

「あらぁ?貴女もあの女指揮官と?」

「そうよ。行動中に偶然会って」

「へぇ……どうして指揮官が人形達と一緒に?」

「さぁ……ただ、どこの指揮官も指揮所でじっとしてくれないのね」

「違いないわ」

 

あった。

俺が昏睡してた時のログ。

そこには、ローニンの報告に『R06地区指揮官、シーラ·コリンズと遭遇』と書かれていた。

 

……ん?

 

「シーラ·コリンズ?」

 

えっ、マジか。

嘘だろ……?

 

「スイートキャンディ!?」

「ちょっ……いきなり大声挙げないでよ」

「あっ、すまん……えっ、嘘だろ……生きてたのか……」

「……ジョージ?知り合いかしら」

 

リサの眼光が鋭くなる。

苦笑しながら否定した。

 

「ははは……俺が一方的に知ってるだけさ。正規軍に居たとき、結構有名だったんだよこの人」

 

部隊に居ると、その部隊の野郎共は飴玉を貰った子供の様に上機嫌になる事が由来だとか。

 

「俺も会ってみたかったんだよなー……いやー、あの写真入手するのに苦労した」

「へぇ……」

「……リサ、ステイ。落ち着け。彼女には憧れこそあったけど何もないから。ただ……」

「「ただ?」」

 

リサとアニーの声がハモる。

何だかちょいと似てきたなこの二人。

まぁ相部屋に住ませてリサに面倒見てもらってるだが。

 

この前もリサの事を「お姉ちゃん」呼びしてからかってたっけ。

 

閑話休題。

 

「……作戦中に、スイートキャンディの居た部隊は全滅したって聞いた」

「「………………」」

 

それでも彼女はこうして笑っている。

良きパートナーに恵まれたんだろう。

 

「そう言えば……彼女は何か?」

「いえ……ただ、軽そうな男って言われてちょっと頭に来て」

「ははは……まぁ実際11人囲ってる時点で軽薄だわな」

「でも……」

「心配ご無用。そんなこと言われんのは慣れてるよ」

 

リサの頭を抱く。

目を細めて身を預けてきた。

 

「私が慰めてあげようか?」

「アニー、別に傷付いちゃいないっての」

「あら、つまらない」

「あっ、この野郎」

「きゃーこわい。紳士気取っていたのでなくて?」

「ハッ、紳士なのは17時までだ」

 

今日も、仕事は無事に終了するのだった。

 

 




今回コラボするに当たって、シーラさんがジョージとの相性が悪過ぎた為、この様な形になりました。

かしましおぺれーしょんも珍しい女性指揮官が主人公のお話となっています。

甘い中にシリアスがあり、主人公と45や戦術人形達の涙あり笑いありの物語。

どうぞ、よろしくお願いします。

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