【完結】借金から始まる前線生活   作:塊ロック

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そう言えばオリジナル指揮官のフリー素材化がちらほらありますね…。
うちのジョージもフリー素材に…………あっ、こいつそう言えばまだ指揮官じゃねぇや。


白い少女は朱に染まる

 

ーーーグリフィン本社、調理室。

一部の人形と人間しか利用しない、ある意味でこの会社の最も人の居ないポイントである。

 

何故ならこのご時世飯は用意してもらえるので、わざわざ高い金払って材料用意して作るなんて物好きはそうそう居ない。

 

カリーナにぼったくられた材料達が届いたので、いよいよ調理に取り掛かるのだった。

タイムリミットはM4が帰ってくるまで&スプリングフィールドが帰ってくるまで。

実質二日ほど。

 

「…何でだろう、たかがお返しで何故こんなスリリングな体験っぽくなっているのは」

 

明らかに貰った相手のせいだとは考えないようにしたい。

…ちなみにプレゼントを貰った相手はM4とスプリングフィールド、そして意外な事にWA2000もくれた。

 

曰く、「仮とは言えバディなんだし、貰えなくてモチベーション落としてもらったら困るから。ただそれだけ…勘違いしないでよね!?た、他意なんて無いんだからね!」だそうだ。

 

「三人分…いや、四人分か?材料足りるか…?分量的には足り…あ、これ失敗出来ねぇや」

 

四人目が来るとは思っていなかったが、あげない訳にもいかないだろう。

 

「さて、やりますか…所で何で俺さっきから独り言言ってんだ?」

 

てきぱきと材料と道具を準備していく。

これでも幼い頃に母親の喫茶店を手伝っていたのでそこそこ料理できる。

最近金が無いからやってなかったけど。

世知辛い。

 

「泣けるぜ」

 

でも泣かない。

俺は男だからな。

先日スプリングフィールドのカフェで男泣きしてたのは鉄血支配地域にでもぶん投げとけ。

 

「そういやこの前ぶん投げた支給品の手裏剣…爆発したけどどう言う理屈なんだ」

 

しばらく電磁パルスをばら撒いて周りの鉄血人形がショートしていた。

 

閑話休題。

 

「何が一番高いかって言われても砂糖も牛乳も高いんだ」

 

しかも牛乳は合成。

砂糖は代替が利かないから純粋に高い。

 

「あとゼラチン。よくあったなこれ」

 

ボールに水を貯めてゼラチンと牛乳、ヨーグルトと砂糖を投入していく。

ヨーグルトもそう言えば合成品だった。

 

「…何でもかんでも代替品。でも高い」

 

どんどんかき混ぜていく。

手は動いているがその間割と暇である。

ふと、備え付けの冷蔵庫が見えた。

 

…何となく開けると。

 

「…見なかったことにしよう」

 

なんかSOPMODⅡと書かれたメモになんか配線とか飛び出た丸い…。

 

「さぁーて次の工程はっとぉ!!」

 

俺は何も見てないぞ、うん。

 

 

ーーーーーしばらくして。

 

型に流し込み、冷蔵庫にしまった。

なんか、色々あった気がしてどっと疲れた。

 

「はぁ…」

 

思わず溜め息。

冷やす時間は最低1時間とあるが…。

まぁ、このアホみたいに電気食ってる冷蔵庫なら固まるか。

 

「で、いつまでそこに居るんだトカレフ」

「っ」

 

調理場の出入り口に、トカレフが立っていた。

 

「こ、こんにちは…ジョージさん」

「おう。おいで」

 

手招きしてやると、おずおずと言った様子でトカレフが寄ってきた。

 

「丁度暇してたんだ。よかったら話し相手になってくれないか?お嬢さん」

「えっ、あ、はい…」

「で、いつから?」

「……………最初から」

「ウッソだろオイ」

 

あの独り言全部聞かれてたってのかよ。

 

「それで、ずっと何をしていたんですか?」

「ん?あー、ちょっとホワイトデーのね」

「…それ、先週では」

「…………ああ」

 

みるみるうちにトカレフの顔色が悪くなっていく。

うわぁ、他人の血の気…オイル?が引く様子初めて見たよ。

 

「えっ、大丈夫なんですか…?M4さんとスプリングフィールドさんですよね…?」

 

お、ちゃんと二人のことさん付けで呼ぶようになってる。

それに、情緒もちゃんと安定している様だ。

 

「ジョージさん?なんだか娘を見る様な顔をしてますけどかなり拙い状況ですよ…?」

「すまない、少し現実逃避をな…」

「は、はぁ…」

 

ふと、トカレフがじっと残ったパンナコッタ(液)を見ていた事に気が付く。

 

「こうやって見ると普通に女の子だな」

「えっ、何がですか…?」

「大丈夫だ。お前の分も作ってあるから」

「なっ…もう!ジョージさんこそ最初からわたしに気付いてたじゃないですか!」

「なんの事かなー?」

「…っ、ふふふ」

「ハハハ、ふぅ…笑える様になったな」

「はい、お陰様で」

 

こうやって気さくに笑い合う関係になれる位が丁度良いのだろう。

 

「…これ、もしかして舐めたいとか?」

 

固めて無い原液をまさかとは思い切り出す。

いや、我ながら大分デリカシー無いなこれ。

 

「え、あ、はい」

「ウソォ」

 

まさかのビンゴ。

いやまぁ女の子だし甘い物欲しいのだろう…。

 

「あーん」

「えっ」

「あー」

 

トカレフさんがまるで雛のように口を開けて待っていた。

これはあれか、あげろと。

 

「…手のかかるお嬢さんだ。じゃあ味見してもらおうかな」

 

スプーンで一口掬ってトカレフに…。

 

ガチャ!×2

バタン!×2

 

「指揮官!M4A1ただいま戻りました!」

「水臭いですよジョージ、こっそり用意するなんて」

「「……………説明して下さい」」

 

ガチャン×2

…2つあった出入り口が、同じタイミングで施錠された。

 

「「ひっ…」」

 

俺とトカレフから、変な声が出た。

 

 




トカレフちゃんメンタルケア。
…まぁジョージに依存するのは明らかだけども。

さぁ、帰ってきたあの二人…パンナコッタは固まるがジョージが溶けそう。

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