「ただいま、ジョージ」
「え?あ、おかえりグリズリー」
ある日。
長期休暇を取っていたグリズリーが唐突に帰って来た。
ただ、格好が何時もの服ではなく……サイズ……特に胸部が合わないのか凄まじくパツパツだった。
「……お前その格好で帰ってきたのかよ」
「仕方ないじゃない。ハルカの服私に合わないんだもの」
「何で母さんの服着てんだよ……」
「借りたの」
「よく貸してくれたな」
「だって私の服、全部ハルカに駄目にされたもの」
……は?
俺は今日の副官のGrG3と目を合わせる。
彼女は困ったように微笑んで首を傾げた。
「可愛いじゃないかG3……今夜どうだ?星の綺麗なレストランで食事でも」
「仕事しなさい」
「げふっ」
グリズリーに頭ひっぱたかれた。
「うるせぇよ今の今まで休んでたくせに。何してたんだよ俺の実家で」
「ジョンに泣きついた」
「G3?今日の残りの業務は?出張とか無い?3日くらいの」
「聞け」
「いででででででえやめろ離せ!バンガード!バンガード!!」
『プロトコル03!』
「あっこら!強化外骨格は卑怯よ!!」
「うるせぇバーカ!!全力のお前らに生身で勝てるかっての!!」
「知ってるわよ!最近主導権握ろうと調子乗ると皆に人形の出力で抑え込まれてるの!」
「何で!?」
どこで繋がってんだこいつら。
「それで、貴方の実家に行ったのよ」
「聞きたくねー……あっ、バンガード帰らないで頼む」
「そしたらジョンの奴老けてたわ……」
「そら30年の歳月が」
「……カッコいい歳の取り方して。ジョージも将来お父さんそっくりね♬」
「タイタンフォールスタンバイ!!!」
「うるさい」
「あばっ」
嫌だ、この場所に居たくない。
今すぐG3と遠い所へ逃げ出したい。
「それでね、ありったけの想いの丈をぶちまけたの。その場で」
「参考までに聞くけど、どこで」
「玄関で」
「リサァ!リサァ!!たすけて!!」
「ジョージさん。私が着いてますよ」
「G3ぃ……」
「そしたらハルカが出てきてジョンぶん殴られたわ」
「当たり前だろ」
ぶっとぶ親父が容易に想像出来る。
「その後色々言われてあきらめろって言われちゃってさ」
「そら結婚した上に息子産んでるしな」
「でも諦めきれずに決闘挑んだのよ」
「こえーよ30年の執念」
「そしたらハルカなんて言ったと思う?『ダミーも、持ってるものすべて出しなさい』って言ったのよ!」
「先月のお前のダミー全損して送られてきたけどまさか」
「まぁ惨敗したわ」
ですよねー。
在籍時代格闘戦、近接戦闘において正規軍最強と謳われてた女傑、老いてなお健在か。
「それでも私は向かったわ。だって、あのいけ好かない女を殴れるチャンスだったもの」
結局、一方的に地面に何度もたたきつけられたらしい。
それでも立ち上がっては吹っ飛ばされ、機能停止寸前の大破状態までボコボコにされたそうな。
「結局、最後はあいつの足掴んでそのままブラックアウト」
「まぁそうだろうな……母さんに格闘戦で勝てる人間人形なんて想像できない」
「で、目が覚めたら治ってたのよね。それで、ハルカに謝られたの」
「やり過ぎたってか?母さん、やっぱり親父の事になるとタガ外れるからな……」
「その後はまぁ」
グリズリーがグローブを外す。
俺は顔が引きつった。
……左手の薬指に、銀色に輝く指輪がはまっているからだ。
「まあ」
G3も驚く。
「ハルカが気に入ったって言ってジョンに私を買わせたの」
「嘘だろ……」
「まぁそしたらびっくりしたわ。ハルカ、両方イケるくちみたいで」
「うっわ聞きたくなかった……」
母親がバイだったって聞きたいか?
もう帰りたいよ俺。
あ、ここ家だわ。
「そんなわけでジョージ」
「はい……」
「私の事、お義母さんって呼んでも良いのよ?」
「……もうやだあ……」
俺はその場に崩れ落ちたのだった。
そんなわけでグリズリーの話の補完回でした。
リサとジョージぼ絡みだけ書くのか、他の人形達とも書くのか、それとも職員達との絡みを書くのか……全部やったらまた長くなりそうだ……。
感想お待ちしております。