ある日、俺はIOPの16LABに呼び出されていた。
「はい、ジョージ指揮官。これの試用よろしく」
最近、グリフィンの兵器開発に度々声が掛かるようになった。
試作兵器のデータ取りは基本俺がやるようになっている。
データもそれなりの値段で買ってくれるのでやらない手はない。
ペルシカに渡されたケースを開く。
中には1丁のハンドガン。
「RE-45にしては随分大きいな。てか重い」
取り出して構えてみる。
銃口まわりがやけに尖ってるなこいつ。
重量も無視できない。
この重さではサブウェポン……とっさの使用には向かない気がする。
「……これは一体」
「スマートピストル、と銘打っているわ。これはその試作5号機ね」
「スマートピストル、か」
「バンガードは来てるかしら?」
「ああ。バンガード」
『起動しました。いつでもリンク可能です』
隣接された試験スペースに、相棒たる外骨格が展開されている。
「この銃はバンガードとリンクして効果を発揮するわ。今回はマガジン2つ用意してあるから、ちょっと撃ってみて」
「……ああ?」
外骨格が必要なハンドガンって何だ?
まさか、ウィングマンより反動デカイんじゃねーのかこれ。
バンガードを装着し、いつもの薬品投与。
バイザーを卸して銃を握る。
『オペレート、スマートピストルモード』
「えっ」
ディスプレイが急に変わった。
画面の真ん中にカーソルが現れる。
『ターゲットを出すわ。狙わないでトリガーを引いて』
「???狙わないで?何故」
銃は狙いをつけなければ当たるものではない。
視界にターゲットを捉える。
「……ロックオン?」
『指揮官、トリガーを』
「ああ……へぇあっぇ!?」
変な声出た。
いやだってそうだろうよ。
弾が出たと思ったらカーブを描いて曲がったんだから。
「は?な、何だこれ気持ち悪っ!!」
てかフルオートかよこれ!
『ふむ。ロックオン機能は正常ね。フルオートで全部誘導するか見たいわ。マガジンを変えて頂戴』
「あ、ああ……」
満タンの方のマガジンを挿した。
これ、どう言う理屈だホントに。
銃を前に向けて、トリガーを引く。
視界の中の全然明後日の方向に弾が飛んでいっている……。
「え、えー……」
『問題無いわね。お疲れ様、ジョージ指揮官』
何か今回も物凄く納得がいかなかった。
――――――――――
「今回使ってもらった銃は、簡単に言えばホーミング弾ね」
「はぁ……」
試験後。
軽くシャワーを浴びさせてもらってからペルシカと向き合ってコーヒーを飲んでいる。
ちなみに胸焼けがするほど不味い。
なんだこれ。
護衛として同行していた春の瞳がオレンジ色になってる。
ちょっとキレてるよこの子……。
「バンガードがロックした相手を追尾してくれる」
「実現すればかなり強力な兵器だな」
「まずはバンガードの量産とスペックダウンが先だけどね」
装着する度にドーピングしなきゃ使えないなんてパイロット潰しもいいところである。
「これ、弾何使ってんだよ一体……」
マガジンの中に残っていた弾丸を摘み上げる。
なんか変な形してるし。
「それ?マイクロミサイルよ。一発で貴方の借金が5回返せるわ」
「…………………………は?」
手から弾丸が落ちた。
乾いた音を立てて転がる。
春の瞳がエメラルド色に戻って見開かれている。
「……ジョージ指揮官?」
「あ」
「あ?」
「あばばばば」
「ジョージ指揮官が壊れたわ!至急鎮静剤を!」
「あばばばばばばばば」
「だ、駄目ですペルシカさん!ジョージには効きません!」
「ぁぁあ゛あ゛あアア゛ああ゛アアア゛アああアア゛ああアア゛ア゛アァァ…」
「スプリングフィールド!暴れる前に落として!」
「ごめんなさいジョージ!後で何でもしますから!!」
「ガフッ」
なんて日だ。
不定期に増えてますけど……大丈夫ですかねこれ。