【完結】借金から始まる前線生活   作:塊ロック

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引き続き、グリフィン本部にて。


予感的中

「で?ジョージ。私とは飲んでくれない訳?」

「あー……すまん、ちょっと、頭痛い」

「ジョージさん、飲みすぎですよ」

 

翌日。

リサとトカレフに肩を貸されて本部の廊下を歩く。

結局、あの後しこたま飲まされて二日酔い一歩手前である。

 

「ジョージ・ベルロックさんですね」

 

……誰だ?

背筋を正して相手を見据える。

 

黒髪の優男……。

あ、こいつ昨日の会議で俺と目を合わせた奴だ。

 

「ああ、昨日の」

「覚えててくれたんですね?嬉しいなぁ」

 

にへら、と笑う。

気色の悪い奴だ。

 

「で、二日酔いの阿保でも無いアンタが何でここに」

 

リサに脛蹴られた。

ちょっと痛い。

この男が連れているのは確か……ショットガンの人形か。

簡易的な防壁によって防御力に優れる人形群だ。

建造するには大型建造という特殊な建造を……いや、この話は止そう。

資材も金もないうちには関係のない話だ。

 

「いえ、いろいろな指揮官にお話を伺っていたんですよ」

「へぇー……勉強熱心だな」

「真面目なのが売りなので」

 

新人にしては分不相応なグレードの人形を連れてはいるが……その程度か。

しかし、ぴりぴりと頭の片隅で警鐘が鳴り響いていた。

 

「ジョージさんも、まだ指揮官生活は長くないんですよね?良かったらお話、聞かせてくれません?」

「あー、色々はなしてやりたいところだが……俺はもう戻らなきゃならねぇ」

「そうですか……では、要点だけ」

「要点?」

「ええ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「………………」

 

ほら来た。

やっぱりか……こいつが例のボンボンあほ指揮官か……。

 

「悪いが、うちは知っての通り最前線だ。資源も戦力も常にギリギリ。貸し出せる戦力なんてない」

「近々13地区が出来るじゃないですか」

「………………」

 

無駄に情報が早い。

 

「対価は勿論支払いますよ。……そうですね、そのWA2000とかどうです?」

 

ぷっつん。

 

「あ”?今なんつった」

「ちょ、ちょっとジョージ……」

「……どうされました?」

「首を縦に振ると思ってんのかガキが」

 

静止するリサの手を払って掴みかかろうとするのを、トカレフが止める。

 

「いやですねぇ。たかだか()()じゃないですか」

「……ああそうだ、確かにこいつらは()()だ。だがそれ以上に()()だ。替えなんて利かない」

 

そうだ。

俺たちの関係は確かに恋人だがそれ以上に戦友なんだ。

 

「珍しい方ですね。それでいて……とても、残念な方だ」

「なんだと?」

「代替可能な使い捨ての兵器にそこまで肩入れする必要はありませんよ」

「………………」

 

この野郎……!!!

こっちの我慢の限界を試しているのか?

バックにスポンサーが付いているから俺程度つぶせると?

俺が失職すれば確かに所有している人形はI.O.Pに返還される。

 

だが、

 

「……はぁ。俺に問題を起こさせて、圧力を掛けて失職させる気か?」

「まぁ、最終的にはそのつもりです」

「そのあと人形を回収する、か……何人哀れな指揮官が食われたのやら」

「嫌ですねぇ、少しお話しただけですよ」

「そうか。その後、他所の人形を意識を残したまま記憶を消すさまを見て随分と楽しんでたじゃないか」

 

それを言った瞬間、初めてボンボンが動揺した。

 

「……どこでそれを」

「お前の事を疎んでる輩だってごまんと居る。高くついたがな」

「……それで?」

「査問会に突き出す」

「へぇ。私がスポンサーの息子だと知ってそれを言ってるならお笑いですね」

「そうだな……例えば、お前のとこの親父と俺の親父が知り合いだったとか?」

「は……?」

 

うちのクソ親父が握っている母さんの血族の情報。

その中にこのクソ野郎も含まれていた。

だからクルーガーは俺に依頼したのだろう。

 

「あまり度の過ぎた遊びに精を出すなよ。火遊びは身を亡ぼすぞ坊や」

「……調子に乗るなよ異常性愛者」

 

おっと、キレやがった。

後ろに控えてたショットガンの人形が銃口を上げる。

ご丁寧にリミッターを外し、人間に照準を合わせられる。

 

「銃を下ろしなさい」

 

まぁ後ろの二人がそんなのを許すわけないがな。

リサがウィングマンを突き付けている。

トカレフが俺の前に出ようとしたのを優しく止める。

 

「悪いが、お前のその子じゃ話にならない。やめておけ」

「な、何を言って」

「人形の練度の差を見抜けないようじゃ三流だな。もう少し経験積んで出直せ。今なら見逃してやる」

「き、貴様……!」

「映像は記録した。先に構えたのはお前だ」

「チィ……」

「ま、こいつらは俺が買い取って誓約してるからどう足掻いてもお前の物だ」

「は……誓約までしてたのかよ……!」

「異常なのはお互い様だ。さっさと帰んな」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「……で、そのまま帰しちゃって良かったの?」

 

その夜。

執務室で貯まった仕事を片付けている。

 

「そうですよ、あんなの足と手に1発ずつ打ち込んでやればすぐ泣いて詫びますよ」

「さらっと怖い事言うね君……」

「トカレフ、落ち着きなさい。あそこは手を出した方が負けてたの」

 

荒れるトカレフをリサがなだめていた。

 

「二人とも、よく我慢してくれた」

「私はアンタが我慢したことに驚いてるわ」

「お前達が居たからな」

「だと思った」

 

リサが呆れて笑う。

トカレフが俺の膝の上に座ったので頭を撫でてやる。

 

「はぁ、変な見栄張ってたらそのうちまた倒れるわよ?」

「じゃあ、お前達に癒してもらおうかな」

「はぁ?あんたねぇ……ちょっとトカレフ何スカートの下に手を突っ込んでるのよ!?」

「私はいつでも準備OKですよ」

「えっ、ちょっと、ジョージ!」

「リサ」

「ジョージ……んっ、馬鹿……もう……」

 

 

ま、何とかなるでしょ、こいつらと一緒なら。

 

 

 




そろそろ〆ようかなと思っていたり。
もしくは他の人間キャラ達の絡みを書くかどうか。
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